Aqoursとifにつながる不思議な扉   作:浦風晴斗

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聖杯合戦 第3話

―聖杯合戦 リンク継続中―

 

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恭「来ヶ谷がやられただと?」

 

理「うん、相手のセイバーを倒した後にバーサーカーに負けちゃったみたい。葉留佳さんも巻き込まれて…」

 

恭「三枝は…まあ、仕方ない。バーサーカーの宝具は?」

 

理「それが…宝具を使ってないんだよ。来ヶ谷さんの模造刀を奪って戦ってたみたい」

 

恭「かなりの強敵だな…確か松浦果南って言ったか?」

 

理「うん。彼女をなんとかしないと僕らに勝ち目はなさそうだ。…っと、鈴からだ。どうしたの?」

 

鈴『理樹、2人見つけたぞ!まだ向こうは気づいてない。どうすればいい?』

 

理「この反応はランサーとアサシン…。2人とも黒澤さんだから姉妹かな?」

 

恭「場所は?」

 

理「校庭だね」

 

恭「ここから近いな。理樹、ここは俺が行く」

 

理「恭介が?」

 

恭「ああ。これ以上数を減らすわけには行かないだろ?鈴にはキャスター捜索を優先させていい」

 

そう言って恭介は渡り廊下から校庭へと飛び出していく。

 

理「鈴はキャスターの捜索を優先して。そこには恭介が行くから」

 

鈴『バカ兄貴に任せられるのか?』

 

理「恭介なら大丈夫、ていうかもう行っちゃったしね」

 

鈴『分かった』

 

理「頼んだよ恭介…!」

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ル「ごめんねお姉ちゃん、ルビィと一緒にいてもらっちゃって」

 

ダ「気にすることありませんわ、私もルビィのことは心配ですし。それに二人の方が勝率も上がりますわ」

 

恭「なるほど、それで二人でいるわけか」

 

ダ「だ、誰ですの!?」

 

恭「リトルバスターズのアーチャー・棗恭介だ。そちらはAqoursのランサーとアサシンとお見受けするが?」

 

ダ「そこまで筒抜けであるなら隠す必要もありませんわね。私はAqoursのランサー・黒澤ダイヤ、それと…」

 

ル「Aqoursのアサシン・黒澤ルビィです!」

 

恭「名高い生徒会長さんと戦えるとは光栄だ!楽しくいこうじゃないか!」

 

 両手にエアガンを構え、恭介は黒澤姉妹と対峙する。

 

ダ「ルビィ、戦闘態勢ですわ。私の援護は任せましたわよ!!」

 

ル「う、うゆ!がんばルビィ!」

 

 ダイヤはデッキブラシを手に恭介の正面に立つ。

 ルビィはまち針を指の間に挟んでダイヤの後ろに回る。

 最初に動いたのは恭介だった。手にしたエアガンからはBB弾ではなく、圧縮された魔力弾が放たれる。

 

ダ「甘いですわよ!」

 

 ダイヤはそれをデッキブラシで叩き落としながら恭介に肉薄する。

 

恭「デッキブラシだよなそれ!?」

 

ダ「浦の星の備品ですわ!」

 

 デッキブラシの思わぬ性能に舌を巻く恭介だが、それでも冷静さを失ってはいなかった。

 ダイヤが振り回すデッキブラシの軌道を上手く読みながら恭介はがら空きのルビィに照準を定める。

 

恭「そらっ!」

 

ル「ぴっ!ピギィィ!!」

 

 ルビィは自分に向かってくる弾を見るなり一目散に逃げだす。アサシンのクラス補正がかかり、その逃げ足は相当なものだ。

 

恭「速すぎだろ…」

 

ダ「ほらほら!よそ見していていいんですの!?」

 

恭「しっかり見てるぜ、生徒会長さん!」

 

ル「ルビィもいるんだよ!」

 

恭「なにっ!?」

 

 一見逃げたように見えたルビィは、その速さを生かして恭介の後ろに回り込み、指に挟んだまち針を投げる。

 ピンクの魔力を帯びたまち針は恭介の服に刺さるとそのまま動きを固定する。

 

ダ「その状態では避けられませんわ!」

 

恭「痛っ!」

 

 デッキブラシなので殺傷能力こそないものの、柄で殴打されれば普通に痛い。

 何回か叩かれたところでまち針の固定が解け、恭介は大きくジャンプして二人と距離をとる。

 

恭「はあっ、はあっ。普通に痛いぜそれ…」

 

