勇者×魔王   作:沙耶 -saya-

17 / 23
第17話

「ん…しょと。これでいっか」

 

俺は今、輝きの森へ採取へ来ている。

というのも我儘なお姫様がルーヴ王子のきたその夜から高熱を出し、寝込んでいるという。

早速次の日にお見舞いに行ったのはいいが

 

「輝きの森にあるキララベリーがたべたい」

 

との我儘を申されたのだ。

勿論勇者の俺に拒否権など存在しないので必然的に…

 

「トリニクルヨネー」

 

ほんと俺ってば、ユウナ姫に甘い。

とことん甘い。甘過ぎる。

服従しまくってるよね。

頼まれたキララベリーは普通のベリーと違い、黄金色に輝くとても甘い果物だ

勿論甘い匂いもプンプンするので…

これを狙いに魔獣たちがわんさか集まってくる。

輝きの森に行くにはそれなりの腕前がないと行けないのだ。

まあ勇者である俺なら余裕だろう!

 

「勇者〜、こっちも集まったから帰ろっか」

「ラパンさんありがとう。こっちも袋一杯だから帰ろう」

 

輝きの森に行くなら私も〜、とラパンさんが同行を申し出たので一緒について来てもらった

どうも輝きの森にしか取れない鉱石があるらしくて、それ狙いらしい。

1人じゃ心細いからちょうど良かったよーとラパンさんは言っていたけど

 

「あ、魔獣。【酔拳】!」

「…絶対1人でも来れたよね?」

 

ここに来てから勇者の俺はちっとも攻撃していない

すべてラパンさんが気付いて即座に倒している。

これじゃ腕前あっても発揮できないね!

ていうか酔拳って……

 

「酔ってます?!ラパンさんまた酔ってます?!」

「酔ってにゃーいよー!お酒は飲んでるけどお」

「お酒飲んじゃダメ!ダメだからね?!」

「ちぇー」

 

急いでラパンさんからお酒を取り上げる。

この人、酔うとすぐラビットキックかますから駄目だって!

ルーヴ王子には奇跡的にやらなかったみたいだけど、いつするか分からないから怖い!

国際問題反対!!

とりあえず集まったし、城へ帰ろうか。

 

 

「ひーめ!帰ったよう」

 

ドーン!とノックもなしにユウナ姫の部屋のドアを開ける

いつも思うけど、それ大丈夫なの?

ユウナ姫着替えてるとかいう場面遭遇しない?

 

「まま…ゆうしゃ…おかえりなさ…」

 

グッタリと、いつもの元気な姿はなくベッドに横たわっている

にこ、と笑いかけてくれているが、胸が痛い

 

「起き上がらなくていいから寝てて」

「うん…」

 

どうやら相当辛いらしい。素直に言うことを聞く。

わがままは申すけどね!!!

 

「ほれ、キララベリー。とってきたから夕食後にでも食べたらいい」

「ゆうしゃ…」

「ん?今はやらんぞ、飯食え飯」

 

今食べたら夕飯に響くからな!

採れたてはうまいけど、楽しみは後に取っとくといい!

 

「ゆうしゃ…」

「うん?だから何、どうした?」

「くちうつ…」

「くち?うつ?うん??」

 

なんかラパンさんがとてつもなくニヤニヤしている気がする

とりあえず耳を引っ張っておこう

 

「ひゃー!」

 

うるさいうさぎ!黙ってシチューになりな!

姫の声が聞こえないだろ!

 

「…手、にぎってて。寝るまででいいから…」

「うん、良いよ」

 

ユウナ姫の横に近付き、差し出された手を握る。

熱のせいでとてもあつい。

弱々しく握り返される

 

「…ゆびわ?」

「え?ああ…これね。出店でね買ったんだよ」

 

本当にね、すごい無駄な出費だったよね!

これのせいで俺は今日からもやし生活!

そして使い道がないっていう究極無駄出費!!

 

「…欲しいなあこれ」

「これ?指輪?欲しいの??」

 

あれ、確かこれペアみたいになってなかった?俺2つ買ったよね?

ごそごそ、とポケットを探るとやっぱりあった!

今の俺にとっちゃ忌まわしき指輪さん!

 

「きれい、みどりいろ…」

「ああもう、起きちゃだめだって。ほら、あげるから寝てて」

 

ぽいっ、とユウナ姫のお腹辺りに置いとく

どうせ俺には必要無いのです

2つも指輪つけるほどナルシストでもないので!!

…おいそこのウサギ、何をニヤニヤしている。もう一度耳を引っ張るぞ!

 

「つけて、ゆびに」

「んー?良いけど、こんな貧相なもの姫がつけてて良いの?」

「ゆうしゃからもらったものは、全部大事よ」

「わかったわかった」

 

なんかもう、熱のせいか色々素直だなぁ

綺麗な緑色のクンツァイトの指輪をはめてやろう!

高かったからな、大事にしておくれ!!

そしてウサギ!何故ニヤニヤがさっきより加速している!

 

「ん、できた」

「わー、きれい!ゆうしゃと石は違うけどデザインは一緒なんだね」

「うん、たしかペアリングにな…って…て、あ、あれ」

 

なんか買った際に商人さんからとてつもなく重要なこと言われた気がするんだけど

それこそこのお高い指輪が消し飛ぶみたいなことだった気がするんだけど

もうその後のお酒のせいで覚えてないよ!!

 

「ラパンさん…」

「なあに、勇者」

 

ものすんごいニヤニヤしてんなおい!!

 

「これ、なんか注意事項とか言われてましたよね。覚えてます?」

「え〜、ラパンわっかんにゃぁい〜」

 

ニヤニヤニヤニヤ。うさぎめ!

ちくしょう!あれは覚えているぞ!!からかってるぞ!!

どうにかして聞き出さねばいけない!!

ユウナ姫の制止も聞かず、俺とラパンさんの追いかけっこが始まった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。