ーー両チーム ラインナップ
総武高校 山武高校
1 中 大岡 捕 有藤
2 二 園田 一 河田
3 捕 瀬谷 遊 東阪
4 左 友永 右 遠藤
5 遊 鬼頭 投 榎田
6 投 衛藤 三 小山
7 一 諏訪 中 浜
8 三 尾関 左 柳瀬
9 右 比企谷 二 金山
ーー1回 表 山武高校の攻撃
「衛藤先輩。山武高校は追い込まれてもフルスイングしてくるチームです。その分チーム打率は低いですが当たれば長打になることが多いので高さだけは気をつけてください」
「わかってるよ。瀬谷こそ後ろそらすなよ」
「誰に言ってるんすか。そんなへまはしませんよ。じゃあしっかり頼みますよ」
「おう」
キャッチャーがポジションに着き試合が始まる。
「プレイ!」
1番キャッチャー有藤
(今日の衛藤先輩はストレートの走りがいい。先輩にはコースに気をつけろと言ったが今日の球威だったら多少甘く入っても打ち取れるだろう。よし。インコース多めで詰まらせよう)
衛藤が振りかぶり球を投げる。投げた球は要求通りインコースに行きバッターたまらず見逃す。
(衛藤先輩の球に驚いてるな。よし。もう一球インコースだ)
続けて同じ球を投げる。バッターはスイングをしファールになる。
(よしよし。コントロールが安定してるな。外角へボールになるスライダーでカウントを整えよう)
外角へのスライダーは少し外に逸れてしまったが相手のバッターが手を出し三振する。
「おし!」
ピッチャーの衛藤が三振をとり軽くガッツポーズをする。
(ちょっと外に逸れたがバッターが振ってくれて助かったな。今日はあまりストライクで勝負する必要はないかも)
この後の二番バッターは一球目に手を出しキャッチャーへのポップフライでアウトになる。
(予想通り多少ボールでも手を出してくれるな。しかし次の東阪はいいスイングをしている。慎重にいこう)
3番ショート東阪
瀬谷は外角にボール気味に構える。
(衛藤先輩。甘くならないように大きめに外してくれ)
そうして東阪に投げられた一球目は瀬谷の構えたところより内側に入りバッターにインパクトされる。
「しまった!」
しかし球はライト線ギリギリファール側に落ちる。
「ファール!」
(ほっ。助かった)
「衛藤先輩!もっと厳しく!」
衛藤は今ので少し気合いが入ったのか、真剣な顔で頷く。
(しかし今のライト線の打球で比企谷先輩一歩も動かなかったな。比企谷先輩は本当に立ってるだけのつもりなんだろうか…)
(本当に立ってるだけならできるだけならライトに打球がいかないようにリードしなければ)
比企谷side
(…やっぱ打球が来ると体が動こうとしちまうな。長年やってきたから体が覚えてんのか。今は運良くファールになったから体が止まったがもしフェアゾーンに来たら俺はどうするんだろうか…。もう野球なんてやらないって決めたのになぁ…体が勝手に動いちまうよ)
瀬谷side
続いての2球目と3球目はボール気味に投げたがバッターが振らずカウントがツーボールワンストライクになる。
(このバッターよく見て来るな。流石中軸と言ったところか。よし。ここで外角一辺倒はやめて次はインコースにストレートのクロスファイヤーだ)
瀬谷はインコースギリギリにミットを構える。
(よし!恐れずに投げ込んで来てください!)
バッティングカウントになって4球目、衛藤はしっかりとインコースにボールを投げ込む。しかし東阪はその球を捉えてレフト方向へ引っ張る。
(なっ⁉︎今のを捉えるのか!)
