第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮)   作:ダークボーイ

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第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮) EP27

 

「向こうの延焼箇所、消火急いで!」

「負傷者は他にいないか!?」

「移動不可能な戦車の搬送を!」

 

 JAMフラッグ車撃破後、NORNサポート班を中心として後片付けが急ピッチで進められていた。

 

「すいません! 急患です!」

「大変! この子意識が無いわ!」

「衰弱してる! まるで数日寝てないみたいに!」

「寝てないんです………」

「う~ん………」

 

 戦闘終了と同時に、気が抜けてぶっ倒れたエリカが前線基地に担ぎ込まれ、救護班が慌てて治療に入るのを連れてきた者達は赤面しながら見ていた。

 

「さて、この列車来るのはいいけど、戻すの大変なのよね………」

「ナノマテリアルの予備と設置型転移装置の到着待ち」

「それまでティーブレイクで~す」

「どこから持ってきた?」

「彼女達からレンタルね」

 

 戦闘のダメージにより、移動が困難になった轟雷号の前でヒュウガとイオナが状態を確認する中、金剛がティーセットを広げているのをコンゴウがいぶかしげに見るが、金剛が指差した先で同じようにティーセットを広げている聖グロリアーナの生徒達を指差す。

 

「確かに似たようなのはどこにもいる物だな………」

「ミストコンゴウもティーブレイクするね」

「そうだな。後始末はあっちに任せよう」

 

 コンゴウはそう言いながら、上空の永遠のプリンセス号から降下してくる小型艇を確認すると、空いている席へと腰を下ろした。

 

 

「皆さんご苦労さまでした。非常に困難な戦いでしたが、そちらの方々の協力もあって無事にJAMを撃破する事が出来ました。

本来JAMは特殊な適正を持った戦闘能力者を襲撃するらしいのですが、この世界はその条件に当てはまりません。

しかし、戦闘データを見る限り、皆さんかなり高度な戦闘技術と指揮能力を有しており、これを何らかの特殊能力と誤認されたと推測出来ます」

「………何あの小難しい事言ってるフィギュア?」

「NORNの参謀、叡智のエルナー殿だ」

「まあ可愛い」

「宇宙人と戦ってる人達って、やっぱああいうの参謀にするんでありますな」

「眠い………」

 

 上空から降下してきて、状況の説明をするエルナーをサイフォスが紹介する中、あんこうチームを中心とした戦車道女子達が興味深そうに見ていた。

 

「再度の襲撃の可能性はあるのかしら?」

「今回の襲撃で、JAMはこの世界に目標とする戦力が無い事は認識したでしょう。再度の襲撃の可能性は低いと思われます。通常なら襲撃することで相手の能力を判断、場合によっては拉致に移りますから」

「拉致!? 宇宙人に!?」

「キャトルミューティレーション!?」

 

 しほの質問にエルナーが解析も加えて説明するが、拉致の言葉に皆が仰天する。

 

「一応聞くけれど、拉致された者はどうなるの?」

「こちらで拉致された後、しばらく幽閉されていた人達を救出した前例は有ります。ただその者達はかなり特異な能力を持っており、慎重に扱っていたようですが。もっとも改造されて完全に兵器化されて攻撃してきた例もありますが」

「ひぃ~」

 

 千代からの質問に対してエルナーの上げた前例に今度は皆から悲鳴が上がる。

 

「え~と、つまりその…」

「この世界の空間座標は確認しました。ビーコンも設置するので、なにかあったらすぐに駆けつけますよ」

「大丈夫、安心していいよ」

 

 イマイチ状況を理解しきれないみほが恐る恐る聞くが、エルナーの断言にユナもにこやかに笑ってみほの手を握って無邪気に振る。

 

「ところで、この状況、上になんて報告したら………」

 

 蝶野が試合とはとてもごまかしきれないダメージの試合会場に、呆然としていた。

 

「そうですね、上にはGと報告しておいてください」

「は?」

 

 被害状況をまとめていたジオールの言葉に蝶野は首をかしげるが、家元二人は反応する。

 

