biohazard supplementary biography”NT”   作:ナッツガン

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東スラブ共和国で化物を見たという情報を得たベルトウェイ
彼は事の真偽を確かめるべく東スラブに向かう
そこで彼はこの国の真の姿を見る


ダムネーション②

 大きな通りをゆっくり歩いて行くと、ガナードの集団が後ろから追いかけてくる。

 少々ゆっくりしていたかもしれない。

 走って逃げる事も出来るが、どうも面倒だ。

 その間俺は端末で大統領の事を調べていた。

「どうもこの国はおかしい」

 普通の人間がプラーガを手に入れる事は出来ない。

 特にこの国の反乱軍のトップとはいえ、簡単にプラーガを手に入れる事は出来ないだろう。

 もし、俺の予想が在っていたならば恐ろしい事になる。

 そんな可能性を考えたくはないが、エイダがここにいる事を考えると、嫌な事を考えずにはいられない。

 レオンの戦闘を使えば、俺の行動はあらかた隠せるはずだ。

 まずはここの反乱軍の拠点に急ぐか……

「確かここから少し歩いた場所にあるはずだが」

 俺は先程まで居た教会を目指して歩いていた。

 先ほどの教会は反乱軍の拠点にもなっている。

 急いでいけば何かが分かるかもしれない。

「しかし、ガナードが多すぎて困るな……」

 先ほどから襲ってきて困っている。

 口から大きな気持ち悪い物を見せられると、こっちまで気持ち悪くなる。

 それとスタンガンなどを持ってくるのはやめてほしい。

 さっさとここから移動した方がいいかもしれない。

 そんな事を考えながら移動していると、ようやく教会が見えてくる。

「遠かったな……。さっさとこの中に入って行った方が良さそうだな」

 俺は教会の出入り口のドアに手を掛けると、さっさと中に入ってしまう。

 ドアのカギをしっかりかけると、小走りで教会の地下を目指して歩く。

「確か十字架の下に隠し階段があるって話だが……」

 俺は十字架の下を探りながら、姿勢を低くしていく。

 しかしこれといったスイッチを発見できずにいる。

「無いな……。ここだって聞いたんだが……。どこだ?」

 この姿はかなり間抜けだと自分でも思う。

 しかし、スイッチが見つからない以上探すしかない。

 俺は後ろから何かの気配を感じた。

「なんだ!?」

 首から寄生虫のような何かがくねくねしている。

 反政府メンバーの一人だろう。

 俺はその場から飛ぶように移動すると、ハンドガンを構える。

 人だった奴に容赦ない銃撃を浴びせる。

 こうなったら中々死なないので困る。

「お前も何か理由があって戦ったんだよな?お前達を救う事は出来ない。でも、せめて元凶ぐらいは捕まえて見せる!」

 ハンドガンの一撃が寄生虫を吹き飛ばす。

「せめて安らかに眠れ」

 そいつが倒れると、手が何かに当たった。

 すると、十字架が動き出す。

「ありがとう」

 俺は十字架の下にある地下階段をゆっくり降りて行く。

 地下は薄暗く、注意してみていないとこけてしまいそうだった。

 俺はライトを片手にゆっくり狭い通路を歩いて行く。

 この奥に手がかりがあると良いんだが……

「この戦い……早く終わらせなくては……」

 奥に進んで行くと、明かりのついた部屋に出る。

 天井に付いている電球がこの部屋を明るく照らしていた。

 部屋は小さな机と椅子、長机の上にはこの町の地図が置かれていた。

「ここが拠点の一つとみるべきか」

 机の真直ぐ進んで行くと、机の引き出しを探る。

 中は意外と整理されていて、工具や作戦の資料などが置かれている。

 しかし、これといった物が見当たらない。

「見当違いか?」

 しかし、すぐにこの引き出しの異常に気付く。

「?上げ底?」

 よく確認してみると、この引き出しが上げ底であることが良くわかる。

 物をいったん外に出してしまうと、底の板を取り出す。

 中には一冊の日記が置かれていた。

 ほこりを払いながら日記を持ち上げると、中をペラペラとめくる。

「長老の日記」

 俺は表紙に書かれていた文字をそのまま読むと、中を黙読する。

 中をそのまま読む気にはなれないが、簡単に内容を記すとこんな感じだ。

 

