第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮) 作:ダークボーイ
「ホントにそんな作戦を実行する気!?」
みほから伝えられた作戦に、カチューシャが思わず車内で怒鳴り返す。
「しかし理には叶っています」
「試合だったらね!」
ノンナが作戦に賛同するが、カチューシャはまだ不満げだった。
「ではどうしますか?」
「他に無いから困ってるのよ! ホントにあのコスプレ連中、頼りになるんでしょうね!?」
「少なくてもこちらより火力があるのは確かです」
「分かってるわよ! 今そばにいる車両は?」
「すぐそばにグロリアーナが」
「ダージリンね。一緒に行くよう連絡」
「了解」
そこでカチューシャはその小さな体に不釣合いなほど大きなため息をもらす。
「ちなみにこれ、試合記録に残る?」
「電子機器に不調が出てるので、怪しいかと」
「それなら好都合、こんなのとても残しておけないわ」
「グロリアーナから返信あり! お供しましょうだそうです!」
通信手からの返答を聞いたカチューシャは、すぐに気を取り直して姿勢を正す。
「それじゃあ、信地旋回! 全速力でここから離脱!」
カチューシャと同様の指示が各戦車の車長から発せられ、次々と戦車が反転、数両ずつに分かれて文字通り蜘蛛の子を散らすように離脱を開始する。
「帝国華撃団、戦線を維持しながら敵機の動きに警戒!」
それを見た大神が指示を飛ばすが、ほとんど間を置かずにJAMの動きが変化する。
無数にいたJAMの陸戦ユニットが、華撃団、ウィッチと交戦中の一部を除いて素早く部隊を細分化、退避する戦車達に追撃を開始する。
「早っ!?」
「パットンガールズは右手方向のを! こちらは左手方向を!」
JAMの再編成・追撃のあまりの手早さに陸戦ウィッチ達が驚く中、マイルズはこちらも部隊を分散させて追撃しようとするJAMの追撃に入る。
「順次砲撃しながら追撃! 一機でも減らして!」
マイルズも陸戦ストライカーユニットを疾駆させながら砲撃するが、JAMは即座に砲塔を反転、反撃してくる。
「シールド維持しつつ前進!」
「しかし、これでは…」
相次ぐ砲撃に、追撃速度が鈍る中マイルズは部隊を前進させる。
「こんな作戦で、本当に持つの?」
マイルズの呟きは砲撃にかき消され、部下達に聞こえる事は無かった。
「トばせ~!!」
「ガッテンです姉さん!」
本来二人乗りのはずが三人乗っているCV33の車内で、アンチョビの声が響き渡る。
「左右に振りながら走れ! 直進してたら狙い撃ちだぞ!」
「了か…」
ペパロニが返答する途中で間近に着弾し、軽量なCV33の車体が大きく揺れる。
「言ってる端から!」
「大丈夫っす、ひっくり返ったら起こせば」
「それは試合の時の話だ…」
脳天気なペパロニにアンチョビが怒鳴り返す途中、再度車体が大きく揺れる。
「うぎゃあ!」
「どひ~!」
情けない悲鳴が響く中、砲塔其の物が無いCV33は必死に逃げ惑う。
そこへ隣に並ぶ戦車が有った。
『アンツィオの! 助太刀します!』
西が通信を入れつつ九七式中戦車がCV33に並びながら、追ってくるJAMに向かって砲撃をする。
「よりにもよって知波単か………」
「もう助けてくれるんならどこでもいいっす!」
アンチョビがぼやくが、そこに甲高い音が響き、そばを何かが飛んでいく。
「何だ今の?」
「さあ………」
『すいません。装甲一部剥がされました!』
「やっぱダメだあ~!」
軽装甲同士という最悪の取り合わせに、アンチョビは思わず絶叫する。
『転輪も一部破損! このままだとまずいです!』
「何でそう不安な事ばかり!」
『最悪、反転して突貫致します!』
「西住にそれは絶対やめろと教えられただろう!」
「でもこのままだと…」
西に怒鳴り返すアンチョビだったが、ペパロニの言葉の途中でとんでもない衝撃が突き抜け、車体が横転する。
「すんません、喰らいました!」
