『三好in○○シリーズ』   作:零戦

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三好inウマ娘(トレーナー)

 

 

 

 

 

 

「この馬、破傷風なんじゃないか? 調べてみたら?」

 

 1951年6月7日、たまたま訪れたトキノミノルの見学で海軍元帥大将の将和はそう厩務員らに告げたが厩務員は特に問題が無かったので気にする事はなかった。

 しかし、トキノミノルは破傷風で6月20日に死去してしまい厩務員達は将和の指摘に従っておけば……と悔やんだ。

 それから数十年の時が流れて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。

 

「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」

「任されたわ貴方」

「暫くしたら私もそちらに行きますよ」

 

 息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「なーんで今度はトレーナーをしているんだろうなぁ……」

 

 昭和から令和の時代、将和は何故か再び転生をして気付けばウマ娘をサポートするトレーナーの試験に合格しているところから気付く事になる。しかも将和自身はそんなにウマ娘については知らない。大体は昔の馬なら知ってはいるが……。

 

「まぁ艦これやストパンのアニメもあったからそのうち馬を擬人化するのは想定済みだったけど……容姿がこれはマズイだろ?」

 

 ウマ娘にも勝負服というのもあるが場合によっては男を刺激する服もあったりする。

 

「まぁ何とかなるかな……」

 

 今までは艦隊を指揮していた事から何とかなるだろと思っていたりする将和であるが流石に現実は厳しかった。

 

「うーん、あっという間にスカウトされていったな……」

 

 色々ターフ等で将和は練習を行ったりするウマ娘達を見ていたがどうもピンと来ない。来ないというより将和は個々ではなく全体を見てしまう傾向があった。これはやはり軍を、艦隊を率いていた事もあり個々が伸びるのではなく全を伸ばす必要があったからでありその先入観を捨てきれなかったのだ。

 

「うーん……」

 

 どうするか悩むが結局、将和はその年はスカウトしなかった。スカウトしない代わりにターフを時間がある限り訪れてウマ娘の練習等を見学してどういった教育をしたら良いか勉強したのである。

 だが、周りからはそうは思われてはおらずむしろサボっていると思われ告げ口をされ学園長である秋川やよいの耳にも届いたので将和は呼び出されたのである。

 

(嫌な予感するなぁ……)

 

 将和はそう思いながらも懐にある封筒を確認しながら理事長室に入る。

 

「質問!! 他のトレーナーから貴方はトレーナーの業務であるスカウトと育成を怠っていると聞いた。それは真実か?」

「……ッ………」

 

 やよいが将和に質問する中で、秘書である駿川たづなは将和を見て驚愕の表情をしていた。だが将和はそれに気付く事なくやよいと会話をしていた。

 

「理事長。自分は今年度にトレーナーになったばかりです。いきなりスカウトをしてもし、それが失敗に繋がればウマ娘達の将来に関わるでしょう。その為、自分は今年度はウマ娘の練習及びそれに携わるトレーナーの指導方法をターフ等で勉強しようと思い実際にしていましたが……それがトレーナーの沽券に関わるようでしたら構いません、トレーナーの職を返上します」

「……ッ……」

 

 将和は理由を説明しながらもトレーナーの権威に関わるなら辞めると辞職願を提出したのである。だが将和の説明にやよいは頷いた。

 

「理解ッ!! 貴方が辞職する理由にはならない。報告してきたトレーナー達には私が直に説明して誤解を解こう。それで良いかな?」

「……分かりました。向こうのトレーナー達が納得するのであれば構いません」

「ウム。それでは……たづな?」

「……ハッ、す、スミマセン」

 

 呆然としていたたづなに思わずやよいが声をかけ、漸く気付いたたづなである。取り敢えずの話はそこで終わり将和が退出し廊下を歩いていると後ろから走ってくるのがいた。たづなだった。

 

「あ、あのッ!?」

「はい?」

「……『トキノミノル』この言葉に覚えはありませんか?」

「『トキノミノル』ですか? 十数年前に15戦15勝して引退したウマ娘ですね」

「いえ、違います。馬の『トキノミノル』です」

「ッ」

 

