勇者とはぐれて2時間がたった
だいぶ体力も魔力も回復した、いつでも動ける
それでもシャーさんは「だめにゃ」って引き止めるばかり
私は一刻も早く勇者を探さなきゃなんだよ!
「焦って探したって見つかるものも見つからない。こうやって待ってたほうがいい時だってあるんだ。ラパン、君が勇者を探したい気持ちはよくわかる、僕だって同じ気持ちさ。だからこそこうやって待ってる」
「こうやって待って2時間経ってる!!体力だって回復した!勇者を早く見つけなきゃ…何かあったらどうするの?!」
「勇者を信じておやりよ」
勇者を…信じる。
私は信じきれてなかったのかな…?
シャーさんは私を見てニコリと笑い「少し冷えるね」と言い、リュックから毛布を取り出し私へくれた
「女の子は体を冷やしちゃいけないよ」
「……」
いつも美味しいうさぎ扱いするくせに…
たまに優しくしてくれる
本当にいい相棒だよ…
シャーさんがいなかったらきっと私は闇雲に勇者を探していただろうな
「……ん!」
なんか…向こうが騒がしい気がする…
何かが叫んでいる…
「…ん、向こうが騒がしいね。血の匂いがする」
やっぱりシャーさんも気付いたんだ
そう言うとすぐに黒猫化して、シャーさんは辺りの気配を探り始めた
シャーさんの得意技 【野生の勘】ってやつだ
「血のにおい…まさか勇者か?!」
「…え?」
そう言うといつもの冷静さは消えて物凄い勢いで走っていくシャーさん
慌てて私も追いかける
勇者との追いかけっこで勝てたこの脚力なめんなっ。
走っていくにつれて鉄臭い、生臭い
…血の匂いがする
進めば進むほど、匂いがきつくなる
何かが腐った匂いもする気がする、吐きそうだ
「アァァァアアアアアア!!!!」
「!?」
「勇者……?」
走って向かった先には、泣き叫びながら【ナニカ】をひたすらに切る血塗れの勇者がいた。
◆◇◇◇◇◇◆◇◆◇
ラパンが横で豹変している勇者の姿を見て身動きが取れないでいる。
もちろん僕もだ。こんな勇者は見たことがない。
泣きながら「どうして!なんで!!」と必死に何かをきっている
止めなければ…勇者の何かが壊れてしまいそうだ
見ている場合じゃない、気絶させてでも止めないと!
「…っ!【
「シャー…」
「ラパン!キミも攻撃して勇者を!!」
「わ、分かった!【酔拳】!」
だが勇者にはまるで効いていない!
勇者は物理バカだから魔法には弱いはずなんだが…
…ん?何かがおかしい。
「…【野生のカン】!」
「シャーさんどうしたの?!」
やっぱりだ……
さっき魔法を放った時、違和感があったんだ
「勇者…何故キミが魔法障壁を使えているんだ?」
だってキミは物理バカだろう?
何故そんな高度魔法が使えてるんだい?