……これ連載に切り替えた方が良いのかな?
光に包まれてぐんぐん大きくなっていく感覚に襲われる。
しかし、ある程度大きくなったと思ったところでシュンッという音とともに俺は普通の大人のサイズまで引き戻された。
そして光を裂くように出現したのは地面から少し宙に浮いたシャドウのすぐそば。
「一体何がどうなってんだ…」
急に開けた視界の中で手を動かすとあの巨人のように銀色の光沢に包まれた手が見えた。
「キシャァァーー!!」
目の前でシャドウが俺を威嚇するかのように叫びをあげる。俺はそれに対して
「デュアッ!!」
両手をボクサースタイルで構え、
「ダァッ!!」
一気に距離を詰めるかのように走り出す。
シャドウは詰め寄ってくる俺に対して触手を何本もぶつけようとはなってくるが、俺はそれを
「ダァッ!デュアッ!ダァッ!!」
ボクシングのパリングの要領で払い、逸らし、そしてこぶしを握り締める。
「デュァッ!!」
右手を一瞬だけ腰を回すように後ろへと下げ、足、腰、肩、そして拳の順に運動エネルギーを伝えて赤い光に包まれた右こぶしをシャドウの顔面にぶち込む。
顔面に直撃した拳は光を開放し、シャドウを数メートル吹き飛ばした。
(行ける……守れるぞ!!)
そう思いながら俺は無意識のうちに腰をわずかに落とし、左手を握りしめて右手を手刀でも放つかのように構える。
そして伸ばした右手を左手でTの字を描くように交差させると交差した両手を中心にエネルギーが球状に一瞬広がり、収縮するかのように交差している場所で高熱の炎となる。
「デュァァァァァ」
交差したその拳を今度は野球のピッチャーがボールを投げるかのように上に構え、左手を右ひじに乗せてL字を作る。
「ダァァァアアアアアッ!!」
叫びながら動かしたL字に組まれた腕からはマグマのようなオレンジ染みた光が一直線に光線となってシャドウに直撃した。
「キシャァァーーアアアアアアアアアアアア!!!」
シャドウはその抗戦を受けて一瞬だけ固まったのち、
「ッ!?」
内側から光があふれだすかのように爆散した。爆散したことによってシャドウの破片が光となりながら辺り一面に飛び散っていく。そんな中で俺は
「デュゥゥ…」
目の前にかなり巨大な赤い光のシールドを張って少しでも被害を抑えようとしていた。
結果的に爆散した破片と衝撃波俺がいた場所から
(これは……まずいかも…)
俺が立っていた場所の後ろではなかった場所、即ち怪獣から見て俺が経っていた方とは違う三方には衝撃波も破片もすべてが問答無用で飛び散ったことによってすぐ近くの家は半壊、そして遠くの家の窓ガラスは何枚も割れていた。
「デュゥ(やべぇ)……」
俺は周囲をちらっと見渡す。遅い時間であるために近隣住民はみんな避難しているだろうということ、そして先ほどの戦いの中で怪獣娘は皆気絶していることはわかっていたが、今もそうなのか気になったのだ。
幸いなことに怪獣娘以外の生命反応は感じられなかった。
「デュ(に)……デュアッ(逃げるが勝ちだ)!!」
俺は慌ててその場から走って逃げだそうとした……その時だった。
「デュッ!?」
足先から赤い光の粒子に体が覆われていく。そしてそのまま俺は光となって……
「あばっ!!」
家の目の前にある駐輪場へ頭から突っ込む形で元に戻った。
「いってぇ………」
頭から突っ込んだ際に擦れてしまって出血している鼻を抑えながら立ちあがる。すると目の前に
「これ……さっきの光…?」
黄色い光が俺が何かをするのを待つかのようにふわふわと目の前に浮かんでいた。
「光なら光電子管に納められるかも……ってあれ実験室にあるじゃん……ン?」
光の前で何かを思いついたり絶望して崩れ落ちたりした後で俺は着ているコートのポケットに見覚えのある形を見て引っ張り出した。
「あった……これを…」
ポケットの中に入っていたのは上下を鉄で蓋された光電子管。俺がそれをゆっくりと目の前で浮遊する光へと当てると
「入って行った……」