「あなた達、Gの関係者なの?」

「NORNの母体の一つは秘密時空組織“G”、私達はそこから派遣されました」

「秘密時空組織………なるほどね」

「あの~………」

「お母様、どういう事ですか?」

「何か知ってるの?」

 

 二人だけ納得してる家元達に、娘達が問い質す。

 

「戦車道黎明期、特殊カーボンの技術を持ち込んだのがGと呼ばれる組織だったと聞いてるわ」

「未知とも言える特殊カーボンとその生成技術のお陰で戦車道は完成し、以後の発展に繋がったわ」

「お祖父様から聞いた事が有る。かつて戦車の平和的利用を模索している世界にGの技術を持ち込んだらしい」

 

 家元達の説明に、戦車を興味深そうに見つめていたティタがそちらを見もせずに補足説明をする。

 

「じゃあ、特殊カーボンって………」

「私達のRVの一部にも同じ物が使われてるわ」

「そうだったんだ………」

 

 他の戦車道女子達も、予想外の繋がりに驚くばかりだった。

 

「上にもって事は、そこにも息がかかってるわけね」

「少しですが。今回の襲撃の保証もこちらから全額とはいかないかもしれませんが、出ることになるでしょう」

「出すの多分エリカちゃんだけどね」

「その内香坂財団の営業マン送り込んできそうなのがアレですが………」

 

 しほの確認にジオールはうなずくが、ユナとエルナーは違う意味で気になる事を呟いていた。

 

『エルナー、撤収用物資の降下準備整いました』

「それでは降下お願いします。現場の応急処置が終わり次第、こちらも順次撤収するので」

 

 そこでミラージュからの通信が入り、エルナーが許可を出しながらも撤収の旨を告げる。

 

「え、もう帰っちゃうんですか?」

「あまり我々が長時間居座ると、またJAMに目標にされかねませんので」

「うわ! それ勘弁!」

「そうでありますな」

「確かにもう一度アレと戦えと言われるとちよっと………」

「zzz」

 

 みほが驚く中、エルナーの危険な言葉にあんこうチームは思わず声を上げる。

 

「ちょっと待った~! 助太刀に来た連中をそのまま帰すのは道理にもとる! 者共! パーティーの準備だ!」

『お~!』

 

 そこで突然アンチョビが声を上げ、アンツィオ高校の者達を中心とした者達が一斉に声を上げる。

 

「なんともまあ………」

「タフな方々ですね」

「いやその、アンツィオの人達はノリと勢いだけとも言われてて」

「あんたのとこの人もいってるぞ?」

 

 エルナーとジオールが感心半分、呆れ半分なのはみほが取り繕うとするが、パーティーと聞いてユナも手伝おうとするのをまほが指摘する。

 

「今回は少し派手でしたからね………撤収にも時間掛かりそうですし」

「少しくらいならゆっくりしていいでしょう」

「あ、いたいた」

「エルナー君、ちょっと話が」

 

 一応納得するエルナーとジオールの元に後処理の支持をしていた圭子と大神が姿を表す。

 

「なんでしょうか?」

「先程加東少佐とも話し合ったんだが………」

 

 

「よ~し、こっちできたぞ!」

「火足りな~い」

「この缶詰みたいのどうやって開けるんだ?」

 

 前線基地の半分が、なぜかアウトドア厨房と化し、各組織の料理自慢達がかき集められた食材でパーティー料理を急遽調理していた。

 

「元気な子達ね~。あれだけ激しい戦闘が有ったってのに」

「いやまあ、すいません」

 

 まだ後処理が終わらない琴音が、喜々としてパーティー準備をする少女達を見てつぶやくのに、被害状況の報告を受けていたみほが思わず謝る。

 

「いいのよ別に。しょげかえったりされてたらこちらも後味悪くて帰れないし。あれなら問題無さそうね」

「人的被害も負傷者が出た程度で済んだしね。重傷者がでなくて何より。傷塞いですぐ出撃してった子は大丈夫?」

「それが…」

「救護テントはまだ残ってるか?」

 

 琴音と一緒にクラリッサも最悪の事態は避けられた事に安堵していたが、そこに頭部をハンカチで抑えたまほが姿を見せる。

 

「気を抜いたらこれだ。どうやら少しはしゃぎすぎたようだ」

「きゃああ! お姉ちゃん大丈夫!?」

 

