第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮)   作:ダークボーイ

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第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮) EP04

 

 一進一退の試合に観客席が熱狂する中、その最上段で静かに、だが誰よりも試合の様子を注視する一人の女性の姿が有った。

 その女性の隣に、日傘を刺した別の女性が座り、話しかけてくる。

 

「家元自ら見学とは、そこまで重要な試合かしら」

「生憎、今の私は西住流家元ではなく、個人で見学に来ているだけ。そういうそちらこそ、家元自ら来てるの」

「私は娘の付き添いで来ただけよ」

 

 そう言い合う二人の女性、戦車道の二大流派、西住流家元でまほとみほの母親、西住 しほと、西住流と二分する島田流家元、島田 千代が並んで試合を見学する、という関係者が見たら驚愕するような状況の中、二人は冷静に試合を分析する。

 

「黒森峰らしからぬ、防御重視の戦いね」

「それほどにみほを警戒しているのでしょう。消極的とも言えなくもないけれど、下手に攻勢重視にすれば、僅かな隙をあの子は瞬時に突いてくるから」

 

 画面では、マウスを中心に、他の戦車がある程度距離を取って周囲を固める陣形のまま、進軍を進めていた。

 

「マウスがフラッグ車である以上、大洗は攻めて来なくてはならない。前回の愚を侵さないよう、マウスへの接近のみを警戒し、迎撃に重視。黒森峰次期隊長は中々慎重ね」

「まほのような苛烈さこそは無いけれど、堅実な手を巧みに配してくる。これでもう少し自信が付けば心配は無いのだけれどね」

「自信、ね。そう言えば、今そちらはかなり揉めてると聞いたのだけど」

「そちらにまで聞こえていたか。今西住流、と言うか黒森峰OG会は完全に内紛状態になっているわ。前々回と前回の二連続の優勝逃し、しかも原因は双方同一人物という事でね」

「皮肉な物ね。かつて黒森峰の優勝を逃した原因となった子が、今度は黒森峰の優勝を阻止したのだから」

「まさしくその件で、今OG会を中心とした西住流はみほ流出の責任を誰が取るかで大揉めに揉めてるわ。恥ずかしながらね。私の家元解任案まで出てる始末よ」

「こちらに愚痴るなんて、相当な物ね。あの子を黒森峰に居れなくしたのは、他でもないそのOG会でしょうに」

「この試合結果では、更に問題が深くなりそうよ」

 

 寄りにも寄ってライバル関係とも言っていい島田流家元にまで愚痴るしほに、千代は色々と呆れ返る。

 そこで千代の携帯が鳴り、それを手に取った千代は電話に出るが、相手が誰か確認すると英語で通話を始める。

 

(次の国際トーナメントの件か。こちらも準備を…)

「あら?」

 

 内容をまた聞きしていたしほだったが、そこで突然会話が途切れ、千代が携帯を何度も操作するのに気付いた。

 

「故障かしら」

「急に圏外になったのよ………衛星携帯よこれ。本当に故障かしら」

 

 何気に自分の携帯をチェックしたしほが、自分のも圏外になっているのに気付く。

 

「これは………」

 

 

 

「なんと堅牢な陣、参考になります」

「けど、あれ程の戦力を持ちながら、何故突撃しないのでしょうか!」

 

 野外観客席の隅で飯盒炊飯をしながら見学していた知波単学園戦車道チーム隊長、西 絹代が頷く中、チームメイト達は疑問の声を上げる。

 

「攻めたくても攻められないのさ。下手に突出すれば、即座に裏をかいてくる。大洗の隊長はそういうのが上手いからね~」

「なるほど、確かに……え?」

 

 後ろから聞こえてきた説明に絹代が頷くが、それがチームメイトでない事に気付いて振り向くと、何故か勝手に飯盒の前で炊けるのを待っている継続高校隊長のミカとチームメイト達に気付く。

 

「確か、継続の………」

「ミカさ。風の吹くままに来てみれば、中々面白い試合がやってるようだったんでね」

「それと、こちらのご飯を狙っているのは何の関係があるんでしょうか?」

 

 どこかとらえ所の無いミカの言動に、知波単の戦車長を務める福田が、眼鏡越しの胡乱な目で継続チームを見る。

 

「いや~、ここに来るまでにおかずはいっぱい用意出来たからね。ご飯を少し分けてもらおうかと」

「あれはかっぱらったって言うんじゃ………」

「まあいっぱい有ったからいいんじゃない?」

 

 ミカが平然と言う中、チームメイトのアキとミッコが、手にしたスコーンやバーベキュー、ピザなどを手に飯盒の一つを狙う。

 

「継続はこちら以上の予算不足で悩んでいるとは聞いてましたが………」

「はっはっは、全ては風の吹くままさ」

 

