魔法科高校の絹旗最愛   作:型破 優位

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どう見ても更新忘れです。
本当にありがとうございました。


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 達也と最愛は事情は違えど同じ穴の狢と言っても過言ではない。それ故にお互いがお互いを出し抜こうと考えている。そして最愛と達也との競り合いは最愛が有利に事を進めている。

 それは命をかけて守るべきものがいるのかいないのか、それだけの差だ。その差があるからこそこの停滞的な現状を作り出していると言える。

 

 だから最愛が一つアクションを起こすなら達也も起こす。つまり今日の試合を見た達也が既に手を一つ打っていたというのは必然というべきだろう。

 達也にもまたBS魔法がある。

 精霊の眼(エレメンタルサイト)

 簡潔に言えば魔法式を視認する、疑似的に透視が出来るといった視覚視認に関して最強ともいえる能力だ。

 普通の魔法師なら使われたとしても気づくことは無い程隠密にも長けたこの能力だが、八雲にすら見られていると気づいた最愛には気づかれる危険性がある。

 

 よって今回達也は最愛と真由美の試合を能力は使わずに見ていた。BS魔法の副次効果で達也は能力を使わなくても魔法式は読み取ることが出来るため、そこまでリスクを冒す必要は無いと判断したからだ。だが相変わらずというべきかやはりというべきか最愛の能力は分からず終い。

 効果が似ている魔法は存在しているが、その魔法は殴っただけでクレーターを作ることなど出来ないし、銃弾を減速させて止める等ではなく銃弾を粉砕してしまう程の硬度を誇るような城壁ではない。加えるなら壁というのは比喩表現に近く、厳密には膜と言った方が正しい。

 

 そもそも既存収束魔法——仮定ではあるが——において最愛のような攻守どちらかはクリアできても両方クリアすることが可能な魔法は無く、魔法の兆候が無いという最大のメリットに対してデメリットは今のところ最愛の周囲でしか発動できない点のみだろう。

 正直なところデメリットは使い方次第でまだなんとかなる範疇に収まっており、限界強度にもよるが対人においては無類の戦闘能力を誇っている。

 

 

「お兄様、深雪です。お茶をお持ちしました」

 

「開いているよ」

 

 

 あれこれと考えている達也だったが、それは深雪の入室によって全て流されることとなった。時計に目をやると既に日付が変わろうとしている時間。かなり長い事考えていたようだ。

 

 

「今日は紅茶だね」

 

「はい、先日のお買い物で寄った喫茶店のマスターが良いお茶の葉を分けてくださったので、せっかくですからいれてみました」

 

 

 達也が普段デスクワークを始めるのは夜も更け始めた頃であり、日付が変わる頃になるとこのように深雪がお茶やコーヒーをいれてくれる。そのどれもが達也の好みの味だ。

 

 

「うん、とても美味しいよ。さすが深雪だ」

 

「それは良かったです。ところでお兄様は今考え事をしていましたね?」

 

「……深雪には敵わないな」

 

「少し楽しそうでしたから。それで何を考えていたのか教えてくださいませんか?」

 

 

 深雪にとって最愛は現在最も自分達を脅かす可能性が高い存在であり、自分達と同じぐらいの闇を一人で抱えて生きている根はとても優しい()()だ。初めは明確な敵意から。しかし現在は達也の技術者としての側面からして、また深雪の同世代としての側面として、その二つの側面からそれぞれ好敵手と捉えられるようになってきている。

 勿論敵意は無くなった訳ではない。ただ訳ありと理解できたが故に目に見えた干渉や警戒を控えるようになっただけだ。

 

 少し前の深雪なら達也が直接視ても能力が分からなかったことに危惧を抱くだけだった。そして事の成り行きを聞いた深雪は以前と同じようにその状況に対して危惧を抱き——

 

 

「もしよろしければクラウドボールの相手を深雪がしてもよろしいでしょうか? 来年もしかしたら選手として選ばれる可能性もありますから」

 

 

 ——以前とは違い積極的に関わるようになった。

 むしろ大なり小なりぶつかり合った深雪の方が最愛の理解を得ており、理解されているかもしれない。

 深く関わることは控えていることも事実であり、今回もあくまで最愛の能力を見極めることが目的だ。

 よく言えば以前よりも強かに、悪く言えば狡猾になった妹に達也は口角を綻ばせながら——苦笑いとも言う——こう告げた。

 

 

「最愛が許してくれるなら、今度お願いしてみるよ」

 

 

 

♢♢♢

 

 

「超疲れました」

 

「最愛すっかり人気者だからねえ……」

 

 

