では、どうぞ!
夏候惇が一刀を含めた十数名の部下と共に偵察に出てから早二刻。それなりに時間の掛かると思われた偵察隊からの連絡は早かった。
と言うよりも、報告など待つ必要も無く、既に王平たちは遠目から見て異常事態が起こっている事を理解していた。なぜなら王平たちの前方、偵察隊の更に向こう側で、人が空を舞っているからだ。
そう、人が空を舞っているのである。例え話と言う訳でも無く、言葉そのままの意味でだ。今もまた、大の男一人が情けない悲鳴を上げながら空に舞い上がり、そして地面へと落ちていく。その情けない悲鳴に混じって、まだ幼さの残る声で発せられた雄叫びが離れた王平たちの元へ聞こえてくる。
光景的には理解に苦しむが、状況を理解するのであればそう難しい事ではない。誰かが戦っているのだ。それも人を軽々と空に打ち上げるだけの怪力を誇る何者かが、自衛か、もしくは別の理由で戦っている。そう理解した瞬間、王平たちの動きは早かった。
曹操の命が下るや否や、全部隊が駆け足となって偵察隊へ合流するために動き出す。曹操の部隊を中心に、先頭を徐晃の部隊が進み、左右を夏候淵と王平の隊が固める。並の軍団ならば容赦なく蹴散らすだろう魏の精兵達。しかしその王平達が辿り着く前に、夏候惇たち偵察隊の面々に怖気づいた謎の集団が散り散りになって逃げ出す。
結局、王平達が偵察隊に合流する頃には、戦闘は偵察隊の被害無しという結果をもって終結していた。
「はぁ……」
終始、人が空を舞う光景だけを見せつけられていた王平は馬上で小さくため息を吐く。その理由は、恐らくまた面倒をみる相手が一人増えそうな予感がしていたからだ。遠目からでもハッキリと分かるほどの大立ち回りを繰り広げた猛者だ、優秀な人材を積極的に求める曹操が捨て置くはずがない。例え素性がどうであったとしても、その志が曹操の求める義に反していなければ間違いなく曹操は事の張本人に勧誘の声を掛ける。あれほど怪力を誇る人材は大陸広しと言えどもそうは見ない。
しかし、そういう人物に限ってひと癖ある人物の場合が多いと王平は思っている。ぶっちゃけて言えば、主である曹操すらも王平から見れば癖の強い人物だ。人との相性の良し悪しははっきりと別れる人物だろう。そう考えれば自分の周りは癖者揃いだなと、王平は改めてそう思った。
「はぁ……まぁ、いいか。考えても今更だしな。と言う訳で副長、報告頼む」
詮の無い考え事を自己完結させた王平が近づいてきた気配の方向へと首を動かす。その視線の先には何やら疲れ切った表情を浮かべる女性が一人。先程、王平が本陣にまで状況を聞きに行かせた楊鳳が丁度戻ってきたところであった。
「だから、副長と呼ぶのはやめてください」
「あー、はいはい。とりあえずお勤めご苦労さん。で、結局さっきのは何だったんだ?」
「またそうやって誤魔化そうと……」
話を進めていつもの事を誤魔化そうとする王平に楊鳳がため息を吐く。そんな楊鳳とのいつもやりとりに王平は少しだけ気が楽になる。王平の表情が幾分明るくなったが、楊鳳は特に何を言うでもなく報告を始めた。
「結論からいえば、特にややこしい話ではありませんでした。この付近にある村が先程の集団に度々襲われていたようで、それに我慢のならなくなった村人の一人が単身で先程の集団に殴りこんだんだそうです」
「大した奴だな。少ないと言っても数十人はいただろうに」
「はい。ちなみにその人は無事ですよ。しかも信じられない事に無傷です」
さらっと言う楊鳳に、興味を引かれた王平が目を細める。
「無傷か、そりゃ尚更だな。絶対に華琳様が声掛けてただろ」
「はい。まあ、それに至るまで紆余曲折はありましたが」
