第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮)   作:ダークボーイ

9 / 28
第二次スーパーロボッコ大戦 ガールズ&パンツァー編(仮) EP09

 

「ちょ、ちょっと」

「ミカ、これって………」

「いやあ、すごいね~」

 

 BT―42の車内で、継続高校の三人はそれを見ていた。

 再度発生した霧の竜巻の中から続々と現れる多脚戦車、更に一回り大きな物まで混じり、その数は明らかに最初に出てきた数を更に上回っていた。

 

「ど、どうするのこれ!?」

「どうするって言われても………」

「うん、風と共に逃げよう」

「了解!」

 

 慌てるアキとミッコに、ミカがあっさりと退却を進言、Uターンすると同時に全速力でその場を離れる。

 

「こちら継続! 敵の増援確認! 大部隊です! 数は不明、大型も確認しました! 繰り返します! 敵の増援の大部隊確認!」

 

 裏返った声で通信を入れるアキを見ながら、ミカは小さくカンテレを鳴らす。

 

「さて、間に合うかな………」

 

 普段から飄々として感情の読み取れないアキの頬に、一筋の汗が伝っている事に同乗者は気付いていなかった。

 

 

「継続から通信! 敵の増援の大部隊確認!?」

「だ、大部隊でありますか!?」

「しかも大型もいるって!」

「大型って………」

「どうすれば………」

 

 継続からの報告に、あんこうチームは騒然となる。

 もっとも、それはその通信を聞いた全ての者達も同様だった。

 

「増援、大型、どうすれば………」

『ちょ、ちょっとどうするの!?』

 

 考えるみほに、エリカから完全に狼狽した通信が入る。

 

『みほ、戦力を集結させろ。順次森に潜入、森林内で防衛戦に徹するんだ』

「分かったお姉ちゃん! 全車、集結しつつ森林内へ! 無駄な戦闘は絶対避けてください!」

「無駄な戦闘は確かに避けたいのですけれど………」

「避けさせてくれそうにない」

 

 華と麻子の言う通り、増援合流まで逃げさせまいとしてか、多脚戦車は苛烈な砲撃を浴びせてくる。

 

『こちら継続! 敵の増援がむちゃくちゃ速い! 合流出来そうにないから森林内に逃げ込む事にする! 恐らく数分以内にそちらに行くよ!』

「増援到着まで数分!? みぽりん、とても間に合わないよ!?」

「入れる戦車から森林内に入ってください! 戦列合流は森林内で…」

 

 みほの指示の途中で、突然そばから甲高い音が響き、続いて大きな音と振動が轟く。

 

「何事でありますか!?」

「今のは!?」

 

 思わずハッチから飛び出したみほは、そこで横転しているポルシェティーガーに気付く。

 

「レオポンさんがやられました! 乗員の人達は!?」

『こちらレオポン、全員無事………と言いたいけど、何が起きたか全く不明!』

 

 レオポンからの返信にみほが胸を撫で下ろす暇もなく、今度はマウスの方から同様の音が響いてくる。

 

「これは…」

『こちらマウス! 攻撃を受けてるらしいが、どこかから不明! 転倒しそうな威力! 冗談でしょ!?』

「そんな、どこから…」

 

 マウスすら鳴動する程の攻撃に、みほも理解出来ないでいたが、答えは意外な所から来た。

 

『こちら継続! 敵の大型が発砲してる! どこに…あ、ミカ!』

『ちょっと変わるよ。敵の大型、図体の割には砲身が長くて細い。それに発砲音が異様に甲高いね。多分長距離狙撃特化、しかも命中してるって事は精密ともつくね』

「長距離精密狙撃? なにそれ!」

 

 途中で通信を変わったミカからの報告に、沙織が思わず怒鳴る。

 

『マウス! 最悪車体を捨てろ! その様子だとそれほど持たない!』

『こちらレオポン! まずい! さっきの砲撃食らった場所、特殊カーボンの亀裂確認! 何発も食らったら危ない!』

『ミホーシャ! 何とか食い止めるから、早く撤退を!』

 

 各車からの報告が混乱に拍車を掛ける中、また新たに甲高い音が響き渡る。

 

