幼馴染と姉と共に歩む軌跡   作:灰原衛宮

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※今回は嘔吐などの表現があります。
それらのことを踏まえてお読みください。
それでは、どうぞ


6.気づかれない方が幸せ

公園を出てすぐの事だった。

ものすごい強烈な吐き気に襲われた。

「うっ、おぇ」

俺は道の端で嘔吐する。

しかし、嘔吐したものが問題だ。

俺が口から出したもの、それは、花である。

ああ、またこれか、よく俺の体もここまで耐えれるよな。

嘔吐中枢花被性疾患、通称、花吐き病。

これが、俺の体は長くないと言った理由だ。

どうやらこの病気、自分の思っている事に1番近い花を吐くらしい。

最近、というかほとんどずっとだが、リナリアという花を吐くことが多い。

花言葉は「この恋に気づいて」という意味。

だけど、俺は、気づいてほしくないと思っている。

なぜなら、誰にも迷惑をかけたくないから。

死ぬ時は....誰にも見つからず、静かに死んでいきたいかな....

でも、これを吐き続けるってことは、心のどこかでは、そう願ってるってことなのかな、さっきも涙を流してたし。

俺はそう思いながら、道を歩き始めた。

 

「ただいま」

俺が玄関を上がると、姉さんが俺を出迎えてくれた。

「おかえり、夕飯出来てるから早く食べましょう」

「わかったよ」

そう言って俺はいつも食事をしているテーブル席に向かう。

「....姉さんが作ったの?」

「ええ、そうよ」

明らかに姉さんにしちゃ出来すぎている。

....母さんに手伝ってもらったな。

そう思いながら俺は夕飯を食べ進めた。

 

夕飯を、食べ終わってすぐ、姉さんは真面目な表情になり、俺に言った。

「さて、正人今度こそ、ちゃんと聞かせてもらうわよ?」

「....何のことかな?」

「とぼけないで、私にも説明したことが全てじゃないんでしょ?リサからも連絡があったわ」

....まさか、姉さんにもう連絡するとは、リサは仕事が早いなぁ。

「ねぇ、正人....もう長くないってどういうこと?」

「それは....」

言えるわけない....

姉さんに心配かけさせられない。

いや、姉さんだけじゃない。

させちゃいけないんだ。

「それと、正人の部屋から見つかったわ」

そう言って姉さんが俺に見せて来たのは、俺が病院に言った時の診断書だった。

そこには、しっかりと俺が花吐き病であることが記されている。

「もう言い逃れはできないわよ、どういうことか包み隠さず、説明して」

やばい、完全に姉さんが怒ってる。

それもそうか、こんなこと隠されてたんだし。

まあ、もう隠すだけ無駄ってことか....

「わかった、でも、覚悟してよ、この話はまだ誰も知らないから」

「....わかってる」

「なら言うよ、俺が今、抱えている病気は花吐き病、正式名称は嘔吐中枢花被性疾患って言うんだけど、まあそこはどうでもいいや、この病気はまあ簡単に言えば花を嘔吐してしまう病気で、吐き続けていると、やがて俺は死んでしまう、だから、俺は今日のライブで、音楽から手をひいて、残った人生を楽しもうと思ってた矢先に、姉さんに気づいたって感じ。あとは、前説明してたのと変わらないよ」

「....なんで黙ってたの?」

「心配かけさせたくないからだよ」

「....そう」

そう言って姉さんは顔を下げ、そのまま、俺に抱きついてきた。

「え?ちょっ、姉さん?」

「....馬鹿ね、もっと頼りなさいよ」

そう言ってる姉さんは....泣いていた。

俺は泣いている姉さんを包み込むように抱きしめる。

「....ごめん、こんな悲しませるようなことして」

「....ほんと、こういう時だけ、男っぽいわね」

「それは余計な台詞だ」

「....もう少し、このままでもいい?」

「....いいよ」

そう言って姉さんは俺を抱きしめる力を強くした。

俺の残る時間は....あと数日だろう。

それまで、頑張って生きよう。

そう思いながら俺は姉さんを抱きしめる力を強くした。

……To be continued




という訳でいかがだったでしょうか?
連続投稿なんて珍しいな俺w
それではまた次回お会いしましょう

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