「紆余曲折? なんだ、条件でも突き出されたか?」
「夏候惇将軍が襲われました」
「……」
またもやさらっと言う楊鳳に王平が絶句する。その猛者が誰かを襲ったと言うだけでも十分に問題だが、それが曹操軍の武官の頂点に立つ夏候惇ならばそれはもう問題以前と言っても良い。下手をすれば返り討ちにあって死ぬか、そうでなくても四肢の一本でも失って戦士として再起不能にされる可能性もある。王平はそのとんでも猛者の安否が心配になった。
「それで……どうなった?」
「流石に夏候惇将軍は驚いてましたが、その理由を聞いて剣をお引きになられました。そもそも相手が年頃の女の子ですから、夏候惇将軍もいきなり剣を向けはしな――」
「ちょっとまて!」
淡々と報告を続ける楊鳳に、突然王平が待ったを掛ける。なぜなら王平の理解の及ばない台詞が楊鳳の言った言葉の中に含まれていたからだ。それ即ち〝年頃の女の子〟である。
「どうしました?」
しかしそんな発言をした当の本人は怪訝な表情。まさか聞き間違いだろうかなどと思いながら、だがもし聞き間違いじゃ無かったらどうしようとも考え、王平は異様な不安感を感じてしまう。自分でもよくわからない緊張感に耐えきれず、腹を決めた王平はゴクリと喉を鳴らしながら楊鳳に問いかけた。
「な、なあ静音。俺は今、お前の口から女の子と言う言葉を聞いた気がしたんだが?」
「はい、言いましたよ?」
――残酷な答えが一瞬の間も開けずに帰ってきた。
王平の中を衝撃が走り抜ける。普段から政務に励む時は専ら聞き専で励む自分がよもや聞き間違いなどするとは思っていなかったが、いざ肯定されるとなると驚愕せざるを得ない。ふらつき、思わず下手な姿勢で落馬しかけるも慌てて体勢を立て直し何とか無事地面に着地する王平。そしてどこかすがるような目をして、楊鳳に再度問いかけた。
「……それは、あれか。女に分類されてはいるが、その実態は全身これ鍛え上げらた筋肉な存在の奴か。なるほど、それなら納得が――」
「いえ、贔屓目に見ても可愛らしい小さな女の子でした」
「なん……だと……」
まさかの事実に王平の声がかすれた。もはや驚きもここに極まれりである。確かに同じ女性である夏候淵も見た目の割には非常に力が強い、それは王平も知っている。だがそれとて、本気であっても精々相手を横方向にふっ飛ばすくらいで、先の光景のように空高くにまで舞い上げるなどと言った芸当は流石の夏候惇と言えでも出来る事ではない。だと言うのに、人を空にかち上げるほど怪力の持ち主がまさかの小さな女の子などと、王平でなくても誰か信じたく思うだろうか。いや、きっと思わないはずだと王平は思った。
「驚くのも無理は無いと思います。正直、私も目の前で実演をされた時は思わず現実逃避をしそうになりましたし」
「そうか……それで顔が疲れてたのか」
「現実を認めるのに苦労したので」
王平隊の中でも屈指の胆力を誇る楊鳳をしてここまで言わしめる光景だとすれば、自分にとっても衝撃的な光景なのだろうと王平の額を冷や汗が伝う。一体どれだけ現実離れしていると言うのか。恐怖と共に、若干の好奇心が王平の中に芽生えた。
「……よし。なら、俺もその怪力少女を見に行くとするか」
「自信を無くす覚悟はしておいた方が良いかもしれません」
「……」
楊鳳の不安を煽るもの言いに、王平の顔が盛大に引き攣った。
◇ ◇ ◇
――そして、それは現実となった。
「なあ、春蘭」
「無理だ」
「……」
「……」
「……なあ、秋蘭」
「無理だな」
「……」
「……」
「…………おい、徐晃」
「ふんっ……無理だ」
「……」
「……」
その場にいる武官全員へ向けられた王平の問いかけは、それが問いの内容に至るその直前に全て同じ答えによって即答された。
