かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
無限に拡がる大宇宙。静寂と光に満ちた世界……生まれてくる星もあれば死んでいく星もある。
太陽系第三惑星地球、地球は正に死に絶えようとしていた。
西暦2199年、地球は異星国家ガミラスと数年以上の星間戦争をしていたが圧倒的な軍事力を持つガミラスに国連宇宙軍の諸外国艦隊は尽く潰滅し残るは日本宇宙軍の宇宙艦隊が地球を支えている状態だった。しかもガミラスは拠点の冥王星から遊星爆弾を発射して地球地上のあらゆる都市を破壊し放射能汚染により人類は地下都市へ追いやられていた。
しかし、人類は最後まで希望を諦めなかった。
「三好司令官、間もなく作戦宙域です」
「ん。全員宇宙服着用せよ」
国連宇宙軍最後とも言える二個艦隊は冥王星にあると言われるガミラスの遊星爆弾発射基地を破壊するために遥々の遠征をしてきた。
(全く……メ号作戦か、まさかまた転生して今度は2199の世界とはなぁ……)
第三戦隊旗艦八雲の艦橋で宇宙服に着替えた三好将和准将はコッソリと溜め息を吐いた。かつて、将和は仲間と共に日本をあの歴史から救って英雄となった。最期の時、夕夏と共に息を引き取ったが目を覚めれば遥かな時を流れていた。
それが『宇宙戦艦ヤマト』の世界に引き継がれていたのである。それから将和は原作をどうするか悩んだが結局は日本宇宙軍へ入隊し一人でも原作から救おうと判断したのである。なお、旧作かリメイクかはまだハッキリとはしていない。
この世界の日本は将和が残した三好家によって大幅な軍事力が上方修正されていた。
金剛型宇宙戦艦18隻
村雨型宇宙巡洋艦42隻
磯風型突撃宇宙駆逐艦96隻
鳳翔型宇宙母艦12隻
原作に比べると遥かに軍事力が上な日本だったがそれでもガミラスの軍事力が上だった。将和は母艦パイロットからガミラス戦役を体験をした。
幸いにも航空機はガミラス機との性能はどっこいどっこいなので国連宇宙軍は多くのエースパイロットを産み出した。将和もその一人であり通算250機以上のガミラス機を撃墜している。だが、艦隊運用も経験がある将和の指揮を上層部が興味を示してパイロットから戦隊司令官をする羽目になっている。
「先遣艦雪風より発光信号!! 冥王星宙域に敵ガミラス艦隊は居らず!!」
「ち、読まれたか」
通信士からの報告に将和は舌打ちをする。しかし、通信士から新たな報告が来た。
「第一航空艦隊旗艦祥鳳より緊急電!! 『我、ガミラス艦隊ト遭遇セリ』!!」
「しまった!? 裏を掛かれたか!!」
第一艦隊の後方に展開していた第一航空艦隊はガミラス艦隊の奇襲攻撃を受けた。折しも第一艦隊を支援するために第一航空艦隊に所属し残存する空母祥鳳と瑞鳳はコスモファルコン隊を発艦させている最中だったのだ。
「迎撃!!」
第一航空艦隊司令長官の井上中将はそう叫ぶもガミラス艦隊から放たれたビーム弾は祥鳳の艦体を無数にも穴を開けさせ一瞬の間を置かせてから爆発四散したのである。
空母2、巡洋艦4、駆逐艦8しかいない第一航空艦隊は瞬く間に全滅した。
そして第二艦隊の全滅を悲しむ暇もなく第一艦隊はガミラス艦隊との戦闘に突入する事になる。
両艦隊は同航戦を展開する。霧島以下の主砲がガミラス艦隊に向けるが八雲以下の三戦隊は無砲身の光線砲ではなく連装の大型レールガンを搭載していた。
「準備良し!!」
「砲撃始めェ!!」
三戦隊の四隻が次々とレールガンの砲撃を開始、四隻に狙われたクリピテラ級航宙駆逐艦三隻とケルカピア級航宙高速巡洋艦一隻に多数の三式融合弾が装甲を貫通、一瞬の間と共に大爆発を起こして撃沈した。
「今だ!! 核ミサイルを乱射せよ!!」
改装によって搭載された後部ミサイル発射管から次々と核ミサイルが発射されてガミラス艦隊の中央に着弾、直撃した艦は味方艦艇を巻き込んで轟沈していく。
「周りは敵だらけだ!! 兎に角撃てば敵に当たるぞ!!」
将和はそう激を飛ばす。しかし、ガミラス艦隊の数は多かった。
「阿武隈、島風と衝突し轟沈!!」
「鞍馬、戦列から離れる!!」
「駆逐艦満潮、大潮航行不能!!」
「磯風がやられた!?」
(クソッタレ、原作より数は多いから少しは時間を稼げると思ったが……)
将和の家系は軍、政治の者が多くいた。実際に将和の父親である三好正信は日本宇宙軍の宇宙聨合艦隊司令長官であり第三戦隊の改装も正信がいた事でやれた事である。