「今度は何!?」

「いや、これはジェット音であります!」

「と、言うことは………」

 

 

「こちらホーク1、応答を。こちらホーク1!」

『ホーク2、こちらもダメだ! なんて電波妨害だ! どこの基地とも繋がらない!』

 

 要請により、スクランブル発進した航空自衛隊のF―15J二機が、目的地に到着と同時に眼下の光景に目を見張る。

 

「おい、どうなってる! なんだあの足のついた戦車みたいなのは!」

『オレが知るか! 謎の武装集団が戦車道の試合に乱入したとしか聞いてない!』

 

 まるでSF映画のような光景に、F―15Jのパイロット達はどうするべきか迷う。

 

『上く…の戦闘機パイ…ット、こちら西住流家も……住 しほ。現在……の勢力により、試合中……徒達に危険が……ている。責任が私が……ます。至急、武装集だ……攻撃を。繰り返します。責任…私が取ります………攻撃を』

 

 そこにノイズ混じりに響いてきた通信に、パイロット達は仰天する。

 

「聞こえたか今の!」

『西住流家元からの攻撃要請!? マジか!』

「どちらにしろ、このままだと下のJK達に危険が及ぶ! 責任は取るって言ってるんだ! 攻撃態勢に入る!」

『レーダーは使えない! 赤外線探知なら効くか!?』

「間違ってもJK撃つなよ! 特殊カーボンなら持つだろうが、基地に帰ったら間違いなくリンチだ!」

 

 覚悟を決めたパイロット達がミサイルの安全装置を外し、赤外線で目標を設定、大きく旋回しつつ降下し、迫り来る多脚戦車群の中央に狙いを定める。

 

「発射」

 

 声と共にスイッチが押され、放たれた空対空赤外線ミサイルが噴煙を上げて多脚戦車に迫る。

 直後に爆炎が上がり、パイロット達は機体を上昇させる。

 

「命中確認!」

『状況を確認の後、再攻げ…』

 

 そこで突然通信が途切れ、何気にそちらを見たホーク1のパイロットは、ホーク2を貫く閃光を見てしまう。

 

「な…」

『エンジンをやられた! 脱出する!』

 

 瞬時に判断したパイロットがコクピットから射出された直後、機体が爆散する。

 

「何が…」

 

 混乱するホーク1のパイロットだったが、そこで機体に急な振動と共に、閃光のような物が間近を通り過ぎ、機体がコントロール不能になる。

 

「攻撃されたのか!? くそ!」

 

 つい先程の光景を思い出したホーク1のパイロットは悪態を付きながら脱出レバーを引き、座席ごと射出された後、機体の爆散を見てしまう。

 

「一体、何が攻めてきてるんだ………」

 

 

「ああっ!」

「そんな………」

『ジェット戦闘機がやられたわ! あいつら、対空兵器積んでる!』

 

 上空に出現した2つの爆発に、それを見た者達が愕然とする。

 

『対空レーザーか。艦載用ですらまた開発段階、まさか戦車に搭載しているとはな』

『なかなか厄介な物を。無粋の極みですけれど』

 

 比較的落ち着いているまほとダージリンが何が起きたかを解析するが、事態は何一つ好転どころか、悪化していた。

 

「パイロットの人達は脱出してます! こちらも脱出する事を考え…」

「この砲撃の中では無理であります!」

「砲撃?」

 

 最悪、戦車を捨てる事すら考え始めたみほだったが、優花里の言葉にある疑問が浮かぶ。

 

(どうして、あれをこちらに向けて撃たなかったの? 砲撃よりもずっと確実なはず………)

 

 衝撃にはかなりの強度を誇るが、光学兵器耐性など考慮されてない特殊カーボンの弱点をついてこない相手に違和感を感じ始めたみほだったが、向こうにストライプに光る敵の増援が見え始めた事にそれを思考の隅においやる。

 

「全車全速で後退! 動けない車体は破棄して構いません!」

「西住殿!?」

「愛里寿ちゃん、先導お願い! あんこうチームは殿で遅滞戦闘を行いつつ、後退を…」

『その一両では無理だ。こちらも付き合おう』

 

