第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮) 作:ダークボーイ
「最大速度! 狙いは主砲の破壊だ!」
「簡単に言ってくれるわね………」
「けどそれしか有りません!」
ティーガー型ストライカーユニットの機上で、なぜか指示を出すまほにフレデリカは思わず悪態をつくが、シャーロットは納得する。
「一番破壊力の有る砲弾を装填!」
「弾種、魔導消滅弾!」
「あれは試作でまだ二発しか…」
「今が使いどころよ!」
まほとフレデリカの指示に、シャーロットは技術班が作り出した試作砲弾を88mm砲に装填する。
「こいつの射程距離は!?」
「一応すでに射程距離です!」
「ダメだ! 必中の距離まで接近するぞ!」
「どうやって!?」
JAMフラッグ車に向かいながらも、まほの指示にフレデリカが思わず怒鳴り返す。
「先程のメタルストーム、これだけ正面からは抜けなかった。多少の攻撃なら耐えられると見たが」
「細かい所まで見てるわね。けど、主砲どころかあの狙撃砲も」
「右30度!」
「は、はい!」
まほの指摘にフレデリカが口を挟もうとした所で、突然まほが鋭く叫び、シャーロットが慌てて機体を右折した瞬間、狙撃砲の砲弾がかすめていく。
「きゃっ!」
「うわっ!」
「まだ来るぞ、左20,減速!」
砲撃の衝撃と吹き上げる土砂にウィッチ二人が思わず声が出るが、まほは飛んでくる土砂に気も止めず、再度の指示に今度は鼻先を砲弾がかすめていく。
「あ、あなた砲弾の正確な着弾点が分かるの!?」
「何度か見て特性は掴んだ。いささか速いが、直線の分読みやすい。全力加速!」
JAMフラッグ車の高速狙撃を先読みしてかわす、という特殊能力無しで行っているとはとても思えないまほの技に、フレデリカは絶句する。
そんな中、頭上をかすめていく高速砲弾が後方に着弾し、衝撃波でティーガー型ストライカーユニットが大きく揺さぶられる。
「きゃあっ!」
「くっ!」
「何のっ!」
装着しているシャーロットは大丈夫だが、他の二人が振り落とされそうになるのをなんとかこらえる。
「大丈夫ですか!?」
「問題ない、気にする暇があったら操縦に集中してくれ」
「下手なウィッチより度胸有るわね………」
突撃するティーガー型ストライカーユニットの反対側では、空中に構成されるレールの上を爆走する豪雷号から、艦娘達の砲撃が矢継ぎ早にJAMフラッグ車へと叩き込まれていた。
「なるほど、宙を走れば飛んでないと認識されるようだ」
「言っておくけど、こっちは無理だからね? あれはそういうのを装備しているからであって………」
飛来する高速砲弾をメンタルモデル達がフィールドで防いでいるのを見ながら呟くまほに、フレデリカが釘をさす。
だがそこでJAMフラッグ車の主砲が豪雷号へと向けて旋回を始める。
「いかん!」
「さすがにアレは…!」
それに気付いた他の戦車からの砲撃が主砲へと集中するが、一際巨大な砲塔はそれでも旋回が止まらない。
「元が列車である以上、急激な軌道変更は不可能よ!」
「そのようだな、最悪横転するだろう」
「ど、どうするんですか!?」
回避を試みる豪雷号だったが、執拗に狙いを定める相手の主砲に徐々に追い詰められていく。
しまいにJAMフラッグ車は砲塔のみならず車体まで旋回を始め、徐々に照準が絞られていく。
「まずい! 出来れば砲塔内を狙いたかったが………」
「シャーロット!」
「ここからだと、砲塔基部を狙うのが精一杯です!」
「他にあれを破壊出来そうなのは…」
『頑張ってるね、西住姉の』
そこに、継続からの通信が飛び込んでいる。
「継続か、今忙しいので…」
『手伝うよ、あのでっかい砲を止めればいいんだろ?』
「何をするつもりだ? そちらの砲ではとてもアレは………」
『大丈夫、奥の手って奴さ。タイミングを併せて』
それだけ言うと、通信が切れる。
「何をするつもり? もう時間は無いわよ?」
「………継続のリーダーは掴み所は無いが、頼りにはなる。何か策があるのだろう」
「その言葉、信じるわよ。シャーロット、主砲基部に照準!」
「はい!」
「ちょっとミカ! 何勝手な事を!」
「こいつの114mm砲じゃとても…」
BT―42の車内で、アキとミッコが騒ぎ立てるが、当のミカは平然とした顔でカンテレを鳴らす。
「大丈夫さ、アキ。アレを出して」
「アレって………あれ?」