 ぐでーと机に突っ伏している最愛に何処か含みのある言い方で答えたエリカ。最愛がここまで疲れているのは勿論理由がある。

 九校戦の参加が決まってから、最愛の周りには小さな変化がポツポツと現れ始めていた。

 まずはクラスの立ち位置について。

 当然だが最愛は達也やレオ、美月、エリカ以外のE組生徒と交流を持っていない。多少同性と話す程度であり、交流があるとはとても言えない。

 

 しかし九校戦の参加が決まった日から性別問わずクラスメイトが話しかけてくるようになったのだ。

 そもそも最愛は傍らから見れば文武両道才色兼備といっても遜色がない存在であり、しかし本人から周りに関わろうとしないため話しかけづらいという所謂高嶺の花の存在だ。その高嶺の花に話しかけることが出来る題材が九校戦であり、そのチャンスを逃がさないようにと取っている行動が積もったのが現状だ。一種のアイドル状態である。

 

 

「最愛も大変ね。あれから毎日別の人と話してるじゃん」

 

 

 そしてその分だけ達也たちと関わる時間は減っていき、エリカは若干不満そうにしている。今は全く思っていないが、最愛との初対面の印象はそこまで良くはない。すぐ解いてくれたとはいえ、いきなり攻撃的な態度を取られたら当然だろう。

 そういった相手には意外にもすぐに距離を取る性格のエリカだが、最愛の警戒の仕方を見た時に何処か思い詰めていることを感じ取ってしまったために離れることもできず、結果として非常に良好な関係を築き始めている。

 

 

「確かに最愛は話しかけづらい感じがあったからな」

 

「……それを達也くんが言ったらダメなんじゃない?」

 

「入学式で話しかけてきたエリカに言われてもな。でも俺もそう思ったよ」

 

「否定しないんですね……」

 

「俺はそうは思わないけどな、達也」

 

 

 達也の感想にジト目で返したエリカ、その返答を認めた達也に対して苦笑する美月と共感できないレオ。レオと同じ感性だったのが癪に障ったのかエリカがうへぇと顔を崩したが、そこは誰も触れることは無かった。

 ちなみに今は実習室での授業中で、学期末ということもあり主に復習がメインとなっている。このように話す余裕があるということは全員が課題を終わらせている状態ということであり、お世辞にも魔法は優秀と言えないレオやエリカが終えたのは授業終了間際だ。しかし以前のように居残ることも無くなり、それだけ成長があったことが分かる。最愛に至っては雫やほのかとの練習の甲斐あって課題で詰まることは無くなった。

 

 そしてこの授業の後は昼休憩。普段は居残って練習をするのだが、今回は達也が生徒会室にお呼ばれされているため今達也を除いたメンバーでの昼食となる。

 そこにクラスメイトから逃げ出した最愛が加わり、開口一番机へと突っ伏したのだ。

 

 

「まあ誰とも話さないよりはいいと思うけどな」

 

「私は超それでも構わないのですが」

 

 

 入学当初は所謂話しかけるなオーラを発していた最愛だが、今は口では断っているもののそこに棘は感じられない。誰も本気でそう言ってるとは思ってないし、実際最愛も今回は軽口だ。

 しかし最愛が突っ伏したのはそれまでの気疲れと共に、これから来る気疲れも含まれていた。

 

 

「それに話すことよりもこれからのことが超問題です」

 

「あー、確か部活連本部で集まりがあるんだよね」

 

 

 実は今日の放課後に九校戦準備会合があるのだ。準備会合ということは九校戦メンバーに正式に選ばれている最愛は当然参加しなければならず、蔑ろにした場合条件の一部が通じなくなる可能性もある。別にいるだけで良いのなら利害的に行かない理由はないのだ。

 

 

「超面倒なことになりますよ。お互いが超無法で一方的に仕掛けられるのであれば私も超歓迎しますが、話し合いの場となると超感情論だけで時間の無駄ですからね」

 

「それは確かに面倒だな」

 

 

 その件について見識がある三人はレオが代弁する形で答えたが、もっとも反応を示していたのは美月だった。入学当初に起きたあの騒ぎは、美月の中で非常に大きな出来事となっているようだ。

 それにしても最愛がここまで嫌がる素振りを見せるのは珍しいことであり、普段嫌がってはいても本気ではないことを少なくとも達也たちは知っている。

 これから起こることを予測したレオたちは心の中でそっと、手を合わせることにした。




結構来る質問なのですが、
面白いのですがクロスキャラがいるだけで原作とあまり展開に違いがありませんね
と言われます。

自分のコンセプトはあくまでもこのキャラがこの世界に居たらこういう立ち回りをするだろうな、という原作に溶け込ませながらそのキャラの個性を活かすことですので。あくまで原作は遵守します。
もちろん個性を活かすためのオリジナリティは出します。
亀更新ですが、これからもよろしくお願いします。
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