ダ「当然です、備品管理はきっちりしてますわ」

 

恭「さすが鉄壁の生徒会長様…強いな」

 

ダ「お褒めにあずかり光栄ですわ、でも勝負は勝負。手を抜くつもりはありませんわよ!ルビィ、一気に決めますわ、準備を!!」

 

ル「ふぁふぁふぁ、ふぁい!!行くよー!―聞いて欲しくて紡いだ歌、私とあなたで奏でたい。大切な、お姉ちゃんのために!!『新たな力が目覚めルビィ(アウェイクン ザ パワー)』―!!」

 

 宝具を発動したルビィの体は光り輝くドレスで彩られる。バチッ、バチッと魔力を放出させながら、ルビィは縫い針とまち針を恭介に向かって投擲する。

 投げられた針達は魔力の糸を伴って恭介の服と地面を縫い付ける。

 

恭「くっ、この固さ…生半可じゃないな!」

 

ル「ルビィだって強くなったんだ!花丸ちゃんや善子ちゃん、理亞ちゃんがいてくれたから!」

 

恭「だが、両腕を捕らえられなかったのはまずかったな!」

 

 恭介は学ランの上着から白い仮面を取りだして顔に着ける。そして残された片腕だけでエアガンを構える。

 

ダ「何をしようとしているのか分かりませんが、この勝負、もらいましたわ!!―浦の星に集いし生徒達、それを統べる生徒会の長、それを前にすればどんな小細工も…『鉄壁の生徒会長(ぶっぶーですわ)』!!―」

 

 ダイヤがデッキブラシの柄に魔力を集中させ、恭介を貫こうと駆け出す。

 それを恭介は真っ正面からエアガン一つで対抗すべく狙いを定める。

 

恭「この仮面を着ければ、俺は棗恭介であり棗恭介でなくなる。今の俺は秘宝を守りし闇の執行部の長、時風瞬。宝具発動『学園革命スクレボ』!」

 

 恭介の魔力量が跳ね上がり、耐えきれなくなったルビィの糸がほつれ始める。

 

ル「お姉ちゃん!早く決めないと!」

 

ダ「分かっていますわ、これくらいで立ち止まる私ではありませんわよ!!」

 

恭「チェックメイトだ」

 

 恭介がエアガンの引き金を引く。すると銃口から細い光が伸び、ダイヤが構えるデッキブラシの先端を照らす。

 

ダ「せぇぇぇぇぇぇい!!」

 

恭「ふっ!!」

 

 次の瞬間、照らされた所を中心としてデッキブラシが割けていく。

 3秒と経たずにデッキブラシはきれいに割れる。

 一瞬の出来事で呆気にとられたダイヤとルビィの指輪を恭介が外し、指先で軽く曲げる。

 

恭「……コールドゲームだ」

 

ダ「今の…なんだったんですの…?」

 

ル「仮面を着けた人が一瞬で…え?」

 

恭「悪いな、これも勝負、だもんな」

 

 宝具の発動を終えた恭介の顔にはさっきまでの白い仮面はなかった。その代わり満面の笑みを浮かべ恭介はその場を後にした。

 その表情は、まるで鬼ごっこに勝った無邪気な子供のようだった。

 

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 ダイヤとルビィが恭介と戦っている頃、別の場所でも戦いが始まっていた。

 

鈴「お前たち、誰だ?」

 

善「げ…」

 

千「見つかっちゃった」

 

鈴「見たことないから、あくあってやつだな?」

 

 獲物を狩るような鋭い視線を向け、アサシン・棗鈴は善子と千歌に狙いをつける。

 

千「リトルバスターズのアサシン・棗鈴ちゃんだね」

 

鈴「あたしを知っているのか」

 

千「ううん全然」

 

鈴「よく分からないが、ここで会ったのが百年目。倒させてもらう」

 

善「百年も何も初めて会うんだけど、あーーっもう!こうなったらやるしかないわ!」

 

千「でも善子ちゃん、あと15分経たないと…」

 

善「ヨハネ!分かってるけど、それでもやらなきゃいけないのよ。いい?絶対ヨハネの後ろから出ないで!」

 

 善子はなおも鋭い視線を向ける鈴を睨み返し、掌から魔力弾を浮かび上がらせる。

 

鈴「お前魔法使いか!」

 

善「私は堕天使よ!!」

 

