『三好in○○シリーズ』   作:零戦

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第四話(紺碧の艦隊)

 

 

 

 

 

 

 かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。

 

「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」

「任されたわ貴方」

「暫くしたら私もそちらに行きますよ」

 

 息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。

 

 

 

 

 

「死んだはずだったのになぁ……」

「それは俺もだ将和」

 

 1905年(明冶38年)5月28日、対馬沖。日本海軍聨合艦隊はロシア帝国海軍第二太平洋艦隊のバルチック艦隊との戦闘に史実通りの勝利を収めてその帰還途中だった。

 

「今回は俺とお前と東郷長官しか生き残っていないな……」

「あぁ……しかも元号は明治じゃなくて冶の方だ」

「……あっ(察し)」

「どうした?」

「……山本五十六が日進にいたな?」

「確かにいたな。それがどうした?」

「怪我の具合を調べてくれ」

「あ、あぁ……」

 

 そして戻る最中までに結果が来た。

 

「山本……今は高野だな。負傷は胸だけだな、指は吹き飛んでいないぞ」

「……これかぁ……」

 

 長谷川の報告に将和は盛大に溜め息を吐いた。

 

「どうした?」

「いや……(こらぁ、ゲーリングを急いで回収せんとなぁ……)」

 

 そう思う将和であった。その後、東郷は元より宮様や伊藤博文等前回にてお世話になった者達も記憶は早めにあった事が判明、少しだけ前回と内容が違っていたりするがそれは些細な事である。

 

「ふむ……兵器の技術進歩が格段に向上する世界……か」

 

 宮様は将和から日本酒を注いでもらい一飲みする。

 

「……となると我々の計画も早まるな」

「と言いますと?」

「前回より短機関銃や航空機は早期に入手したり工作機械の購入、設備投資をする予定だったのだが……これではな。陛下にも相談してみよう」

 

 なお、陛下も直ぐに了承し皇室財産を削減したりして第一次世界大戦までに航空機や工作機械の充実を図ったりするのである。

 

「それと撃墜王は予定だから」

「ア,ハイ。最初から全力を出します」

 

 撃墜数が伸びるなと思う将和であった。そして第一次世界大戦が勃発し将和は前回と同じく派遣され夕夏と再会する。

 

「あ・な・た♪」

(逃げられない運命ですね、分かります)

 

 将和は夕夏に抱き着かれながらそう思う。第一次世界大戦は大体前回と同じ通りだが将和の撃墜数は前回より伸びた。ちなみにゲーリングも前回の記憶持ちだった事が判明、ギリギリまで祖国で活動を続けて無理であるなら日本に亡命するとの事であった。

 

「とりあえずは前回と同様だな」

「えぇ。ですが前回よりドイツから技術者を大量に招致をしなければ……」

「工業力を上げんとな……。ところで皇女殿下はどうしたかね?」

「記憶が在りました。押し掛け女房になって自宅にいますがね」

 

 宮様の言葉に将和はそう報告をするのであった。前回と同じく行動をしている将和達だが高野もそれに気付いていた。

 

(三好将和……前世にはいなかった軍人だ……)

 

 高野は前世の記憶を持つ同志を数人交えて料亭で会談をしていた。

 

「三好少将の人気は凄まじいものですな」

「うむ……」

「やはり前世の記憶を持つ人物なのでは……?」

「いや、此処は後世世界だ。もしかしたら最初からの人物かもしれない。慎重に進めよう」

「新型機関については些か報告があります」

「目処が付きそうなのかね?」

「はい、新型機関……ガスタービン製造の転生者を発見し此方で保護しています」

「それは僥倖だな」

 

 高野達の活動も少しずつ大きくなってきており将和もそれに気付いていた。

 

「そうか……多聞は高杉になっているのか」

「はい、何の因果関係かは分かりませんが……」

 

 将和は高杉英作中佐と料亭で飲んでいた。

 

(そうなると坂元や川崎の爺さんも此方の記憶側もしれない……というわけか。やれやれ神様は面倒な事をするもんだな)

「隊長?」

「ん、あぁ済まん済まん。それと俺は隊長じゃないぞ」

「何を言いますか、隊長は隊長ですよ」

「カッカッカ、多聞らしいな。まぁ今日はゆっくり食べろ」

「ありがとうございます」

 