その問いの内容とは、そう……今、王平の目の前にある大鉄球を持ち上げられるか否か、である。ちなみに言うと、王平は武官の皆に問いかける前に既に一度試し、そして案の定少しも持ち上がらないという結果に終わっている。
だが、それを見た件の怪力少女――名を許緒と言うその子は、顔を真っ赤にして鉄球を持ち上げようと気張る王平を不思議そうな目で見ると、何でもない様子でひょいっと片手で鉄球を持ち上げてしまったのだ。となれば、なるほど……見た目幼さの残る少女に力比べで負けた王平は確かに男として少し自信を無くしてしまった次第である。
「と言うかこれ、どんな重さの武器だ!」
挑戦する前から同僚たちにはことごとく無理だと否定され、だと言うのに目の前の少女はまるでお手玉でもするかのようにひょいひょいと鉄球を操る姿を前に、ついに王平が叫び出す。その叫びはこの場にいる全員の気持ちを寸分の狂いも無く代弁していた。
「おい一刀! お前はどうだ、あぁ!?」
「無理! 絶対無理! と言うかなんで俺に八つ当たり!?」
「じゃあ文若! 似た体格のお前ならいけるだろ!」
「はぁ!? ふざけないでよ、持ち上がるわけ無いでしょ! と言うか、そこにいる許緒以外は絶対に無理よ!」
やり場のない悔しさを一刀と荀彧にぶつける王平である。珍しく混乱している様子の王平に曹操がはぁとため息を吐いた。
「聖、少し落ち着きなさい」
「しかし、どう考えても人が使う重さの武器じゃないでしょうこれは! 見て下さい、置いた場所の地面が陥没って何ですか!?」
「……まあ、確かにね」
王平が指さした先の地面が軽く陥没しているのを見て曹操が頷く。しかしその表情には、呆れや驚きと言うよりはむしろ、喜びの表情が見て取れた。
「ふふっ、素晴らしい力じゃない。私の覇道に是非とも必要な力よ」
「いやまあ、それはそうでしょうけども……と言うか、やはり誘ったのですか」
「当たり前でしょう。この子ほど逸材を私が逃すわけ無いじゃない。既に許緒も、今回の討伐行に力を貸してくれる事を約束してくれたわ」
「あぁ、そうですか……」
優秀な人材を前に相変わらずな様子の曹操に、混乱気味だった王平はその気勢が急激にしぼんで行くのを感じた。それは恐らく、このどこまでも王者然とした目の前の主の気に当てられたからだろう。冷静に、しかし楽しそうな微笑みを浮かべる曹操を見て、王平は混乱していた自分を思い返して、恥ずかしそうに頬をかいた。
「はぁ……いえ、申し訳ありません。先程は少々取り乱しました」
「良いのよ。正直、あなたが思ってる事はたぶん皆が思ってる事でしょうから。ねぇ、春蘭? それに烈華もね」
「うぅ、はい……」
「……恥ずかしながら」
名指しで言われた夏候惇と徐晃が同時に応えて小さくなる。その一連の様子を事の発端である怪力少女こと許緒はと言えば、
「にゃ?」
なんだかよく理解していない様子だった。
「ともかく、聖も許緒に挨拶なさい。まだしていなかったでしょう?」
「そう言えば確かに。あー、んんっ。俺の名は王平、字は子均。宜しく頼む」
「はい! ボクの名前は許緒って言います。これから宜しくお願いします!」
はきはきと、元気いっぱい礼儀正しく応える許緒。その姿に、混乱していた先程とは打って変わって王平は思わず涙腺に涙を滲ませた。
「えっ、どうしたんですか王平様?」
「ああ、すまん。つい許緒が良い子過ぎてな……感動しちまった」
困惑する許緒の頭をいつもとは違い優しく撫でてから、王平が袖で涙をぬぐう。普段、夏候惇や徐晃と言った猛者たちを相手にしている王平にとって、許緒の存在は紛れも無く癒しそのもの。そんな子が輝かんばかりの笑顔を向けてくれて、感動しない訳が無い。そしてそれを見ていた一刀も、王平の気持ちが分かると言わんばかりに何度も深く頷いている。そんな仕方のない男二人組に、曹操が小さくため息を吐いた。
