かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「敵ィィィ直上ォォォォォォ!! 急降下ァァァァァァァァ!!」
その声を聞いた瞬間、叫んだ。
「とぉーりかぁーじ!!」
『取舵20!!』
次に気付けば将和はあの懐かしい『加賀』の艦橋にいた。上空には1000ポンド爆弾を腹に抱えたSBDドーントレスが9機、急降下していた。『加賀』は左に回頭しつつ対空射撃を浴びせる。そのおかげで急降下していた先頭のSBDは対空射撃で粉砕した。
更に2機撃墜するもそこまでだった。撃墜を免れた他の機は次々と投下した。それでも『加賀』は回避性能を発揮、『加賀』はSBD9機の急降下爆撃の回避に成功した。
しかしその他艦艇は回避出来なかった。
「『赤城』被弾!!」
「続いて『蒼龍』も被弾!!」
将和の周囲に展開していた空母『赤城』『蒼龍』が被弾して炎上していた。格納庫や飛行甲板には第二次攻撃隊を発艦寸前だった事もあり二空母は誘爆を繰り返して炎上だった。
(クソッタレ……)
悔しがる将和だがそこへ声をかけたのは一人の通信参謀だった。
「三好長官、二空母の救助をしつつ敵機動部隊への第二次攻撃隊を発艦すべきです」
「草加……」
将和は驚愕した。そこにいた通信参謀は『ジパング』で『みらい』の角松達と死闘を繰り広げる事になる草加拓海がいたのである。将和が驚愕したので草加も少々驚いていたがそれを見た将和は直ぐに我に返る。
「済まん。二空母の救助活動をしつつ第二次攻撃隊の発艦を始めろ」
「ハッ!!」
そして取り掛かる草加達を他所に将和は考える。
(まさか……『ジパング』の歴史と俺が歩んだ歴史が融合したのか……?)
草加が此処(MI作戦)にいるのは原作でも同じだった。そう考えるのが妥当だろう。ならばと……将和は口を開いた。
「草加参謀」
「はっ」
「君は後方にいる『大和』の堀長官の元に向かい現時点での戦況を報告せよ」
「分かりました。直ちに『薩摩』の水上機で向かいます」
草加は将和に敬礼をし艦橋を後にするのであった。 その後、MI作戦は米機動部隊の空母『エンタープライズ』『ワスプ』『ヨークタウン』の撃沈に成功し攻略目標のミッドウェー島の占領にも成功する。これにより将和が掲げていたミッドウェー海戦の大敗を乗り切る事が出来たのである。
そして未帰還機の中には『薩摩』の水上機も含まれており草加参謀は戦死と断定された。
(『ジパング』の話は言うべきではないな……)
話せば宮様達も余計に混乱すると判断したのだ。
「だが念には念を押してソロモン方面の警戒は必要がいるな」
「うむ。八艦隊の三川には注意を促しておくか」
斯くして8月7日、米軍はソロモン諸島のガダルカナル島に上陸をする。日本軍もラバウル・ブイン基地から発進した第25航空戦隊と第26航空戦隊の零戦隊と一式陸攻が全力攻撃を展開、更に三川中将の第八艦隊が8日夜半にガダルカナル島泊地へ突入を開始、警戒部隊を全て壊滅させ揚陸させていた武器弾薬糧食を艦砲射撃によって灰塵化させる事に成功する。
その様子を一隻の軍艦が目撃していた。
「艦長、これは明らかに我々の歴史と異なります」
「うむ……」
『ゆきなみ』型イージス護衛艦三番艦『みらい』のCICで艦長の梅津と砲雷長の菊池はそう話す。
「やはり草加が話していた三好将和……これが何らかの事情を知っていると見ていた方がいいかもしれません」
「うむ……そろそろ向こうと接触して会見を行うしかないだろう」
梅津はそう言って立ち上がる。
「角松二佐らを収容後、離脱する。それと草加を呼んでくれ」
「分かりました」
8月13日、遂に『みらい』側は動いた。そしてGFでも騒ぎが起きていた。
「戦死した草加参謀が生きていた?」
「しかも相手は海上自衛隊という謎の組織……」
「分からん……全く持って分からん……」
参謀達はそう話す中、将和と堀は二人だけで面会をしていた。
「三好長官、貴方の未来の軍隊ですか?」
「一応はな。だがあの艦名は分からん」
漫画の世界とは言えず、将和はそうボカした。15日、トラック諸島に停泊していた『大和』上空を海鳥が飛来し『大和』の水上機後部甲板に着陸した。着陸した海鳥を将和と堀が出迎える。
「三好長官、お久しぶりです」
「久しぶりだな草加。生きていて何よりだよ」
そして草加の口から語られる『みらい』の話。
「三好長官、全権を委任します」
「分かった。俺が行こう」
「頼みます」
斯くして将和は草加と共に『みらい』へ乗艦する。
「『みらい』艦長の梅津です」
「副長の角松です」
「砲雷長の菊池です」
「第一航空艦隊司令長官の三好将和です」
三人に出迎えられた将和は一先ずの握手をして艦長室で会談が始まった。
「ふむ……成る程成る程。草加参謀から聞いていたがアメリカに負けた未来日本からやってきた……というわけですな」
「はい。我々もまだ信じきれてはいませんでしたが……何の因果か、或いは何かがあってこの世界に来ました」
(原作通りでワロスワロス……)
将和は頷きつつも頭を抱える。そして将和は一つの答えを導き出していた。
(せめて敵対ではなく中立での港で軟禁だろうなぁ……)
昔の自分ならいざ知らず、巻き込まれた形である海自にはこの世界に骨を埋める覚悟が無いのは分かっていた。
それが未来の日本人の考えでありGHQが生み出した教育の賜物かもしれない。
「……梅津艦長、私個人の見解を述べても宜しいか?」
「……どうぞ」
許可を貰った将和は備えられたコップの水を一口付けてから口を開いた。
「私個人としては……貴方方には中立を表明してもらい内地の港で待機してもらいたいですな」
「それは……」
「草加参謀から聞いています。貴方方の成り立ち等もね……だからこそ無駄な死を増やしたくはない」
(日本側にもそちら側にも……な)
みらいと日本が衝突すれば多大な損害が出るのは目に見えていた。確かにGF全部隊を『みらい』に投入すれば勝てるだろう。
だが喪失艦艇を考えれば将和は考えたくもなかった。
(場合によっては機動部隊は全滅する……それだけは避けなくてはな……)
『みらい』には空母を一撃で轟沈が可能なハープーンミサイルやトマホークミサイルを搭載しているしその保有数は将和でさえ分からなかった。
(此方が下手に出れば……向こうは態度も軟化するし堀らと協力して草加や滝の暴挙を抑えれば……)
MI後、将和はGF司令部に滝がいる事を確認し暴挙に出ないようしていた。
「……私個人での判断をしかねます。一先ずは乗員全員と相談してからで構いませんか?」
「構いません」
斯くして現時点で日本軍と『みらい』との衝突は避けられたのである。
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