第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮)   作:ダークボーイ

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第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮)EP05

 

「…以上です。分散した他の車両が合流する前に、フラッグ車を討ちます」

「スピードが命ですね」

「装填、発砲、移動、全てが速さ優先になりますし」

「向こうに気づかれたら終わり」

「全車、そういう事だから、よろしくね」

「それではガラガラ作戦、開始です!」

 

 

 

「攻めてきませんね………」

「いつどこから攻めてくるかは私には読めないわ。進軍速度このまま、分散した車両が合流するまで、守りに徹して…」

 

 あまりに静かな状況に同乗者が呟くのを、エリカは警戒を最大にしたまま周囲を見回す。

 

『10時方向から煙幕!』

「全方位警戒! 陣形を絶対崩さないで!」

 

 別の車両からの報告に、エリカは即座に指示を出す。

 

「煙幕からの突撃? その程度なはずは…」

 

 エリカの疑念は、別の意味で裏切られる。

 

『煙幕が濃すぎます! 周囲が見えません!』

『転輪音確認! しかし方向が分かりません!』

「落ち着いて! 見えないのは向こうも同じ…同じ?」

 

 全車一斉に煙幕を炊いたのか、周辺一帯を覆う煙幕にエリカは更に疑念を深めていく。

 その疑念は、一斉の発砲音に一時中断する。

 

『敵発砲確認! でもどこから!?』

『発砲音多数! 反撃を…』

「待ちなさい! これは敵の作戦よ! 下手に撃てばこちらの場所を知らせる事になりかねないわ!」

 

 相手は煙幕の中動き回っているのか、転輪音と発砲音、着弾音がごちゃまぜになって居場所が読めない事にエリカは焦りそうになるのを抑え込む。

 

(マウスの動きに併せて進軍速度が遅いのを逆手に? いやそもそもこんな無駄な乱射でマウスは倒せない。本当の狙いは?)

 

 エリカの思考は、間近に落ちた砲弾の着弾音で強引に中断される。

 

「被害は!?」

「大丈夫です! でもこれ、徹甲弾じゃなくて榴弾みたいですけど………」

「榴弾?」

 

 

「そのまま、撃ちまくってください! ただし、わざと外す程度に!」

「それはそれで難しい注文ですな」

「そもそも、この煙幕で相手は警戒して撃ってきませんし」

「さすがエリカさん。慎重です」

 

 みほの奇妙な指示に、優花里と華は僅かに苦い顔をする。

 

「煙幕はあとどれくらい持ちます?」

「もうそろそろ」

「強風吹いたら一発だね」

 

 麻子と沙織も現状を確認する中、みほは機を伺っていた。

 そこに風が吹き始め、煙幕を流し始める。

 

「ガラガラ作戦、第二段階です!」

 

 

『煙幕が晴れてきました!』

「注意しつつ前進! さっきの乱射、絶対何か狙いが…」

 

 エリカが注意を促す中、マウスの右側にいたティーガーが突然バランスを崩す。

 

『弾着跡がこんな所に!』

『待って、これって………』

「しまった!」

 

 ハッチから飛び出すように顔を出したエリカが、周囲が榴弾の乱射でえぐられ、穴だらけの地形へと変貌しているのに気付く。

 

(足止め? それとも陣形の妨害? どちらにしろ、これでは…)

 

 対処を考えるエリカだったが、そこに聞いた事も無い甲高い駆動音が響いてくる。

 

「前方ポルシェティーガー! 突撃してきます!」

 

 マウスの前方にだけ弾着痕が無い事に、黒森峰陣営が気付くが、ルールの裏を突いた高出力モーターを搭載した大洗のポルシェティーガーは間近まで迫っていた。

 

「全車砲撃! 近付かせるな! 懐に飛び込まれるのは流石にまずい!」

『了解!』

 

 大洗チーム有数の火力を持つポルシェティーガーの高速突撃に、エリカの号令の元、黒森峰の戦車が一斉に砲撃を開始、そこで突然ポルシェティーガーが左に曲がり、大きく迂回を始める。

 

『避けられました!』

『逃がすか!』

 

 ポルシェティーガーを追ってマウスと右翼を固めていたティーガーが砲塔を旋回、それを阻止するかのように大洗の他の戦車が砲撃を撃ち込んでくる。

 

「慌てるな! 懐にでも飛び込まれない限り、ポルシェティーガーの88mmでもマウスには効かな…」

 

 そこまで言った所で、エリカははたと気付く。

 

(ポルシェティーガーは囮? じゃあ狙いは?)

