かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「……太正12年?」
気付けば将和は大正……ではなく太正12年の日本にいた。そう、太正12年である。
「……でも俺には関係ないよな……」
将和は新聞を読みながらお茶を啜る。新聞の見出しには帝国歌劇団に関する事が書かれていた。将和はとりあえずは前世で行っていた事をしていた、宮様らも特には言わなかったので多分帝国歌劇団の事は知らない。そう思っていた。
大帝国劇場の支配人である米田一基中将が将和の自宅を訊ねてくるまでは……。
「いやぁ急に済まないねぇ三好大佐」
「いえ……それで何用でしょうか?」
「……三好大佐、これから話す事は全て事実の話だ」
そして米田中将は語り出す。日本政府直属の秘密防衛組織である帝国華撃団、帝国陸軍対降魔部隊、本部は銀座にある大帝国劇場で支部は浅草花やしきや北海道等々……。
「それで……自分に何をしろと?」
「……お前さんの事はある程度は調べさせてもらった……タチアナ皇女……三好夕夏の事とかをな」
(夕夏の事まで……流石は米田中将……いや藤枝中尉の情報能力か……)
「それでな、極秘で分かった事がある……三好夕夏に莫大な量の霊力がある事が分かった」
(ーーー!?)
米田中将の言葉に将和の脳が一気に活性化しサクラ大戦に知識を関する事を脳裏に叩き出す。
(やめろ……やめろ……)
「勿論、君にも多量の霊力を保有している事を俺も掌握している。そこで帝国歌劇団としては……」
(やめろ……やめろ……)
「三好大佐と三好夕夏を九人目の隊員として迎えたい」
その瞬間、将和は思いっきり机を叩いた。そして将和は思いっきり叫んだ。
「ふざけるなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
その叫びは別室にいた夕夏やタチアナは元より屋敷の外で警備していた陸戦隊の隊員にも聞こえていた。
「よりによって……よりによって夕夏に霊力だと!? ふざけているのか!!」
「……ふざけてはいないぜ、確かに三好夕夏にも霊力はある。俺はその力を使ってほしいと思うってわけだ」
「その答えが帝国華撃団か!!」
将和は米田中将が屋敷に来た時点で薄々感づいていた。即ち、自分にも霊力があるのではないか? ならばその力を日本のために使うべきだと思っていた。しかし、夕夏にも霊力があれば話は別である。
(夕夏を……夕夏をあんなところにやれるか!!)
あんなところーー即ち帝国華撃団であり、大神一郎の元にやるのは言語道断であった。原作を多少なりとも知っている将和にしてみれば13股の男の元にやれば……である。
まぁ将和も現時点では夕夏とタチアナの2股している野郎でもあるが……話を戻す。そんな裏事情を知っている将和は反対であった。
だが米田もそれだけではいそうですかと諦めるわけにはいかない。
「三好大佐……これは国家の存亡をかけた危機でもあるんだ……帝国軍人であるなら聞き分けろや」
「帝国軍人である前に自分と夕夏は夫婦だ。そんなところにやるわけにはいかない」
「……三好夕夏の事、バレても良いのかい?」
「やってみな、そうしたら俺は帝国歌劇団を爆撃してやる」
二人の互いに睨み合う、しかしそれを破る者がいた。
「勝手に動くのは協定違反ではないのかな?」
「宮様……」
現れたのは宮様であった。
「これは宮様。ですが自分は帝国歌劇団の司令長官でもあります。帝都を守るのであればそれは義務では?」
「だからと言って陸海軍が結んだ協定を強引に破るのは如何とは思うがね? それに三好大佐に関する事は帝国歌劇団が権限を持つ事は出来ない」
「ほぅ……」
「御上からの勅命だ」
「……ッ……」
そう言って宮様は米田中将に勅命の紙を突き出した。それを見た米田中将は肩を竦めた。
「成る程……御上の勅命であるならば仕方ありません。……今は諦めましょう、それでは」
そう言って米田中将は部屋を退出するのである。
「済まない三好大佐、米田中将が屋敷に向かっていると聞いて慌てて飛び出してきたのだが……全てを知ってしまったようだね」
「はっ……(いやまぁサクラ大戦に関する事は知ってるけど……)」
一息ついた後、将和は夕夏とタチアナを呼んで宮様から話を聞いていた。
「帝国歌劇団の創設は日本陸海軍は元より経済界等も資金を投資している。しかし、実態としては米田中将らの陸軍が多くを掌握している。それに関しては海軍も特には反対をしていない、歌劇団は陸を主に戦闘しているから陸が掌握するのは当然の事だ。しかし……人事権限を大いに利用して海軍から多くの人材を引き抜いている」
「大神少尉も元は海軍の尉官ですからね……」
「大神少尉の件で陸海は協定を結んでいたのだよ、強引な引き抜きは禁止するとね。だが結果はこれだ。クソッタレが……」
宮様はそう言って舌打ちをする。
「今回の件で海軍は完全にキレたよ。折角八八艦隊を偽装してまで資金を帝国歌劇団に提供したと言うのにこの様じゃあね」
「では……?」
「陸軍がそうするなら海軍もそうする。つまり海軍も歌劇団……華撃団を創設する」
「……もしかして隊長は……?」
「君しかいない」
「まぁ……そうなりますよね、霊力があるって言われましたし……てか海軍に霊子甲冑はあるので?」
「あるにはあるがまだ試作段階でな。何せ三菱と元独・ノイギーア社員達との共同開発だからな」
「あらぁ、それはどんなのか気になるわね」
そこへ口を挟んだのが夕夏だった。
「ゆ、夕夏?」
「貴方、私は嬉しいのよ。欧州での戦いで貴方は空へ向かい私は地上で貴方の帰りを待つ……そんな日々は嫌だった。私だって何かの力があれば貴方の横に立ち共に戦いたかったもの」
「夕夏……」
「だからね、私も参加するわ。これは譲れないわよ」
「………」
「ちなみに私も霊力とやらがあれば参加するわよ」
「おいおいタチアナ……」
「爆撃から助けてもらったお礼……まだ返してないからね」
「ハッハッハ、いや三好大佐のところは面白いものだな」
ニヤリと笑うタチアナである。なお、宮様は笑っていた。兎も角として海軍も海軍で独自の華撃団を創設する事になる。
「これが独自の霊子甲冑……か」
「名付けて三式人型機動霊機『紫電』だ!!」
将和の前には濃緑色に染められた霊子甲冑ーー三式人型機動霊機『紫電』である。
「それと華撃団の名前って……」
「考えてくれ三好大佐」
「えぇ……(困惑)」
そして判明する帝国歌劇団とは異なる敵。
「たかが江戸幕府復活を目論む程度の敵の話ではない。我々の敵は日本を滅ぼそうとしている怨念達だ」
「クキキキキキ……承平天慶の乱以来だぞ、この面白い戦は!!」
「朕を讃岐に流した怨み……晴らしてもらおうぞ!!」
「梅の花……そうだ、我はもう一度あの庭で梅の花の香りを……」
将和と夕夏、タチアナ達は出撃する。
「皇国華撃団出撃!!」
彼彼女達は日本のために戦うのである。
あえて帝国華撃団ではなく別の華撃団にする事で大神らと接触するのは防いでみた。
そのために米田中将が悪役になっちまったのはほんと申し訳ない
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