かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「君を呼んだのは他でもない」
「はぁ……」
西暦20✕✕年、横須賀鎮守府にて三好将和中尉は鎮守府長官に呼ばれていた。
「君を明後日付で臨時の陸海即応機動中隊の中隊長に任命する」
「……申し訳ありませんが言葉の意味を理解出来ません。自分は1科に配属されていましたので……」
「疑問に思うのも当然だ。ましてや鎮守府長官の私から直に言われるのもな」
「ですな」
「『ラクーンシティ』……これが意味するのは分かるかね?」
「……アメリカでは情報の戒厳令が敷かれているのでは?」
「だろうな。しかしながら此処は日本だ、情報はある」
そう言って鎮守府長官が一冊のファイルを机の中から取り出し将和に渡す。
「『ラクーンシティ』を破壊せしめた『T-ウイルス』それが日本にばら撒かれたりしたらどうする?」
「ッまさか……」
「……アンブレラ社の社員が十数人、『T-ウイルス』が入った保管容器を持ち出して姿を消した。そのうちの1人は足取りは日本に入国して途切れている」
「ッ」
鎮守府長官の言葉に将和は表情を険しくする。数年前に『ラクーンシティ』の情報が流れてからは将和も「バイオの世界かよ……」と思っていたが、何人かの人物との接触によりある世界と認識していた。
「そこで政府より予め軍の展開を指令された。名目上は大規模演習という形でな。君の中隊は明後日に中隊発足後に床主演習場に向かい準備を整えてくれ」
「……床主演習場ですか?」
「あぁ。床主市で生物災害が発生した場合、事によっては東京方面に流れたら……被害は想定以上になってしまう」
「ッ」
鎮守府長官の言葉に将和は息を飲む。そうなってしまった場合、少なくとも東京を含む関東圏内は生物災害に見舞われ被害は1000万人は見込む事になる。それだけは阻止するしかない。
「生存者の保護はどうなさるのですか?」
「感染していない者は床主演習場で保護するしか無いだろう。残りは適切に処理するように。その為に床主演習場を作っておいたのだ」
(成る程。上は最初からバイオの有事想定を想定していたわけか……)
床主市の藤美学園から更に山の方向に点在する床主演習場は数年前に完成した演習場であり、規模としては信太山演習場程度ありながらも簡易の弾薬施設も備えていた。
「弾薬に関しては隣接する弾薬補給処の床主分屯基地から提供するよう整えている」
「至れり尽くせりというヤツですな」
「仕方あるまい。弾薬の増産も開始したばかりだが、どこまでやれるかは不明だからな」
将和の言葉に鎮守府長官は肩を竦め退出を促した。もう用は終わったのだ。それを理解した将和も鎮守府長官に敬礼をして退出するのである。
そして明後日に将和は臨時即応機動中隊の中隊長に就任するのである。同日中に行われた各幹部の顔合わせに将和も苦笑するしかなかった。
「誰かと思えば……お前らかい」
「腐れ縁だな」
「まぁ……私の場合は何とも言えないがね」
各幹部は前世からの顔馴染みであった。東條、杉山、山口等が参加しており、意外なのは衛生に山本がいた事であった。
「私は指を無くしたからね。その経験では無いが違う職種を経験するのも良いと思ったのだよ」
山本は理由を聞かれた時、そう答えた。前世では色々とあったが今世では話を聞いて顔馴染みとなったのだ。
「ま、兎に角もだ。『目標』に噛まれたら終わりだから死ぬなよ?」
「無論だ」
「MCVで轢き殺してやるさ」
「迫撃砲で吹っ飛ばしてやるって」
将和の言葉に東條達は笑いながらそう言うのであった。そして編成完結をした臨時即応機動中隊は機動演習と称して駐屯地を出発、床主演習場に向かうのである。
「状況が発生するまでは廠舎にて待機、それまでは準備を整える事だな」
「あぁ。それが一番だな」
「それと発生した場合は部隊を分ける」
「分割するのか?」
「床主市へ赴くのと演習場を警備する部隊に分ける。通信の堀は残ってもらう」
「だと思ったよ。だが仕方ないね」
