第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮)   作:ダークボーイ

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第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮) EP20

 

『ユーティライネン大尉が戦闘に参加してる?』

『彼女サポート班でしょ! なんでいっつも勝手に戦闘に参加してるの!』

『メイヴ君も相手がJAMだと勝手に来るからね………これ以上長引くとアーミテージ准将も乗り込んでくるぞ』

「………」

 

 通信から聞こえてくる大神と圭子の会話に、二人の家元は眉根を寄せる。

 

「そちらの指揮系統はどうなっている?」

「いや、まあなにせ幾つもの世界からの混成部隊なので、稀に指揮系統無視して来る人もいて………」

 

 しほの質問に、プロキシマが困った顔で返答する。

 

「あ、そういう人に限って戦闘力は折り紙付きだから、大丈夫かと」

「砲弾をスコップで弾いたのを見たのは初めてね」

「戦車道の根幹が揺らぐ光景なのは確かよ」

「すいません、見なかった事にしていいですか?」

 

 プロキシマが余計なサポートをするが、しほと千代が顔をしかめ、蝶野に至っては顔色が青くなっていた。

 

「まあさすがにあれ出来る人は数人しかいないから」

「他にもいるの!?」

「先程は相手の戦車引きちぎっている娘もいたわね」

「規約見直した方いいかしら………」

「さすがに戦車道やってる子達にアレは無理だと思いますが」

「それもそうね」

 

 

 さり気なく家元達の常識がずれていくような気がした蝶野が慌てて修正を試みるが、とにかく今はJAMフラッグ車の方が優先だった。

 

「あの装甲列車のおかげで戦線はかろうじて持ってるわね」

「随分と変わった武装だけど、それでも撃破するのは難しそうよ」

 

 豪雷に連結された貨車から放たれる艦娘達の砲撃は、JAMフラッグ車に確実にダメージは与えていたが、JAMフラッグ車の動きは鈍る気配も無かった。

 

「本来の戦車道なら装甲の撃破判定さえ出せば勝敗は決するのだけれど」

「そもそも、どこからどこまで装甲なのかしら?」

「JAMの構造はいまだ不明な所が多いんです。けど内部機構があるのは確かなので、そこにダメージが通れば………艦載兵器の類が使えれば楽なんですが」

「宇宙戦艦以外にも何かあるの?」

「空中戦艦が二隻、空母艦が一隻に戦艦一隻、潜水艦一隻に、陸上空母が…」

「それ、呼んだら確実に近隣全てが焦土になるわね」

「まともな船かも疑問だし」

「それと巨大ロボが一体」

「………なるほど、ああいうの相手するにはそれくらいいるという事ですか」

 

 蝶野はもう色々諦めたのか、半ば聞き流す事にする。

 

「こちらの攻撃は効いてるとは言い難いのは事実ね」

「あの巨体相手、せめて履帯だけでも破壊できれば………」

「さっきからそれ狙ってる戦車もいるけど、無駄に頑丈に出来てるね。戦車の弱点を熟知してる」

 

 二人の家元はなんとか攻略法を探そうとするが、JAMフラッグ車の頑丈さにプロキシマも小さい唸りを上げる。

 

「こちらの被害は?」

「みほさんの指示で全車必要以上に前には出てないので、極端な損傷は出てない模様ですが、互いに決定打に欠けてる模様です。主砲塔の旋回機能は破壊出来ましたが、副砲が厄介ですからね………」

「NORNの宇宙戦艦とやらが来るのはあと何分?」

「五分を切りました。転移直後に砲撃可能にするため、チャージにも入ってる」

「二分を切ったら、全車を退避。そちらの砲撃範囲から退避完了次第、砲撃を許可します」

 

 しほの最終判断に、その場に重い空気が立ち込める。

 

「あと、三分………」

「マスター、三分以内に片がつかなかったら、永遠のプリンセス号で砲撃してほしいそうだよ」

『………了解した。周辺への影響が大きいので避けたい所だったが』

 

 蝶野がつばを飲み込み、プロキシマが大神に伝え、大神もそれを了承する。

 

『ちょっと待った。つまり三分以内にアレをどうにかすればいいんだろう?』

『タイムアタックか。した事は無いが、なんとかしてみよう』

「なんとかって………」

 

 アウロラとまほからの通信に、千代は言葉を濁す。

 なお、通信の後ろから断続的に何かを弾く音が聞こえてくるのに、審判員達の顔はさらに青くなっていく。

 

『まずは足を止めよう。なあに、多少でかいだけで基本は変わらん。ヒック』

「ヒック?」

「すいません、ユーテイラィネン大尉は戦闘中でもスキットルを手放さない方で」

「まさかアル中、それ以前に飲酒運転!」

 

