遠月に入って間もなく【十傑】第十席になりました。   作:ヘビトカゲ

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2話

これはどういう事なんでしょうか、僕を十傑の第10席に任命したいですか…うん、心のなかで復唱してみましたけど、理解できないのは変わりません、それが当たり前ですよね。もしも、この白髪の方が言われた事が本当ならおかしな話です、確か遠月の十傑に選ばれる方々は、学園内で優秀な、華やかな成績を収め、貢献している方達です、なのに入学したばかりの僕が第10席になるって事は、伝統違反、ルール違反ってことになる気がしますよ、僕なんかより凄い人は遠月の中に居られると思いますから。

 

「野走君?僕の言葉意味、理解出来てるかな?」

 

「あーー、はい、はい……」

 

まずい、まずいですねーー、なんでしょうかこれ、威圧的?威厳的なオーラを放っていらっしゃるこの方。そしてそれと同様なオーラを放ちながらずっと僕の方に視線を向けて来られている他の方々。どうしましょう、何というかこの場で「お断りしますー」とは言えない雰囲気…気まずさだけが針のように突き刺さるこの感覚ーー、いや〜〜帰りたい〜〜。

 

「これは君にとっても良い話なんだ、将来を考えたとしても十傑の席に座れているという功績は必ず役に立つ。だから、難しい事は考えずに頷いて返事をするべきだと思うよ」

 

「あーーー、はい、わかりました、十傑第10席の任命を受け取らさせていただきます」

 

言ってしまったよ、受け取ってしまったよ、完全に押されましたね、雰囲気に呑まれてしまいました。この方々何が気になるかというと、目、目が凄い、なんか獣のような野生的な視線を一斉にぶつけられたら…まあ、こうなりますね、もう仕方ないです、諦めます、入学早々、僕は遠月第十席になりました、なってしまいました、この現実を暖かく、穏やかに受け止めることにしましょう。まあ、受け止めたくないんですけどね、これは心が落ち着くのに時間がかかりそうです。

 

「よし!じゃあ決定だね。これで君は、今日から僕達十傑のメンバーになった、僕の名前は、司 瑛士、改めてよろしくね野走君」

 

「…よろしくお願いします」

 

「取り敢えず、今から十傑になるという事についての詳しい説明を僕がしていくから良く聞いててね、長くなるけど」

 

「ああ、はい、わかりました」

 

「んじゃ、私らはもう行くぞーー、ていうか最初っから司一人で十分だっただろ〜〜」

 

「全く…時間の無駄だったな」

 

「ももには、どうでも良い事だった…」

 

 

 

あーー、二人きりになってしまった、人数は減ったから緊張が解けると思ったけど、変わらないですね、でもまあ、慣れていく、慣れるしかないんですけど……。

 

 

 


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