「後は分隊ずつに分けて運用だな。迫撃砲は2門を残して床主市を定時砲撃してもらう。特に最初に行く予定の藤美学園は徹底的に砲撃してもらうぞ」
「確か藤美学園は生徒だけでも2000人でしたな……それらが『目標』と化して床主市に行けば……厄介になるのは必然ですな」
「あぁ」
迫撃砲小隊を率いる山口も将和の言葉に思わず納得するのである。
「それに藤美学園には将和の……」
「言うな。多分会う時は生きてだろ」
臨時即応中隊は準備をしつつ『その時』を待っていた。
そして『その時』はやってきたのである。
「報告!! 床主市内で大規模な暴動が発生中です!!」
「……藤美学園へ向かう。迫撃砲分隊は射撃用意!!」
「了解!!」
将和の即応機動中隊は即応機動小隊に分けて展開、直ぐに山を降りてそのまま丘陵部にある藤美学園に向かうのである。
「学園に到着したが……」
「こりゃ、中で発生しているな」
直ぐに藤美学園に到着したが、学園の中では大量の悲鳴が聞こえており正門には『目標』が多数いたのである。
「東條、単発で頭を狙え!! 今は小銃弾薬を節約したい」
「了解!! 分隊は準備出来次第射撃!! 照準は頭だ!!」
「山口、第二分隊に連絡!! 直ちに藤美学園に迫撃砲をぶち込め!! 60ミリのもだ!!」
「了解!! 第二分隊、直ちに砲撃開始せよ!! 第一組、第二組も砲弾をぶち込め!!」
『了解!! 直ちに砲撃します!!』
数秒後、ヒュルルル……という空気を切り裂く滑空音と共に藤美学園の校舎に砲弾がめり込み爆発したのである。
「離せってんだよォ!!」
最後の最後で本性を現した一条美鈴は二木敏美を蹴り落とそうとした。しかし、『目標』が彼女の頭を掴んだところで、窓から迫撃砲砲弾が校内に入り込み、『目標』の身体を突き抜けて床に接触した瞬間に爆発した。一条美鈴も吹き飛ばされたが彼女にとって幸せだったのは『目標』に食われず、死を迎える事が出来たからである。
床主演習場から放たれる迫撃砲は藤美学園の校舎やグラウンドに容赦なく命中、グラウンドは爆発穴が形成され校舎は爆風で窓や『目標』等は吹き飛ばされ一部の校舎は崩壊したりするが将和は砲撃の中止命令を一切出さなかった。
そして校舎内では生き残っていた小室達一行が正面玄関から出てきたのである。
「中隊長!! 中から生存者!!」
「生存者に群がる『目標』を駆除せよ!! その後、噛まれた者がいないか確認!!」
「了解!!」
逃げてくる小室達に襲い掛かろうとする『目標』を小銃分隊が射撃して制圧する。小室達一行は正門にいた日本軍に驚きしか見せなかった。
「日本軍!? どうして此処に……」
「噛まれた者は居ないか!? いたら処理せねばならん!!」
「噛まれた者はいないわ。それでも……」
眼鏡のツインテールの女の子、高城沙耶は将和に何かを言おうとした時、更に校舎から複数の生存者が出てきた。
それは紫藤ら一行だった。紫藤を見た宮本麗は険しい表情をした。しかし、ヒュルルルという空気を切り裂く滑空音が聞こえてきた。床主演習場から放たれた迫撃砲砲弾であり迫撃砲砲弾は紫藤ら一行に着弾したのである。
「………なぁ将和……」
「あーらら……あれは仕方ないだろ(でもこれで原作における不安要素の一つは消えたな)」
冷や汗をかく東條に将和はそう言うしかなかったが、不意に将和の右側から将和に抱き着く女性——藤美学園の校医鞠川静香であった。
「まっさかず〜ッ。やっぱり来てくれたのね〜」
「……今は仕事中なんだが?」
「やだー、つれないわねぇ」
「そうじゃねぇよ……んがッ!?」
そう喋る二人だったが、将和は左足を踏まれ左を見れば高城沙耶がいた。
「将兄、アータシーは?」
「はいはい……久しぶりだな沙耶」
そう言って将和は沙耶の頭を撫でる。沙耶も嬉しそうなのは確かであった。ちなみに二人の出会いはそれぞれであり鞠川静香は大学の時に南リカと出会い、その時から続く腐れ縁である。
高城沙耶は父親である高城壮一郎が元軍人でありその縁で幼少期から知っていたからだ。
「取り敢えず、これ以上の生存者はいないと判断。一旦は床主演習場に戻るぞ」