「あなた達、馬鹿やってないでしゃんとしなさい」
「ははっ、重ねて申し訳ありません。まあ、男のどうしようもない一面だと思って見逃してください」
「全く、静音に愛想を尽かされても知らないんだから。それに一刀も、それだけ顔を緩ませられるだけの余裕があるなら、聖達と一緒に前にでる?」
「……ごめんなさい。今後は自重します」
「よろしい」
曹操の言葉に小さくなる一刀。王平はそんな一刀に元気出せと言って肩を叩く。悪びれる様子もない王平に曹操は一つ苦笑を浮かべる。討伐行の最中だと言うのに、なんとも平和な一団であった。
◇ ◇ ◇
許緒を発端とした和やかな時間を幾許の時か過ごした後、曹操軍は再び前進を開始した。追手として放っていた偵察兵が先の集団の拠点を発見したと、報告に戻ってきたからだ。拠点に籠るその集団の規模は曹操が朝廷より討伐を任命された賊徒の規模とほぼ同数。偶然にも、許緒の住む村を襲っていた謎の集団こそが、今回の討伐目標であったのだ。
まさに許緒がもたらした幸運である。強行軍ゆえに糧食の少ない今回の討伐行では探索に掛かる時間すら曹操軍には惜しい。ゆえに他州入りするのとほぼ同じくして討伐目標の拠点が見つかったのは、曹操たちにとって僥倖であった。
「しかしなんだ。今回は随分と張り合いの無い仕事だな。俺たちが戻ってくる必要も無かったんじゃないか?」
そんな幸運の中、しかし馬の上で暇そうにする王平はぼそりとそう愚痴る。今回の賊徒討伐のために無茶をしてまで遠路遥々から戻って来たと言うのに、敵部隊の偵察からその拠点の発見に至るまでとんとん拍子で進む始末。そして王平に下された命令はと言えば、本隊との交戦後に撤退するだろう賊徒達への追撃であった。
曹操率いる本隊が攻撃を仕掛け、あぶり出した賊徒の軍勢を本隊がそのまま撃破。後に敗走する賊徒達にあらかじめ退却路にて伏兵として待ち伏せる王平隊が追撃を掛け、そして完全に殲滅する。いうなれば、瀕死の獲物に止めを刺すだけの仕事が今回の王平達の任務だ。そのために王平達は今、本隊から離れた所に位置する森の中でじっと息をひそめて待機している。
後はこの場所へと賊徒達が逃げ込むように撤退時の経路を限定してやるだけだが、それは曹操達本隊がするべき仕事。その辺りは荀彧辺りが上手くやるだろうと王平は予想している。
しかしだ。日頃から厳しい任務についてきた王平としては、不謹慎ではあるが、実のところ今回の任務に些か物足りなさを感じている。恐らくは遠征から帰還したばかりの王平隊を曹操が気遣っての事だろうとは思う。楽な仕事である分、部下達の危険も少ないだろう。
部隊全体からしてみれば良い事尽くし。ただ王平個人の感情として、少しばかり釈然としないところがあるだけだ。そして王平は部隊を率いる立場にある。私情を挟むつもりは無いが、しかしそれでも不満なものは不満なのだから仕方が無い。
「聖様、決めつけるのは早いですよ。まだ敵の拠点が見つかっただけです。討伐はこれからなんですから」
そんな王平の不謹慎な発言を咎めるように言う楊鳳。しかし王平は相変わらず不満げな表情である。
「そうは言うがな、静音。相手はさっきの、春蘭のおっかなさだけで逃げ出した様な奴らだぞ? 正直、本隊側の討伐もそこまで苦労するとは思えん」
「軍団と言っても所詮相手は食い詰めた農民ですからね。こちらが本気で掛かれば苦労する事は無いでしょう。とは言え、やはり数の差は脅威です。少しの油断が――」