 善子が腕を振ると掌の魔力弾がボールのように飛んでいく。鈴はそれを軽く避けるがなおも攻撃は止まらない。

 普段から堕天使を名乗る善子とキャスターの相性は抜群で、宝具なしでもその戦闘能力は高い。

 ましてアサシンとはクラス相性も良く、善子は短期決着を狙うべく鈴へ嵐のように攻撃を繰り出す。

 

鈴「全然近づけないぞ…なんだあのだてんしとかいうのは…」

 

 近づけはしないが、直撃を避け続ける鈴。ふとその視線が千歌に向く

 

鈴「あれがますたー、あれを倒せばあたしたちの勝ちか」

 

 急に思い立った鈴は善子の弾丸を避けながら、素早い動きで千歌に接近する。

 

鈴「とりゃぁ!」

 

善「させないわよ!」

 

 鈴が飛び蹴りを繰り出すが、善子がそれを阻む。蹴りが直撃した善子は数m吹っ飛ばされて転がる。

 

千「善子ちゃん!」

 

善「このくらいなんてことないわ。リトルデーモンは守らなくちゃ…でしょ?」

 

 なんてことない、と言いつつも今の蹴りで大分ダメージを負った善子。宝具の再発動まではまだ10分近くある。

 

善(接近戦では私が不利か…でも千歌を守るにはそばにいないと…)

 

 考え事をしていた善子に、鈴から容赦ない蹴りの応酬が来る。

 魔法陣を展開させてなんとか耐えしのぐが、善子の腕にくる衝撃は相当なものだった。

 

善「だけどここで…諦めるわけにはいかないのよ!」

 

 片手で魔法陣を作り、もう片手で魔力弾を撃ち出す。空中では鈴も避けることが出来ず、直撃を食らって少し距離をとる。

 だがそれも一瞬のことで、またも善子は鈴の連続蹴りにさらされる。

 

千「もう…もういいよ善子ちゃん、そんなボロボロになるまで…」

 

鈴「しぶといな、だてんし!」

 

善「ぐっ…な、なに弱気なことを言ってるのよ。千歌は何度もヨハネたちに奇跡を見せてくれたじゃない…だったら次は、ヨハネ達が千歌に奇跡を見せてあげなきゃ…何もお返しできないなんて、そんなの申し訳ないじゃない!!」

 

 魔法陣を掲げ、正面から鈴の蹴りを受け止める善子。制服が破れるほどボロボロになった背中を見て、千歌は掌を善子に向ける。

 

千「違うよ善子ちゃん。みんながいてくれたからやってこれた、誰一人欠けてもダメなんだよ。みんながいなきゃ私には何かを成し遂げるチカラなんてない、だって普通怪獣だから…。だから、だからね、善子ちゃんもいなくちゃ、ダメなんだよ」

 

 千歌の腕に刻まれた紋章のうち、1本の線が光り始める。

 令呪、マスターに与えられた3回きりの命令権。令呪による命令は絶対に従わなければならない。千歌はそれを今ここで使おうとしている。

 

善「千歌…何を言うつもりなの?」

 

千「安心して善子ちゃん、善子ちゃんの気持ちは無駄にしない。…令呪を以って我が仲間に命ず。津島善子よ、今ここで堕天使としての力を全解放せよ」

 

 千歌の言葉が令呪の光を宿し、そのまま善子に力となって流れ込む。

 「堕天使としての力」それは善子が望むままの姿を解放させるに足る言葉だった。

 令呪を受けた善子はその背に白と黒の翼を成し、黒を基調とする衣装に包まれていく。

 

善「そう。千歌も見る目があるじゃない。やはりヨハネと契約したリトルデーモンなだけはあるわね」

 

千「いやぁ、花丸ちゃんとかに比べればまだまだだと思うけどなぁ…」

 

善「これならまだ戦えるわ。『in this unstable world』、真なるヨハネの姿、目に焼き付けなさい!!」

 

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聖杯合戦現状

 

Aqours 脱落者 セイバー・ランサー・アサシン

リトルバスターズ 脱落者 セイバー・ライダー・バーサーカー

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大変おまたせいたしました。試験等何かと忙しく続きがなかなか更新できず申し訳ありませんでした。

聖杯合戦第3話、主に黒澤姉妹とヨハネの物語です。
とくに最後、千歌が令呪を使うシーンは書いていてすごくのめり込んだシーンです。

あまり長くなるのもあれなので、ヨハネの変身シーンで次回に、という形にさせていただきました。今度はあまり間を置かずに続きがお届けできると思いますので、よろしくおねがいいたします。

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