 このテロが始まる数カ月前にある人物から支配種プラーガを渡されたらしい。

 長老は最初疑っていたが、テロが鎮圧されかけていた時期で、長老は決断を迫られていた。

 他にもプラーガを多数入手した長老はプラーガ以外にもリッカーを入手した。

 支配種のプラーガを使ってリッカーをコントロールしていった。

 しかし、元々体力がない長老はあっという間に死にかけた。

 長老は他にも支配種のプラーガを用意していた。

 場所は先程の地下駐車場だ。

 

「地下駐車場……あれか!?」

 俺はレオンがあそこから出て行く姿を思い出すと、拳を机に叩きつける。

 あんな事ならもっと早くあそこにたどり着けばよかった。

 どうするか……大統領区に今すぐ向かうべきだろうか?

 今更俺が関与して何か解決するのだろうか?

 少なくともこの長老にプラーガを渡した人物を発見出来たら……。

 しかし、日記にはこれ以上の情報を見つける事が出来なかった。

 今更ながら俺の無力差を思い知らされる。

 こんな時、俺は何もできない。

 こんな力があるのに、いざとなったら何もできない。

 ここまで来て、俺はどうするべきなのだろうか?

 俺はどうするべきなのか……どこに向かうべきなのか?

 日記を床に落としてしまうと、日記から紙切れが出てきた。

「日記の中に挟んであったのか……」

 紙切れには次にプラーガの取引する場所が記されていた。

 場所は大統領区前の門だった。

「ここに行けば何かが分かるのだろうか?」

 今の俺に何が出来るだろうか?

 悩んでいても何かが解決できるわけではない。

 悩むくらいなら真直ぐ走ってみよう。

 壁に突き当たってもいい、誰かを救うのに悩んでも仕方が無い。

 行ってみよう、走って見せる。

 救うんだ!

 

 大統領区前に門に来ると、黒服の男が門の前で待っていた。

 俺は黒服の男にゆっくりと近づいて行くと、男が俺を視界に入れる前に襲う。

 足払いで男をこけさせると、ハンドガンを頭に近づける。

「動くな!動けば額に穴が出来るぞ!」

 男は黙ってうなづくと、俺はすぐに質問に入る。

「貴様が反政府グループにプラーガを渡した奴か?」

「私ではない!本当だ!信じてくれ!」

「では誰だ!」

「私の仲間が上からの命令で!仕方なかったんだ!」

「上の人間は誰だ?誰から命令された!」

 男は口を閉じると、俺はハンドガンの引き金の指に力を込める。

「分かった言う!大統領だ!スベトラーナ大統領の命令で!」

「東スラブ共和国の大統領が?どういう目的だ?」

「分からない。しかし、大統領はプラーガの量産に成功したから実験を行ないたいとだけ言って……」

「実験?」

「ああ、まだ支配種のプラーガは試作段階でまだまだ実験が必要だと……」

「それで反政府軍にプラーガを渡したのか?のちの事は考えてなかったのか?」

「もし拡散してもアメリカ軍とBSAAが鎮圧してくれると……」

「いざとなったら他人任せか……。大統領はそもそもどこからプラーガを手に入れたんだ?」

「分からない。でも、大統領は元々色々なビジネスに手を付けていたから……多分その時に……」

「手に入れたと?」

「多分」

「なるほど、プラーガを実験するには大きな実験施設がいる。そんな施設を作るには国の許可が必要だ。しかし、そんな実験すると言っても国は『うん』と言わないだろ。だから大統領になってプラーガの実験をすれば、闇市場で売りさばくこともできる。上手くいけば、デモンストレーションにもなる。そしてその成果次第で、もっと売ることが出来る」

「多分だが……。おそらく大統領の目的は……」

「金だな。プラーガを売りさばいて金を手に入れて、国を復興させる。ついでに反政府軍を潰す事も出来る。一石二鳥の作戦か……」

 なんて汚い作戦だ!

