第1話
それは気持ちの良い、青々とした雲1つもない、晴れた日だった。
ふかふかの布団にまだ潜っていたいけど起きなくちゃいけない
いつも通りに支度をして、朝食を食べて…
ああ、そろそろ行かないと
慌てていつもの装備に着替えて家を出る。
「もう、遅いよ」
ぷーっとほっぺを膨らませて怒ってます、ポーズ。
ほらまた拗ねさせた、というかすぐ拗ねる。
まったく…この子ってやつは怒っても可愛い。
「ごめんね、ユウナ姫。朝食を食べてたら時間を忘れてたんだよ。
今日は花の森に行く約束だったよね、ほら早く行こう!」
まだ不貞腐れる女の子…俺が住むこの国…【アムールエテルネル国】のお姫様、ユウナ姫の手を取って走り出す。
「ま、待ってゆうしゃ!早いよ〜…」
「…2人でいる時は
「あ…うん、ごめんね。でも癖だから…それに…」
「ほらもう…行こう!」
もじもじと顔を赤らめるユウナ姫をずっと眺めるのも良いけど、早く姫を花の森へ連れて行きたい。
あそこは今、花が咲き乱れる季節だ
とてもたくさんの花が咲いていることだろう、ユウナ姫も喜ぶはず
行く道中に魔獣はちらほら湧いて出るだろうけど、この勇者と呼ばれる俺の敵ではない。
「もうやだあ、ゆうしゃーつかれたー」
「はいはい、ほら掴まって」
ぶーぶーと愚痴を垂れるユウナ姫をお姫様抱っこして、花の森へ向かう。
道中、腹を空かせた魔獣達を初歩魔法の「火炎弾」で倒す。
倒す度にきゃーすごーい!と騒ぐのにも、もう慣れた。
この子には危機感ってものが無いのだろうか…
一国の姫だというのに、少々不安が残る。
かっ飛ばして1時間、目的地の【花の森】へ到着した
到着した途端に「きゃーすっごおおい!」と走り出す姫の扱いにも慣れた
「すごーいすごーい!お花がいっぱい!綺麗だね〜!」
「この時期には花の森は花の絨毯が出来上がるんだ。良い時期にここにこられて良かったね、姫。」
所狭しと咲き乱れる花々、甘い匂いに包まれて胸焼けしそう
早速、沢山の花々を摘んでユウナ姫は何かを作りだしたようだ
甘い匂いに誘われて、魔獣が来ないとも限らない。
ここは比較的平和だと聞いているけど、用心しておこう
花々に包まれたユウナ姫を横目に、装備の確認と周囲の警戒をはじめた。
ぽすっ。と突然頭に何かを乗せられる。
甘い匂いのする何かを頭から降ろして確認をしようとした
「あーあ、せっかく似合ってたのにぃ〜。ゆうしゃとっちゃだめだよう」
わさわさしている何か…ここの花畑に咲いている花で作った花飾りか?
「…ん、花飾りか。ユウナ姫が作ったの?」
「うん、そうだよ!ゆうしゃ、怖い顔してどこか見てるから…。せっかく綺麗な場所にきたんだから楽しまなきゃダメだよ?」
にこっと笑いかける姫、そうか俺ってば怖い顔してたのか…
それにしても相変わらず危機感のないこのお姫様には振り回されそうだ