biohazard supplementary biography”NT”   作:ナッツガン

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イギリスの奥地に向かったベルとジル
彼らを待っていたのは、プラーガに寄生された村人だった
燃える家
出入り口を塞がれたベル達は?


呪われた村人

1

 

 爆発が周囲に響く音が、周囲の壁を揺らしている様にも思えた。

 俺は上の様子を窺いながら、ジルを庇うような態勢を取っていた。

 ジルにまたがるような態勢でいると、爆発が止んで少し経ったからなのか、大分静かになった。

 すると、上から村人と思われる声が聞こえてくる。

 何を喋っているか分からないが、少なくとも想像はできる。

 俺達の遺体を探している様にも感じた。

 聞き耳を立てながら上の様子を窺うと、俺達でも知っているような感じの声が聞こえてくる。

「あの二人があんな爆発で死んでいるとは思えない」

 壁を挟んでいるからか、誰かは想像できないが、なんとなく男であるかは分かる。

 上から人がいなくなる感じがすると、ジルが声を出す。

「……ねえ。もういい?」

「えっ?」

 俺はジルの方を見ると、ようやく俺が今ジルとの距離に気付いた。

 俺も息とジルとの息がお互いの顔に当てている。

 俺は今ガスマスクを着けていないので、その息が直接俺の顔に当たる。

 ジルは俺を見ながら顔を真っ赤にしている。

「す、すまん!」

 俺は立ち上がろうとすると、後頭部を天井にぶつけた。

「痛っ!!」

 俺は後頭部をおさえながらさらに態勢を崩し、ジルの顔に自分の顔をぶつけた。

 嫌、ぶつけたというのは間違いかもしれない。

 くっついているのは俺とジルの唇だからだ。

『…………』

 お互いの表情を見つめ合う。

 今の自分の状況を理解するのに数分かかった。

「……!!」

 俺はまた顔を離そうとする為、俺は手を横に付けて立ち上がろうとする。

 そんな俺の手が壁にめり込むと、壁から階段が現れる。

「うわ!」

 俺は階段から転げるように落ちていく。

 何度も何度も頭を階段の角にぶつけると、最後に顔面を壁にぶつけるところでようやく止まった。

 俺は顔面と後頭部をおさえながら周囲を転がると、ジルが階段から降りてきた。

 俺とジルは視線を合わせると、一旦視線を外す。

「……さっきの事はお互い忘れよう」

「……そうね」

 俺は何とかガスマスクをつけると、周囲の状況を探った。

 結構広い空間であることは分かる。

 階段からして結構広い事はなんとなく分かる。

 近くに一本道が用意されており、奥は薄暗くなっている。

「この奥に行って見よう」

「そうしましょうか」

 普通に会話している様に見えるが、お互いに視線を合わせないようにしている。

 俺達は道の奥に進んで行く。

 

2

 

 洞窟のようにも思えるこの空間を俺は探りながらも、先に進んで行く。

「ここはどこなのかしら?」

「分からないが、少なくともさっきの家に戻るぐらいなら、この先に進んだ方がいいだろ」

「結局先ほど人達はここの村人で、全員がプラーガに寄生されていると考えていいのかしら?」

「多分な。じゃないと先ほどの理由が分からない」

 俺は手元の懐中電灯で先を照らしながら、俺はジルをちら見してみる。

 ジルは既になんでもないような顔をしている。

 洞窟内は薄暗く、足元を気を付けてないと危ない。

「しかし、どこにつながっているんだ?」

 奥から光が出ているようで、出口が近いようだ。

 俺達で出口に向かっていると、光の中に入って行く。

 俺は洞窟から出ると、外は森の中になっているようで、俺達周囲の状況を窺う。

 結構歩いていたから、先ほどの家からどのくらい離れたかもわからい。

「森の範囲が広すぎて自分の居場所が分からない」

「端末で今の場所を調べるわ」

 ジルが端末で調べていると、少しするとジルが今の場所を調べてくれた。

「そんなに離れてないわ。洞窟の出口から右にまっすぐ向かうと、先ほどの街道に出るわ」

「了解だ。まずはその街道を向かう事にしよう」

 俺達は端末に従ってそのまま歩いて行く。

 

3

 

