って考えたら発作的に書いちったw(プロット制作:15分,本文制作:47分)
『ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って。それでもどうしようもないときは……』
なぜだろう。こんな時にあいつの言葉を思い出した。
目の前にはガッツさんたちみんなと一緒に力を合わして倒したはずのシャドウジェネラル。一緒にGIRLSから帰る途中だったミクちゃんもウィンちゃんも……そして私も地に倒れ伏している。
ガッツやピグモンさん、レッドキングさんやキングジョーさんのみんなと力を合わしてガッツの分身体を乗っ取ったシャドウジェネラルを倒したあの日から数か月。
僕はあれから少しでも強くなろうと頑張ってきた。それはミクちゃんもウィンちゃんも一緒だ。けれど、それは今目の前にある現実において否定された。
「く……」
「カハッ…」
ミクちゃんは口から血を零しながら倒れ、ウィンちゃんは気を失っている。そして僕は今、お腹の上を抑え込むようにストンピングを繰り返されていた。
「アギ……ちゃん…!!」
ミクちゃんは必死に立ち上がろうとするけれどダメージが大きすぎるからかその場に再び崩れ落ちてしまう。
「…………」
シャドウジェネラルは粒子をまき散らしながら僕を何度も何度も踏みつける。そして僕の体はそれにあらがうだけの力も残していない。
ただ……これだけは………
これだけは言いたかった。
『俺の名前を呼べよ。』
「助けてよ大地……」
勢いよく振り上げられた足に対してぽつんと零すように口から出た言葉。それはとても小さくて、誰にも届きそうも無い言葉。
だけど
「………?」
来ると思っていた衝撃は来なかった。だけど代わりに
「キシャァーーー!!」
何処からか飛来した紅い閃光によって目の前のシャドウジェネラルは吹き飛ばされていた。
「あ……あ……」
体の奥底に眠っているカイジューソウルが「ここから逃げろ今すぐに。少しでも
「だい……ち?」
最初に執拗に攻撃されたせいで痛む変な方へと曲がってしまった左腕を押さえてそうポツリとつぶやく。その零した言葉に応えるかのように赤と銀の人影となった閃光は
「ジュワッ!!」
の掛け声とともに着地。そして周囲に突発的かつ小規模な地震を引き起こした。
「うわっ!?」
揺れによって体が跳ねあげられ、今度はうつぶせに倒れてしまう。
「イタタタタ……え…」
ダメージで痛む体を無理やり動かしてシャドウジェネラルがいる方を見るとそこには、銀地に赤色の紋様が浮かび上がり、所々に金色のラインを走らせた背中が僕を守るかのようにシャドウジェネラルを抑え込んでいた。
「キシャー!!キシャー!!」
あの時と違ってシャドウジェネラルはそんな奇声を上げながら目の前に立つ何者かにつかみかかるけれども、
「デュアッ!!」
目の前のその誰かはその掴みを的確にさばき、カウンターで肘を入れたりなどして着実に攻撃を加えている。しかし、シャドウジェネラルはその体の一部から彼のガードを抜けて触手を伸ばして僕を狙ってきた!!
