『三好in○○シリーズ』   作:零戦

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三好in恋姫

 

 

 

 

 

かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。

 

 

 

「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」

「任されたわ貴方」

「暫くしたら私もそちらに行きますよ」

 

 息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「折り入って頼みがあります」

「……どっかで見た顔触れだなぁ……」

 

 死んだと思った。だが、気付いたらそこは何もない真っ白い空間であり将和は浮いていた。いや、地面の感触はあったので浮いてはいないと思う。その将和の目の前には四人の男達がいた。二人は着物を着ていたが残る二人は半裸に近かった。というかパンツ一丁のがいる。

 

「……恋姫の人物だよな?」

「あらぁん。よく判ったわねぇ」

「若◯と秋◯がいるからな」

「それ以上はいけない」(戒め

 

 とりあえず話を変えようとする将和である。

 

「それで外史の調律者がしがない俺に何用かな?」

「……おい、本当にこいつに託すのか?」

 

 青年が眼鏡の青年に問う。その口調はイラついているようである。

 

「えぇ本当ですとも。それが上の願いであり要望ですから」

「……チッ……」

「何を言ってるんだ緑◯に子◯」

「色々とやめろそれは」

 

 将和のネタに青年が口を挟むが将和は気にしない。

 

「では本題に入りますよ?」

「まぁ……嫌な予感しかしないけどな」

「……日出づる国を滅の危機から救いし者三好将和。国は違えど今また、一つの国を滅の危機から救いし天を手にしてほしい」

「………」

(めちゃくちゃ嫌な顔をしてますねぇ……)

 

 将和の表情を見た眼鏡の青年ーー于吉は冷や汗をかきながらも崩れた眼鏡をクイッとあげる。

 

「名声……名誉……欲は飽きたと?」

「……勘違いしては困るな」

 

 于吉の問いに将和は表情を変える。その表情は先程までの嫌な表情ではなく歴戦の猛者の顔をしていた。

 

「俺は欲を欲するために、あの戦いを、あの悲劇を、あの国を変えたわけではない。全ては日出づる国のためだ」

「その結果が貴方の人生を縛った結果だとしても?」

「それが八百万の神々からの使命と俺は考える」

(……成る程。上がこの者を欲しがるわけだ)

 

 それを言い切る将和に于吉は内心、上が何故三好将和を欲するのかを分かった気がする。

 

(だが……この者はあの人達の守護がある。上の思い通りには到底ならないな……)

 

 欲しがる者の後ろに誰がいるのか、それを見た于吉は苦笑する。

 

「それは失礼。ですが……」

「言いたい事は分かるぞ于吉。どうせ俺が赴くのは分かりきっている」

 

 言葉を続けようとした于吉だが将和はそれを遮った。

 

「分かりきっているなら何故……」

「分かりきっているからこそ、嫌だとは言いたいぞ。俺だって一人の人間だぞ」

 

 于吉の言葉に将和はそう答えた。そうだ、将和とて一人の人間であるのだ。

 

「嫌味の一つくらい言わせろっての」

「貴様……」

 

 青年が右拳を握りしめるがそれを抑えたのは若本ーーではなく自称踊り子の貂蝉である。

 

「やめておきなさぁい左慈ちゃん」

「くっ……」

 

 貂蝉の言葉に青年ーー左慈は拳を収めた。

 

「それで? 俺はどうしたらいい?」

「話が早くて助かるぞ」

「……我々を知っているという事である程度は分かると思いますが……とある外史の一つに行き、そこで天下を治めて頂きたい」

「……とある外史……ね」

「えぇ……北郷一刀が魏√での世界ですがね」

「消える√やん。てことは赤壁で史実通りに勝てと?」

「赤壁でも構いませんし反董卓でも構いませんよ?」

「準備期間というのも考えろい」

 

 于吉の挑戦的な発言に将和はそう交わすのであった。

 

「後程、協力者を送っておきましょう」

「さよけ(長谷川だったらどうしよう……)」

 

 そして于吉から旅費等の資金を貰うと将和は恋姫の世界へ向かう。降り立った場所は揚州の建業の郊外であった。将和は孫呉に仕官する気だった。率直にしたら孫呉に仕官して赤壁までに順当に出世したら良いやという認識だったが……それは初端から挫かれる事になる。

 

「( 'ω')ファッ!? 仕官を認めない……?」

「はい、張昭様は「素性がハッキリせぬ者を認めるわけにはいかぬ」と……」

 

 遣いからの報告に将和は唖然とした。

 

(おいおい……孫呉は人手不足じゃなかったのかよ?)

