THE KING OF STREET FIGHTERS   作:本城淳

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エドモンド本田…ストリートファイターシリーズ
流派…相撲

水神ほくと…ストリートファイターEXシリーズ
流派…水上流古武術

大門五郎…KOFシリーズ
流派…柔道+我流

藤堂香澄…ART OF FIGHTING 龍虎の拳外伝
流派…藤堂流古武術




日本武術チーム

両国国技館

 

大相撲本場所。千秋楽。

結びの大一番。優勝決定戦。

番付こそ大関であるが、実力は横綱のエドモンド本田は当然この土俵に立っていた。

 

本田(むぅ?)

 

土俵の上で四股を踏み、立ち会いの準備をするなか、気になる人物が升席にいるのを本田は発見した。

体格に合っておらず、ピチピチの背広を着た角刈りで糸目の大男が妻であろう女性と息子であろう良く似た子供と一緒に相撲を観戦している。

 

大門五郎

 

オリンピック金メダリストにして日本柔道選手団を選手兼監督として日本柔道会、しいては世界柔道を牽引して頂点に立つ男である。

 

本田(これは下手な立ち会いは出来んのう)

 

世界巡業と称しては角界の制止を振り切って世界中の猛者達を求めて旅をしている本田は、当然大門の事を知っている。

キング・オブ・ファイターズの常連選手としても有名な大門五郎とはいつか会ってみたい、いつか立ち会いたいと願っている相手だった。

そんな大門五郎が自分の立ち会いを見に来ている。

本田とて立ち会いではいつも全力で挑んでいるが、今日は特に気合いが入った。

一方で大門五郎もこの結びの大一番に対して身を乗り出して観戦モードに入る。

これまでの対戦も楽しんで見ていたが、エドモンド本田が土俵に上がった瞬間にはその意味が変わった。

大門とて格闘家。

四条雛子のように素人相撲でありながらKOFという大舞台で活躍するものがいる。ならば本場の相撲を生で見てみるのも一興だと思い、本場所の千秋楽のチケットを前々から予約していたのだ。

その中でも目的はエドモンド本田。

並みいる横綱達も悪くはない。だが、その中でもエドモンド本田はテレビ越しでもその強さが輝いているように見える。是非とも一度生でエドモンド本田の立ち会いを見てみたい。

実力は横綱以上でありながら、破天荒な行動から角界に目を付けられ、伝統ある横綱に相応しくないと未だに大関の番付にいる本田。

その本命がついに土俵に上がった。

 

大門(見せて頂こう。角界の風雲児の取り組みを!)

 

相手は横綱。だが……

 

大門(格が違う)

 

土俵で見るとどちらが横綱なのかわからない。

本来なら格下の大関が横綱に挑む形式なのだが、どっしりと構えているのは大関であるエドモンド本田の方だ。

 

大門(これでは良い立ち会いは期待できそうもない。あの土俵にいるのが儂であったのなら)

 

時間いっぱい。結びの大一番。

 

行司「はっけよ~い………のこったぁ!」

 

本田「百烈張り手!」

 

横綱「ぶほぉ!」

 

大門(これは凄まじい張り手の連撃!関取の張り手はボクサーのパンチ以上とは言われておるが、エドモンド本田のあの連撃は一発一発がそれ以上!)

 

大門が本田の百烈張り手の物凄さに戦慄を覚える中、角界の重鎮達は……。

 

角界幹部「なんだあの張り手は……華々しさの欠片もない」

 

角界幹部「結びの大一番でこのような立ち合いを…角界の恥だ!やはり横綱昇進は見送るべきだ!いや、関脇への降格も視野に入れた方が良い!」

 

大門(むぅ…何を見ておるのだ!華々しさも十分あるではないか!)

 

柔道の強さに限界を感じ、柔道界を一度は去った大門。

相撲の強さを十全に発揮しながらも、その格式により評価されないエドモンド本田。

自分達はどこか似ているような気がすると大門は感じていた。

 

大門(ぬっ!?)

 

張り手の最中、大門は一瞬だけこちらをチラリと見たエドモンド本田の視線を感じた。

 

大門(ワシの存在に気付いておったのか。本田殿)

 

一方で相手の横綱もプライドが傷付いた。

 

横綱(立ち合い中によそ見とは!侮るな!)

 

張り手の猛攻をダメージ覚悟で無理矢理掻き分け、四つ組に入ろうとする横綱。だが、無理矢理百烈張り手を掻い潜った代償は大きく、その時には消耗で力の大半が奪われてしまう。

 

本田(結びの大一番がこれとは……やはり相撲も異種格闘技を稽古の一貫として取り入れるべきじゃのう)

 

本田は得意の上手投げで横綱を土俵に沈める。

相撲取りとしては頭突きや頭部を狙ったキックなど、破天荒な戦いかたをすることが多い本田だが、投げ技が苦手な訳ではない。

むしろ上手投げは異種格闘技戦でも使う必殺技「大銀杏投げ」に組み入れる程までに得意な技だ。

力業のみの本田と思われがちだが、実際に技のバリエーションは多い。実際は技巧派なのである。

 

本田(やはり相撲にも異種格闘技を稽古の一環として取り入れるべきじゃのう。本場所が終わったら例の大会に出よう。ワシの考えが正しいと証明できる上に世界に相撲を広められて一石二鳥だわい)

 

大会の招待状は本田の元にも当然届いてはいるが、角界は当然、出場を禁じた。

だが、それを素直に聞く本田ではない。本田とてまだ見ぬ強者と戦いたい願望は強い。むしろ同じ取り組みばかりで飽きてきていた。

 