 一国の長がこんな作戦を実行に移すなんて!

 市民を犠牲にする作戦なんて、まともじゃない!

 俺は男を解放してやると、そのまま大統領の元に走り出す。

 

「どうしてアメリカ軍が?」

 窓を見たまま唖然としている大統領を後ろから話しかける。

「タイラントが外に居るんだ。衛星から見ればすぐに分かる」

「あなたがアメリカ軍を?」

「あいつらと一緒にするな……。俺はBSAAとしてお前を捕まえに来ただけだ」

「あなたに出来るかしら!」

 大統領は長机を俺に向かて飛ばす。

 俺は長机をしゃがんで避けると、大統領は俺の蹴りつけようとする。

 俺はその足を掴んで回避する。

「そんなに金が欲しいか!?」

「金が在れば国を復興できる!」

「その為にこの国で生きている人達を犠牲にするのか!?」

 俺は大統領の足を掴んで振り回す。

 大統領は掴まれていない脚で俺の頭を蹴る。

 俺は衝撃で手を離してしまい、大統領はうまく着地すると俺の腹にパンチを決める。

 俺は態勢を崩しながらもパンチを受け止める。

「国の復興の為に犠牲になれるのです。名誉でしょう」

「自分勝手な解釈をするな!」

「何をするにも金は必要です!私は手っ取り早い手段を私は取っただけです!」

「貴様だけ安全な場所に居て!ふざけるな!この戦いで死んで逝った者達はどうなるんだ!?」

「死者を思うことなど無意味です!」

 俺は大統領を足払いで態勢を崩させると、大統領を片手で吹き飛ばす。

 大統領は受け身を取り、ダメージを減らす。

 大統領は難なく立ち上がる。

「それにあなたも死んで逝った者達の犠牲の上に立っているでしょうに!」

「貴様と一緒にするな!」

「いったでしょう!死んで逝った者達は今更帰ってこない!だったら死んで逝った者達を忘れて生きれば少しは幸せに生きれます!」

「この国を実験場にしている人間が!」

 俺が走って大統領に向かって行くと、大統領は構えを取る。

「そうすることでこの国を救うのです!」

「肝心なところを他人任せにしているくせに!貴様だけは絶対に許さない!」

「私はこれから生きていく人たちに善意を送るのです!」

 俺は大統領の攻撃を片手で弾くと、鳩尾に拳を叩き込む。

 何度も何度も拳を叩き込む。

 俺はとどめの為に構えを取る。

「善意を他人に押し付けるな!誰一人貴様の善意を欲していない!貴様はここで消えろ!!」

 大統領は窓ガラスに突き刺さる形で、気絶した。

「貴様が与えようとしているのは他人を殺して得たものだ。善意ではなく悪意だ。そんなもの、誰も望んでいない」

 俺は大統領区を出て行った。

 

 俺はあるホテルの一室でシャワーを浴びていて、髪をタオルで乾かしていると、パソコンに何かが映る。

 そこはエイダが居た。

「プラーガは手に入れたわ」

「ご苦労だった。ついでにお前の手配も解除しておいた」

 すべては俺が仕向けた物だった。

 この国にもしかしたらプラーガがある可能性が在った。

 だからBSAAの派遣者としてエイダを送った。

 まさかあんなに早く大統領にばれるとは思わなかったが……。

 結果として、プラーガが闇市場に出回る前に入手できた。

 後はエイダからプラーガを渡されれば結果オーライだ。

 俺は窓から東スラブ共和国の様子を眺める。




次回予告

『ハンクという男』
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