「馬鹿! 早く起こせ…」
『時間稼ぎます!』
至近弾で横転したCV33を守ろうと九七式が盾になろうとするが、向かってくるJAMへと向かって発砲すると、相手が盛大に吹き飛ぶ。
「………おや?」
「は?」
明らかに九七式の火力を上回る爆発に、ハッチから出て確認した西と車体を起こそうとしていたアンチョビが同時に間抜けな声を上げる。
そこで上空から響いてくるエンジン音に気付いた。
「大丈夫ですか!?」
上空から小柄な体躯とその数倍は有る巨砲を担いだウィッチ、真美が砲弾を交換しながら声をかけてくる。
「た、助かった………」
「まだです! 援護しますから、早く退避を!」
「しかし一人では…」
真美が次弾を装填している間、西が援護しようと砲撃をするが、JAMが対空レーザーをばら撒いているのに気付く。
「なるほど、これならば!」
追っていたJAMの対空レーザーをかいくぐり、マルセイユが次々と銃撃をお見舞いし、試作品のウィッチ用アタッチメントグレネードランチャーを叩き込んでは上昇していく。
「自分達を囮にして敵を分散、その分対空攻撃も分散されれば、上空からの援護も可能になる。それまで持てばだろうがな!」
感心しているのか呆れているのか、マルセイユが大きなロール機動を描きながら空になったマガジンを交換、再度JAMへと向かっていく。
「さあどんどん行くぞ!」
「全速! 全速力だ!」
「逃げる事こそが、この作戦の要だ!」
「釣り野伏とはさすが西住隊長!」
「だが問題が………」
歴史好きの四名で構成されたカバさんチームが、Ⅲ号突撃砲F型を疾走させながら作戦を褒める。
戦史に詳しい彼女達が指摘する問題、それは砲塔を持たない固定砲であるⅢ号突撃砲F型では、いざという時後方に応戦できないという事だった。
「反撃はあの妙な連中に任せろ! 我々の仕事は、それまでの時間を稼ぐ事だ!」
リーダーのカエサルがメンバーを叱咤しながら、速度を緩めさせない。
『反撃はこちらでします! 速度を緩めないでください!』
隣を走る三式中戦車、それを駆るオンライン戦車ゲーム仲間で構成されたアリクイさんチームが後方に発砲しながら通信してくる。
「反撃はなるべく控え、逃げるのに重視しろとの指示だ! 無茶はするなよ!」
『分かってます!………それとさっき来た人達、見ました?』
通信手のエルヴィンが念を押す中、車長兼通信手のねこにゃーが唐突に問うてくる。
「何が?」
『あの妙なユニットつけた人達、どこかで見た事あるのに似てるような似てないようなエンブレム付けてたような………』
「赤地に鉄十字だろ? 私も見た。旧ドイツ軍のに似てるが、どこの部隊だろうか?」
疑問は間近に炸裂した砲弾で中断される。
「向こうは速度を上げてきた!」
「こちらはこれで全速ぜよ!」
『こっちもエンジン焼き付きそうであります!』
追撃速度を上げてきたJAMから必死に逃げようとする両チームだったが、そこで横手から来た砲撃がかすめ、三式中戦車が体勢を大きく崩す。
『うわあ~!!』
「持ちこたえろ!」
かろうじて持ちこたえた三式中戦車だったが、そこで後方と横手からの砲撃が相次ぎ、双方速度を落とさざるを得なくなる。
「伏兵、いや挟撃か!」
「どれだけ優秀な軍師が付いている!?」
「西住隊長! 挟まれました! 脱出困難…」
救援を求めようとした所に、Ⅲ号突撃砲F型に砲弾が直撃、履帯が千切れ飛んでその場に擱座してしまう。
「まずい!」
「履帯破損! 行動不能!」
「万事休すか!?」
「ならば籠城戦だ!」
『援護しま…きゃあ!』
完全に動けないⅢ号突撃砲F型を守ろうと三式中戦車がその場に留まって応戦しようとするが、こんどはそちらに攻撃が集中する。
「これでは修理も出来ん!」
「それ以前にどこまで装甲と特殊カーボンが持つ!?」
「待て、今辞世の句を考えている」
「では某も」