 そう言うまほのハンカチの下から血が滴っている事にみほが思わず絶叫し、全員の視線がそちらに集中する。

 

「安心しろ、見た目ほど派手じゃない」

「女の子がそんな事言わないの!」

「メディ~ック! 急患だ!」

「だからちょっと傷口が開いただけで…」

「またあなたですか!」

 

 琴音とクラリッサも慌てる中、白香に説教されながら、まほは再度治療を受ける事となった。

 

 

「それでは、世界初の対宇宙人戦車道試合勝利記念を祝って」

『かんぱ~い!』

 

 何故か杏が音頭を取り、皆が手にした杯(無論ジュース)をかざす。

 

「さあさあ、みんなお腹空いたろうから好きなだけ食べた食べた!」

「本当にいいのか?」

 

 アンチョビ率いるアンツィオの調理係の前に、長門が大皿を手に確認する。

 

「お、列車から砲撃してた人達だね。どうぞどうぞ」

「だそうだ」

「Oh、太っ腹ネ! それじゃ行くよシスターズ!」

 

 長門の確認を聞いた金剛四姉妹が皿を手に突撃し、アンツィオ生徒から悲鳴が上がったのはそのすぐ後だった。

 

「あ~、説明しておくべきだったわね………」

「かもな。ウチのカンナも混じってるし………」

 

 消費が調理を遥かに上回る速度の面子が集結してるのを遠巻きに見ながら、圭子と大神は困り顔をする。

 

「死者が出なかったのが何よりね。あの戦車、見た目よりも頑丈に出来てるようだし」

「試合用に大分改造されてるそうよ」

「なるほど、それを抜きにしても乗り手の技量もかなりの物のようだしな」

 

 マイルズ、フレデリカ、翼がそれぞれの感想を持って向こうで簡易修理中の戦車とその乗り手の戦車道女子達を見る。

 

「JAMに目をつけられたのもよく分かる。操縦技術、運用、そして戦術。どれもかなり洗練されている」

「ええ、確かに。実戦では無いようだけれど………」

「そういう武道らしいわ。隊長はそのマスターだそうよ」

 

 翼とマイルズが自分達の経験から見ても高レベルの戦車道に興味を持ち、フレデリカが額に大げさに包帯を巻かれているまほの方を見て説明する。

 

「………どう思う」

「有効ね、部下にも習わせたいくらい」

「特に彼女の能力は驚嘆に値するわ」

 

 翼、マイルズ、フレデリカの三人はうなずくと、一斉にまほの方を見る。

 突如感じた妙な視線に、まほは思わず身をすくめた。

 

 

「あ、響さん。怪我大丈夫ですか?」

「うん、まだちょっと痛いけど、シンフォギアが持ったし、大体治してもらったから」

 あかねがピザ(Lサイズ)を一人で食べている響を見つけるが、元気そうな様子に安心する。

 

「陸戦特化型とは、今後の課題ですね」

「まあそうそう出てこないだろ」

 

 わかばが真剣な顔で戦闘を思い返すのを、クリスは手酌でジュースをお替りしつつ呟く。

 

「帰ったら、技術班や司令官達がすぐに対策考えるでしょう。マスターは小難しい事考えられるタイプじゃないし」

「それもそうだね♪」

「おじいちゃんなら何か考えつくと思うし♪」

「おい、否定しろよ………」

「残念だけど、当たってます………」

 

 密かに紗羅檀にバカにされてるのに気にもとめずに一緒にピザを食べ始めた響とあかねに、クリスとわかばは呆れるしかなかった。

 

 

「へ~、そんなに色んな世界があるんですか」

「そうそう、他にも変形ロボットに乗ってる子達とか、体が機械の子達もいるんだ~」

「それはすごいですね~」

 

 みほはユナからの話を興味深そうに聞いていた。

 

「そんな色んな人達が一緒になって戦ってるんですか?」

「そうだよ。どこもあのJAMってのに攻撃されて、自分達だけじゃ戦えないって分かってる人達ばかりだったから」

「確かに、私達だけじゃ無理でした………」

 