「レフトォ!!」
打球はレフトへと勢いよく飛んでいく。が途中で打球の勢いが弱まっていき、レフトの友永が追いつき危なげなくキャッチする。
「アウト!チェンジ!」
(危なかった。意外と詰まってたのか…。あの東阪というバッターは要注意だな)
「衛藤先輩!ナイピッチです!今みたいにしっかりと投げ込めれば大丈夫です!」
「ああ。最後のはちょっとビビったけどな」
衛藤はホッとしたように息を吐く。
1回の表、山武高校の得点は0
ーー1回 裏 総武高校の攻撃
「由比ヶ浜さん!お茶汲んだやつ選手の皆さんに持って行って!私も持っていくわ!」
「りょーかいゆきのん!皆さんお茶どうぞー!しっかり水分補給してね!」
「おおう。張り切ってんなお前ら」
「私達はあなたと違ってこれくらいしかやることがないからこうゆうとこで貢献するしかないのよ」
「いや。俺より貢献してんだろ。俺なんて外野で突っ立ってるだけだしな」
まぁちょっと動きそうになったけどな。いやあれはノーカンだなノーカン。
「突っ立てるだけといってもあの場に立ってるだけでも緊張するでしょ?それに比べたら私達なんて応援とお茶汲みぐらいで本番特有の緊張はないわ」
…久しぶりの雰囲気で少し緊張してたのはまぁ間違いじゃないな。
「いやー!あたしはヒッキーのとこ飛んでいくかハラハラしてたよー!やっぱ身内って言うか知ってる人が出場してると見てる側もちょっとドキドキしちゃうね!」
「あーその気持ちはわからんことないわ。俺も小町がもしスポーツやってて小町になんらかの出番があったら緊張してると思うわ」
「二人ともうちの攻撃が始まるから応援するわよ」
「おう」
「うん!」
1番センター大岡
大岡side
(…1番としてのセオリーは球数を稼いでいろんな球を引き出すことだけど…)
相手のピッチャー榎田が投球モーションに入る。
(甘い球が来たら思いっきり引っ叩く!)
榎田から放たれた球は甘く入ったカーブでその球を大岡は見逃さない。
(来た!好球必打!)
大岡はそのカーブをしっかりとインパクトしレフト前へとヒットを放つ。
「よーしぃ!」
「大岡ナイバッチ!」
「いいぞ大岡!」
総武高ベンチが大岡のヒットで盛り上がる。
比企谷side
(大岡のやついいスイングしてんな。大振りにならずバットがボールまで最短距離で出てて無駄なところがない。まぁただフォロースルーが小さいから長打は出ないだろうがな)
続いての2番バッター園田はバントを1回目は失敗したが2回目でしっかりと決める。
ワンアウト2塁
3番キャッチャー瀬谷
瀬谷side
(…今日の試合、別に勝つ必要はないかもしれない。3年の先輩が辞めて人数も足りてない。だから負けてもしょうがないかもしれない。…だけどこんなところで負けたらこれから当たるであろう並いる強豪高校を倒すことなんかできやしない!だから今日は絶対勝つ。比企谷先輩が力を出さずとも勝ってやる!)
ピッチャーが投球モーションに入る。
(比企谷先輩見ててください。今の俺の本気を俺の野球への情熱を!!)
ピッチャーの渾身のストレートを瀬谷はフルスイングで迎えうち、真芯で捉える。
捉えた打球はセンターの頭を越していき、フェンスまで飛んでいく。球はフェンスに当たり転々としてるうちに2塁にいた大岡がホームまで帰ってくる。瀬谷のタイムリーツーベースヒット。
総武 1ー0 山武
その後の4番友永はライトへの犠牲フライで2アウト。続いて5番の鬼頭は外角の厳しい球を捉えるも運悪くショート正面のライナーで3アウトチェンジ。
「よし!点とった後の回をしっかりと抑えるぞ!」
『おーし!!』
比企谷side
(瀬谷のやつ…。打った後俺の方見てたな…。あいつが俺に抗議してるのか。あいつはあんな不幸なことが起きたのに今でも立ち上がって戦ってる。俺は立ち上がることができずくすぶってる。……俺はこのままでもいいんだろうか。俺も立ち上がるべきなんだろうか…。だけどもうあんな思いはしたくない……。くそ。俺はどうしたらいいんだ)
苦悩する八幡。八幡は瀬谷の野球への情熱を感じとりどう行動するのか。
次からもう少し物語のテンポを上げられるようがんばります。