無印と金銀無印は最高。ハッキリとわかんだね
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「ヨッシ、今度は勝った。勝ったで」
「どうしたのマサカズ?」
「何もないで母さん」
台所で夕食の準備をする母親の言葉にミヨシマサカズはそう答えた。ジョウト地方のコガネシティ近郊、近所には育て屋の老夫婦が住んでいる。そんなところにマサカズの実家がある。
(まさかポケモンの世界……しかも無印と金銀の世界とか……マジで最高しかねぇわな……)
「ピカピ?」
そんな事を考えているとマサカズのポケモンであるピカチュウ(あだ名はピカ)が遊ぼうよと言うようにマサカズの頭に乗って尻尾を振る。
「あぁゴメンゴメンピカ」
「チャ~」
マサカズはピカチュウを抱き抱えて頭を撫でるとピカチュウはくすぐったいのか嬉しそうに頭を振る。
「さぁご飯出来たわよ」
「あいよー」
そして夕食を取るマサカズと母親であった。
「てか、コイツがいる時点で気付けば良かったな」
「何か言ったマサカズ?」
「何もないでアカネ」
コガネシティのコガネジムでマサカズはいつものようにアカネとバトルしていた。なお、マサカズの勝利である。
(まぁミルタンクのトラウマがあるから……それで思い出したにも近いわな……)
原作の金銀にてチコリータを選んだ者達なら分かるだろう。最初のキキョウシティはひこうタイプ、ヒワダタウンはむしタイプ。その苦行を乗り越えて漸くノーマルタイプのコガネシティなのにミルタンクでトラウマが発生するのだ。
『メロメロ』→『ころがる』→『メロメロ』→『ころがる』
これの連続コンボによりベイリーフだった作者は発狂した。てか頭抱えた。クリアしたのは何とかワンリキーを育てたからでありチコリータ派は苦労するのだ。いや、ほんとに。
「それよりもマサカズ、あんた次の就職どうするん?」
「ん? あぁ……スーパーのが閉店したからなぁ」
マサカズはスーパーでの店員だったが店長が店を閉める事で解雇となっていた。
「……あ、あんなマサカズ? まだ就職決まってないんなら……ウチのジムでも……」
ゴニョゴニョと顔を赤らめるアカネだがマサカズは気付いていない。そしてマサカズはある事を口に出す。
「トレーナーだからジムに挑戦しようかなって」
「………ハァ!? ジムに挑戦ってアンタまさか……」
「あぁ。ジョウトとカントーのバッジ16個を揃えようかなって。貯金は余裕あるから多少は……「嫌や!? マサカズと離れんの嫌や!!」おいおい……」
マサカズがそこまで言うとアカネが泣き出したのである。
「嫌やー!! マサカズはウチといるんやー!!」
「あ~あ……アカネちゃん泣かせちゃった……」
「勝手に泣き出すコイツが悪いんすよ……」
傍にいたミニスカートのアスカが肩を竦める。号泣するアカネが中々泣き止まないのはいつも通りであった。結局、暫くしてから漸く泣き止んだアカネだが、何故か決意した表情をしていた。
(あ、スッゲー嫌な予感……)
「決めたでウチ!! マサカズが行くならウチも行くで!!」
「却下」
「即答すんな!?」
「即答するわんなもん!! お前も行ったらジムはどないすんねん!!」
「ジムならウチのオカンに任せたらええわ。オカン、最近太ったらしいからダイエットでジムリーダーしたらええねん」
「そういうもんやなくて……てかラジオどうすんのや?」
実はアカネ、コガネラジオにも週一で出演している程であるがマサカズの言葉にアカネはニヤリと笑う。
「そんなもん休止や休止!! ラジオとマサカズのどっちが大切やねん!!」
「ア,ハイ」
完全に八方塞がりのマサカズであり結局はアカネの旅の同行を許可するのである。なお、それを聞いたマサカズの母親はというと……。
「アカネちゃんならマサカズの手綱を引いてくれるから大丈夫でしょ」
「せやろ!! 流石マサカズのおかあはんやで!!」
「むしろウチのアカネが迷惑やのにな」
「何か言ったかオカン?」
「なーも言うとらんで」
上手くない口笛を吹いて視線を合わせないアカネの母親であった。それはさておき、マサカズとアカネはコガネシティから旅立つ事になる。ちなみに二人とも自転車での移動である。