 ユナの話に、みほは思わず傷ついた種々の戦車の方を見て呟く。

 

「でも頑張ったじゃん。誰かが頑張っていれば、きっと他の人も助けてくれるよ」

「その通りデスゥ」

「ちょっとそこの! この赤毛の娘、腹に溶鉱炉でも持ってるの!?」

 

 ユナの言葉にユーリィも頷くが、それにアンチョビの絶叫が重なる。

 

「え~と、そちらの人大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫、ユーリィはアンドロイドだから」

「なんでロボットがこっちの食料食い尽くそうとしてんだ!」

 

 話はともかく、明らかに自分の顔の倍はうず高く積み上がったパスタをうれしそうに頬張るユーリィを見てみほが心配するが、ユナの説明にアンチョビが抗議する。

 

「ええい、他に材料は!?」

「これで最後っす!」

「パラレルワールドの人って大食漢なんですね~」

「いやそれはユーリィと艦娘の人達が特別で…」

「あちらのなんかすごいマッチョな人は?」

「あれは素だって」

「ああ、こちらでしたか」

 

 何か色々誤解が生じていくのをユナはどう説明するか迷うが、そこにエルナーが姿を表す。

 

「あ、エルナー、どうしたの?」

「はい。西住 みほさん、貴方に話が有ります」

「私に?」

 

 改めて何かを告げようとするエルナーに、周囲の興味もそちらに向けられた。

 

「我々NORNは、現在JAMと対抗するための戦力を集めています。しかし、ただ戦力を集めるだけではいけません。それを運用する頭脳も必要なのです。

ストームウィッチーズ隊長、加東 圭子少佐及び帝国華撃団司令、大神 一郎の二名から推薦が有りました。大洗学園戦車道チーム隊長、西住 みほさん。我々と共に来ませんか? 我々は貴方の戦術能力を非常に高く評価します。JAMに対抗できるほどに」

『ええええ!?』

 

 それを聞いていた戦車道女子の全員から驚愕の声が飛び出す。

 

「それってスカウト!?」

「ヘッドハンティングでありますか!?」

「あらまあ」

「また急な」

 

 一番驚いているあんこうチームだったが、そこへ杏が一歩前へと進み出る。

 

「それって、西住ちゃんに宇宙人と戦えって事?」

「ええ、直接とは言いませんが」

 

 杏の確認に、エルナーは頷く。

 

「私は反対だ。西住ちゃんは大洗学園に必要な人材だし、何より危ない」

「はい、それは否定しません。あくまで推薦が有り、私もそれに賛同した。決めるのは私達ではなく、みほさん当人です」

 

 杏がきっぱりと否定意見を述べる中、エルナーもそれを否定はしない。

 

「す、すごいでありますよ!? 西住流がとうとう対宇宙人戦に!」

「でもだとしたら、私達はどうなるの?」

「あくまで推薦という話ですし」

「決めるのは西住だ」

 

 あんこうチームも賛否が分かれる中、全員の視線がみほに集中する。

 

「どうする?」

「えと、その…」

 

 ユナのあくまで無邪気な確認に、みほは仲間達とNORNのメンバーを交互に見、そして決断する。

 

「すいません、私には大洗学園を守るのが精一杯みたいです。宇宙人相手に世界を守るなんてとても…」

「そうですか。無理強いはしません。それにもしここに再度JAMの襲撃が有ったら、我々はすぐに救援に駆けつけます」

 

 あっさり断られた事を、エルナーは素直に承諾する。

 そしてそれを聞いた仲間達が一斉にみほに抱きつく。

 

「良かった~! もし行くなんて言ったらどうなるかと」

「やはり西住殿は大洗にいてこそ西住殿です!」

「ホントにいいのか? チャンスだったかもしれないのに」

「ミホーシャが自分で選んだんだからいいんじゃない?」

 

 他校の生徒達も加わり、もみくちゃにされながらみほは微笑む。

 それを見ながら、その場から離れる者がいた。

 それに気づいたジオールも、その場から離れた事に気づいた者はいなかった。

 

 

「おや継続の。もう満腹か」

「おっと西住姉。聞いてたかい、妹さんスカウト断ったよ」

「私も断った所だ、教官になってくれとしつこくてな」

 

