果「さて、善子ちゃんの猛ダッシュのおかげで長岡からも無事に座れてるわけだけど」
梨「確かにこの車両じゃみんな乗りに来るわけね」
千「珍しいのこれ?」
果「珍しいというか古い、かな。走ってるところも残り少なくなって来てて、関東に近いところだとここか長野県かって感じだよ」
善「なんとなく朝乗ったのと雰囲気似てるわね」
梨「でも八高線の方が狭くて辛かったわ」
千「そしてそして、結局田んぼしかない!」
果「これでも少ない方だよ?長岡から新潟にかけては新潟県の中でも都市間の移動だから。ほら、上には新幹線がいるし」
善「でもあれには乗らないんでしょ?」
梨「ここまで来たら新潟まで新幹線乗った所であまり変わらないよ」
善「今考えるとやっぱりおかしい、新幹線に乗るって聞いてたんだけど」
果「だから新青森から乗るって言ってるじゃん。拝島の始発で間に合う新幹線に乗るって言ったんだから嘘は言ってないよ」
千「嘘は言ってないけどひどいよね」
梨「こうやって大泉さんも騙されたのかしらね」
果「聞こえてるよそこ。千歌はネタを知っててついてきたんだし、梨子ちゃんに至っては企画側でしょ。むしろネタを知っててついてきた千歌が一番おかしいと思うけど」
善「それは同感」
梨「確かに」
千「いきなり私に振るのやめない?田んぼの話をしてたのになんで私がお馬鹿みたいな結論になってるの?」
果「それはまあ……千歌だから」
善「一番馬鹿なのは企画の2人よ!」
果「今頃そんなこと言ってどうしたの?」
善「くっ……」
梨「そういえば善子ちゃん、体力の方は平気?」
善「平気だけど、どうしてそんなこと聞くのよ」
梨「新潟から秋田まで特急に乗るっていうワープルートがあるの。別に特急券と乗車券を買わないとならないんだけど」
善「今のところ平気よ、というよりこの先も使うつもりはないわ。こうなったら意地でも最後まで乗り通してやるわ」
果「善子ちゃん……強くなって……」
善「殴るわよ」
果「暴力はよくない!」
善「人に暴力のような行程を叩きつけておいてどの口が言ってんの?」
果「暴力というか鬼畜を叩きつけたつもりなんだけど」
善「どっちにしても畜生じゃない」
果「すわほー」
千「あれ、果南ちゃんってスワローズファンだったっけ?」
果「いや、ライオンズだけどつば九郎は好き」
梨「あ、新潟に着くみたいよ」
善「どれどれ……あ、ここは走らなくていいのね」
果「ここから先の乗り換えは余裕あるからね〜」
一行、新潟駅到着
新潟11時42分発、白新線 普通村上行き乗車
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梨「そういえば果南ちゃん、この間の新潟はどこに行ったの?」
果「あ、あの時は曜ちゃんの所だよ。東京に戻る直前だったから」
千「そっか、仕事で新潟に行ってたんだっけ」
果「次の東新潟駅が最寄り駅だったんだよ。そうだ駅名板撮って呟こ」
梨「私も」
千「曜ちゃんエンカあり…っと、どんな反応するかな」
善「メンションしたから楽しみね」
果「東新潟も過ぎて、ここから先は私も未開の地だけど本格的にすることないなぁ」
千「今どのくらい来たの?」
果「えっと…360kmだから全体の1/3ちょっとが終わったところかな」
千「まだ1/3!?」
梨「これから山形・秋田・青森を縦断するのよ?」
千「函館って思ってたより遠いね……」
果「ちなみに始発の新幹線に乗ってればもう函館に着いてる」
千「知りたくなかったよその情報……」
梨「まさか騙された善子ちゃんより先に千歌ちゃんが限界?」
千「いや限界ではないけどさあ……まだまだ先だなぁって」
果「この列車でも新潟を抜けられないからね。中越から入ったとは言え新潟は長いよ」
善「そういえばお昼ご飯はどうするの?新潟駅でも何も買ってないわよ?」
果「村上駅にニューデイズがあるから、そこで調達するよ。秋田での夕飯まではコンビニご飯だね……」
梨「ゆっくり車窓を見ながら食べるご飯なら、コンビニのでもおいしく感じるんじゃない?」
千「あー、それはありえそう。旅の効果ってやつ?」
善「ここで堕天使の力を発揮するしかないわね、私ならコンビニご飯さえもおいしく出来るわ」
果「あーはいはい」
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12時57分に村上駅に到着した一行。向かいのホームに止まっている13時48分発の羽越本線 普通酒田行きのボックスシートを確保しつつ2人ずつご飯を買いに行ったのだが……
果「千歌達遅いね」
善「一体どこをほっつき歩いてるのかしら、私たちだって早くご飯買いたいのに」
果「あ、曜がさっきのに反応してる」
曜『なんで新潟にいるのさ、私もうそこにいないよ?』
果「渡辺ようでしょうだからだよ…っと」
善「それ伝わるの?」
果「伝わんないんじゃない?」
善「あ、そう……」
果「あれ、今梨子が走ってたような……」
善「忘れ物でもしたの?でも財布だけで十分なはずよね?」
梨「大変よ果南ちゃん!ご飯が…ご飯が…」
果「ちょ、落ち着いてよ梨子。ご飯がどうしたの?」
梨「何も無いの」
善「何も?」
梨「ニューデイズに、ご飯が何もないの」
果「いやそんなまさか、だってお昼時だよ?」
梨「確かにそうなんだけど、駅の規模からして常に品物があるわけじゃなさそうなのよ」
果「……18きっぷシーズンだから、先の列車に乗った人達で無くなっちゃったのかな」
善「冷静に分析してる場合じゃないでしょ!?このままじゃ私たち、秋田までご飯なしよ!?」
果「むしろこの原因は善子ちゃんだよ」
善「はぁ!?なんでそうなるのよ」
果「だってさっき堕天使の力を発揮したでしょ。だからなくなっちゃったんじゃないの?」
善「そんなわけないでしょ!理由はさっき果南が分析してたじゃない!」
梨「落ち着いて二人とも。確かにニューデイズには何も無かったんだけど…」
千「少し歩いた所にセブンイレブンがあるから大丈夫だよ、ほら」
善「それを早く言いなさいよ……」
梨「少し歩くから、果南さんと善子ちゃんも早く買いに行った方がいいわ。まだ時間はあるけど、乗り遅れないようにね」