また36ばんどうろの交差点ではウソッキーが道を塞いでいる事はなかった。これは既にマサカズが捕まえて家のポケモンにしていたからである。
「取り敢えずは何処に行くんや? キキョウシティからなん?」
「あーせやな。ハヤトをしばかんとな」
「ハヤト、可哀想やな」
「ツクシも速攻でやらんとな」
「マサカズに慈悲ってもんないん?」
「あったら毎回アカネを泣かしてないやろ」
「……それもそうやなって納得させんなや!!」
「納得したんはお前やろ!!」
(夫婦喧嘩だなぁ……)
ギャーギャーと騒ぐ二人に付近にいたやまおとこはそう思うのであった。
そして二人は順調にジムを攻略していって最後のジムがあるフスベジムの門を叩いてバトルをしたが……ジムリーダーのイブキはバッジを渡す事を拒否したのである。
「貴様のようなトレーナーにこのライジングバッジを渡す事はない!!」
「いや、ちょっ……バトル勝ったんですが……?」
「ドラゴンタイプの弱点であるこおりタイプしか出さずにバトル等言語道断だ!!」
「ちょっとイブキはん!! 幾ら何でもそれはアカンやろ!! ジムリーダーがトレーナーにバッジを渡すんはトレーナーとしての素質があるからやろ!!」
「だからこそだ!! 貴様のような卑怯で恥さらしなトレーナーにはライジングバッジは絶対に渡さん!!」
「……行こうかアカネ」
「ちょっとマサカズ!?」
「向こうには向こうの意思がある。それをそう思っているなら従うよ。ならばこそ……」
マサカズはそう言ってレギュラーバッジ以外を取り出してイブキに叩きつける。
「これは返す。ジョウト地方がそうなら俺は別のところに行くさ」
「マサカズ!?」
フスベジムを後にしたマサカズとアカネ。そしてたまたまその試合を見ていたのはイブキの兄弟子であるワタルだった。
「勝負は時の運とも言う……ドラゴン使いを目指す我等ならタイプの相性等初めから分かっていた事だ!! イブキ、それを君は分からずに一人のトレーナーを恥さらしと罵る。俺は君こそが恥さらしだと思うぞ!!」
「わ、ワタル兄様……」
過ちに気付いたイブキは直ぐに追い掛けるも二人は既にフスベシティを後にして45ばんどうろを自転車で駆け降りてワカバタウンに向かう途中だった。
「わ、私は……」
イブキには後悔の念しか残らなかった。
「この後はどうすんのや?」
「アサギシティからアクア号に乗るかな。コガネのリニアはまだ回復せんからな」
「それもそうやな」
二人はアサギシティに向かい高速船『アクア』号でカントー地方に向かうが……カントー地方はロケット団の武装蜂起でその全土が荒れていたのである。
「ロケット団!?」
「このまま突っ切るでアカネ!!」
二人はロケット団に占領されたクチバシティを切り抜けてタマムシシティに移動するもタマムシシティもロケット団に占領されていた。
「私が……私がちゃんとしていればタマムシは……」
「なら今からだ」
「エッ……?」
「今からタマムシシティを取り返す。それこそが最初の一歩だ」
マサカズはアカネとタマムシジムリーダーのエリカと共にタマムシシティ解放に戦い、ロケットゲームコーナーに乗り込む。
「ほぅ……トキワの森のピカチュウか……」
「何でそれを……」
「分かる……分かるとも。私にもかつてピカチュウを所有していたからな」
アジトのボスの部屋にてロケット団ボスサカキと対峙をするのである。
「フフフ……タマムシは明け渡してやろう……どうせ、資金は稼いだからな。貴様への褒美だ」
「サカキ!!」
「また会おう……マサカズ」
タマムシシティを解放する事に成功するマサカズ一行。次にはヤマブキシティの解放に乗り出すが何故かエリカも一行に同行していた。
「エリカ、タマムシは守らなくても大丈夫なのか?」
「タマムシは自警団の皆様がいるので大丈夫ですわ。それにヤマブキシティはかなりの堅固でしょう。一人でも味方が多くいれば良い……そうではありませんか?」
「……フッ、ビビってまた泣くなよ?」
「な、泣きませんわ!!」
(アカン!? ライバル増えたやんけ!?)