「ちょ、マウス下がるな!」

 

 そこで操縦手の言葉にエリカは我に帰る。

 

「追うな! そいつは囮だ! マウスはそのまま動かな…」

 

 ポルシェティーガーを追って下がろうとするマウスに押されるような形で、背後にいたエリカの搭乗するティーガーも下がった所で、そこにあった弾着痕に後ろから突っ込む。

 

「うわ!」

「言わない事じゃない! 今すぐ陣形を立て…」

 

 ハッチから身を乗り出して状況を確認しようとしたエリカだったが、そこで大洗の真の狙いに気付く。

 周囲を覆っていた煙幕や他の戦車の音に紛れ、こちらの背後に回り込んでいたⅣ号戦車に。

 

「エリカさん、危ないですから中に戻ってください!」

「な…車体戻せ! すぐに!」

「無理です! 前でつかえて…」

「マウス! 砲塔戻せ! 今すぐ!」

 

 警告しながらこちらに突撃してくるⅣ号戦車の狙いに、エリカはどうにかしようとするが、向こうが突っ込んでくるのが早く、エリカは慌ててハッチから車内に戻り、傾いたティーガーの車体をⅣ号戦車が駆け上っていく。

 

「こちらを踏み台に!」

 

 ティーガーを駆け上ったⅣ号戦車が、マウスの唯一とも言える弱点、砲塔旋回時に見える排気口部に照準する。

 

(負けた!)

 

 万全に万全を記したつもりの作戦を、予想外の形で覆され、敗北を悟ったエリカだったが、そこで発砲音が聞こえてこない事に気付く。

 

「………え?」

『大変です! 二時方向、竜巻が発生してます!』

「何ですって!?」

 

 他の車両からの報告に、エリカが慌ててハッチから飛び出すと、確かに試合フィールド内に竜巻らしき物があるのが目に飛び込んでくる。

 

「試合中断! 緊急事態により試合中断です! 全車両、密集してください! 着弾跡に入れる車両は入ってください! エリカさん!」

「! 竜巻発生により、試合中断! 全車両密集! 大洗、黒森峰双方でだ!」

 

 みほの指示に続いて、エリカも指示を飛ばし、双方の戦車が急いで密集陣形を取り始める。

 

「………なんで撃たなかったの? 撃つ暇くらいは有ったのに」

「そんな状況じゃありません! 全車ハッチ固定! 急いで!」

 

 試合の勝敗よりも、双方の安全をためらいなく選んだみほに、エリカは小さくため息を漏らす。

 

(何があってもそこは変わらないのね)

 

 あくまで安全優先のみほに、エリカは到底及ばない事を改めて自覚する。

 

「全車、砲弾も外して。審判に連絡を…」

『何、あれ………』

 

 エリカも安全対策に乗り出す中、通信から妙な声が響く。

 

「どうかした?」

『あの竜巻、何かおかしいです。中で何か光って…』

「雷かしら?」

『それが、何か赤いような…』

『こちらでも見えます。何か影のような物が光って…』

 

 

「ウサギさんに車内に戻るように連絡を! 全車なるべく密集を…」

「何かおかしい」

 

 竜巻から皆を守るべく指示を出すみほだったが、そこで麻子が口を開く。

 

「今日の天気だと、竜巻が発生するなんて思えない」

「そう言えば、朝の天気予報でもそんな事は言ってなかったような?」

「妙です。あの竜巻、全然動いてません。それに、何か霧のような物をまとって………」

「霧? この暖かさでありますか?」

 

 他の乗員達も少しずつ疑問を口に出す。

 思わずみほはハッチから身を乗り出し、竜巻を凝視する。

 確かに竜巻はその場から全く動かず、更にその周囲を霧が立ち込めている。

 そして、霧の中に見える赤い光にみほは目を見張るが、更にそこから予想外の事が起きる。

 霧の竜巻の中から、戦車を思わせる車体と砲塔、そして転輪の代わりに四脚を持った、奇妙としか言いようのない物が次々と出てくる事に。

 

「な、なんですかあれ………」

「あれは何!? 大洗の新兵器!?」

 