ミカの指摘に、アキは車内に何時の頃から置かれていたケースを取り出す。
「それって、ミカのお守りじゃない」
「うんそう、風を吹かせるためのね」
そう言いながらアキはそのケースの一部をスライド、そこに手のひらをあてた後にパスコードを打ち込むと、ケースが開いてそこから一発の砲弾が出てくる。
「何これ、まさか実弾!?」
「でも実弾でもあんなのには………」
「いいからいいから。じゃあ装填。でもって接近」
半信半疑ながらも、アキはその砲弾を装填、ミッコは木々の間を巧みに抜けながら射程距離まで接近していく。
「あの武装列車が相手してくれてるから、あまりこっちは狙ってこないけど、ヤバくなったら逃げるよ?」
「それでいいさ。誰にも出来る事には限りがあるからね」
「目標射程内に入るよ!」
射程ギリギリまで接近したBT―42の車内で、アキが照準を付ける。
「じゃあ西住姉の、準備は」
「いいぞ」
「それじゃあ3」
『2』
『1』
「発射」『撃て!』
双方がカウントダウンし、二つの砲弾が同時に発射された。
臨界寸前まで凝縮された魔法結晶が内包された魔導消滅弾は着弾と同時に魔法力を解放、着弾周辺を大きく吹き飛ばし、もう一つの砲弾は着弾直前に近接信管が発動、内包された物質が解放されると漆黒の渦が出現、それに巻き込まれた周辺をえぐり飛ばす。
「あれって!」
「侵食兵器!? なんでこの世界にそんな物が!」
「………主砲は破壊できなかったが、砲塔の旋回は停止したようだ。継続、あれはどう見てもルール違反品のようだが」
『いやあ、偶然弾薬庫にでも直撃したようだね~。試合じゃなくてよかったよ』
それが見覚えのある現象だと気付いたシャーロットとフレデリカが驚く中、まほは冷静に戦果を確認しつつ問い質すが、ミカは適当にはぐらかすだけだった。
『お姉ちゃん!』
「みほか、完全ではないがこれで主砲の驚異は半減した。あとは…全速!」
みほからの通信に答えている途中、まほが加速を指示し、速度を上げたティーガー型ストライカーユニットの間近を高速砲弾が着弾する。
「あの副砲をどうするか!」
「シャーロット、シールドを全開! 完全にこっちに狙いを定めてるわ!」
「了解!」
次々とこちらを狙って速射される狙撃砲に、ティーガー型ストライカーユニットは回避とシールド防御を併用してかろうじて直撃を防ぐが、最早距離を詰めるのは不可能だった。
「副砲をカウンターで狙えないか!?」
「この威力相手に、攻撃と防御同時は無理よ!」
「先程の砲弾は!?」
「あれは発射前に一定量の魔法力が必要なんです! それにとても狙っている暇が…」
防戦一方となる中、JAMフラッグ車の狙撃砲が二門ともこちらへと向けられる。
「まずい!」
「シャーロット!」
「全速後退します!」
「それよりもシールドを!」
回避が間に合わないと悟った直後、二門の狙撃砲が同時に発砲。
高速砲弾がティーガー型ストライカーユニトに直撃するかと思われたが、寸前で背後から何かが飛び出す。
高速砲弾が何かに激突する甲高い音が響き渡り、そしてティーガー型ストライカーユニットの脇を弾かれた高速砲弾が大きく穿っていく。
「え?」
「は?」
「………」
ウィッチ二人が思わず間の抜けた声を上げる中、まほは無言で自分達の前に立つ人影を見ていた。
「………あの耳を見る限り、そちらの仲間だと思うのだが」
「その通りだ」
その人影、長身で灰色の髪にオオカミの耳を生やし、片手に何故かスコップを持った陸戦ウィッチが、こちらを振り向いて不敵に笑う。
「ユーティライネン大尉!?」
「なんで貴方が………」
「陸戦の増援が必要なのだろう? だから来たまでだ」
シャーロットもフレデリカも驚く中、再度高速砲弾が放たれるが、その陸戦ウィッチ最強とも言われる人物、アウロラ・E・ユーティライネンが再度手にしたスコップを振るって高速砲弾を弾き返す。
「撃ってすぐ届くとは、わかりやすくて良いな!」
「ああ、その通り」
「でも大尉! 貴方はシールドが…」
「問題ない、当たる前に弾けばいい!」
「いるじゃないか、そちらにも弾道が読める者が」
「あんな芸当出来るのはあの人だけです!」
「ビームに刀で突っ込んでいった人もいたけれど………」
「さて、ともあれ破壊しがいが有りそうな奴だ。行くぞ!」
「ああ!」
不敵な笑みのアウロラに、まほも笑みで返す。
JAMフラッグ車へと向かって、最強の陸戦ウィッチと最強の陸戦ストライカーユニットが、同時に向かっていた。