勇者×魔王   作:沙耶 -saya-

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第13話

シックザール国から王子が来ているというというだけで、この国はお祭り騒ぎだ

あちらこちらで飲みふけっている人や、踊りを踊っていたり歌っていたり…

暇を持て余していたので、ラパンさんと見て回ることにした

 

「ちょっとそこのいけてるお兄さん!見てってよ!」

「え?俺?」

「……」

 

…横から冷ややかな視線を感じるのは気のせいだと思おう。

誘われた出店にふらっと立ち寄る。

とても綺麗に光り輝いていて、一目見ただけでも高価な装飾品ばかりだと分かる。

 

「綺麗な装飾品だな…」

「だろ!この国ご自慢さ!なんか買っていってよ〜」

「ん…これは?」

 

シンプルだが、何か覇気を感じさせる指輪だ

何か特別な加工でもされているのだろうか?

 

「お目が高いねぇ。これは『ラ・ヴェリテ』。真実、って意味を持つ指輪さ!対になってるんだよ」

 

そういうと商人さんはごそごそとカバンを探る。

 

「これこれ。アムールっていう名前の指輪さね。この国と同じ名前だろう?

愛、って意味があるんだ。本当に愛し合っている2人にしかつけられない指輪でね、どちらかが片方を愛してないと色が黒くなって、朽ちて消えていくんだよ。」

「へえ、面白いな」

「2つ合わせて『真実の愛』ってね!永遠を誓い合った2人にはぴったりさ、まるでシックザール国の王子とユウナ姫のようにね!」

 

2人のように……か

やっぱり2人はお似合いなのかな

勇者の俺では釣り合わないんだろう…

少し落ち込んでいると、商人さんが声をかける

 

「兄ちゃんにはいるのかい?自分の全てを投げ捨ててでも、自分の命をかけて守り抜きたい人が。」

「…いる、と思う」

「そうかそうか!だーからこの指輪、さっきからギラッギラ輝いてんだな!いいよ、兄ちゃんに格安で売ってやる!その大切な人に渡してやんな!うまくいくといいな」

 

ギラッギラ輝いてるのはあなたの歯だと思います

突っ込みたかったけどやめておこう

 

「…ありがとう」

「わー、勇者が指輪を購入だぁ〜」

 

「お代は100万ルピでいいよ!」

「たけえよ?!」

 

◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆

 

「勇者や、城に寄っていけばいいのに〜」

「王子が来ているんだろう?最強と呼ばれる魔法使いもいるし、リュシオルさんもいるんだ。俺が護衛しなくてもいいだろう」

「でもー…」

 

ひと通り回った後、ラパンさんを城へ送り届ける。

今日もご馳走だし勇者1人増えても大丈夫!って誘われたけど、断った。

やっぱり部外者がいてはいけない気がする

 

「いい人かどうか、母親がわりとしてしっかりと見極めてね」

「まっかせろー!ユウナ姫の旦那様は優しい人じゃないと許さないのだー!」

 

うん、ラパンさんならきっと大丈夫。

お酒を飲みすぎなければ大丈夫…今日くらいは気をつけてよ?

あのラビットキックを王子になんてやったら国際問題だよ?

ふう、とため息ひとつついて歩き出す。

今日はどこもかしこもお祭り騒ぎだ

…いつものお気に入りのお店も賑わっているのだろうな。

 

「…あ」

 

無意識に手を突っ込んだポケットに何か入っているのに気づく。

ぶつかったそれを取り出して、何かを確認する

 

「…指輪」

 

さっきの馬鹿高い値段で売って来た商人から買った指輪だ

結局あの後、ラパンさんが値切って値切って10万ルピになったのが驚きだった

だったら最初から安く売って欲しかったな…

 

「ユウナ姫はクンツァイト…希少価値の高い緑。俺は綺麗な青のトパーズ…

石の意味は…リュシオルさんに聞いた方が早いな」

 

しかしまあ、勢いとはいえなぜ買ってしまったのだろう。

ユウナ姫は結婚相手を探して、隣国の王子とよろしくやってるというのに

…勇者の自分とは釣り合わないというのに。

渡す相手もいないんじゃ、ただの無駄遣いじゃないかこれ

もう記念に飾っておくしかないな…

 

ふらふら、といつものお気に入りのお店に入る事にした

こういう時は飲むほうがいい

 

「いらっしゃい…あら勇者」

「こんばんは、大盛況だね」

「王子が来ているって聞いて、みんなお祭り騒ぎだよ。大変大変」

 

お気に入りのお店の店主、リヨンさんは忙しそうにパタパタと左右に動き回っている

うーん、ここも大賑わいか…家で飲んだほうがよかったかな

空いているカウンターへ座って、辺りを眺めて待つ

 

「はい、いつものとおつまみ。…なにかあったね?」

「なにも…」

「ううん、勇者がここにくる時はいつも何か悩んでる」

 

そういうと、自分のぶんのお酒を作ってくると奥へ引っ込んで行った。

少しだけ甘い、いつものお酒がすごく苦く感じる。

うーん、確かに悩んでいる。

この無駄遣いをしてからずっと

 

「何があったの?」

 

カラコロ、と氷を入れたグラスをもってリヨンさんが隣へ座った。

うーんうーんと悩みながら、とりあえず思っていることを話すことにした。

 

「よく分かんないんだ。とりあえず。ユウナ姫とはずっと姉弟のようにいたから、好きなんだねって言われてもどういう好きなのかわからない」

「んー?姉弟としての『好き』なのか、恋愛の『好き』なのかってことよね」

「みんな勇者は姫が好き、とか姫は勇者が好きって言うけど、それは恋愛なのか姉弟愛なのか…姫だってきっと弟として俺をからかってるだけで…」

 

モヤモヤする。考えれば考えるほど分からない。

好きなのかもしれない、それは恋愛なのか?姉弟なのか?

好きだと言われれば確かに好きだ。

でもどの種類の好きなのか、自分ではまだよくわかっていない。

 

「ふんふん…ふんふんふん……あんた、貴金属持ってるね」

「いや、今それ関係な…あっ!ちょ、だめ、そこだめ、リヨンさ…っ、あ!」

 

ごそごそごそ、ここかな?そこかな?とリヨンさんが俺の体を弄る。

ちがう!そこじゃない!ポケットだよ!!

まって、服のボタンはずさなくていいじゃん!

周りも見てないで助けて!!

 

「あらぁ、いい石ね。

クンツァイトとトパーズ…『無償の愛』と、トパーズは『探し求める』の意味があるね。『誠実』や『希望』の意味があったかな?」

「リヨンさん、石詳しかったの?」

「色々な知識は持っておくといいのよ、いつか自分の力になる。

その指輪、何か特殊な魔法がかかってるね。【解析】」

 

ぽう、と指輪が光に包まれる

ああ!高かったんだから!壊さないで!おねがい!

暫く光り輝いていたが、首を傾げていろんな方向から眺めて、元の箱に戻された。ー

 

「ん〜、よく分かんないけど…とりあえず片方つけて、片方早くわたしな」

 

するっ、とトパーズの指輪を俺にはめ、クンツァイトの方の指輪を早く相手に渡せとおっしゃってますけどね…

 

「その相手に対して悩んでるのに…」

 

もう酔いつぶれるまで飲み明かそう

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