 パーティー会場から離れようとしているミカに出くわしたまほが、どこかうんざりしてるのにミカは微笑する。

 

「はは、姉妹そろってもったいない事をしたかもよ」

「さすがに宇宙人相手はもうこりごりだ」

「それもそうか」

 

 そう言いながら通り過ぎ際、ミカは小さく呟く。

 

「場外西トイレ、奥の部屋に潜んでてくれ」

「何を?」

「行けば解る」

 

いぶかしみながらも、まほは騒がしいパーティー会場を離れ指定された場所へと向かった。

 

 

 帰還準備とパーティーで騒がしい箇所から離れた、人気の無い場外西トイレを訪れたジオールは、周囲を一応確認して女子トイレへと入る。

 

「コード、祝福の鐘は鳴らした」

「コード、鐘の元に天使は舞い降りる」

 

 手洗い場の前で待っていたミカの発した暗号コードに、ジオールは返答の暗号コードを返し、ミカが手にしていたカンテレの裏に特殊ホログラフで描かれたGのエンブレムを見せると、ジオールもパイロットスーツのブレスレット部分から同じホログラフを見せる。

 

「ご苦労さま、現地選抜エージェントさん」

「いや~、話は聞いてたけど実際見ると予想以上だったよ」

 

 笑みを浮かべながら労をねぎらうジオールに、ミカはこちらも笑みを浮かべて返す。

 

「用意してもらってたあの砲弾、なかなか役に立ったよ。ごまかすのが大変だったけど」

「このマルチバースには存在しない兵装ですしね。使った分は後ほど補充されるはずです」

「次の機会が無い事を祈るよ、それと…」

「ええ、危険報酬の方もちゃんと」

「助かった、実は燃料代にも事欠いていてね」

「それでは引き続き、お願いします」

「ああ」

 

 会話をすませ、ジオールは敬礼して去ろうとして一度足を止める。

 

「奥の方にもよろしく」

「………」

 

 それには無言で、ミカはカンテレを鳴らす。

 相手が遠ざかった後に、奥の個室の影に隠れていたまほが姿を表した。

 

「今のは、どういう事だ? お前はあちらの仲間なのか?」

「マルチバース、秘密時空組織“G”では異なる世界の事をそう呼んでいるのさ。Gの目的はそのマルチバースにちょっかいをかけてくる相手の対処。そのため、発見したマルチバースには現地から監視の人間を見繕っておく。ここでは私がそうさ」

「なるほど、つまり最初からNORNの事を知っていた訳か」

「まあね、もっとも実際はエージェントなんて大それた物じゃない。夏休みにプールサイドに立つバイト監視員みたいな物さ」

「バイト監視員はあんな物騒な物は持ってないがな。なぜそれを私に教えた?」

「簡単、あそこで一番口が固そうな人は君だったからね。念の為、情報に通じる事が出来る人にもツナギをつけとこうと思って」

「私も巻き込むつもりか。だがまあ、またあんなのが来た時はもっと早く来てもらいたい所なのは確かだ」

「違いない、大分スリルのある初仕事だったよ」

 

 ミカはカンテレを鳴らす手を止め、ポケットから何かを取り出してまほへと投じる。

 なにげにそれを受け取ったまほは、それが何かスイッチの付いた風変わりな機械だと気付く。

 

「現地選抜エージェントに渡される緊急次元発振器、予備を渡しておこう」

「何か有ればこれを起動させればいい訳か」

 

 そこでまほのポケットからコール音が響き、携帯を取り出したまほがそれが妹からだと気付く。

 

「何だみほ」

『あ、お姉ちゃん。今どこ? NORNの人達帰る準備もう少しで出来るから、お見送りしないと』

「分かった、すぐ行く」

 

 通話を切ったまほは、少し苦笑する。

 

「皆で見送りだそうだ」

「おっと、それは行かないといけないね」

 

 秘密を共有した二人は、連れ立って会場へと戻っていった。

 

 

「フレーム調整確認!」

「永遠のプリンセス号からのエネルギーリンク、確認したよ~」

「空間座標、各本拠地に設定」

「臨時レール、敷設確認」

 

