Promise tale   作:柴月
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サンズの変化について(サチも出るよ!

本編どうぞ


六話 change

「Saaaaaaaaans!]

 

何度も聞いた声がリビングでくつろいでたオイラの耳にこだまする。

 

「sans!まだ靴下洗ってないのか!」

 

「ん?ああ今日は靴下君が洗われたくないってさ。」

 

「ウソ!昨日もおとといもしおとといもししししししおとといもそんなこと言ってたでしょ!」

 

「静かにPapyrus。」

 

「Nye?何だ?人間が来たのか!?」

 

「ほら、シーーーー(・・・・・)

 

「Saaaaaaaaans!!!」

 

いつものやり取りを交わし、いつも通り(・・・・・)にオイラと兄弟は過ごしていた。外に誰かの気配はなく、ただ騒がしいのはこの家だけだった。

 

「全く、俺様が帰るまでには靴下出しといてよ!」

 

「ああ」

 

「帰ってくるときはあのニンゲンも連れてくるからね!」

 

「…ああ。」

 

Papyrusは勢いよく玄関の扉を開け、外へ出ていく。寸前、立ち止まりオイラに向き直った。

 

「あ、兄ちゃん!」

 

「どうした兄弟?」

 

Papyrusはそこで一度息を吸った。

 

 

 

「もし、俺様の帰りが遅かったら俺様の代わりに洗濯ものしといてね!約束だぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の瞼が重く持ち上がった。全身が重く感じる。手のひらを見るとそれは人間の物だった。

 

「ああ、クソッ…」

 

なんでまた(・・)あの夢を見るんだ。

オイラはすっかり陽が沈んだ鋼鉄の浮遊城で粗末な小屋の中にいた。どうやら昼寝して、そのまま日が暮れるまで寝過ごしていたらしい。

 

あの夢を見たのは今回が初めてではない。

毎回、フロアボスが攻略された時に寝ると兄弟の夢を見る。それだけならまだいいが、今回は層の攻略云々とは全く違う時に起きた。ずっと心に隠していたモノが、今になってあふれ出そうになった。

 

 

約束。オイラがそれを交わしたのはあのおばさんだけじゃない。Papyrusにも知らずに交わしていたのだ。兄弟との約束を守り切れなかったという事実が余計、オイラの(ソウル)をかき乱していく。

 

だからこそ兄弟との二つ目の約束をないがしろにしてはいけない。そう心が訴えてくる。だが、頭ではそんなこと守れるわけがないという考えも生じてくる。

 

結局オイラはどうしたらいいんだ。このセカイで生き続けるのか、それとも消えるか。

 

 

 

オイラは夜遅く、一人で俯いた。

 

しばらく俯いていると人の足音がこちらに迫ってくるのが聞こえた。

 

ちらりとそちらを見ると足跡の主は深い青色の髪をした、少女だった。街灯の明りが届かず暗いせいで顔は見えないが、少女は力ない足取りで小屋に近づき、そこで背中を小屋に預け座り込んでしまった。

 

「………。」

 

少女は何も言わず、ただ体育座りをして俯いているだけだった。

 

「よお嬢さん?」

 

少女の背中が一際強張り、オイラの方をゆっくり振り向いた。

その顔を見てオイラは思い出した。

 

ちょうど今朝、キリトと数人の人間が一緒になってホットドッグを買いに来たのだ。聞いてみるとキリトは月夜の黒猫団とかいう中層ギルドに入っていたらしい。自分が攻略組であることを伏せて、だ。その中で唯一の女性が今、目の前にいる奴だったのだ。

 

相手もオイラの顔を見れたらしく、申し訳ない顔で頭を下げてきた。

 

「す…すみません。勝手にお店によっかかったりして。すぐに退きますから。」

 

「あー、ちょいと待ちな。」

 

どこかへ足を運ぼうとした少女をオイラは呼び止めた。

 

「ちょうどこれを試食してくれる奴を待ってたんだ。一つどうだ?お代は、≪こんな深夜にもオイラの店に来てくれるリピーターさん料金≫でタダだぜ。」

 

オイラは卵をソーセージ代わりにしたホットエッグ(・・・・・・)を少女に差し出した。少女はしばらく訝しんでいたが、ホットエッグを手に取り小さな口で咀嚼した。

 

「………おいしい。」

 

「気に入ってくれて良かったぜ。」

 

次々とホットエッグを頬張り続ける少女にオイラは声をかける。

 

「…嬢ちゃん。何でこんな夜遅くに外にいるんだ?よいこは寝る時間だぜ。」

 

少女は頬張るのをやめ、静かな声音で話した。

 

 

 

 

「なるほどな。自分は皆の役に立ちたいけど、でも死ぬのが怖いと。」

 

オイラの言葉に少女はコクリと頷いた。

 

「…諦めちまいなよ。無理するの。」

 

「…え?」

 

少女が疑問の声を出し、オイラは手を後ろに組んだ。

 

「オイラさ、言っちまうけど現実?っての覚えてないんだ。家族の顔も名前も、自分の名前もな。」

 

厳密には知らない(・・・・)と言った方が正しいが。

 

「これって‘きおくしょうがい’ってやつだろ?言っちゃなんだけどさ、知りもしない奴らのために必死こいてここから出ようなんて気になれるか?

無理だよな。なら、自分が望むことをすればいいんだよ。これはゲームだろ?ゲームなら、自分のやりたいことやろうぜ?後で後悔して嘆くより、やりたいことやって嘆いた方が良くないか?」

 

そう言い締めくくると、少女は立ち上がった。

 

「ありがとうございます。こんな私の愚痴に付き合ってくれてアドバイスもくださって。」

 

「いいってことよ。またな。」

 

「はい!」

 

少女は相変わらず頼りなさそうな、しかしどこかしっかりした足取りで戻っていった。

 

 

 

 

「………なにがゲームなら好きなことやろうぜ、だ。」

 

少女の背中が見えなくなったところでオイラは小屋のカウンターを叩き付けた。

 

これじゃアイツのやってたことと同じじゃねえか。

ゲームであろうと、世界を自由にできようと(セーブ&ロードできようと)、犯した罪は決して消えない。

 

 

「………変わっちまったな、オイラ。」

 

 

 

そんな独り言は夜の闇に消えていった。




そろそろ学校が始まるのでもうこのペースでは投稿できないかもしれません。
なるべく遅れないようにするので待っていてください!

ではまたいつか

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