魔法科高校の絹旗最愛   作:型破 優位

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あの、評価は大変ありがたいのですが……まだ五千字ですよ? 9,40なんて取ったことがない……

本当に評価していただいてありがとうございます。今は高評価ですが、これから先駄目だと思ったら遠慮なく落としてください。それでも、読んでくれる方がいるならがんばります。


入学式

 せっかく知り合ったほのかと雫だったが、無情にもすぐに別れることとなってしまった。

 それは入学式が行われる講堂での席順に問題があった。

 

 

「どうしよう……」

 

 

 その光景にほのかが思わず呟く。

 講堂の席は前も後ろも空いている。

 だが、前は一科生、後ろが二科生と綺麗に別れているのだ。見分ける判断は右肩に紋章があるかないかの違いだ。一緒に座るつもりだった三人――主に二人――には、あまりにも大きい障壁となる。そこで最愛がやることは一つ。

 

 

「どうするも何も、超決まってるじゃないですか」

 

 

 一人で後方に座ること。迷うことなく座った絹旗に対して未だに戸惑っているほのかと雫。はぁ、と一つ溜め息。

 

 

「後で超会いましょう。講堂の出口で超待ってますよ」

 

「うん……ごめんね」

 

「ありがとう」

 

 

 最愛に促され渋々といったところではあるが、前方の席に向かう二人を見て最愛は少し疑問に思った。二人が何故そこまでして自分のことを気にかけているのか、という点だ。最愛にとって全くの面識が無い人、それこそ先程会ったばかりのはっきり言って『他人』だ。そして向こうの口振りからして会ったことそのものが初めて。なのにどうしてそこまで気にかけているのか。表の世界ではこれが普通のことなのか。表情には出さないが、理解に苦しむ。

 

 

 そこで、視線が移った。前方でこちらの方を気にしながら話しているほのかと雫――の数列手前。二科生の席で女子二人と話している男子生徒。仕事柄人を見極める能力に長けている最愛の脳が、その男子生徒は一目で「警戒が必要」と警鐘を鳴らしていた。

 何者かは、分からない。

 だが、疑いの目を向けた瞬間にこちらへ振り向き、無表情でこちらを見つめてくる彼は、やはり警戒するべき対象なのは間違いなかった。

 

 

◆◆◆

 

 

 先程知り合った少女二人と他愛もないことを話していた司波達也は、突如として向けられた宜しくない視線の先を見つめた。その先にいたのは高校生とは思えない、それこそ小学生と言われても納得できるほどの小柄な体格をした少女。しかし、雰囲気、自分への警戒の仕方は、例え高校生だとしても纏ってはいけない不穏なもの。

 

 

「どうしたの? 司波くん」

 

 

 そこで喋りかけてきたのは先程まで一緒に喋っていたショートカットで明るい髪色をした少女、千葉エリカだ。

 

 

「いや、高校生にしては身長があまりにも小さいから目についてしまっただけだよ」

 

「あー、確かに。可愛いね。でもさ、私たちと喋っていたのをやめてあの子を気にするって、司波くんってもしかしてロリコン?」

 

「ちょっと、エリカちゃん!」

 

 

 初対面の人に対してはかなり失礼な質問。隣の少女、柴田美月もそれは思ったらしく、少し強めの口調で制止をかけたが、それほどの質問で無礼だと思うほどの感情は持ち合わせていないし、彼女の性格からしてもただ気になったことを聞いただけなのだろう。

 

 

「もしそうだとしたら、俺はいろんな意味で今ここにいないだろうね」

 

「あは、そりゃそうかも」

 

 

 あえてノる形で答えた達也に対してエリカはニッと、美月は苦笑しながらこちらを見ており、達也もそれに合わせて少し口を綻ばせた。そこで、司会役の男子生徒が話し始めたため、合わせて静まり返る講堂内。一緒に消えた視線と共に、達也も意識を前へと向けた。

 

 

◆◆◆

 

 

 入学式は予想してたものより悪くなかった。補正がかかっているとかではなく、純粋に悪くなかった。最愛のイメージとしては、長々しい校長先生や堅苦しい祝辞が送られるのかと思っていたが、蓋を開ければどうだろう。生徒主体で行われ、一科生と二科生の壁があるとは思えないほどのなんともなごやかな式ではないか。特に印象が強かったのは新入生総代、司波深雪による挨拶。彼女は、自分を美少女と自負している最愛目線でも美少女というにふさわしく、比べられたくないと思ってしまうほどだ。というよりも、入学式の良かったという点の九割は彼女に占められている。勿論、忖度してだ。

 

 

 そんな入学式を終えて講堂出口。ほのかと雫を待っているのだが、向けられる視線がなんだか気持ち悪かった。相手の視線が気持ち悪いとかではなく、慣れない気持ち悪さだ。純粋な視線。どれほど久しぶりに受けたことだろうか。そんな視線のことで悩んでいる最愛を知る由もないほのかと雫は、約束通り講堂出口へとやってきた。

 

 

「最愛ちゃんお待たせ」

 

「別に超待ってませんよ」

 

「良かった。IDカード取りに行こう」

 

 

 IDカードとは、学校施設を利用するために必要となるものだ。ついでにそこで自分のクラスが分かる――のだが、そこでも苦笑ものの出来事が起きていた。

 IDカードはどの交付窓口でも手続き可能なのだが、二科生が一科生に譲るように並んでいるのだ。再び起きている差別問題に、ほのかと雫が困った表情で最愛を見つめ、最愛は気にしないとばかりに流れに乗った。

 

 

「今は流れに逆らう必要が超ありませんので、従いましょう」

 

「うん。何度もごめんね」

 

「超気にしないでください」

 

 

 暗部の中でも上位の組織にいた最愛だが、勿論その中でも上下関係があった。加えて生きる術としてこういう時の対処法については把握している。

 何度目かの申し訳なさそうな表情に手を振りつつ、雲行きが怪しくなってきた高校生活に、それでも胸を膨らませていった。




それでも絹旗の方が好き(鋼の意思
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