光は吸い込まれるかのように電子管の中へと入っていき、その中で淡く輝き始めた。
「……これからも力を貸してくれるってことなのか?」
俺がそう呟くと光はその問いに応えるかのように一瞬だけ強く発光したのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「これがかろうじて残っていた例のアンノウンが現れたときの映像の一部始終です。」
少し幼さを感じる声がそう言うと暗かった部屋が明るくなった。
そこはとある一室で、3人の少女が画面と向かい合うような形で座っている。
少女たちは皆同じ青地に黄色などのラインが入った服を着ているが、背の高さは小学生ぐらいから高校生ぐらいまで様々だった。
その中で、一番背が高く、凛とした印象を受けるピンク色の髪の少女が画面の一部分を指しながら告げる。
「このとき、この瓦礫の下に埋まって行った少年ってどうなったのかわかるかしら?」
その細い指は画面左端に辛うじて映っている崩れ落ちた瓦礫を指していた。
「えっとですねぇ……」
少女の指摘に対して紅い髪の小学生くらいの背の宝の少女が手元の資料をあさり出すが、探している情報が見つからないのか焦った様子で資料をめくり出す。
しかし……
「ない………どこにも書いてないです……」
シュンとした様子で顔を下げる赤い髪の少女の様子を見てすぐ横に座っていた黒髪の少女が頭をなでながら
「ないってこたぁ無いだろう。ちょっと見せてくれ。」
そう言って紅い髪の少女から資料を受け取るとそれを自分もペラペラとめくって探し始めた………が
「本当にない……それどころかいた形跡すらなかった扱いになってるってことはこいつ一体どこに消えたんだ…?」
黒髪の少女は資料を見て『ない』という言葉の意味を理解し、呆然と呟く。そんな二人の様子を見てピンク色の髪の少女は
「恐らく、彼がきっとアンノウンの鍵を握ってるとみてもいいわね……」
そう言うなり、立ち上がった。
「おい、どこ行くんだよ!」
黒髪の少女がその突然の行動に驚いて声をかけると
「少し、急用があるの。それと、水野さんを一度こちらに呼んで話を聞いた方が良いかもしれないわね。そちらは任せるわ。」
ピンク色の髪の少女はそう言ってさっそうと部屋から立ち去って行った。
部屋に残された赤い髪の少女と黒髪の少女が顔を見合わせる中でピンク色の髪の少女と入れ替わる様に同じ制服を着た茶色い髪の少女がぴょこんと顔を出す。
「あの……」
「あれ~?アギアギどうかしましたか~?」
「おぅアギラ。どうかしたのか?」
部屋に残っていた二人が顔を出した少女、宮下アキにそう声をかけるとアキは困った様子で
「なんかお二人を探していたみたいなので連れてきたんですけど……取り込み中ですか?」
そう言いながら後ろに控えていたらしい少女をアキは二人に見せる。そこに立っていたのは高校からの帰りにそのまま本部に来たのか、高校の制服姿の流れるような銀髪の少女だった。
二人の前に堂々と立ち、銀髪の少女は神託を受けた巫女のようなオーラを感じさせながら
「あのアンノウンについて、私のカイジューソウルが伝えてきたことがあったので報告に参りました。」
先輩二人にそう告げた。
「なんだって!?」
「それでカイジューソウルはなんといっているのですか~?」
その告げられた内容に黒髪の少女は驚いた様子で、赤い髪の少女は恐る恐ると言った様子で尋ねる。そしてアキは黙ってその様子を見ていた。
3対の視線を集められた少女は鈴のような声で
「あれは、あのアンノウンはウルトラマンガイア。この星のが生み出した大地の
「「………」」
「大地…?」
告げられた聞き覚えこそあるが、しかし聞いたことのないその名に部屋の中は静まり返る。
誰も言葉をそれ以上発せず、ジジジジジとスクリーンにガイアが着地する瞬間を捉えた映像が投影される音だけが部屋に響いていた。
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