「敗北を招く。分かってる、油断はしない。どんな戦でも全力で挑むのが俺の矜持だ」
楊鳳の言わんとする事を遮り、その先を王平が続ける。不満を感じるからと言って軍人としての己の心得を蔑にするつもりなど元より王平にはない。相手が自分より弱者であったとしても、相手がその手に武器を取った瞬間から王平は自身の全力を持って相対するつもりでいる。それが武人として長く戦場に立ち続けてきた王平の相手に対する礼儀でもあるし、なにより王平自身の役目でもあるからだ。
守るべきものに理不尽な暴力が振りかざされたならば、王平はその暴力を抑えつけるためにそれを越える圧倒的暴力を何の容赦もなく振りかざすだろう。全ての事柄が万事何事も無く解決する事などありはしないと分かっている。
この世の中、結局は暴力でしか解決できない事だってあるのだ。しかし一方で力で抑えつけるばかりでは解決しない事もある。だがそれは王平が担う役割ではない。そう言う事は為政者である曹操やその補佐たる荀彧の役目だ。
王平の役割はあくまでも汚れ役。戦場でその手を血に濡らし多くの骸を作り上げ、主が前に進むための血路を開く役割。戦争と言う、暴力でしか解決できない事柄を率先的に担うのが王平の――いや、王平に限らず曹操軍に仕える武官全員の役割である事は、古参である王平にとって今更再確認するまでも無い事である。
「でもまぁ、俺達の出番があるかは分からんがな」
「私達が追撃に出る必要も無く、本隊の方だけで手が足りてしまうと?」
「可能性としてはありえるだろう。許緒が本隊に加わったおかげで尚更らだ」
そう言って王平の脳裏に浮かぶのは、少女の振り回す鉄球に巻き込まれ木っ端の様に吹き散らされる賊徒達の姿。王平は少しだけ賊徒達に憐みを感じた。
「……確かにアレを振り回されるのは怖いですね」
許緒が鉄球を振り回して暴れる光景を想像した楊鳳も苦笑を浮かべる。
「ああ。正直、俺も相対するのは御免だな。あんな物騒な物を正面から食らったら一も二も無く挽き肉になれる自信がある」
「夏候惇将軍は受け止めてましたよ?」
「俺を春蘭と一緒にするな。あの大剣を軽々と振り回せるんだぞアイツは」
「聖様は無理なんですか?」
楊鳳の遠慮の無い問いかけに、王平が口をへの字に曲げる。
「持ち上げるくらいならできるが戦うのは無理だ。と言うかお前、分かってて言ってるだろ」
「今、予測が確信に変わったところです」
「あぁ、そうかい。悪かったな、上官が普通の得物しか使えなくて」
「拗ねるのは流石に大人気ないですよ?」
「誰のせいだ、誰の」
若干気落ちしながら王平は腰に下がる自分の得物を見やる。厚みのある刀身を持つこれは、作りの良さも考慮すれば相当に頑丈な代物だろう。しかし美しさとは無縁な飾り気のない外観だ。
鍛えられた肉厚の刀身に装飾の一切無い頑強な作りの柄。まさに質実剛健を体現したかのような剣と言える。そして、自分の戦い方に応えるためだけに拵えられたこの剣を、王平はとても気に入っている。実際、王平が鞘から剣を少し引き抜き刀身を確認してみれば、そこには長年使い込まれている事を証明する無数の傷が見て取れた。
「相変わらず傷だらけですね」
傍からそれを見た楊鳳の言葉に、王平は苦笑しながら剣を鞘に納める。
「これでも控えている方なんだがな」
「聖様の控えるの基準は当てになりません」
「かもな」
茶化す様にそう言って開き直った王平は、ため息を吐く楊鳳に向けてにかっと笑ったのだった。
少し中途半端な気もしますが、ここから先を入れるとなるとまた長くなって更新がヘドロっちゃうので、とりあえずここで。
次回はもう少し早くあげられる様にしたいです。
それでは、次回も宜しくお願いします。