『三好in○○シリーズ』   作:零戦

20 / 40
やはり続いたー


三好inジパング後編1

 

 

 

 

昭和18年5月、横須賀鎮守府聨合艦隊司令部。そこには堀GF長官を初め多数の艦隊司令長官や軍令部の将官達が次期作戦についての会議をしていた。

 

「空母を伴った米艦隊は昨年の12月に壊滅しました。しかし、彼等は『イントレピッド』級正規空母を就役させつつあります」

「我が方の『雲龍』型みたいなものかね?」

「搭載数が絶対数違います。奴等は軽く100機搭載可能です」

「むぅ……それは厄介だな」

「ですが奴等はまだ出てきません」

「理由はあるのかね滝中佐?」

 

 将官らに説明をしていた第三機動艦隊滝中佐は第一軍令部課長の福留中将に問われる。

 

「米艦隊の母艦パイロットはまだ錬成途中です。所謂50航戦と同じです」

「成る程……」

「それでインド洋を攻めるのかね?」

「理由は合わんが?」

「インドを攻撃する事でチャーチルをつつく事が可能となります。チャーチルがルーズベルトに我々を太平洋に集中させるよう促せばルーズベルトはマリアナに出来上がってヒヨコばかりの新規艦隊を出してくるでしょう」

「まぁ……政治的事情に突っ込むのは海軍の伝統に反するからとやかくは言わないが……」

 

 難色を示す福留である。

 

「それで艦隊は?」

「はっ。私としては予てより以前から申し上げていた全機動艦隊の投入です」

 

 滝はそう言って将官達に資料を配布する。

 

「三好大将の第一機動艦隊、山本大将の第二航空艦隊、山口中将の第三機動艦隊。これに『みらい』の索敵能力を加えたならば、目標であるダッカ、チッタゴン、セイロン島各基地の完全なる無力化は可能です」

「しかしな滝参謀……」

「は……?」

 

 声を挙げたのは福留中将だった。

 

「空母が攻めて来ないにしてもだ。事実米海軍は動いておる。護衛空母やらが我々が放棄したマーシャル、ギルバート諸島で航空輸送を活発化させている。聨合艦隊本拠地(マリアナ)も安泰だと言う証拠になるまい」

 

 確かに護衛空母が航空輸送をマーシャル、ギルバート諸島に行っていたのは事実である。

 

「それに三個機動艦隊が出払っているうちに連合軍の反攻作戦が発動されたならば、我が日本海軍は戦わずして敗北する事になる。パラオ基地やサイパンに何かがあればそこにいる草加『中佐』のように三好長官を守れず負傷させたその事以上の責任を問われる事になるぞ?」

 

 脅しとも言える言葉に滝は怖じ気づく事はなかったが福留中将は気にせず発言を続ける。

 

「ましてやそのインド洋作戦、米海軍との決戦にあらず。援蒋ルートを断つという陸軍支援作戦に過ぎん。そんな作戦に機動艦隊全てを動員する事は軍令部としては容認出来ない。従ってインド洋作戦の動員兵力を軍令部案ながら検討してきた」

 

 そう言って福留中将は資料を配布させる。

 

「第三機動艦隊の第八航空戦隊『飯盛』『信貴』第50航空戦隊『鳳翔』『龍鳳』加えて『龍驤』護衛は同方面担当の南西方面艦隊の六戦隊『青葉』『衣笠』『古鷹』『加古』軽巡『香椎』『球磨』第十六戦隊、それに海上護衛総隊からの第一護衛艦隊。以上を提案する」

 

 その軍令部案に滝は反論した。

 

「問題有り!! 海上護衛総隊の第一護衛艦隊は旧式の駆逐艦及び海防艦で編成され主任務は対潜警戒である!! しかも主力たる正規空母も僅か二隻のみ、他は養成部隊の航空戦隊!! そもそも英印軍基地を同時攻撃するには艦船が全く足らない!! この陣容では戦えません!! 我々が言っている通り敵機動部隊が来寇せずこの作戦が不首尾に終わった場合、その責任は貴方が負いますよ第一軍令部課長?」