不安要素が増えていく事に蝶野は絶叫しかけるが、家元二人は黙って試合場各所を映す画面を凝視していた。

 

 

「みほ、聞いていたな!」

『あと、三分………えと、その大尉さんは相手フラッグ車の履帯壊せそうなんですか?』

「………あのスコップが届く範囲で彼女に壊せない物は無いわ。前にエネルギーフィールドまで掘った事すらあるから」

「はっはっは、あれは手応え無かったな!」

 

 まほからの確認にみほが思わず問い返すが、フレデリカがぽつりと返し、当のアウロラは豪快に笑うだけだった。

 

「けど彼女は年齢的理由でシールドが弱体化してるわ。あの散弾には耐えられない」

『分かりました! 大尉さんが近付く隙をなんとか作ります!』

「気をつけろ! ティーガーの装甲すら貫く弾幕だ、Ⅳ号なんてひとたまりもないぞ」

『分かってるお姉ちゃん! 全車に通達!』

 

 まほからの警告を素直に聞きながら、即座にみほは行動を開始する。

 

「素直な妹だな、ウチのイッルとえらい違いだ」

「そうだな、だが敵に回せば相当な食わせ者だ。味方なら安心して任せられるがな」

「頼りになる妹だな、イッルも来れば役に立つんだが」

(すごいお姉さん達だな………)

 

 漏れ聞こえてくる会話にシャーロットは内心引きつつ、JAMフラッグ車へと砲口を向けた。

 

 

「それで西住殿、策はあるのですか?」

「幸い、主砲塔が先程の攻撃で破損しているので、正面に向かない限りはそちらの心配は有りません」

「けど…」

「副砲は元気なのですよね」

「また来た!」

 

 あんこうチームが車内で討議する間もなく高速砲弾が放たれ、間近に控えていた響がかろうじて弾き飛ばす。

 

『段々慣れてきた!』

『慣れは危険よマスター』

「砲弾弾くのは慣れたくないな~」

「それ以前に普通のJKには無理であります」

 

 オープン回線で聞こえてきた響と紗羅檀の会話に沙織が思わず呟き、優花里が冷静に突っ込む。

 

「それです!」

「え?」「は?」

「全車に通達! 装甲の厚い車両を先頭に、数両で密集隊形! サイフォスさん、そちらであの高速砲弾に対処出来る方を1名以上、こちらの集団に配置をお願いしてください! できれば上空からの援護をお願いしたい所ですが………」

「あの狙撃を防げそうな人は何人かいるが、あの凄まじい対空砲火をどうすれば………」

「さっきから一人だけ飛んでる方いません?」

「彼女は色々規格外で…あ」

 

 みほの提案にサイフォスが悩む中、JAMフラッグ車の対空砲火をただ一人回避しながら散発的に攻撃しているメイヴを指差した華に、サイフォスは声を上げる。

 

「陛下、こちらの西住隊長から作戦提案、戦車を数両毎の集団にするので、狙撃砲を防げる人員を配備してほしいとの事。それと対空砲火の対処のため、メイヴのフリップナイト・システム使用を打診してください」

『それしかないわね………クーリィ准将が許可してくれればいいけど。無論アレは無しで』

「アレって何?」

「聞かない事を推奨する、としか」

「まさか、核兵器とか持ち込むわけじゃないでありますよね?」

 

 通信を聞いた沙織の問にサイフォスは言葉を濁すが、優花里の何気ない確認に視線をそらす。

 

「マジでありますか!?」

「ま、待ってください! さすがにそれは…」

「大丈夫、さすがに許可が降りないし、こちらでもまだ使った事はない」

「あの、非核三原則って知ってます?」

「無論知っている」

「宇宙戦艦の方がマシかも………」

 

 さすがに文字通りの爆弾発言に車内が騒がしくなるが、そこで圭子からの返信が届く。

 

『そちらの隊長さんに連絡、フリップナイト・システムの使用許可が降りたわ。すぐにでも…』

 

 返信の途中で虚空に転移ホールが開き、そこから顔をバイザーで覆い隠した、白色の戦闘妖精、しかも全く同じ外見のが三機飛び出してくる。

 

「あれは………」

「あれがメイヴの切り札、フリップナイト・システムです。見ていてください」

 

 ハッチからその様子を見ていたみほに、その脇から顔を出したサイフォスが促す中、その三機の白い戦闘妖精、AG(人工人格)を持たない量産型試作機・FRX―99 ハンマーヘッドがメイヴを戦闘にフォーメーションを組む。

