かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟く。
「旗艦ペルガモン……撃沈されました……」
宇宙暦796年(帝国暦487年)2月、アスターテ星域。第六艦隊第三分遣艦隊旗艦キリシマの艦橋でオペレーターはそう小さく告げた。
「ムーアめ、無視してこれか……」
「マサカズ、脱出経路は既に策定済みだ」
第三分遣艦隊司令官のミヨシ・マサカズ少将の言葉に同参謀のジャン・ロベール・ラップ少佐はそう答えた。
「直ちに残存艦艇を併合、敵艦隊から離れて現宙域を離脱し第二艦隊と合流する」
マサカズはそう指示を出す。
(クソッタレ、結局は同じか。何のために俺が此処にいるのやら……)
マサカズはそう思うが、少なくとも今の時点ではラップが生存している。そう思う事にしたマサカズである。
(それにしても……死んだと思ったら今度ぁ銀英伝の世界とは……いやはや神様は俺に何をさせたいのかねぇ)
確かにマサカズはあの時に美鈴に看取られて息を引き取った。しかし、目覚めてみれば今度は銀英伝の世界に転生していたのだ。しかも同盟側の人間としてだ。
(やるなら原作ブレイクだろ。特にヤン生存フラグをよ!!)
マサカズは銀英伝の歴史を思い返しつつヤンとの接触を図ったりする。ちなみにヤンとは二期上の先輩でありスパルタニアンで敵機や敵艦を撃破しつつエル・ファシルでも活躍したりする。(現時点で敵機350機 戦艦15 巡航艦20を沈めてるチートをしてる)
そして何故か転生していた長谷川清(ハセガワ・キヨシの名前になっている)にトリューニヒトと仲良くなり、ロボス元帥の娘にはシャーリーがいてロボス元帥と仲良くなりついでに病みアムロ……フォークをある程度修正する羽目になっているのである。
「敵艦隊接近!!」
「数は!?」
「凡そ3000隻、分遣艦隊程です」
「どうするマサカズ?」
「……併合した艦艇の数と敵主力艦隊の位置は?」
ラップの問いにマサカズはオペレーターに問う。
「現在までに併合した艦艇は2872隻です。敵主力艦隊は既に交戦宙域から遠ざかっています」
「遠ざかっている?(命令違反か……?)」
「ほぼ同数の艦隊だが……やるか?」
ラップはマサカズに問う。
「……よし、最初は魚鱗の陣形だ。全艦戦闘用意!!」
残存艦艇は魚鱗の陣形に移行する。対して突入してくる帝国軍――フォーゲル少将はただ単に突撃を命令していた。
「突撃だ!! 反乱軍は既に死に体だ、怖れるに足らん!!」
フォーゲルの考えは確かに間違ってはいなかった。既に艦隊は壊滅状態であるからに目前にいる艦艇群は直ぐに逃走するだろう。そう判断していたのだ。
(これ以上金髪の儒子に武勲を立てさせてたまるか)
しかし、そうは問屋が降ろさないのである。
「敵艦隊、徐々に前面から崩壊していきます!!」
「よし、後一息だ!!」
フォーゲルの目からも敵同盟艦隊は前面から崩壊していくように見えた。だが……。
「何とか出来たな」
マサカズは安堵の息を吐いた。艦隊は魚鱗から鶴翼の陣形に移行していた。ただで移行するのではなくわざと破れるようにしてまでである。しかも前面にいた艦艇は無人にして自動操縦に切り換えさせている。
「撃ェ!!」
「しまった!?」
フォーゲルは己の失策を悟った。フォーゲル艦隊は三方向から砲撃されていた。奇しくもあのダゴン星域の殲滅と同じくである。
「全艦反転だ!!」
フォーゲルは更に失策を重ねてしまう。今の時点で反転しては同盟艦隊の思う壺である。
「敵の失策だな」
マサカズは失策した司令官の部下に同情しつつも砲撃の手を緩める事はなく、空いていた一宙域に脱出しようとしていた艦艇にはビームやミサイルが叩きつけられたのである。