 同じくハッチから様子確認のために顔を出したエリカも思わず叫ぶ。

 

「ウチにあんなのはありません! そもそもあんな戦車あったとしても、明らかにルール違反です!」

「じゃああれは…」

 

 車体全体に赤い縞模様を明滅させる、その奇妙な存在は四脚を驚異的な速度で動かし、向かってくる。

 その砲塔のような物が僅かに光ったのを見たみほは、瞬時に判断する。

 

「砲撃です!」

「え…」

 

 みほがハッチ内に飛びこむのを見たエリカも思わず車内に戻り、次の瞬間轟音と共にマウスに砲撃が命中する。

 

「撃ってきたであります!」

「何、乱入!?」

「何か変です! 沙織さん、回線をオープンに!」

「了解! でもさっきから何かノイズ入るし、携帯も通じない!」

「あら、私のも………」

「私も」

「電波妨害!?」

「ルール違反でありま…」

 

 Ⅳ号戦車内が騒がしくなる中、再度の砲撃が襲ってくる。

 

「エリカさん!」

『こちらも回線をオープンにさせたわ! けど電波状況がやや不安定! それとマウスにダメージが! まさかこれ、実弾!?』

『えええ!?』

 

 エリカからの通信に、あんこうチーム全員が思わず声を上げた。

 

 

 

「待てヘッツァー!」

「しつこい!」

 

 偵察に出たカメさんチームのヘッツァーが、黒森峰のパンターGに執拗に追い回される。

 

「何か、やけに絡んでくるね~」

「私ら、何かしたか?」

「何でしょう?」

 

 杏が首を傾げ、装填手兼砲手兼通信手の川嶋 桃が更に首を傾げ、操縦手の小山 柚子は小首を傾げる。

 

「忘れたとは言わさないぞ! 夏の大会の決勝戦、お前達が引っ掻き回したせいで、陣形崩して後で散々副隊長に怒られたんだ!」

『あ………』

 

 パンターGの車長が怒鳴ってくるのを聞いたカメさんチーム全員が思わず顔を見合わせる。

 

「そっか、あの時のか~」

「そりゃ、恨まれるわな………」

「どうする?」

「逃げよ」

 

 杏の判断と同時に、ヘッツァーが全速力で逃げに入る。

 そこへ、突然の通信が入ってくる。

 

「こちらカメさん、は? 試合中断? 竜巻?」

「竜巻?」

 

 桃が受けた通信に、杏はハッチから外に出て背後を見、そこから見える竜巻に気付く。

 

「黒森峰、後ろだ後ろ!」

「誰がそんな手に…え? 中断って今いい所……あ」

 

 そこでようやく自分達の遥か後方に見える竜巻に車長が気付く。

 

「どっちに来る!?」

「えと、これは…」

「ともかくこっちも中断! 密集するよ!」

「はあ!? なんであんたらと!」

「いいから! こっちとそっちのリーダーの指示!」

 

 杏が半ば強引に試合を中断させ、二両が並んで密集する。

 

「中に入ってハッチを閉める!」

「言われなくても!」

 

 互いに車内に潜り込んだ所で、杏が状況を確認。

 

「本隊とウサギさんの中間斜め前、って所かな?」

「ウサギさんは車内に退避確認したそうです」

「戦車なら飛ばされませんよね?」

「ま、念の為…」

「うん? オープン回線!? は? 妙な戦車が襲撃!?」

 

 そこで桃が何か慌てた口調で通信機に叫ぶ。

 

「………どういう事?」

「本隊が妙な戦車に襲撃受けてるそうです! 何がどうなって!?」

「会長!」

「本隊に合流、急いで!」

 

 杏の判断は即時、向こうも同じ判断をしたのか、二両の戦車が同時に動き出す。

 同時に、ハッチから双方の車長が顔を出して互いを凝視する。

 

「おい大洗! 脚付き戦車なんてどこから持ってきた!」

「ウチにそんなの無いって。そっちのじゃないの?」

「黒森峰にそんなゲテモノは無い!」

「じゃあどこかから乱入かね~」

「練習試合とは言え、戦車道協会の正式審判だぞ! 乱入した時点でペナルティ必須だ!」

「じゃあそれを知らないどっかのバカかもね~」

 

 杏の言葉が的を射ている事を、その場で知る者はいなかった………

 

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