「あ!!」
「デュアッ!?」
当たる!!そう思って目をつむり、少しでもダメージを減らそうと顔の前に手を当てる。
………しかし、攻撃は
「デュゥッ!」
衝撃の代わりに耳に聞こえてくる苦悶の声。ゆっくりと目を開き、顔の前に合わせていた獣殻に覆われた手越しに前を見るとすぐ近くに青く光る逆三角形の塊。そしてそれを囲むように描かれた紋様。最後に僕のすぐ横にある金色の楕円状のラインが二本入ったとんがり頭。
あの赤い閃光が変化して僕を庇うかのように戦っていた誰かが僕の代わりに触手の攻撃を受けていた。
「デュゥッ!」
触手が直撃するたびに彼は苦悶の声を漏らす。
「なん…で……」
みんなが倒れちゃった今。ボクがやらなきゃ……いけないのに…
そう思いながらボクが立ちあがろうとしたその瞬間だった。
「デュアァアアアアア!!」
雄叫びを上げながら彼は後ろ手に触手を掴み、一気に体を反転させて触手を左手に巻き付けた。そしてそのままの勢いでシャドウジェネラルへと頭から突っ込んでゆく。頭から突っ込んでいきながら彼は回転し、その身がドリルであるかのようにシャドウジェネラルを貫通した。
貫通してすぐに彼は土煙を挙げながらこちらを向きながら額に両腕をあてつつ屈み、勢いよく後ろへと上半身をそらしてから前へと突き出した。
それに連動するかのように頭部の尖ったところから飛び出した赤い光の
「うわぁっ!?」
そのあまりの威力にボクは爆風だけで再び吹き飛ばされて転がっていく。
「………」
転がるのが止まってやっと顔を上げたボクが見たのは彼が息を切らすかのように肩を上下している様子だった。
ゆっくりと立ちあがってさっきまでシャドウジェネラルがいた位置を見る。そこには少し焼き焦げたかのような跡があることを除いてもうなにも存在していなかった。
「………」
ボクがそんな状態の地面を見て唖然としていると、彼はちらりとこちらを見てから赤い光の粒子となって消えていこうとしている。
「待って!!」
ボクがそう声をかけるも彼は
「ダッ!!」
そんな掛け声を挙げて光になって消えながら西の空へと飛んで行ってしまった………
「あれって……ウルトラマン…?」
前にカイジューソウル関係のデータベースを探しているときにピグモンさんに見せてもらった
「アギちゃん!!」
「………あ、ミクちゃん。」
その場に呆然と立ち尽くしていたボクをミクちゃんが心配して肩を叩き、ボクはそれで漸く現実に復帰した。
「ウィンちゃんはおなかを強く蹴られたから内臓を痛めてるかもしれないけどソウルライドしていたからそんなに重症じゃないだろうってさ。ただし万が一に備えて病院にだって。それで私もそうだけどアギちゃんも結構やられてたから病院に一応行きなさいってピグモンちゃんが。」
そう言いながら心配そうにこちらを見るミクちゃん。ボクはそれに対して
「うん。」
と答えてミクちゃんと一緒に赤いランプが光っている方へと歩き出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
アギラの怪獣娘、宮下アキ。ミクラスの怪獣娘、牛丸ミクの両者がソウルライドを解除したとたんにダメージの反動で救急車の中で倒れてしまったのと同時刻。彼女たちがいた場所から少し離れた道で一人の青年が膝から崩れ落ちて四つん這いになりながら息を切らしていた。
どこにでもいそうな雰囲気の黒髪のその青年は何か激しい運動でもしたのか、それとも恐ろしいものでも見たのか顔色は真っ青で汗を大量に掻いている。
「はぁ……はぁ……」
ほんのり点った街灯でぼんやりと見えるその瞳孔は開いており、心臓がおかしなビートを刻んでいるのか、呼吸も浅く、回数がとても多いものになっている。
「……はぁ……」
少しの間その体勢のままで青年は呼吸を荒げていたが、口もとを手でぬぐいながら立ちあがり、ポケットの中に入っていたものを取り出す。
「……これが地球の意思ってことなのか…?」
誰に告げるわけでもなくそう青年は呟くと握りしめた光電子管を再びポケットにしまい直し、やけに背中を気にしながらゆっくりとした歩みですぐ近くにあった城南大学と書かれた看板が置かれている校門をくぐって行った。
「………あの青年……今光に包まれて現れた…?」
青年が校門をくぐってから数十秒後、最強の怪獣と呼ばれた宇宙怪獣ゼットンの怪獣娘が現れ呟いたことを見られていた張本人である彼を含めてまだ誰も知らない……
感想が欲しいです。