 

 将和はそう思うが流石に素性が分からぬ者を容易に雇うわけにはいかなかった。初端からその出鼻を挫かれた将和だが何処かの国への仕官を諦めるわけにはいかなかった。

 

(確か荊州の南陽に袁術がいたな……そっちに行ってみるか)

 

 そう判断した将和は荷物を纏めて荊州の南陽郡に向かうのであった。なお、袁術の方も当初は素性が分からぬと仕官を断られたが役人の懐に饅頭(意味深)を送って後日採用された。その後、将和は前世の知識等を活用して袁術家でのしあがっていく。

 将和が一気に袁術家の重臣としてのしあがれたのは武官である紀霊の汚職を一掃した時だろう。紀霊は長年に渡り私腹を肥やし続けていたが将和の摘発により失脚、首が飛ばされたのでその後釜として将和が抜擢されたのである。

 堕落していた袁術と張勲に将和からのどぎつい活が入ったのは言うまでもない。

 

「ピィィィィィィ!? な、七乃、三好は妾の家臣ではないのかや!?」

「アハハハハハ……また三好さんに怒られる……怒られる……怒られる……」

「七乃ォ!?」

 

 二人を鍛えつつ南陽郡の発展に貢献しつつの将和に新たな協力者が現れる。

 

「お久しぶりです……貴方」

「美鈴……」

 

 協力者はかつて将和と夕夏の死の間際まで見届けてくれた最愛の一人であった。なお、服装は某門番とほぼ同じである。

 更に迎えるは黄巾の乱である。

 

「カッカッカ。張昭にしては珍しく失敗したもんだな!!」

「……ぬぅ……」

 

 将和を孫呉に迎え入れようとした孫堅だが将和がそれを断り、理由を言った時の孫堅の笑いと張昭は頭を抱えるのである。

 そして……。

 

「将和よ、妾は決めたぞ」

「美羽……」

「麗羽の横暴には我慢出来ん……董卓……月が暴政をしているなど以ての他。妾は月に付くのじゃ!!」

 

 歴史とは異なり、董卓側に袁術が付く。

 

「例え同じ袁家の血筋だろうと容赦はしませんわ!!」

「袁術が董卓側に付くなんて絶対に有り得ない……まさか俺と同じ人がいるのか?」

 

 反董卓連合軍と二つ関を巡って激突が行われた。

 

「討って出る。華雄は俺と共に、張遼は関を守備してくれ」

「はァ!? マジかあんた!?」

「マジだとも。なに、袁紹に挨拶をしてくるだけだ」

 

 そして将和と華雄は袁紹の陣に向けて真っ直ぐに突撃する。他の曹操や孫堅等の陣に目もくれずにである。

 

「突撃ィィィィィィ!! 被害を恐れるな!!」

「ヒッ!? いや、来ないでェェェ!!」

「あの陣形は鋒矢の陣形!? 馬鹿な、あの陣形は島津家が使用していた筈……まさか!?」

 

 曹操の陣営の中で驚愕する北郷を他所に将和の部隊は袁紹軍を壊滅的打撃を与える事に成功するが関を放棄して最後の関である汜水関に後退して『その時』が来るまで防戦を展開する。

 

「伝令!! 伝令!!」

 

 それが来たのは力押しに来た袁紹軍が汜水関の門扉を押し破った時である。

 

「天子様からの中止命令!! 双方共に矛を収めよ!!」

「それと今日を以て漢は一度滅ぶ。野望がある各諸将はそれぞれの国に帰り国を立ち上げよ。争え、競え、飲み込め。それが漢王朝の帝たる朕の最後の命令である」

 

 国を滅ぼす決断をした少女の最後の願い。各諸将は己の野望に帝の命令に従い国を立ち上げる。

 そして荊州を統一した袁術も国を立ち上げるのである。

 

「国名は『仲』じゃ!! 皆と共に仲良く暮らす国を作るのじゃ!!」

 

 晴々しく宣言をする袁術に将和は子を見るような表情で微笑むのである。急報が届いたのはそんな時である。

 

「孫呉の軍勢が江夏に侵攻!!」

「一先ずの決着を付けようか孫堅」

 

 江夏で激突する仲と呉の軍勢。

 

「楔を打ち込め!!」

「カッカッカ!! 面白い、面白い戦になってきたなぁ三好将和!!」

「まだまだ甘いな孫堅」

「仲、これ程……いや、全ては三好将和か」

 

 孫呉を降した仲。そして決戦の場所は因縁の場所とも言える赤壁。

 

「秋山参謀……貴方の戦術を借ります」

「三好将和!? 三好将和だって!!」

「一刀、知っているの?」

「知っているも何も、彼は英雄だ!! 俺の祖国をかつて亡国の道から救った英雄だよ英雄!! ハッキリと言って三好将和の能力は正直、華琳よりは上だ。項羽や劉邦の能力が合わさった能力だ」

「……ならば尚更燃えてきたわ一刀。私は三好将和に勝って魏を天下に知らしめる!!」

「水戦の初めにはまず敵旗艦を叩く。全艦突撃!! 狙うは曹操の旗艦ただ一隻のみ!!」

 

 魏との戦いをも勝利した将和、だが真の敵は北からやってきたのだ。

 

「五湖の軍勢、凡そ百万!!」

「……北郷!! 捨て奸は任せろ。お前は三国の武将による釣り野伏せをやれ!!」

「三好さん!?」

「将和、行ってはならんのじゃ!! 言うたではないか、妾の政を見ると!!」

「将和さん!?」

「美羽……七乃……生きろ」

「私は行きますよ貴方」

「美鈴……」

「置いて行かれるのはあれだけで十分です」

「……フッ、なら往こうか。聞け三好隊!! 此処が俺達の死に場所だ!! 友のため、家族のため、愛する人のため俺達は此処で死ぬぞ!!」

『オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』

 

 斯くして物語は紡ぎだす。一筋の未来のために………。

 

 

 




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