「了解!!」
取り敢えず即応機動小隊は床主演習場に向かうのである。なお、藤美学園の生存者は小室一行を除けば僅か13人であった。
演習場に戻った将和ら即応機動小隊は弾薬補給と演習場駐屯部隊による生存者の受け渡しを行い直ぐに床主市街へ向かおうとするが小室ら一行が同行を願い出たのだ。
「小室君、親を救いたいのは分かる。しかし、我々も任務がある」
「途中までで構いませんッ」
「………………(さてはて……)」
懇願する小室達に将和は唸る。途中——リカの家付近まで同行すればある程度は問題無いだろうと将和も踏んではいる。警察からの要請で床主大橋に向かい、『目標』を処理する任務もあったのだ。しかし、送る理由が無いのだ。だがそこへ口を挟んだのは沙耶であった。
「将兄、アタシの家に行けば少なくとも武器はあると思うわ」
「む……」
高城壮一郎は思想等で色々あっての退役後は在郷軍人会の会長をしており、床主市でも500人規模の軍人会を形成していた。
「それにリカの家に鉄砲を見た事あるわよ」
「……まぁリカの家までなら良いか。小室君、リカの家に行ったら高城家に向かえ。我々も仕事を終わらせたら向かう」
「分かりました」
連れて行く理由が出来たと将和はそう思いながら出撃準備を東條らに促すのである。そして途中で小室一行らと分かれた後に即応機動小隊は床主大橋に向かうが、途中で床主ショッピングモールに行こうとしていたミニパトと合流した。
「床主東警察署・交通課の松島巡査長です」
「お、同じく中岡あさみ巡査です!!」
「君達も俺らと合流しろ。婦警だけで行くのは危険だ。俺達は床主大橋に向かう予定だ」
「分かりました。床主大橋は私の先輩がいますので何とか話をしてみます」
将和の言葉に松島巡査長は頷き、ミニパトを加えた機動小隊は床主大橋を守備していた警察と合流する。
「増援が来るまでは暫くは耐えれますか?」
「来るのであれば……それに生存者はどうするのですか?」
「安全ルートを確保出来れば床主演習場に移送でしょう。ですが、この大橋では……」
反対側の住民は『目標』にも襲われている事もあり、判断はつかなかった。それでも将和は決断をする。
「噛まれていない者は保護。射撃の時は判断して撃て!!」
「了解!!」
夕暮れ前な事もあり即応機動小隊は直ぐに配置についた。
『噛まれていない者は川に飛び込むか、橋の両脇に伏せろ!! 繰り返す——』
放送をする事で音に反応する『目標』を橋の中央に誘き寄せ、『目標』のみを何とか射撃する。その合間を縫って機動隊等が大盾で生存者を保護してはいくが、噛まれていた者も少なくなく見つけ次第射殺されていくのである。なお、集会をしてデモをする集団もいたが、将和が直ぐにリーダー格を射殺して解散させたのである。
「ん? テレビ屋か。君等も早く逃げた方がいいぞ」
「ぁ……そ、それが局は洋上に脱出して我々は戻る手段が……」
「んー……噛まれた者がいないなら最終的に床主演習場に向かうが……来るか?」
「はい、行きます」
リポーターとディレクターは直ぐに決断した。やはり命は惜しいのである。床主大橋における防衛戦は0200まで実施され床主大橋は何とか防衛に成功するのである。大橋を防衛する警察に引き続き任せつつ即応機動小隊は生存者らを連れて床主演習場に向かい、駐屯する警備隊に生存者を引き渡して燃料と弾薬補給後の0600には再び床主市へ向かうのである。
ちなみに演習場からは定期的に迫撃砲が床主市を砲撃して『目標』を吹き飛ばしている。
「さて、次は高城邸に行かないとなぁ……」
そう呟きながら車両で移動しつつ朝日を見つめる将和であった。
ヒロイン枠は静香先生と沙耶になるかな。
コータはあさみと。
ちゃっかり松島先輩や床主大橋のリポーターの生存フラグ成功。(紫藤組はアッサリ死亡。仕方ないね、曲射は正確じゃないから)
世界観もバイオしか考えれなかったのでアンブレラ社の社員がウイルスを持ち出して逃げた形。
変異バイオはいるかも。けどバイオは嫌いだからいないかも。
未完なのが本当に悔やまれる。