花の森が太陽の光に照らされ輝く
黄金に光り輝くそれは、この時期だけ見られる絶景だ
「本当にきれい…あまーい匂いもいっぱいだし!お花摘んでも摘んでも無くならないの!
…あ!あそこに美味しそうな実がなってるー!ねえねえゆうしゃー!」
「もう…はしゃがないの。ほら取ってあげるから…」
綺麗なオレンジ色の実を魔法で落とす。
ほのかに甘酸っぱい匂いがするが、何の実だろう?
もはや花の匂いに包まれてよくわからないのが事実だ
「分かんないものはとりあえず食べるっ!リュシオルさんがそう言ってた!」
「ちょ、リュシオルさんなんでそんな危ない事教えてんの!!やめ、やめて姫!分かんないもの食べないで!!」
だがもう手遅れで、姫の手の中にあったオレンジ色の小さな実は口に運ばれていったのであった
「んにゃー!甘酸っぱい!美味しい!あ、そうだ!リュシオルさんにもお土産で持って帰らなきゃ!あとラパンさんとシャーさんにも…」
もうほら、人の話聞いちゃいないよこの姫。
危ないからだめだって言ってるのにお土産に持って帰るから、早く魔法で落とせって我儘言いはじめちゃったよ。
こうなったらもう俺の言葉は届かないんだよなあ…仕方ない、ため息を1つついて魔法でオレンジ色の実を落とし続ける。
落ちるたびに左右に走り回って集めるユウナ姫。
あれ、俺が集めたほうがいいんじゃね?
そう思って向かおうとした瞬間、突風が吹いて目の前に誰かが現れた。
「勇者様、ここへいらっしゃったのですか?…あれ姫様が果物を集めていらっしゃる…?」
「わーわーわー!違うんです!俺が集めようと思ったんです!なのに姫がやるって聞かなくて!」
「姫様は勇者様を気遣っているのですよ。…にしてもこの時期の花の森は絶景ですね、いい時に来られました」
「本当にそうです、姫を連れて来れてよかった。ところでリュシオルさん、あなたは何故ここに?」
拾い集め切れていないオレンジ色の実をかじりながら、突風の中から現れたリュシオルさんへ聞く。
…甘酸っぱくなんかないじゃんこれ、酸っぱいよ姫。
「魔法薬に使う薬草などを集めにここへはよく来るのですよ。その手に持っている果物もこの時期にはよく実りますね。シャーベットにすると酸っぱいのが調和されて食べやすいですよ。今晩のデザートにでも出しますかね、姫様沢山集めてる事ですし」
「へえ…ユウナ姫は甘酸っぱいっていうんだけど、俺には酸っぱくて。シャーベットなら食べれそうだなあ」
そう言ってもうひとかじり。
うん、やっぱり酸っぱいよ姫。
甘さのカケラも俺には感じられないや。
「あれぇ?リュシオルさん!見て見て、美味しい果物いっぱい取ったの〜」
「姫様、夕食後のデザートにこの果物を使ったシャーベットにゼリーをお出ししますよ」
「ほんと!?じゃあいっぱい集めなきゃ!」
リュシオルさんがそんなこと言うから、ほらこの我儘姫様ったら
「早く落として!はやく!ゆうしゃ!」
って勇者をこき使いはじめちゃったよ。
勇者使いが荒い姫様だなぁ、もう。