第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮) 作:ダークボーイ
「あ、あれは………」
「なんて事だ………」
ハッチから身を乗り出していたみほと、最後の一機を斬り捨てたと思った大神が、それを見て絶句する。
「戦車………」
「戦車と言っていい代物なのでありますか!?」
「マウスより大きい!?」
「どこをどう狙えばいいのでしょう………」
他のあんこうチームのメンバー達も、あまりに大きな走行音にハッチから強引に外を見て、こちらに向かってくる巨大過ぎる物体に絶句する。
「それで、どうする?」
唯一冷静な麻子の一言に、みほは我に帰る。
「全車緊急離脱! 最大速度で巨大戦車から距離を取って…」
「あら?」
みほの指示の途中、照準器を覗いていた華が妙な声を出す。
「五十鈴殿、なにか?」
「あの戦車、フラッグがついてるんですけど………」
優花里からの問いに、華も戸惑いながらも見えた物を報告する。
「え!?」
「西住殿!」
予想外の報告にみほも驚く中、優花里が素早く軍用双眼鏡(私物)を手渡し、みほもそれを覗く。
双眼鏡越しに、みほの視界にも山と錯覚しそうな巨大な戦車の後方に翻る赤黒い三角旗が飛び込んでくる。
それを見た瞬間、今までのJAMの戦いの疑問点がみほの脳内で一気に繋がった。
「あ、ああ、そっか、そういう事なんだ!」
「何、どうしたのみぽりん!」
「戦車道です! 相手は、戦車道をしているつもりなんです!」
『はあ!?』
思わず沙織が問う中、みほの導き出した答えに当人を除くあんこうチーム全員が素っ頓狂な声を上げた。
「説明をもらいたい」
同じく疑問に思ったサイフォスの問いに、みほはたどり着いた結論を話し始める。
「ずっとおかしいと思ってたんです。あんなレーザーみたいなの装備してるのに、こちらには撃ってこないし、明らかに空戦機と陸戦機の対応が違い過ぎる。けれど、アレを見て確信しました。あちらは戦車道の試合をしているつもりなんです」
「あ、あんなデタラメな戦車道アリでありますか!?」
「そうデタラメなんです」
優花里が思わず叫ぶのをみほはそのまま肯定する。
「相手は、宇宙人なんですよね? つまり、宇宙人が見様見真似で戦車道の真似事、しかも戦車基準も勝手に自分達の基準で行っていたとしたら………」
「幾らなんでも、勝手解釈が過ぎるでありますよ!?」
「しかも向こう足付いてるしジャンプするし!」
「砲もまるで違いますし………」
「けど、ただ一点向こうも理解している事が有るようだ」
みほの結論に、車内も騒然となるが麻子はみほの言わんとする事に辿り着く。
「ええ。あれを、フラッグ車を倒せば、こちらの勝ちです!」
「………理解した。他のチームにもこの事を伝達する」
サイフォスはみほの結論をすばやくまとめ、各チームへと送信する。
だが、その結論には最大の問題が有った。
「それで西住殿、アレをどうやって倒すのでありますか?」
「取り敢えず、距離を取って様子を見ます。もしアレが見た目通りの戦闘力なら…」
転進して距離を取ろうとするあんこうチームだったが、そこでJAM巨大フラッグ車の各所が光り始める。
「!?」
その光っている箇所に見える筒状の物が、全て砲身だとみほが気付いた瞬間、その無数の砲身から一斉にビームが発射され、空を閃光で染め上げる。
「なっ…」
あまりの眩しさにみほは片腕で思わず目を塞ぐが、放たれたビームは彼女の頭上を越えていく。
「!」
自分が先程言った事を思い出したみほは、振り返ってビームの飛来した先を見る。
その場にいた空戦機、全てに向かって放たれた対空ビームの嵐のもたらした物を。
「全員無事か!?」
「な、なんとか………」
「危なかった………」
マルセイユが先頭に立ち、空戦ウィッチ総掛かりで張ったシールドはかろうじて対空ビームを堪えきる。
「あの子の助言が無かったら、危なかったわ………」
すでにシールドが役に立たない年齢の圭子は、仲間達のシールドの背後でサイフォスから送られてきたデータから、こちらが狙われる事を直前に気付けて安堵する。
「空戦総員、被害を報告!」
『こちらジオール! RV全機かろうじて持ちこたえましたが、シールドにエネルギーの大半を消費!』
『こちらパレットチーム! ひまわりちゃんががんばってくれたけど、エネルギー切れ!』
『こちらメイヴ、多少損傷あり、戦闘続行可能』
各チームからかろうじて持ちこたえた物の、無傷とは言えない惨状が報告されてくる。
「司令部に増援要請! 場合によっては永遠のプリンセス号の転移を打診!」
『こちら大神、JAMは超巨大戦車を投入! 重装クラスの増援を! なお、敵は空戦型を優先して攻撃してくる模様!』
非常事態と判断した圭子と大神が双方増援を要請、だが相手のあまりの巨大さに対処できる方法が困難なのもまた理解せざるを得なかった。