 まほの指揮するティーガーがあんこうチームのⅣ号戦車に並んで砲塔を向かってくる敵軍へと向ける。

 

『ノンナ! 後退しながらありったけ撃ちまくるのよ!』

『動けない戦車の人達はこちらに!』

『こっちにももう少しくらいなら乗れるネ!』

『西住隊長の邪魔をしてはならぬ! 森林に向かって全力突撃!』

『これならP40持ってくるんだった!』

『みほお姉ちゃん、無理はしないで!』

 

 各自が各々の役割を自覚する中、敵の増援は最早間近まで迫っていた。

 

「す、すごい数………」

「倒そうとは思わないでください! 先程の戦闘機撃墜の報が入ったなら、自衛隊がもっと増援を送ってくれるはずです! それまで全員で持ち堪えれば…」

 

 砲手の華が照準器越しに見える敵影に手元が震える中、みほは半ば自分に言うように皆を鼓舞する。

 

「狙いは敵中央! 撃…」

『何あれは!?』

 

 号令を掛ける直前、響いてきた声にみほは号令を中断してしまう。

 

『みほお姉ちゃん! 森林内部、妙な物が発生している!』

 

 愛里寿からの通信に、みほは思わずハッチから飛び出し背後を見る。

 皆が飛び込もうとしていた森林の内部、そこに壁のように渦のような物が発生していた。

 

「あれは…」

「今度は何だ?」

 

 同じく隣でハッチから背後を見るまほも何か分からずにいた。

 

「! 敵群の動きが遅く、いえ停止!」

「ど、どういう事でありますか?」

 

 照準器を覗いていた華の報告に優花里も困惑する。

 

『渦の中に何かが見える!』

『まさか、また何か現れるのか!?』

 

 渦の方を見ていた者達が口々に叫ぶ中、渦の中から何かが飛び出してくる。

 

「パンツァー・フォー!」

 

 彼女達にとって聞き慣れた言葉と共に、軍服姿に足にキャタピラのような物が付いたユニット、そして手に小型砲を持ち、しかも頭部に動物の耳、そして尻尾を持つ少女達が次々飛び出し、脚部のキャタピラユニットを回転させて戦車の隙間を縫いつつ、一気に抜いていく。

 

「………何あれ?」

「さあ………」

 

 全く予想外の事態に、ハッチから顔を出していたエリカと愛里寿も呆然とする。

 

「大丈夫ですか!? 増援に来ました! 後は私達にお任せを!」

 

 呆然とする二人の真横に止まった、軍帽に手に三八式歩兵銃を持った中途半端に二次大戦時の日本兵のような格好をしたメガネでウサギ耳の少女が声を掛けると、再び駆け出していく。

 

「ちょ、ちょっと! 貴方達何者!?」

「あ………」

 

 我に帰ったエリカが叫ぶが、誰も答える者がいない中、今度は愛里寿がそれを見て声を上げる。

 

「まだ何か…」

 

 エリカがそちらを向こうとした時、甲高いエンジン音と風切り音を響かせながら、何かが上空を通り過ぎていく。

 

「飛んでる………」

「飛んでるな………」

 

 上空に、同じく軍服姿に手に機関銃、そして足にプロペラのついたユニットを履いた少女達が多脚戦車群へと向かっていく。

 

「そこの貴方達!」

 

 声をかけられ、二人が同時に振り向くと、そこに同じように足にプロペラのついたユニットを履いた、巫女装束のような姿をした若い女性が間近でホバリングしていた。

 

「この部隊の指揮官はどこ!?」

「えと…」

「前方のⅣ号戦車!」

「ありがと!」

 

 思わず言葉に詰まるエリカに変わり、愛里寿が答えたのを聞いた巫女装束の女性はそちらに向かっていく。

 

「何がどうなってるの………」

「………反転! 増援部隊と合流して!」

 

 完全に呆然とするエリカだったが、愛里寿は即座に操縦手に反転を指示する。

 

「ちょっと!?」

「反撃開始だよ!」

 

 愛里寿の言葉に、退避しようとしていた者達が、次々と反転を開始する。

 そして、渦の中からは更なる影が飛び出そうとしていた………

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。