 絹代も呆れる中、ミカは煙に巻くような事を言いつつ、手にしたカンテレと呼ばれる愛用楽器をかき鳴らす。

 だが、最後の一音が外れた音を響かせ、周囲の者達全員が一斉にコケそうになる。

 

「あれ?」

「ちょっと、調律ズレてんじゃない?」

「ちゃんとメンテしなよ~」

「はっはっは、そうするよ」

 

 チームメイト達も呆れる中、ミカはカンテレをチェックする。

 その弦の一本が、微細に鳴動しているのを彼女以外に、気付いた者はいなかった。

 

 

 

「マウスの様子は?」

「周囲を固めて、そのままであります。絶対にこちらを近づけさせない作戦のようであります」

 

 みほの確認に、双眼鏡を覗いていた優花里が応える。

 

「ここは平原、しかも周囲を固めていたら、前の手は使えない」

「かといって、遠距離からの砲撃じゃ効きませんし………」

「でも、フラッグ車を狙わないと、勝てないよ?」

 

 麻子、華、沙織もそれそれ考える中、みほは打つべき手を思考する。

 

「偵察に出た人達は?」

「今確認を…」

『こちらウサギ! だ、ダメです! 相手を足止め出来ません! このティーガー、無茶苦茶強…きゃあ!』

 

 そこにウサギさんチームからの悲鳴じみた通信に砲声が重なる。

 

「ウサギさんがピンチみたい!」

「足止めが無理なら、撤退してください! 無理に戦力を減らす訳には…」

「ねえ、ひょっとしてそのティーガー………」

 

 

 

「きゃあぁ!」

「ひいぃ!」

 

 M3中戦車リーの車内で乗員達の悲鳴が飛び交う。

 

「ダメ! どっちに逃げても的確に退路を塞いでくる!」

「何で!? どうしてこっちが逃げる方向分かるの!?」

「撃ち返して、その内に逃げよう!」

 

 車内はパニックになる中、車長の澤 梓がなんとか退路を見出そうとする。

 

「撃ちま…回避っ!」

 

 発射しようとした時、砲手の山郷 あゆみが思わず叫び、阪口 桂利奈がとっさにステアを切って向こうの放った砲撃をかわす。

 

「今度はこっちの撃つ瞬間狙ってきた!」

「何で!?」

「全然手が出せない!」

「あの、ひょっとして………」

 

 異常なまでに的確なティーガーの攻撃に、車内が再度パニックになるが、そこで副砲砲手の大野 あやが恐る恐る手を挙げる。

 

「この戦い方、どこか隊長そっくりの気がするんだけど………」

「それってつまり………」

 

 

「く、先程からちょこまかと!」

「いや、あれで間違っていない。戦力の消費を極力せず、撤退の時はがむしゃらに逃げる。みほの教えだろう」

「それでも西住流ですか!」

「みほのそれは最早西住流ではないのかもしれないな。さて、そろそろとどめとするか」

 

 

 ティーガーのハッチが開き、そこから見えた顔に同じくハッチから顔を出していたウサギさんチームが絶叫に近い声を上げる。

 

「や、やっぱりぃ!」

「西住隊長のお姉さん乗ってるぅ!!」

「撤退! 全力撤退!」

 

 ハッチを締めて最大速度で逃げようとするウサギさんチームに、まほは冷静に周囲を観察する。

 

「右15度、丘陵部分に発砲」

「はい!」

 

 僅かに小高くなっている所を見つけたまほはそこに向けて砲撃、砲弾が直撃した丘陵は小規模な土砂崩れを起こす。

 

「左20度、発砲」

 

 続けて、今度は何も無い所に砲撃、だがそこに土砂崩れを避けようとしたM3中戦車リーが寄ってきて、砲撃にバランスを崩す。

 

「最大加速、砲塔右90度。すれ違いざまにゼロ距離砲撃」

 

 バランスを立て直そうとするM3中戦車リーに向けてまほはティーガーを一気に加速。

 なんとか立て直した相手に、ダメ押しの一撃を撃ち込み、完全に横転したM3中戦車リーから撃破判定の白旗が上がる。

 

「よし、エリカ達に合流するぞ」

「はい!」

 

 悠然と去っていくティーガーに、ウサギさんチームは車内で半ば目を回していた。

 

「す、すいませんウサギやられました………」

「やっぱ無理~………」

「さすが隊長のお姉さん………」

『みんな怪我してない!?』

「それは大丈夫で~す」

 

 実力の差をまざまざと見せつけられたウサギさんチームが、なんとか車外へと這い出す。

 

「あ…」

 

 そこで、普段から明後日の方向ばかり見てる丸山 紗希が上空を見て声を上げる。

 

「どうかした?」

「何だろう………」

「あれ?」

 

 つられて皆も空を見て、首を傾げる。

 そこには、虚空に突如として発生した霧が渦を巻き始めていた………

 

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