(実体弾への改装が遅れなければ全艦艇に改装出来たものを……)
原作を知る将和にしてみれば光線砲はガミラスに効かないのは明白でありまだ望みがある実体弾に改装するのがベストだった。しかし、遊星爆弾の攻撃を受けている地球にそれだけの余力は無かったのだ。
「全艦最大戦速!! 之字運動しつつ砲弾を叩き込め!!」
三戦隊は出せるだけの速度でガミラス艦隊からの砲撃を回避しつつレールガンで叩き込む。その時、通信士が叫んだ。
「太陽系外から高速で接近中の船籍不明艦が間もなく宙域を通過します!!」
「何!?(やっと来たかサーシア……)」
将和は驚きつつも内心はそう思った。サーシアが乗るイスカンダルの宇宙船はそのまま高速で宙域を駆け抜けて火星方面へと行ったのである。
「霧島より電文!! 『作戦ヲ終了、撤退スル』です!!」
「残存艦艇は直ちに回頭せよ!! 回頭180度!!」
三戦隊や生き残りの艦艇は回頭して被弾した霧島の後方に付いた。ガミラス艦隊も撤退する第一艦隊に追撃しようとはしなかった。
「霧島の他には巡洋艦四ハイに駆逐艦五ハイか……」
「三好司令官、駆逐艦雪風がガミラス艦隊に突入します!!」
「何!?」
艦隊の後方にいた駆逐艦雪風は回頭命令に従わずそのままガミラス艦隊へ突入を開始していた。
「古代!?」
駆逐艦雪風は黒煙を噴きながら第一艦隊のレーダーからロストするのであった。第一艦隊は傷つきながらも火星で観測班の古代と島を回収して地球に帰還するのである。
「これで原作も始まるか……」
数日後、将和は宇宙艦隊司令部に呼ばれた。
「何だ親父?」
「おぅ来たか。まぁ座れ」
聨合艦隊司令長官の正信に私的な事で呼ばれていたのだ。
「イズモ計画の話は知っているな?」
「あぁ、そうだが?」
「実はイズモ計画は破棄されて新たにヤマト計画に変更された」
「イスカンダルからの使者は本物というわけか」
「そこでお前に頼みがある……宇宙戦艦ヤマトの艦長をしてみないか?」
「ッ……」
正信の言葉に将和は眉を動かす。
「沖田の病状は思ったより酷くてな……やるか?」
「………」
将和は司令部を退出するとそのままマリアナ諸島のサイパン島に向かった。サイパン島の沖合いには大和が沈んでいたのだ。
「………」
サイパン秘密地下工場に将和は足を踏み入れ目の前には大和がヤマトへ改装中だった。将和は無言で大和に近寄り、艦体に手を触れる。
(大和……いよいよお前は飛び立つんだな。俺も本当はお前と行きたい。けど、俺は行けない)
将和は右拳を力強く握り締める。
(俺は……俺の大和はあのサイパン沖で終わったんだ。今更お前に乗ったら、大和に残った宇垣達の最期を汚してしまう……俺は……俺は……)
静かに涙を流す将和。
(済まない大和……赦してくれ……)
そしてヤマトは原作通りに地球を発進、将和は月軌道にてヤマトを見送ったのである。それから将和は再び正信に呼ばれた。
「新型戦艦の艦長に就任しろ」
「……ヤマト艦長を断ったあれでか?」
「それもあるが今回の戦艦はお前の名前にとっても特別でな」
「?」
「三笠……と言えば分かるだろ?」
「ッ」
『三笠』それは将和にとっても忘れられない言葉である。
「波動コアは火星に不時着したイスカンダル船のが回収に成功してな」
「けど資材がよく残っていたな」
「……三笠、長門、加賀、出雲の資材を流用した」
「!?」
正信の言葉に将和は驚愕した。あの四艦は記念艦として余生を過ごしていた。しかし……。
「彼女らも手伝ってもらった。それで聞きたい、艦長を引き受けるか?」
「………………………分かった、引き受ける」
正信の言葉に将和は頷くのであった。そして将和は体験する。原作以上の大戦争を。
「抜錨ォ!! 三笠発進!!」
「左舷戦闘ォ!! 砲雷撃戦用意!!」
「我等の前に勇者無し!! 我等の後に勇者無しだ!!」
ガミラス戦役が終わればと思えば次は白色彗星戦役。
「第十一番惑星から緊急電!!」
「彗星なんぞ波動砲で一捻りだ!!」
ヤマトに同行する三笠。
「そうだろ? シファル・サーベラー?」
「ッ!?」
「私は屈辱を忘れん男だ」
「貴方は何者なの三好将和?」
「三好将和、貴方はこの世界とは異なる者ですね」
始まるは地球の攻防。
「陸戦隊を都市帝国に突入させる!!」
「ヤマト、生きていたら……生きていたら……」
「土方さァァァァァァァァん!!」
そして歴史は動き出す。
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