 たづなはそう言って自身が被っていた緑の帽子を取る。その頭にはーーウマ娘と同じくウマ耳がピコピコと動いていた。

 

「その耳は……」

「あの時……貴方は破傷風だと指摘して下さったのに私は亡くなり……そうしたらこの世界に生を受け、今度こそはと思い怪我と健康に気を付けながら……」

 

 たづなーートキノミノルは将和に会えたら絶対に報告しようと思っていたのだろう。涙を流しながら将和に告げる。

 

「あの時は……ありがとうございました。あの指摘があったからこそ、私はこの世界にウマ娘としての生を受け走れたのだと思います」

「……そうか……あの時にか……」

 

 確かあの時は記憶にあったからそう指摘したまでだったんだがなぁと思う将和だが口には出さなかった。

 

「なに。トキノミノル、君自身が満足した走りをしたのなら俺も満足だよ」

「……ありがとうございます」

 

 将和の言葉にトキノミノルーーたづなは再度涙を流して頭を下げるのであった。なお、将和のトレーナー業務についてはたづなも支援するとの事であり翌年から将和はスカウトをする事にしたのである。

 

「さーて……取り敢えずはあのウマ娘から声をかけるかな……」

 

 そう言って将和は葦毛のウマ娘に声をかけるのであった。そして将和は再び歴史を作り出すのである。

 

『オグリキャップ先頭か!?  オグリキャップ先頭か!?  200を切った!? オグリキャップ先頭!!』

『ライアン!!』

オグリキャップ先頭!! オグリキャップ先頭!!  そして、そして……』

『ライアン!!』

『来た来た!? ライアン来た!! ライアン来た!! しかし、オグリ先頭!! オグリ先頭! ! ライアン来た!! ライアン来た!! オグリ先頭!? オグリ1着!! オグリ1着!! オグリ1着!! オグリ1着! ! 右手(左手)を上げたオグリキャップ!! オグリ1着!! オグリ1着!!』

 

 

 

『さぁ大外から、大外から、やはりキングヘイロー跳んできた、キングヘイロー跳んできた!! キングヘイローか!? キングヘイローが撫で切ったッ!! キングヘイローッ! キングヘイローが纏めて撫で切ったッ!!』

 

 

 

『バブルをかわした!! バブルをかわした!! エアグルーヴか!! エアグルーヴか!?  内からバブル!! 内からバブル!! 内からバブル!!  バブルか!! エアか!? バブルか!? エアか!? エアグルーヴー!!』

 

 

 

『3馬身から4馬身!! 今日はそれほど差をつけなくても大丈夫です!! ナリタブライアンだ!! ナリタブライアン!! ナリタブライアン!! 4冠達成!!  強い!! 強い!! 強い!! ブライアンやはり強い!! 古馬の壁、見事打ち砕きました!!』

 

 

『タイキシャトル強い!!  タイキシャトル文句なし!! タイキシャトル文句なし!! 圧勝ー!!』

 

 

 

『皇帝と若武者の対決になった!!  第4コーナー回った!!  ルドルフ出た!? ルドルフ先頭だ!!』

 

 

『先頭はダイワスカーレットだ!!  ダイワスカーレット先頭だ!! 勝ったのは13番ダイワスカーレット!!』

 

 

 

『先頭はここでゴールドシップだ!!  さぁゴールドシップ全速前進! ! 三好将和トレーナー、ゴーサインを出した!!』

 

 

 

『さぁ大外から、大外から来ました来ました。トキノミノルです、トキノミノルが速度を上げて突撃してくる!! ゴルシを抜かして一気に三番手のナリタブライアンも抜かした!! ルドルフだ、ルドルフとの一騎討ちだ!! 並ばない並ばない!! ルドルフも一気に抜かしてゴール!! トキノミノルの復活です!! トキノミノルが我々の元に帰って来ました!!』

 

 

 

 

 斯くして幕は開けたのであった。

 

 

 

 

 

 




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