本田(ワシを例の日本チームに入れては貰えんかな?丁度大門五郎もおることだし、頼んでみるか)

 

 

ー路上ー

 

優勝会見のあと、エドモンド本田は両国の街を歩いていた。もう両国の街にいないかもしれないが、大門五郎と接触できるかもしれない。

大門五郎も自分との接触を望んでいる。

確証はないが、なんとなく勘がそう言っている。

部屋への車を断り、本田は両国の街を彷徨く。

 

そんな時だ……戦いの音が聞こえたのは。

興味をもった本田はその音に惹かれて歩いていく。

 

???「く……ここまでとは……藤堂流。侮っていた」

 

???「それはこちらもです……」

 

そこにいたのは袴姿の二人の美少女だった。

片方はKOFでもお馴染みの藤堂香澄。藤堂流の継承者候補で実は藤堂流の開祖、竜白よりも強いのではないかと言う噂がある娘。

もう片方は水神流の継承者候補、水神ほくと。

表舞台に立つことはないが、草薙流や八神流と同様に非常に歴史が長い流派だ。一説には八神流と同様に何かしらの呪いが込められているのではないかと格闘仲間のリュウから聞いたことがある。

 

勝負は一進一退。

すもうや柔道では失われた細かい技の応酬は、遠巻きに見ていた本田にも彼女達が並の武芸者ではないことがわかる。

 

ほくと「お遊びはここまでです。私の前に立ったからには、その命……捨てる覚悟は出来ていると見受けられます」

 

香澄「なんの!こちらも武術に身を染めた身です!覚悟、よろしいな?」

 

必殺の力を込めるほくとと香澄。

 

本田(いかん!若い才能の芽がこんなところで潰れるのは見過ごせん!)

 

しかし、距離が離れている。

間に合わない!そう思われた時。

 

大門「ふんごぉぉぉぉ!」

 

反対側から大門五郎があらわれ、両手を地面に叩きつけた。

地雷震。

大門が山での修行で身につけた、局地的な地震を発生させる荒業だ。大門五郎の代名詞とも言える技である。

その地震を受けた香澄とほくと、それにエドモンド本田はひっくり返ってしまっていた。

 

大門「真剣勝負の最中に割り込んでしまって申し訳ない。が、そちらのお嬢さんを見ておると、わしの戦友の宿敵によく似ておるがゆえに放っておけなくてな」

 

ほくと「あなたは……大門五郎」

 

香澄「大門さん!」

 

大門五郎はほくとに対して言葉をかける。

彼女をみていると、何となく八神庵を思い出してしまうのだ。

こんなうら若き少女を八神庵と同じような道に進ませるのはしのびない。

 

ほくと「草薙京と八神庵か……余計なお世話だ。大門五郎」

 

そこにエドモンド本田も話に加わる。

 

本田「日本の裏社会におるからそんな暗い目になってしまうんじゃ!一度表舞台に立ってみるのはどうかのう?ちょうどKOSFも開催されるようじゃしな」

 

大門「エドモンド本田殿…」

 

香澄「エ、エドモンド本田関!だ、だ、大ファンです!え?もしかしてエドモンド本田関も出場されるのですか!?」

 

どうやら香澄は本田のファンであったようだ。

その瞳はキラキラと輝いている。

 

ほくと「格闘大会か……確か裏ではギース・ハワードが関わっているとか……ふ、日本古武術の面汚しを誅するのも一興か」

 

ほくとはギース・ハワードに思うところがあったらしい。

それに、裏の一族とはいえ、彼女も一介の格闘家。草薙京や八神庵、以前に戦った事のあるリュウやケンと戦える機会を得られるのならば血が踊ることも確かだ。

 

ほくと「良いだろう。その大会は四人一組と聞く。私は他に水神流の者しか武芸者を知らぬ。お前達と組めば良いのか?」

 

香澄「うーん………」

 

香澄は考える。いつもKOFで組んでいる女性格闘家チームのメンバーもそろそろチームを組んでいるだろう。

アンチ極限流チームも普段どこで何をしているのかわからないし、ユリ・サカザキと組むのはもう真っ平だ。

父親も相変わらず行方不明。

それに憧れのエドモンド本田とチームを組める大チャンスだ!大門五郎とも付き合いは長いがチームを組んだことは一度もない。これは良い機会だろう。

 

香澄「是非ともお願いします!水神ほくとさんも!」

 

大門「わしも構わん。そろそろ京や紅丸以外のメンバーとチームを組む機会が欲しかったところだ。真吾も本当の仲間を得て一人立ちをする頃だしな。よろしく頼む。エドモンド本田殿、藤堂香澄殿、水神ほくと殿」

 

なんと、大門五郎自らがチームを組むことを提案した。

大門も考えていた。これまでのKOFでは京や紅丸、真吾以外とチームを組んだことは無かった。

特に紅丸とは一度も決着を付けたことがない。

今回はそのチャンスだろう。

 

本田「これは幸運!一丁、日本武術チームで世界巡業と、相撲………いや、日本武術の素晴らしさを世界に広めるとするかのう!がっはっはっはっ!」

 

 

 

 

 




ある意味では異色のチーム、日本武術チームの完成です。

安定して強いのは最強の投げキャラと名高い大門。
あばれで結構強いエドモンド本田。
作品によってまちまちなのが藤堂香澄。
もう久々過ぎて忘れてしまったほくと。

次はどのチームにしますか。

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