 技術班によって臨時設置された転移ホール発生装置の最終確認が行われ、帰還の準備が万全に整ったNORNの面々が改めて向き直る。

 

「それでは、色々お世話になりました」

「気にしないでいいわ。次はそちらの力を借りる事もあるかもしれないし」

 

 頭をさげるみほに、圭子はにこやかに返す。

 

「でも、私達の力と言っても…」

「謙遜する事無いわ。ロンメル将軍並、下手したらそれ以上の戦術能力って私も大神司令も保証するわ」

「パラレルワールドにもロンメル将軍はいるのですか?」

 

 何気ない会話に出てきた言葉に、歴女で構成されたカバさんチームが鋭敏に反応する。

 

「いるも何も、私達の上司よ」

『ええ~~!?』

 

 言った後に、相手の過敏な反応に圭子は失言を悟る。

 

「ロンメル将軍配下なんですか!?」

「まさか戦国大名の関係者なんかも!?」

「え~と、ウチの稲垣曹長は森 蘭丸の血筋だって聞いてるけど」

「ほ、他には!?」

「華撃団の副隊長さんはロシア革命の闘士だったって話だし、他には…」

「それくらいにしておけ。恩人に迷惑をかけるのはどうかと思うぞ」

 

 ものすごく食いついてくるカバさんチームを、まほが襟首を掴んでこちらに引き戻そうとする。

 

「も、もう少しだけ…」

「西住隊長の代わりに我々を…」

「そん位にしときなさいって」

「ええい、せっかくキレイに終わりそうだったのに!」

「はいはい、そこまでそこまで」

 

 そこに生徒会カメさんチームも加わり、なんとかカバさんチームを抑え込む。

 

「す、すいません。趣味が絡むとああなっちゃう人達で…」

「いや、むしろ安心した。あれだけ元気なら精神的問題は無いだろうし」

 

 みほが先程とは違う意味で頭を下げる中、大神が笑いをこらえながらも頭を上げさせる。

 

「豪雷号、発進準備完了しましたわよ」

「そう言えば、アレしてませんね」

「そういやそうだったな」

 

 ヒュウガがすぐにでも帰還出来る事を告げた所で、圭子と大神がふとある事思い出す

 

「何か忘れ物ですか?」

「ああ、華撃団の恒例のような物でね」

「今回はちょっと派手だったから忘れてたみたい」

「えと、それは…」

「それがね」

「え? 決めポーズですか?」

 

 圭子がみほに耳打ちし、思わずみほが口に出してしまう。

 

「決めポーズ、いいでありますな!」

「そうね、せっかくだし」

「あら、化粧直ししませんと」

「やるの?」

 

 あんこうチームが賛同した所で、皆に話が一気に広がっていく。

 

「そうだった! 忘れてた!」

「思い出すな! つうか怪我はどうした!」

 

 響も思わず手を鳴らした所で、クリスが慌てて引っ込めようとするがすでに遅かった。

 

「みんな集合集合!」

「まあせっかくだし」

 

 あかねも皆を集める。

 

「じゃあ私は先に」

「ダメだよ、みんなでしないと」

 

 そそくさと離れようとするエスメラルダを亜乃亜が捕まえる。

 

「おい黒いの! お前も来い!」

「作戦完了の確認行為認証」

 

 マルセイユも帰還しようとするメイヴを呼び止める。

 

「どうせなら記念撮影ネ!」

「映像データなら残せるが」

「媒体問題が有る。ヒュウガ出して」

「これはイオナ姉さま専用の~」

 

 金剛の提案にメンタルモデル達が何故かヒュウガが持っていたカメラを強引に供出させる。

 

「じゃあリーダー機のⅣ号戦車中心に!」

 

 圭子が自らもカメラを手に、全員に集合をかける。

 

「さあさあみぽりん、センターだよセンター」

「い、いいんですか?」

「西住さん以外いないじゃない」

「早く」

 

 みほを中心に、JAMと戦った者達が集結する。

 

「それでは大神司令」

「じゃあみんな! 勝利のポーズ」

『キメっ!』

 

 勝利をそれぞれが宣言する中、シャッターが押され、共に戦った証の一枚がこの世界に残された………

 

 

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