笑うマサカズとエリカに頭を抱えるアカネである。そしてヤマブキシティでは格闘道場の地下に監禁されていたヤマブキジムリーダーのナツメを救い出す。
「……貴方が来るのを待っていたわ。貴方がこの世界に転生した時からね……」
「……そうか、超能力か……」
「えぇ……でも超能力を以てしてもロケット団には勝てなかったわ」
「なら今から勝てば良い」
「エッ……?」
(あ、この流れ……)
(またかい……)
マサカズの言葉にアカネとエリカはあっ(察し)であるがそれを尻目にマサカズはナツメを励ますのである。そんな事はさておき、マサカズら一行はロケット団が占領するシルフカンパニーに突撃する。
「ククク……やはり来たかマサカズ」
「来てしまったぜサカキ……このままポリ公のお縄に頂戴してもらいたいけど、どうせバトルするんだ。このままやろうぜ」
「やはり面白い奴だな……マサカズ!!」
そしてマサカズとサカキの二度目の対決が始まるのであったが途中でマサカズ側の増援も有り不利と悟ったサカキは逃げ出す。
『ちょっとマサカズ、ラジオがおかしいのよ』
「は? ラジオが……ってまさか!?」
コガネシティのラジオはカントー地方でも電波が入るので聞けていた。だがラジオから流れるのは……ジョウト地方でのロケット団蜂起だった。
『我々はー……ロケット団……ジョウト地方で……蜂起した……サカキ様ー? ……聞いていますかー?……』
「やりやがったなサカキめ!!」
「マサカズさん、此処は一旦ジョウトに戻って下さい」
「けどエリカ……」
「そうよ。カントーも大事だけどジョウトも大事のは承知済みよ。今は此処で凌ぐから早くジョウトに」
「でも戻る手段の『アクア』号は奴らが押さえて……」
「リニアを使うのよ」
「リニアを……?」
そして変則的な裏技でヤマブキシティからコガネシティに戻ったマサカズとアカネはそのままコガネラジオに突撃する。
「ゴォラァ!! 局長を放さんかい!!」
「やだねったらやだねー!!」
「待て、アカネ。その局長は偽者だ!!」
「何やて!?」
「何で分かるんだよ!?」
コガネラジオの半分を取り返したマサカズとアカネはそのままコガネデパートの地下に捕らわれた局長を地下廊下から救出して脱出するがロケット団の追撃があり此処までかと思っていた時、そこに増援が来た。
「『りゅうのいぶき』ッ!!」
「お前は……」
「……今の私は貴様の面前に現れてもいいか分からない……けど、私はジムリーダーとしてジョウトに住む人間として貴様に助太刀する!!」
フスベシティジムリーダーのイブキはそう決意を表してマサカズ達を逃すのであった。そしてコガネラジオに再突撃して最上階にいたロケット団幹部を倒すのである。
「これは御礼じゃよ」
「これは……」
「『にじいろのはね』『ぎんいろのはね』を素材に開発された『GSボール』じゃ」
(これはまさか……セレビィイベント!?)
局長から渡された『GSボール』を見ながらそう思い直ぐにマサカズはウバメの森に向かう。そしてウバメの森はざわめいていた。
「な、何や今日のウバメの森はエライ怖いなぁ……」
「そらそうやろ。何せ……」
マサカズとアカネはウバメの森にある祠に到着するとマサカズは『GSボール』を取り出して祠に置く。そして祠が光だした。
「これは……」
「…………………」
祠が開かれ中からはときわたりポケモンのセレビィが現れたのである。だがそこへサカキが来たのである。
「おぉ……セレビィ……ッ!!」
「サカキ!?」
「やはり貴様がカギだったか……」
「まさかセレビィをッ!?」
「そのまさかよ。私はセレビィを手に入れ、私の過去の過ちを正す!!」
「馬鹿野郎!! だからと言っててめぇにセレビィを渡すわけにはいかんっての!!」
そしてマサカズとサカキの最後の戦いが始まるのであった。
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