 それを狙ってJAMフラッグ車から無数の対空ビームが放たれるが、即座に四機の戦闘妖精は散開、各自に驚異的なマニューバーでビームの弾幕を回避し、三機のハンマーヘッドは回避しつつも手にしたビーム機関銃で反撃まで始める。

 

「すごい………しかも動きが完全に連動してる」

「あれがフリップナイト・システム。メイヴ一体で三体のハンマーヘッドを同時制御して完全なフォーメション攻撃を繰り出す彼女の必殺技だ。最終的にはあの三機のハンマーヘッドで目標を囲み、核弾頭による飽和攻撃を…」

「その前になんとかします! それではガンガン作戦、開始です!」

 

みほの号令と共に、数両ずつに集団を組んだ各チームが動き出す。

 

 

「隊列を乱さないで! 注意を引きつつ、突っ込みすぎないように!」

「難しい注文だね………」

 

 1チームの先頭にいるティーガーの車内で、エリカが指示を飛ばすが、それを聞いた操縦手が顔をしかめた。

 

「あの、あんまり無茶しないでね」

「私達じゃ防ぐの精一杯だと思うから」

 

 ハッチを開けて車上にいるあかねとわかばが顔を覗かせる。

 

「防いでくれるだけで御の字よ! マウスの装甲でもどれくらい耐えられるかの砲撃なんて、ティーガーじゃ持たないし!」

「こっちもエネルギーがどこまで持つかわからないわ!」

「来るよ!」

 

 エリカとわかばが双方の状況を言い合う中、砲塔にまたがるような格好で構えていたあおいが狙撃砲の砲塔がこちらに向いた事に気付くと同時にネイキッド・ハンマーをかざす。

 直後に放たれた高速砲弾がネイキッド・ハンマーで防がれ、内包エネルギーで砲弾が四散するが、反動でこちらも弾き飛ばされそうになったあおいをとっさにあかねとわかばが支える。

 

「あおいちゃん!」「大丈夫!?」

「なんとか………私じゃひまわりちゃんほどの防御力は無いし、大神さん達みたいに弾き飛ばす事も出来ない………」

「アレはこっちから見ても桁外れよ。無茶だけはしないで!」

 

 ハッチからビビットチームに声をかけたエリカは車内に戻り、こちらも準備を始める。

 

「徹甲弾装填! こちらも撃ち返すわ!」

「しかし…」

「効かなくてもいいわ! ばんばん撃ちなさい!」

 

 エリカ自身、効果が無い事は重々承知しつつも、砲撃を指示する。

 

「彼女の作戦なら間違いはないわ、多分………」

 

 

「速度そのまま! 合図したらその度に車線を変えて!」

「この寄せ合わせで愛里寿隊長の指揮についてこれるか………」

「他の車両も隊長クラスが乗ってるわ。多分大丈夫でしょ」

 

 センチュリオンの車内で、愛里寿が率いるチームに指示を出すのを同乗者達が少し懐疑的になりつつも、前進を続ける。

 

「無茶したらダメなのデス!」

「マリアと翼がなんとかしてくれる。余計な事は考えずに…」

「来る!」

 

 ハッチから顔をのぞかせた切歌と調が言ってる最中に、前部装甲に乗っていた翼が放たれた高速砲弾を叩き落とすが、間近に着弾して車体が大きく揺れる。

 

「うわぁ!」

「きゃあ!」

「バランス維持! ダメージ確認!」

 

 その衝撃に車内外で悲鳴が漏れるが、愛里寿は冷静に指示を飛ばす。

 

「見た目と違ってすごいクールな娘デス………」

「負けてられないよ切ちゃん」

 

 一番年下の愛里寿が一番落ち着いて対処しているのに驚く切歌に、調がアームを構えながら用心する。

 

「私もどこまで防げるか分からん! 漏らしたらそちらで頼む!」

「翼先輩が出来ないのを私達で出来るかどうか………」

「やるしかないのデス!」

 

 JAMフラッグ車に接近するほど苛烈になる砲撃にシンフォギア装者達は戦車と己を守ろうと聖詠を歌う。

 

(ギリギリまで引き付ける必要が有る。あのメタルストーム、シンフォギアで防げるか?)

 

 歌いつつもみほの立てた作戦を考える翼だったが、再度放たれた高速砲弾に思考を中断して防御に専念する。

 

(一つ言えるのは、こいつらの隊長はとんでもない天才か狂人のどちらかという事だ!)

 

 タイミングが命の作戦に、翼は手にしたアームを強く握りしめた………

 

 

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