 先ほどの街道から歩いて先ほどの家を目指していると、先ほどの川が見えてきた。

 川に掛かっている橋を渡っていると、川の奥で何かが沈んでいることに気づいた。

「何か沈んでいないか?」

「どこに?」

「あそこ」

 俺は沈んでいる先を指でさすと、そこには車らしき物が見えてくる。

 もっと良く見ると、その車は先程俺達を運んでくれた車だった。

 中にはまだ運転手が乗ったまま死んでいる。

「村人が?」

「多分まだここに居たんだろ」

 俺は視線を橋の向こう側に向けると、血で何か文字が書かれていた。

 血で書かれた文字をゆっくり語って行く。

「貴様達の呪われた血を捧げる事で、我々の計画は真に達成される。これはその始まりだと思え。我らを導くはサドラー教祖様」

 サドラー……

 かつてレオンの前に立ちはだかり、プラーガを使って世界征服を企んでいた男だ。

 支配種のプラーガを使ってレオンとアシェリーを操ろうとしていた。

 その野望はエイダとレオンの手で破られた。

 あの時あの男は死んだはずだ。

 俺はあの時それを確認した。

「生きているはずはない」

 橋から離れて先ほどの家を目指すと、先ほどまで家が在った場所には破片が散らばっている。

 完全に崩壊しており、周囲には既に誰もいない。

「どうやら奴らは引き上げたようだな」

「多分だけど、私達を捜索するぐらいなら待ち伏せをする方がいいと感じたんじゃないかしら」

「だとすると、この先に奴らが待ち伏せをしていると思った方がいいな」

 俺は家に向かって左に曲がると、そのまま一本道を進んで行く。

 周囲はいきなり景色が変わり、木々が枯れ果てて高い壁が周囲を覆っていた。

 周囲には大きな岩が転がっていて、上からは人の気配がする。

「気をつけろよ。上に誰かいる」

 岩が転がる音が聞こえてくると、上から岩が降ってくる。

 俺達は少し後ろに下がると、岩が落ちてくる様を見つめた。

 上に居る男達は銃を構えながら何かを叫ぶ。

 叫んだ声を合図に岩の陰などから村人らしき人物たちが次々と現れる。

「やはり待ち伏せをしていたか……」

 村人たちが手に持っている武器は鎌やボウガンなどさまざまである。

「しかし、古い物を武器に使っているな」

「そう言う事を言う前に戦う準備をして頂戴。上にもいるんだから」

 俺は腰からハンドガンを取ると、村人に照準を向ける。

 村人はそんな俺の行動に驚く事もせず、あの村と同じように襲い掛かってきた。

 俺は村人が振り下ろしてきた鎌を持っている手を握ると、ハンドガンで額を撃ち抜く。

 ジルはマシンガンで村人の足を撃ち抜くと、回転しながら村人の頭を蹴る。

 俺の後ろからボウガンが撃ち込まれるが、俺はそのボウガンの矢を片手で受け止めると、矢をそのまま投げて返してあげた。

 矢は村人の頭に撃ちこまれると、村人は血をふいて倒れた。

 俺の横から鍬で攻撃を仕掛けようとした男を、ジルは顔面にマシンガンで攻撃を仕掛ける。

 男は顔面をおさえながら悶えていると、俺は男の体をなぐりつける。

 男の体はそのままの勢いで、岩壁にぶつかり血を噴き出していく。

「このまま戦うのは不利だ。移動しよう!」

 俺とジルは村人に開いた隙間から一本道を進んで行く。

 村人はそんな俺達を追いかけてくる。

 少し走ったところで、吊り橋を見つけると橋を渡ろうとはしりぬける。

 すると橋の向こう側から男が一人チェインソーを持ちながら現れた。

 慣れた手つきでチェインソーを動かすと、俺達に向かって走ってくる。

 俺はハンドガンを片手で構えると、男の顔面目掛けて銃を撃ちこむ。

 しかし、男は何ともないかのようにチェインソーを俺目掛けて振り下ろす。

「おっと……」

 俺はその攻撃を何とか回避すると、そのままジルと共に走り抜けていく。

 すると、男はチェインソーで橋を切り裂いて行く。

「おいおいおいおい」

 橋が中心から崩れていくと、俺達は一気に走り抜けていく。

 チェインソーを持った男は真っ先に谷底に落ちていった。

 橋を渡ろうとしていた村人も、同様に落ちていく。

 俺達は最後に飛ぶと、何とか落ちる事を回避した。

 

4

 

 橋を少し移動した先で俺達は休憩することにした。

 さっきからの戦闘は全てこの橋を崩して、俺達を殺すための者だったみたいだ。

「危なかったな」

「ええ、さすがに少し疲れたわ」

 俺は地面に座り込むと、木に背を預けて休憩を始めた。

 まだこの距離体と橋が良く見える。

 どの道橋は崩そうと思っていた所だ。

 休憩をする間、俺は少し考える時間を得た。

「さっきの家で話していた男はアメリカ人だと思うか?」

「さあ、でも英語だったのは確かよ」

「アシェリーを誘拐するには、この村の人では無理だろうから……」

 昔ジャック・クラウザーが誘拐したように、こういう事件にはアメリカ人が関与している場合がある。

「さっきのサドラーが生きているとは考えずらい。だとすると、誰かがサドラーに成りすましている場合がある」

「確かにその可能性の方が多いけど」

「そもそもサドラー体がバラバラに散ったはずだ。生きているはずがない」

 あの時レオンが撃ったロケットランチャーを受けたサドラーは、頭に直撃し吹き飛んだはずだ。

 それにあの後島は自爆している。

「サドラーに成りすましていて、プラーガを所持している人物は誰だ?」

「今の所は想像しかできないわ」

 教団の生き残りが居たとしても、支配種のプラーガを持ってはいないだろう。

 だとしたら、誰かがプラーガを持って活動するために教団の名前を利用したと思ったほうがいいだろう。

「プラーガを量産した奴がいると考えた方がいいだろう」

「どうする?」

 俺は空を眺めながら呟く。

「もう少し休憩してから」

 ジルも同じように空を眺めると、俺の額に木の葉が乗っかる。

 俺はその木の葉を持つと、木の葉に開いた穴から空を見つめる。

 強い風が吹くと俺の持っていた葉っぱが吹き飛んでいく。

 吹き飛んだ木の葉を見つめながら俺、は雲に隠れた空をどこまでも眺めていた。




次回予告

『呪われた運命』

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