「行くぞ!」
俺の言葉を合図に俺とユランは左右に走り出す。
ユランにはあるポイントを目指してもらい俺は怜奈に向かって突き進む。
「いくら向かってきても無駄ですよ!」
怜奈はチャクラムをいくつも俺に向かって投げてくる。だが、
「どうして!?当たらない!」
俺は周りの糸にも引っ掛かることなくチャクラムを避けていく。これにはある秘密がある。俺たちが受けていた攻撃は大きく分けて3パターンの軌道を描いていることに気付いたのだ。その軌道を描くところは糸が張られていない。糸さえなければ簡単に避けられるというカラクリだ。
「はああ!!」
俺はすかさずアクセルスラッシュを発動させる。次の瞬間には一瞬で距離を詰め怜奈に接近する。そのまま、剣を降り下ろす。だが
「クソッ!糸か!」
あらかじめ張られていた細い糸によって、俺の一撃は阻まれる。その瞬間怜奈が笑みをこぼす。
「これで終わりです!」
怜奈はバックステップをし、距離を取ってから一気に俺の方へ全てのチャクラムを投げつけてくる。迫り来るチャクラムを見ながら、逆に俺はニヤリと笑う。
「ざーんねん、それはこっちの台詞だ!」
俺はアクセルスラッシュをもう一度発動させる。しかし今度は発動させる方向を怜奈の方ではなくその真逆へと。俺はスキル効果で後ろへと、吹っ飛ぶ。だがチャクラムはそれに追随し、距離を縮めてくる。そしてある瞬間。
「ユラン!今だ!!!」
俺はユランへと、合図をだす。
「了解しました!ハウルディフェンド!」
ユランが職業スキル、ハウルディフェンドを発動させる。これは相手の放たれた武器や遠距離魔法を自分に誘導する技だ。騎士の誇りはモンスターのヘイトを集める技なので区別されている。このスキルにより、俺に向かっていたチャクラムはユランへと、方向を変え向かっていく。
「そんなことをしてもやられる順番が変わるだけですよ!」
怜奈は余裕の表情をしていたが、その光景を見て、驚愕する。
「嘘ッ!?」
そう。ユランに向かっていたチャクラムは全てそこらに張られていた糸によって全て阻まれ地面へと落ちていた。これが作戦だったのだ。ただ、全てのチャクラムが放たれるか心配だったが怜奈が慢心してくれたおかげで、上手くいった。
「これで終わりだ」
俺はアクセルスラッシュをありったけのMPを詰め込み、発動させる。
前面にあった糸に降り下ろすと糸は容易く切ることができた。なぜ簡単に切れたのかは単純に猪狩くんのMPが尽きたのだろう。恐らく猪狩くんは糸が触れられた部分へ自動的に魔力を流し、その一部分だけを強化していたのだ。それにより、相手に糸全てに魔力が込められていて切ることが出来ないと見せかけていたのだ。そしてチャクラムによる同時にいくつもの場所で糸に攻撃を加え、自動的に魔力流すようにしたせいで、根こそぎそこの糸を維持するのに魔力を奪われたのだろう。
速度を落とすことなく、糸を切り怜奈へと接近する。
「はああああ!」
「きゃあああああ!」
降り下ろされた剣は怜奈のHPを一気に刈り取った。
「怜奈ちゃん!」
猪狩くんが堪らず近づくが、
「どこを見ているのですか?」
猪狩くんのすくそばにはユランが肉薄していた。
「しまっっ!」
猪狩くんはすぐさま下がろうとしたがもう遅い。ユランはスキルを既に発動させていた。
「クロスエッジ!」
「うあああああ!」
十字を描くように放たれた剣が猪狩くんへクリティカルヒットし、猪狩くんのHPも0になる。
「勝者!ユラン・シルビオル、桐生司ペア!!」
久保の宣言と同時に会場が歓声に包まれる。
「やったな!」
「やりましたね!」
歓声の中、俺とユランはハイタッチを交わす。