その二つがあったので書きました。今回は資料集めとかやりながらやってたから2時間ぐらいかな?かかったの。
今回はあまりアギちゃん出てきませんし、怪獣娘要素は薄いですけど前話の謎の解明の手助けになればいいかな…と思います。
「高山!お前本当にやるつもりなのか!?」
「えぇ。これに関してはひぃじいちゃんが『実験したかった…いや、しないといけなかった…』って言い残して死んだのにじいちゃんも親父も怖気づいて起動させようともしなかった。だから俺がやらないといけないんです。」
そう言いながらも俺は手を休めない。それに起動させようとしている理由はもう一つある。
……実は最近寝苦しい夜に夢である光景を見たのだ。
大量の崩れてしまったビル、火が立ち上る道路、そしてたくさんの死人と動かなくなった怪獣娘と目の前で
『うわぁあああ!?』
その日、大きな叫び声をあげて目を覚ましたのは未だに記憶に新しい。
ひいじぃちゃんは俺と似たような夢を見て何かにとりつかれたかのようにこの装置を作ったとひいばぁちゃんから聞いている。ただ、結局作ることができても原因不明の不調により装置は起動しなかったそうだが。
ひいじぃちゃんは未だに学会などで天才と呼ばれる科学者だったため、それでも原因がわからないならだれにもわからないと当時は言われていた。
だけど、俺には何故か不調の原因が分かった。当時の技術で作られたこの装置は量子を加速するための電子管などの精度がこの装置の起動に求められていたものよりもわずかに甘かったのだ。
今の技術ではそれは既に解決されており、一昨日テストで起動させたときは無事に起動した。ただ、量子空間へのダイブは起動テストをした時間が遅かったこともあって行っていなかったのだ。
だから俺はこの装置を大学の授業が終わった今、19時から始まる飲食店でのバイトが始まるまでのわずかな時間を使って起動させ、量子空間へのダイブを行おうとしていた。
「だからと言ってお前がいきなりやるなんて危険すぎるぞ……」
吉田さんはそう言いながら俺の手を無理やり止めようとする。しかし俺は
「だけど俺がやらないと誰がやるんですか?この装置は俺以外誰も触ろうとしない。この高山研究室の
そう言って俺は装置につながるヘルメットを被った。ひいじぃちゃんが残した書類によるとこの状態で装置を起動すると量子空間へダイブし、地球の意思を知ることができ、それが世界を救うカギになるはずだった。
「量子加速装置……起動。」
俺はそう言って装置につないだパソコンのキーボードをたたき、プログラムを起動させる。
装置がうなりを上げながら起動した瞬間、激痛が頭に走り、装置内からあふれ出した電流が空間に走り出す。
「高山ぁ!!」
吉田さんのそんな叫びを聞きながら俺の意識は加速領域内の世界へと意識を飛ばした……
前から後ろへと光の粒子が線を描きながら高速で流れていき、光のトンネルが奥にある闇へと続いていく。
トンネル内は無重力空間のようになっており、俺は何かに導かれるかのようにトンネルの奥へ進んで行った。
トンネルの奥には広い空間が広がっており、そこには赤い光に覆われた巨人が立っていた。
「あなたは……?」
その偉大さに心が震えてそう呟く。しかし、巨人は俺の問いに応えずその手をサッと振るった。
巨人の振るわれた左手から伸びてきた紅い光が俺を包んでいく。
「うわぁぁぁぁぁああああああ!?」
熱くはない、だが、目が焼けそうなほどまぶしい光が網膜を焼き……
「っ!?」
装置のすぐそばに倒れた状態で目を覚ます。
「装置は!?」
後ろを急いで振り返ると装置は先ほど起動したときの電流を放つなどしていた状態が嘘であったかのように静かにアイドリング状態を保っていた。
「……今のイメージは……」
脳裏に焼き付いた巨人の姿を思い浮かべながらそう呟いたところで
bbbbbbbbb
突然スマートフォンのバイブが響き、俺はスマホの画面を覗く。画面には18:45という時間とバイト!と表示されており……
「やっべ……遅刻する!?」
慌てて転びながら手近にあるものを全部ポケットに入れたりして研究室から飛び出す。バイトの場所は今いるこの研究室から十分ぐらい走ればギリギリ間に合う距離にあるコンビニ。
そうして慌てて飛び出したために俺は忘れてはならぬことを忘れていた。
俺が研究室から飛び出してから数分後、何かを警戒するかのようにゆっくりとした足取りで影が近くの柱の影からにじみ出てくる。
そして陰は誰もいないことを確認するかのようにゆっくりと扉を開いて研究室へと入って行った……そして
結局バイトに遅刻し、店長に怒られ、バイトが終わると同時に掛かってきた大学からの電話で研究室の鍵が開いていたことでさらに怒られ、凹んだ状態で家路を歩む。
「くっ!?」
家まであと少し……というところで突然激しい頭痛に襲われるのと同時に遠くで火柱が上がった。
「……火事…か?」
ふらりと何かに導かれるかのように火の手が上がった場所へと家から離れて歩みを進める。
ますますひどくなる頭痛に耐えるために左手で頭を押さえながらゆっくりと火柱が上がった場所へと向かうとそちらから逃げ惑う人の波が津波のように襲い掛かってきた。
「!?」
