biohazard supplementary biography”NT” 作:ナッツガン
彼の心境と物語が語られる
血の匂いと車などからあふれ出た油の匂いが俺の気分を害する。
高い高いビルの屋上から火で包まれるヨーロッパの町を眺める。
俺が今いる場所は地中海沿岸沿いにある町だ。
夏などになればセレブや有名人が多く駆けつける。
まさに今こそその季節なのだが、今はウイルスに侵された人がうごめく街になっていた。
多くの人達がBSAAの隊員の誘導に従って逃げているが、まだ町から逃げられていない者もいるのも事実。
俺の任務はこの町で行われようとしている取引の阻止だった。
今回は一人で行動することになっている為、俺の傍には誰もいない。
たまにはこういうのもいいだろう。
「さて、取引はポイントαだったな」
ポイントαとは、ここから数キロ先の小さな倉庫だ。
そこでウイルスの取引が行われる可能性が在ったため、俺は阻止に動くことにした。
既にαチームが先行しているので、俺はその現場になるべく急ぐ必要があるのだが……
どうも乗り気になれないのはなぜだろう?
そんな事を考えていると、
「キャ―――――!!」
そんな女性の悲鳴が俺の耳に響く。
この周辺には人がいないはずだが?
俺は確認の為に近くの階段を降りて行くと、そこには1人の女性が三体のゾンビに喰われている光景が在った。
「気持ちの悪い事をしているな」
ハンドガンでゾンビの頭を打ち抜いて行くと、ゆっくり女性に近づいて行く。
すると、女性の目がカッ!っと開くと、俺に向かってくる。
俺は迷うことなくハンドガンで女性を撃ち抜く。
『アベル!お前どこで何をしているんだ?』
「中心街のビルの上」
『まだそんなところに居るのか!?早く合流してくれ!』
「了解」
どこかやる気のない返事で返すと俺はゆっくり歩いて行く。
俺が兄に再開したのは、母と父を殺された日の事だった。
町は火で包まれてて、俺は走って家まで帰って行く。
心配だったんだ、まだ家にいるんじゃないかって。
その予想は当たった。
「母さん!父さん!」
「来るんじゃない!」
そんな父の叫ぶ声が消えてくると、直後に銃声が家の中に響いた。
嫌な予感がした。
そこに在ったのは血だらけで床に倒れている父と母の姿。
そして、その死体に視線を向けるガスマスクの男の姿。
「父さん!母さん!」
「愚かな人間が来たか」
ガスマスクの男(?)はこちらに視線を向ける。
殺したい!でも、逃げたい!
そんな感情が俺の頭をいっぱいまで使っていた。
男はハンドガンをこちらに向けると、ゆっくり近づいてきた。
「逃げろ、叫べ、苦しめ、泣け」
「あ、あ、ああ」
声すら出ない俺は一心不乱にその場から逃げ出した。
怖かったんだ、父と母を殺した奴が……
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
逃げ出した自分がどうしようもなく情けなく見えてきた。
友が殺されていく状況でも俺は自分の命を優先した。
俺を殺そうと近づいてくる男から逃げて行くと、いよいよダメだと思ったその時、兄は帰って来た。
立派になった兄の背中は俺の知っている者ではなかった。
俺はそんな兄と自分を比べてしまった。
だからかもしれない、その後の厳しい訓練にもついていけた。
父と母を殺した奴を逆に殺してやると、覚悟を決めたんだ。
復讐を誓ったあの日、兄は俺に聞いてきた。
「なぜそこまでして復讐をしようとする?」
兄はすごく不思議そうに聞いてきた。
「憎いから!」
兄はすごく悲しそうな表情を浮かべると、その場から移動していった。
その日の兄の表情は本当に印象的だ。
俺は街中を歩いて行く。
綺麗な街並みとは裏腹に、町中が火で包まれている風景はどこか、俺を気持ち悪くさせていた。
橋の上にたどり着くと、橋下を不意に見た。
そこにはおぼれた死体が浮かんでおり、川の流れに任せていた。
橋を渡ってしまえば後は倉庫まで後少しだ。
あの男と再び再開したのは、そんなにたってはいなかった。
BSAAのエージェントとしての初任務は、中東の町での闇取引を阻止しろという内容だった。