「私はあくまで利に敵った事を申したまでだ。長官、ご決断を」

 

 滝の反論に物ともしない福留は堀に問い掛けるが堀は苦笑していた。

 

「福留君……何か誤解していないかい? 我々はこの作戦をやるつもりでいるのだよ?」

「なーーーッ!? 何を言われるのですか長官!? 三個機動艦隊の動員などただの博打ですぞ!!」

「博打かどうかを決めるのは君じゃない。それにこの会議にも君がどうしてもと言ってきたから参加させたまでだ。それにこれ以上荒立てるなら退席してもらうが?」

「ぐっ……ぐっ………」

 

 堀の言葉に福留は顔を歪め、滝を睨みながら席を立ち退出するのである。

 

「やれやれ、頭だけ良くてはどうにもならんな」

「その通りですな」

 

 将和が肩を竦めながら言うと堀も同意見として苦笑する。

 

「だが軍令部にも一応顔は立てておく必要はある」

「だろうな。さしあたって、山本の二機艦は内地に置く必要があるだろう……何せ『みらい』との戦闘で七航戦の航空戦力は半減しているからな」

 

 昨年のニューカレドニア攻略作戦時、第二機動艦隊は横須賀から出港し行方を眩ませていた『みらい』から攻略妨害を受けていた。山本は『阿蘇』『蔵王』の母艦飛行隊を『みらい』攻撃に向かわせたが出撃した86機が帰還したのは19機だった。『みらい』は自艦防衛のためとして対空戦闘を開始、艦爆・艦攻隊は壊滅的打撃を与えられ攻撃隊はほぼ壊滅したのである。

 それでも『みらい』が止められたのは一個機動艦隊だけであり、残り二個機動艦隊は悠々とニューカレドニア攻略を敢行したのである。

 なお、『みらい』は艦爆1機が艦橋付近に体当たりした事で衝突の揺れで梅津艦長が負傷、その他10数名の死傷者を出したのである。その後、草加の誘導でトラックまで来たが菊池の反乱により角松ら5名が『みらい』から下艦し内地に向かったのである。

 

「分かりました、二機艦は休養とします」

「ん。恐らくマリアナでは忙しくなるからな」

 

 斯くしてインド洋作戦ーーYZ作戦は開始される。参加艦隊は三好大将の第一機動艦隊、山口中将の第三機動艦隊である。両機動艦隊は『みらい』のECMの援護の元でセイロン島のコロンボ、トリンコマリ基地を二波に分けて空襲を敢行したのである。

 両機動艦隊の艦載機は全て新型機と改良型機で編成されていた。艦戦に関しては零戦の改良型と新鋭艦上戦闘機『陣風』、艦爆は彗星二二型(史実三三型相当)、艦攻は天山である。(なお、空母『加賀』の一個中隊は試製流星に編成)両基地は瞬く間に壊滅的打撃を受けたのであった。

 両基地を叩いた二個機動艦隊のうちの三好大将の第一機動艦隊はボンベイ・アラビア方面へ、山口中将の第三機動艦隊はベンガル湾へ進出した。第一機動艦隊のボンベイ空襲は未帰還2機だけで済み作戦は成功。またベンガル湾方面ではチッタゴン、カルカッタの両基地に『みらい』がECMを展開するも妨害を読んでいた英印軍は攻撃隊を第三機動艦隊に派遣する。なお、入れ替わりに来た第三機動艦隊の第一次攻撃隊(各120機)は攻撃に成功し両基地もセイロン島と同じく壊滅的打撃を受けるのである。

 なお、第三機動艦隊は英印軍の攻撃を受けるも新鋭艦上戦闘機『陣風』の活躍により英印軍攻撃隊は残らず全滅した。それでも空母『龍驤』に投下し外れた1000ポンド爆弾が遅発信管を作動させた事で舵を損傷、航行不能にさせたくらいである。