慌てて塀沿いに立ち、その津波が通り過ぎるのを待つ。時間にして十数秒ほどだっただろうか、人の並みは一時的に消え、俺はその隙に波が来た方を見た。
そこには……
「シャドウ……と怪獣娘!?」
俺が驚くのも無理はない。なぜなら怪獣娘と会うことはかなりの頻度であったとしても、それがシャドウと戦闘中という状況に鉢合うのはほとんどない確率と言っても過言ではないものだったからだ。
「なんて日だよおい……」
そのまま陰から怪獣娘たちが戦っているのを見ているとひとりの少女が吹き飛ばされてきた……と思ったのと同時にシャドウと戦っていたすべての怪獣娘が吹き飛ばされていった。
「おいおい嘘だろっ!?」
こちらに吹き飛ばされた8つの龍の頭を背中側に持ち、クリーム色の髪に龍を模したヘッドセットをつけた怪獣娘の変身が解除され、どこかの高校の制服に身を包んだ姿に変わる。
「あんた大丈夫か!?」
俺が急いで駆け寄りながら声をかけるも、少女は一瞬だけこっちを見てからそのまま気を失ってしまった。
「クソが!状況最悪だぞっ!?」
近くには意識を失ってしまった怪獣娘、後ろには下がれるが戦闘の余波のせいか近くの電柱が倒れそうになっている。
そして前にはこちらを完全にとらえているシャドウ。
頭痛は未だに収まらない。逃げたいと本能が叫んでいるが、逃げるわけにはいかなかった。
「俺がやらなきゃ……この人も危ないじゃねーかクソったれ!!」
近くの民家から攻撃の余波で壊れたときに道路の方へと転がってきたのだろうか、落ちていた木製バットを手に持って俺は少女を守る様に構えた。
「いつも守ってもらってんだ……ここで守らずに逃げるぐらいなら俺は!!」
木製バットを振り上げるように構え
「俺はぁああああああ!!」
叫びながらシャドウの方へと駆け寄り、勢いよく振り下ろす。
コーンッ!!
そんな軽快な音と同時に俺の手元から重さが消える。
見るとバットは途中で圧し折れ、前を向くとシャドウは未だに健在だった。
そして俺は未だに宙に浮いており、シャドウはを触手を後ろへと振りかぶっている。そこからはすぐだった。
「ガッハッ……」
立ち込める土煙。背中から聞こえる何かが壊れる音。そして崩れ落ちてくるブロックの衝撃。
口端からは血が垂れ、背中には激痛が走る。
崩れ落ちてきた大量のブロックは重しとなって俺に覆いかぶさり、俺の動きを完全に奪ってしまった。
「ちく……しょう……」
霞んでいく視界の中でシャドウがさっきの少女に触手を振りかざすのが見えた。その瞬間、その少女の顔に幼馴染の顔が重なった。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」
叫びながら必死に立ちあがろうとする。その瞬間頭痛が走り、脳裏にあの量子ダイブの時に視たトンネルが走る。痛みに一瞬だけ目を細めた次の瞬間、世界は灰色になって完全に静止してしまった。
「……?一体何が…」
鳥も、燃え上がる炎も、舞い上がる新聞紙も、そして風も。何もかもすべてが時間を奪われたみたいに固まってしまっていた。
「……」
俺が無言で固まって周りを見ていると周囲から赤い光が線のように走りながら俺の真下へと集まっていき……
「うぉ!?」
俺の真下にあったマンホールが抜け、そこから俺は地下へと一気に落ちて行く。
「どこまで落ちるんだぁあああああ!!!」
ただ下水道に落ちたのならというレベルを超えて俺はさらに下へと落ちて行く。
そして世界は真っ暗闇に変わった……と思ったのもつかの間、今度は量子ダイブしたときのように光の線がトンネルのように広がり、下への道を創り出していく。
「……!!」
そして俺はたどり着いた。
「赤い………巨人!!」
あのダイブしたときに視た巨人のいる空間へ。
「俺は……俺はあなたのような力が欲しい!あなたの光が欲しい!………今この瞬間だけでもいい!俺に力を貸してくれ!!」
宙に浮かぶ俺の悲痛な叫びが届いたのか、巨人はうなずくかのようなしぐさを見せた後俺にその両手を三角形のように向けて構えた。
「俺を……認めてくれるのか…?」
俺はその手の隙間を通り抜けて巨人の胸にある逆三角形の青い光を放つ宝玉へと吸い込まれていく。
宝玉の中は赤い光で包まれており、俺はその中に入り込んでいた。
「……この光……あたたけぇ……」
光は俺が負っていた傷を癒し、そして体の中へと吸い込まれていく。
「俺を包んで?……いや違う、これは俺自身が光となって………」
その瞬間、俺は爆発的な光に包まれて………
◆◇◆◇◆◇◆◇
私は、あの戦闘の途中で気を失ってしまった。
だから後で記録として残っていた所々が飛んでいる映像を見ているとそこには
「体の底にあるカイジューソウルが喜んでいる?これはいったい……」
画面に突然現れた銀色の超人。それを見た瞬間、私の奥底に眠るカイジューソウルは喜んでいるかのように温かくなった。
これまでに一度も起きたことがなかったその現象に私は驚きを隠せない。
目の前の画面には銀色の超人が地響きを鳴らしながら土煙を上げて着地する様子が映っていた。
超人はどこか困惑した様子を隠せずにいたが、すぐに目の前に立つシャドウに相対するかのように構え、
「デュアッ!!」
そして駆け出した。
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