「永遠のプリンセス号?」
「随分とファンシーな名前だけど、役に立つの?」
「永遠のプリンセス号、全長12kmの大型宇宙戦艦、惑星破壊クラスの艦砲を装備した、NORN最大最強の戦力だ」
聞こえてきた通信にみほと沙織が首をかしげるが、サイフォスの説明に車内全員が硬直する。
「全長12kmの宇宙戦艦?」
「惑星破壊クラスの艦砲?」
「そんなのここで使うつもりなんですか!?」
華がいの一番に否定し、誰もが同様に頷く。
「無論この星を吹き飛ばすつもりは無い。だがあの戦力は…」
「それでもです! 他に手は」
『待ってください! F2CAなら破壊出来るかも!』
『こっちもまだわかばちゃんが残って…』
そこにシンフォギアチームとパレットチームからの通信が割り込んでくる。
さすがに宇宙からの砲撃はまずいと判断した響とあかねが申し出るが、まるでそれを予見していたかのように、JAM巨大フラッグ車に新たな動きが生じる。
巨大過ぎる砲塔の両脇から、それに比べれば小さな2つの砲塔が迫り出してくる。
その砲塔が先程あれ程に苦しめられた精密狙撃砲と同じ物だと気付く間もなく、2つの砲塔が同時に火を吹いた。
『うわあ!』
『ひゃあ!』
響とあかねの悲鳴が通信越しに響く中、精密狙撃砲は次々と速射、執拗に二人を狙う。
『まずい、下がれ立花! 完全に狙われている!』
『あかね下がって! 向こうはドッキングにあなたが必須だと知ってる!』
双方の奥の手の要となる二人に攻撃が集中している事に翼とひまわりが気付き、後退を指示しつつも、他のメンバーと共にガードに入る。
「まずい、こちらの攻撃は想定済みか………」
今までのJAMとの幾度にも渡る戦闘で、完全に手の内を読まれている事を大神は悟る。
そして、JAM巨大フラッグ車の巨大な砲塔が、こちらへと向けられた事にも。
「次はオレか! 総員全力散開!」
要となりうる者を執拗に狙う事を悟った大神が、その場から離れようとするが直後に巨大な破裂音のような砲声が鳴り響き、大神機がいた周辺其の物が吹き飛ぶ。
「大神司令!」
『マスター!』
『…大丈夫だ』
一発で巨大なクレーターが生じる凄まじい砲撃に、圭子とプロキシマが声を上げるが、ほどなく大神からの返信が来る。
「び、びっくりした………」
「助かったよアイリス」
「いいよお兄ちゃん」
とっさにアイリスがテレポートで大神を砲撃から回避させていたが、予想以上の破壊力に誰もが驚愕していた。
「これはカール自走臼砲以上の破壊力であります! 一体何口径搭載しているのでしょう!?」
「もうそんなレベルじゃないよ!?」
「今の音、あれもレールガンです! 連射の可能性も有ります!」
「いえ、敵フラッグ車の主砲塔の動きは他のに比べれば遅いです。多分連射は不可能なんじゃないのでしょうか?」
「でも副砲は多分可能」
あんこうチームが各自の見解を述べる中、麻子がⅣ号戦車を急発進、そこへ精密狙撃砲の砲弾がかすめていく。
「こちらのフラッグ車も狙われてます!」
「やっぱりもう私達じゃ無理だよ! 任せて逃げよう!」
「………いえ」
車内も悲鳴が飛び交う中、みほはある決断を下す。
「相手がいかにルール違反とはいえ、元が戦車道なのは間違いありません。つまり、あれを倒せるのは、戦車道だけです!」
「本気でありますか!?」
「西住さんの言ってる事はあながち間違いではないと思います。向こうは空を飛んでいる相手には情け容赦ない攻撃をしてますが、地上にいる相手には基本砲撃しかしてきてません。つまり…」
「地上戦で片をつけるしかない」
みほの決断に思わず優花里が問うが、似たような結論に華と麻子も到達する。
「本気か? 相手との戦力差はいかんともしがたい。試合用の装備では、傷もつけられないかもしれんぞ」
「確かに、私達の兵装では難しいかもしれません。けど、増援に来てくれた人の協力があれば、不可能ではないと思います」
サイフォスからの問いかけに、みほは決意を持って返す。
「………陛下に進言はする。だが我々の今回の目的はJAMの驚異にさらされている世界の救援だ。必要以上に危険な行為は認可出来ないと思うが」
「分かっています! その宇宙戦艦が来るまでの時間は!?」
「時空間転移のためのエネルギーチャージが必要だ。30分弱と言った所だ」
「ではその30分がタイムリミットです。最悪でも、30分をみんな無事に凌ぎ切らなくてはいけません」
みほの真剣な表情に、あんこうチームは互いに顔を見合わせ、頷く。
「残弾を確認するであります!」
「目標巨大フラッグ車、砲撃ポイントを探してみます」
「全車通信状態確認、ダメージ報告お願い!」
「燃料はまだ残ってる、30分なら十分持つ」
「あと30分、がんばります! パンツァー、フォー!」
号令と共に、Ⅳ号戦車が加速していった。