中東はウイルスが世界中の闇市場に出回るようになってからは、よりひどい紛争が続いていた。
ウイルスのデモンストレーションにもなるとなって、多くのテログループがウイルスを使ったテロを繰り返していた。
元々中東は宗教的な問題など、多くの紛争が絶えなかった。
人種間や、国の開放など多くの理由で血が流れてきた。
今ではそんな争いの種が、各国の情勢を大きく揺るがすようにもなり始め、BSAAはそんな事態に終止符を打つため、部隊の投入を決定した。
そんな中、ウイルスを生産している人物が中東に居るという報告を受けた俺は、現地でその現場を確保に向かっていた。
「ハァ……ハァ……」
砂でまみれた町を駆けぬけて行くと、隣の建物が突如爆発した。
ここは、中東の中でも黒海に近い場所なため、そこそこ有名だった。
しかし、近代化に伴い観光客を増やすため国は多くの資金を出す事を決定する。
そんな中で、観光客が出すゴミが近年問題になってきた。
そんな状況を不満に思った人々が環境保全を名目に活動を繰り返していた。
しかし、活動はある時を境に大きく進展を見せる。
活動をしている町で、化物を見たという目撃が相次いだのだ。
俺はそれらの鎮圧の為に今現地に居るのだが……
思いのほか、現地の人間は抵抗をしてきた。
ここら辺は特によそ者を排除してくる者が多く、俺達BSAAを快く思っていないらしい。
長い通路をひたすら走って行くと、大きな広場に出た。
「クソ!住民がどうしてここまで武器を持ってるんだ!?」
環境の事を考えるんだったら、今自分たちがしている事を止めたらどうだ。
窓越しに火炎瓶を投げつけてくるのを、俺は紙一重で避けて行く。
こちらも手榴弾で応援をしていくと、後ろから一台の車がやってきた。
「乗れ!」
BSAAの隊員がこちらに促してくる。
俺は迷うことなく乗り込むと、街中を移動していく。
「まさかここまで反抗されるとは……」
「ここら辺は特に反抗勢力が強いらしいですからね」
厄介だな……
流れて行く街並みを眺めて行くと、不意に知っている姿を見た。
「ここまでで良い!」
俺はすぐに降りると、奴が消えて行った方向に向かって行く。
そこは広い建設現場になっていて、中心には黒いスーツの男とガスマスクの男が話合っていた。
「話が違うぞ!あれを使えば政府の人間を簡単に殺せると!」
「殺せたではないか。それに言ったぞ、『君たちの思い通りになるかは保証しない』と」
「貴様!だましたな!」
「君たちのお蔭で良いデモンストレーションになったよ。良い買取先が出来た」
ハンクは黒服の男をハンドガンで殺す。
俺はハンドガンでハンクに向かって撃っていくが、
ハンクはそれを余裕で回避し、カウンターでハンドガンを撃っていく。
「またお前か?しつこい」
「お前だけは!」
ハンクはハンドガンとは違う銃を構えると、俺の足元に撃っていく。
足元を見ると、何かが光っている。
「!?」
俺はとっさに横に避けると、直後に大きな爆発に巻き込まれた。
俺の腕が火傷を負ってしまった。
「フン、まだまだだな。ベルトウェイだったらもっと早く避けている」
俺は傷を気にせず真直ぐ走って行く。
ハンクは俺の攻撃を避けつつ、ナイフで俺の体に突き刺す。
「これで終わりだな」
俺はナイフを掴むと、自分のナイフでカウンターを決める。
「!?」
「この程度で俺が殺せると思うな!」
俺の腹の傷がすぐに治っていく。
「回復力が俺達の者とは格段に違うな……」
「殺してやる!」
「ハンク。引け」
後ろから現れたのは白衣をまとった男。
「また会えるさ」
そう言いつつ男は闇の中に消えて行った。
目的地まで後少しだという所で、俺はクリスに在った。
「遅いぞ!」
「時間通りだろ?」
少し昔を思い出していた。
だからかもしれない、俺はあまり任務に集中できなかった。
「何かあったのか?」
俺は適当に返事を返すと、目的の倉庫を眺めた。
「ここであってるのか?」
「間違いない。先ほどそれらしい人物が取引に入って行った」
「じゃあ任務を始めるか」
俺は迷うことなく腰からハンドガンを取り出すと、出入り口に向かって走って行く。
誰も知らない俺の物語
復讐の物語
次回予告
「バロク」
感想待ってます!