 また、この攻撃隊には英軍の新鋭戦闘機であるスピットファイアが同行していたが『陣風』の空戦に敗北し撃墜されたのを記載しておく。

 

「おのれジャップめ……インド政庁の間抜けどもが……私からティータイムのアッサムを取り上げるのかね?」

 

 夜半でも関わらず、インドからの報告を受けた英連邦首相のチャーチルは怒りを部屋の物にぶつけて一先ずの怒りを収めると外で待機していた秘書を呼ぶ。入ってきた秘書は部屋の惨状に天を仰ぎそうになるもそれは抑えた。

 

「この情報……国内にも他国にも実状が広まらぬように手を打ちたまえ。ただし……ワシントンのルーズベルトは確実に目にするようにな……」

 

 チャーチルの言葉に秘書は直ぐに取り掛かるのである。そしてインド洋から帰還途中の空母『加賀』の作戦室には将和と草加がいた。

 

「聨合艦隊主力はマリアナ方面に温存は出来た」

「はい。それに『みらい』まで無傷なのは勝利と言っていいでしょう。そしてこれで……」

「あぁ。米海軍はマリアナに向かって動くだろう……来年度だな」

「今年度……ではなくですか?」

「下準備のマーシャル・ギルバート両諸島を攻略するだろう……我が海軍の601空を筆頭に両諸島を訓練爆撃場所にしたから破壊され尽くしているだろう」

「その回復も直ぐにでしょう」

「だろうな……サイパン、グアムはどんな状況だ?」

「岡村中佐率いる陸海連合設営旅団が両島の要塞化を急がせています」

 

 マリアナ決戦に向けて将和は岡村中佐を指揮官にした陸海合同での設営隊を立ち上げた。無論、陸海の設営隊を大規模に動員するので旅団規模にまで膨れ上がった。主要な物もモッコとツルハシを筆頭に小松製作所のブルドーザー等の建設機械を大量に投入しており、将和が思案するマリアナ決戦(サイパン・グアムの要塞化及びヤップ島の滑走路拡大、飛行場の拡張。硫黄島飛行場の拡張及び要塞化)は着々と進んでいたのである。

 

「引き続き頼む。それと『G計画』については?」

「はっ。現在、南京にて製造途中であります」

「ん。ところで方法については?」

「一応の思案でありますが……」

 

 草加はそう言って一冊の計画書を見せる。将和はパラパラと読んでいたが、ライターを取り出して計画書を燃やす。

 

「駄目だな」

「やはり『大和』を沈めるのは駄目ですか?」

「違う。『大和』が沈むのはいつか軍艦に来る運命(さだめ)だ。その時は俺もやむを得ないと思う。だが『大和』を乗っ取ってGを上陸船団を巻き添えにするのは倫理に反する」

「……………」

「草加、俺は戦後まで見据えての行動をしている。お前達の同志を集めて『大和』を乗っ取るのは断じて許さん」

(これが将としての器か……)

 

 草加は将和から感じる覇気に圧倒されようとしていた。

 

「俺はそうまでしてお前達を反逆者にさせたくはない」

「……………」

 

 将和の言葉に草加は気付けば頭を下げていたのであった。

 

 

 

 

 

「やはり三好大将の力は大きい上に強い……」

 

 同じくインド洋から帰還途中の『みらい』のCICで艦長である菊池はそう呟く。それ程まで将和は影響力を持っておりその力は底知れなかったのだ。

 

(やはり此方側についておくのが正解だったか)

 

 菊池は草加の誘いに乗ったとはいえ、覚悟を決めて角松らを裏切り『みらい』を掌握したのだ。

 

(洋介……どうやって『みらい』に帰るかは知らないが私はそう簡単には動かんぞ……)

 

 そう思う菊池だった(なお、原作同様に心を動かされる模様)

 

 

 

 そして事態を急変させるのは一発の銃弾と銃声だった。

 

「貴方………ッ!?」

「夕夏ァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

 将和は目の前が真っ赤になったのである。

 

 

 

 

 

 




御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。