 その後も将和達と高野達の対立等はなく互いに日本の向上を図るものだと思いそれとなく監視はしていた。しかし、高野の暗殺未遂事件が発生し高野が大高と接触をすると状況が一変するのである。

 

「えっ? 私の事件に三好中将が絡んでいると?」

「断定したわけではありません。ですが憲兵隊の同志によりますと現場付近に別の海軍軍人を目撃したと……」

「むぅ……」

「我々青風会も陸軍内に別の同志がいると踏んでいます。しかもその首班らしき人物が南条中将なのです」

「何と……」

 

 大高の言葉に高野は目を見開く。

 

「白ではあると思いますがお気をつけを……」

「……分かりました」

 

 その後、高野と将和は決戦思想に対立する。

 

「空母を主力にした航空決戦だ!!」

「いや潜水艦を主力にした潜水艦決戦思想だ!!」

「時代は航空機の時代になりつつある。そのためには航空隊の整備が必然」

「成る程、確かにそれは必要だろう。だが一度消耗戦になれば一番の損耗になる」

「だからと言って潜水艦決戦思想は無いだろう。まだ日本潜水艦の技術は低いものだぞ。しかも5000トン級を四に7000トン級一の建造を一気にだぞ」

「だからこそである」

 

 平行線にしかならない会話が多々ある。それでも本格的な抗争まではいかず一定の理解は示しつつあった。なお、陸軍はチハ(三好)の生産に夢中である。それでも将和達は三好日本が建造した河内型や雲龍型を就役させ対米戦に備えた。

 歴史の流れもほぼ同じではあるが東条こと南条が総理に、廣田が外務大臣の違いがあるくらいだった。

 その中で高野は大高と二人きりで神楽坂の小さな料亭にいた。

 

「……いよいよですな」

「はい」

 

 二人は最早将和らと和解や合流すら無理だと判断していた。両者の仲を高杉らが何とか仲介したりしていたが焼け石に水である。

 

「より良い負けをするために」

「はい」

 

 そして将和らも料亭で飲んでいた。

 

「では発生した瞬間に」

「それが良かろう」

 

 将和の言葉に宮様は頷く。そして照和16年12月1日、大高中将の青風会の部隊二万名が帝都を強襲し瞬く間に中枢部を占拠したのである。

 

(原作通り……か)

 

 しかし、将和はそれよりも前に単冠湾で停泊していた空母加賀の艦橋にて厳田中佐らに拳銃を突きつけられながらそう思う。

 

「閣下には残念ですが拘束します」

「そうか」

 

 将和達は拘束され将和は密かに択捉島から移送され自宅軟禁となるのである。そして将和の後任には高杉中将が就任するが最初、高杉中将は拒否していた。

 

「ふざけるな!! 三好大将を裏切っておいて俺を後任だと!? 大概にしろ!!」

 

 飛龍を訪れた厳田中佐を殴り倒して追い返す高杉だったが将和から「お前しかいない」の手紙を渡されやむ無く承諾するのである。

 12月15日、将和は高野と海軍省にて対面していた。

 

「三好大将はこのまま予備役とさせていただきます」

 

 軍令部総長に就任した高野は坦々と述べる。既に宮様らも予備役にさせられていた。他にも予備役ではなかった長谷川や小沢達も高野に辞表を叩きつけて予備役になっていた。

 

「……そうか。では後は任せるよ山本五十六」

「ッ!?」

 

 将和はそう言って立ちあがり部屋を出るが高野は驚愕の表情をしたままであった。そして将和らは小さな料亭で会談をしていた。

 

「上手くいきましたな」

「あぁ」

 

 既に幾分か飲んでいるのか将和達の頬はうっすらと赤くなっていた。

 

「やれる事はやった。後は高野や大高達がやるだろう」

 

 将和達は以前に高野らとの衝突は最終的に避ける事で合意し自分達は表舞台から去ろうとしたのである。それが12月1日のクーデターである。

 将和達はこれを利用したのだ。結果として何も知らない高野や大高達は将和達の排除に成功するのである。

 

「三好君はこれからどうするかね?」

「資産は大量に在りますし暫くはのんびりしますよ」

 

 将和はそう言う。

 

「ま、高野達の手腕に期待しましょう」

 

 将和は日本酒を飲みながらそう言う。彼等は表舞台から確かに退いた。だが歴史の神様はどう思うのかはまだ分からないのであった。

 

 

 

 

 

 




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