絶体絶命な状況に、女子高生らしからぬ事をし始めるカバさんチームだったが、そこでカエサルは砲声に混じって、有り得ない物が聞こえてくる事に気付いた。
「これは………」
「何か、聞こえる?」
「まさか………」
「歌?」
完全に戦場と化した試合会場に、有り得ない歌声に皆が気付く。
そこにJAMからの砲撃が直撃しようとした瞬間、突然周囲に壁が出現し砲弾はその壁によって阻まれる。
「な、何が起きた!?」
思わずカエサルはハッチから飛び出してそそり立つ壁を見る。
そして気付く、それが壁ではなく、巨大な剣だという事に。
「怪我は無いか?」
掛けられた声にカエサルが上を見ると、その巨大な剣の柄に立つ、スレンダーで青いプロテクタースーツのような物をまとった女性に気付く。
「あ、一応………」
「後は我々に任せろ」
それだけ言うと、女性は大剣の上から向こう側へと身軽に飛び降りる。
「大丈夫ですか!? ってこれは!?」
ねこにゃーもハッチから飛び出してくるが、目の前の大剣に気付くと絶句する。
「とりあえず、助かったようだ」
「でもまだ包囲されて…」
大剣からは着弾音が響きまくり、とうとう限界に来たのか砕け散ってしまう。
「お前ら伏せてろ!」『BILLION MAIDEN!』
そこに怒声と共に赤いスーツをまとった少女がⅢ号突撃砲F型の上に降り立つと同時に、両手に二門ずつのガトリングを連射、砲撃してきていたJAMを薙ぎ払っていく。
「早く逃げろ! ここはあたしらでどうにかする!」
「履帯が破損してる! 行動不能だ!」
「走って逃げ…んのは無理か」
JAMからの砲撃に対抗して再度四門のガトリングを連射しながら、赤いスーツの少女は舌打ちする。
「直せるか!?」
「今調べる!」
カバさんチームは一斉に下車すると、損害状況を確認し始める。
「よし、この程度の破損なら修復可能だ!」
「問題は、この砲弾が飛び交う状況でどう修理すれば………」
「そっちは多分大丈夫だ」
状況を確認したカバさんチームが、相次ぐ砲撃の中どうすべきかを考えるが、赤いスーツの少女の言葉通りに横手からの砲撃が中断している事に気付く。
そしてそこから戦闘音のような物が聞こえてきている事も。
「他にも増援が?」
「まあな。ウチの馬鹿が向こうは押さえてくれ…」
言葉の途中で、何かが飛んでくる。
轟音を立てて、脚部が半分粉砕された状態で吹っ飛んできたJAMの陸戦ユニットが間近に墜落し、全員が度肝を抜かれる。
「な、何だぁ!?」
「一体どんな奴が戦って…」
「アリクイは車内に戻れ…」
「どっせぇ~い!」
仰天している面々の目前で、何者かが気合と共に急降下、凄まじいキックで残った脚部で立ち上がろうとしていた陸戦ユニットを粉砕する。
「シンフォギアチーム参上! 大丈夫ですか!」
一撃で陸戦ユニットを破壊した者、黄色いスーツに身を包んだ少女が名乗りながら声をかけてくる。
「この馬鹿! ビビらせてどうすんだ!」
「クリスちゃんごめん! 敵がいっぱいいたから、手当たり次第やってたら吹っ飛ばしちゃった!」
赤いスーツ、イチイバルのシンフォギア装者・雪音 クリスが黄色いスーツ、ガングニールの装者 立花 響に怒鳴るが、響は手を合わせて謝る。
「こっちはあたしと翼先輩でどうにかする! そいつらを手伝え!」
「分かった!」
青のスーツ、天羽々斬のシンフォギア装者・風鳴 翼が先陣を切って戦っているのを確認しながら、クリスは銃口をJAMへと向ける。
「それで、どうすればいいの!?」
「履帯を繋いで締め直す必要が有るが、車体を持ち上げる必要が」
「よいしょお!」
カエサルの説明の途中で、響はⅢ号突撃砲F型の車体を掴むと、気合と共に履帯修理しやすいように持ち上げる。
「さ、急いで!」
「り、了解………」
「なんという怪力………」
「巴御前の生まれ変わりか?」
「かもしれぬ」
カバさんチームが何度めかの驚愕しつつ、慌てて修理に取り掛かる。
その頃、戦場のそこかしこで、窮地に陥った者達を助けるべく増援が次々到着していた………