程なくしてフォーゲル艦隊全滅の報がラインハルト・フォン・ローエングラムの元に届けられたのであった。
「フフ、同盟軍にも中々やる奴がいるようだなキルヒアイス」
「はい。フォーゲル艦隊を全滅させた艦隊はどうされますか?」
「放っておけ。今は目前の第二艦隊に取り掛かる」
「はっ」
斯くしてアスターテでの死亡フラグを回避したマサカズである。その後、マサカズは第四艦隊の残存艦艇と合流しつつ半壊した第二艦隊とも合流して惑星ハイネセンに帰還するのであった。
「敗軍の将だな」
マサカズは宇宙センターで呟く。第六艦隊は残存艦艇3579隻であるがそれでも原作に比べたら幾分かマシな方ではある。だが帰ってこない者達がいるのも事実である。そしてマサカズとヤンは統合本部長のシトレ元帥に呼ばれた。
「責任を取って退役出来るかもなヤン」
「そうであると嬉しいですねミヨシ先輩」
そう話す二人だが現実は違った。
「自分を第二艦隊提督でヤンを新設の第十三艦隊提督……ですか?」
「そうだ」
マサカズの言葉にシトレ元帥は頷いた。
「ミヨシ少将は中将に昇進、第二艦隊提督だな。ヤンは第四、第六艦隊の残存艦艇6800隻で第十三艦隊だ。半個艦隊だがな」
シトレ元帥はそれぞれに書類を渡す。
「今回の会戦で二個艦隊の提督が戦死している。それで君らが選ばれたわけだ」
「……まさかとは思いますがヨっさん……トリューニヒト委員長の?」
「いやそれはない」
飲み友の一人であるヨブ・トリューニヒト国防委員長の差し金かと思ったマサカズだがそうではないらしい。
「ロボス元帥だ」
(ラっさーん!!)
宇宙艦隊を率いるラザール・ロボス元帥の方だったのはマサカズも見抜けなかった。
「それとヤンにはイゼルローン要塞を攻略してもらう」
「あの難攻不落のイゼルローン要塞ですか……」
(お、遂にか)
頭をかくヤンにマサカズは期待の眼差しをする。
「兎に角、やれるだけやってみてくれ」
そう言われるヤンであった。その後、マサカズは第二艦隊代理旗艦イセに乗艦する。
(やれやれ、パトロクロス……ミカサは修理と大規模改装で暫くは使えずか。まぁそうなるな……)
第二艦隊は半壊ではあるものの、艦艇は約7500隻であった。
(シトレ元帥は独立警備部隊を加えると言っていたな。まぁそれが無難だがそうなるとヤンの第十三艦隊はどうするんだ?)
原作ではイゼルローン要塞攻略後に第二艦隊も加える筈であった。
(ま、シトレ元帥が何とかするだろ。俺の当面は艦隊の再編と訓練だしな)
事務処理をしていたマサカズだがそこへ来客が来た。
「ヤッホー貴方!!」
「シャーリー!?」
今は転生してシャーリー・ロボスになっているシャーリーであった。ちなみに軍に入っている。
「一体どうしたんだ?」
「フフ、こういう事だよ」
シャーリーは一枚の辞令書を見せた。
「シャーリー・ロボス中尉を第二艦隊提督の副官と任ずるゥ!?」
「ついでにキヨシも分遣艦隊司令官だしね」
「何ィ!?」
「参謀長はパン屋の二代目だよ」
「はァ!?」
驚くばかりのマサカズである。
「お前……まさか……」
「参謀長に関しては父さんにお願いしたよ。副官は私も驚いたけど」
(ラっさんめ、俺に全部押し付けたな……)
マサカズの脳裏には笑うロボス元帥が浮かぶのである。
「はぁ、まぁ宜しく頼むよシャーリー」
「勿論だよ」
(あぁ、久しぶりのシャーリーの胸ェ……)
そう言って抱き付くシャーリーの胸の感触を味わうマサカズであった。
後に同盟の歴史には同盟を救った三英傑の一人にマサカズの名が記載されるのであった。
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