大怪獣バトルレジェンド Gの伝説   作:キューマル式

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お久ぶりです。
今回はライバル登場。
そして、特撮好きなら誰もが一度は考えた戦いです。


第6話 遭遇

ドゥン!!

 

 

キシャァァァァァァァァ

 

 

 燃え盛る炎の中に翼竜のような怪獣、超音波怪鳥『ギャオス』が沈んで行く。その燃え盛る炎の前には、それを起こした1体の怪獣の姿があった。

 その怪獣は、まさしく巨大な直立したカメだ。醸し出す雰囲気が、この怪獣がそこらへんにいるただの怪獣ではないということを物語る。

 そしてその怪獣の傍らには1人の青年の姿があった。

歳は18~19くらいか?

 切れ長の鋭い視線からは、まるで研ぎ澄まされた刀のような鋭い印象を受ける。そしてその青年の手にはあの不思議な機械『バトルナイザー』が握られていた。

 

「片付きましたの?」

 

 鈴の鳴るような声に青年が振り向くと、そこには1人の少女の姿があった。歳は青年と同じほど、艶やかな長い黒髪を手で払うそのしぐさは、この荒廃してしまった世界には似つかわしくない上品な雰囲気を醸し出している。

 そして、その彼女の手にもあの『バトルナイザー』が握られていた。

 

「怪獣の発生が活発だというから来たが……とんだ無駄足だった。

 これはただの野生種だ」

 

 青年は肩を竦めバトルナイザーを掲げると、カメのようなその怪獣は光となってバトルナイザーの中に戻っていく。

 

「そうですか……今度こそ怪獣発生の原因だという、『あの怪獣』がいるのかと思ったのですが……」

 

「『あの怪獣』は『奴ら』にとっても重要らしいからな。

 そう簡単には見つからないだろう」

 

 残念そうに肩を落とす少女に、青年は何でもないかのように言い放つ。そして話題を変えるかのように言った。

 

「それで、次の目的地だが……」

 

「それなら……気になる話がありました。

 浜名湖周辺に出没していた怪獣の群れは覚えていますか?」

 

「ああ、『奴ら』の息のかかった怪獣じゃなかったが、野生種としては最大級の強さだったから監視対象になっていたやつだな。

 手の開いた時に討伐をする予定だったが……?」

 

「その群れが消滅したそうです」

 

「なにっ?」

 

 その話に彼は眉を潜める。あの場所を根城にしていた怪獣の群れ、特に群れのボスである『スラターン』は並の怪獣ではなかった。それが倒されたとなれば、それは相当な怪獣であるが……。

 

「ところが、あの地域に新たな怪獣が根付いた様子はありません。

 これはつまり……」

 

「怪獣使い……か」

 

 青年の言葉に、少女は頷く。

 

「分かった。 次の目的地はそこだな。

 行こう」

 

「はい……」

 

 答えて2人は連れだって歩き出した。そして青年はポツリと呟く。

 

「今度こそ『奴ら』に繋がればいいが……」

 

 その言葉は誰にも聞こえることなく、空に溶けていった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 あの『スラターン』との戦いの後、翔と絵美は西へと旅を続けていた。その目的は1つ、噂に聞いた『赤い悪魔のような怪獣』を確かめるためだ。

 

「……」

 

 野宿のたき火を前に、翔は無言で手の中のバトルナイザーを見つめる。

 そんな翔の前に、湯気の立つマグカップが差し出された。

 

「どうしたのよ、深刻な顔して。

 どうせまたバカなこと考えてたんでしょ?」

 

「……俺だってたまには真面目に考え事ぐらいはするんだよ」

 

「あー、うそうそ。

 翔がそういう顔してるときには決まってくだらないこと考えてるんだもの」

 

 そう言って大仰に肩を竦めると、絵美はたき火を前に翔の隣に座った。

 

「もっとこれからのことを考えましょうよ。

 せっかくこんな凄い力手に入ったんだし」

 

 そう言って、絵美は手の中のバトルナイザーを見せた。

 

「この子たちを使ってトレイダーの仕事とかどう? 儲かりそうよ」

 

「そりゃ、お前のジェットジャガーならできそうだろうが……」

 

 絵美のジェットジャガーはその大きさを変える能力と、完全な人型をしているということでここまでの旅の間も力仕事などで大いに役立っている。絵美曰く『器用で一番使いやすい怪獣』とのことだ。

 ジェットジャガーならそれもいいが、翔のゴジラやアンギラスではパワーがあり過ぎてそんな細かな仕事ができるとは思えない。ラドンは論外である。

 もっとも、今まで怪獣がいて人が入っておらず手付かずの場所を漁りに行けるということで、トレイダー稼業に怪獣は役立てようと思えばできそうではあるのだが……。

 

「じゃあ街の用心棒とかどう?」

 

「いや、怪獣の召喚を見せたらそれこそいつかの焼き直しだろ?」

 

 この旅だって怪獣召喚を恐れられて街を追い出されることで始まったのだ。用心棒と言うのは悪くないアイデアだが、難しいだろう。

 そんなあれもこれもすぐに否定する翔に、絵美は頬を膨らませる。

 

「もう、真面目に考えなよ!

 ……私たち、今を生きてるんだよ」

 

 そして、絵美は少しだけトーンを落とした。

 

「……おじさんの仇をとりたいのはわかるよ。

 私だってあの『赤い怪獣』はお父さんやお母さんの仇だし、その気持ちは分かる。

 でもこう言ったらなんだけど……仇を取ったって、誰も生き返るわけじゃないんだよ。

 ならさ、もっと今を生きることを考えなきゃ」

 

「……」

 

 その言葉に翔は沈黙した。

 翔とて、そんなことは分かっている。仇をとろうが、何が変わるというわけではない。

 だが……。

 

「……俺だって分かってるさ。

 でも……家族を殺した奴がいて、それが平然と闊歩しているなんて気分がいいわけ無いだろ」

 

 人は誰でも『仇』には罰を求める。

 犯罪と治安というものも個人に変わって犯罪を犯したものに法の元に罰を与える、言ってみれば被害にあった者のかわりに司法が恨みを晴らし『仇』を討つ行為なのである。

 だが……その『仇』が怪獣なら、その恨みと罰は誰が与えるのか?

 

「今までは怪獣が相手だ、どうしようもないと諦めるしかなかった。

 でも、今なら俺にはゴジラたちがいる。

 『仇』を討てるかも知れない力がここにあるんだ。

 だから俺はあの『赤い怪獣』を追う。父さんのことと自分の心に整理を付けて、何より俺が明日を生きるために、だ」

 

 そう言って、翔は視線を手の中のバトルナイザーに落とした。

 

「それに、さ……俺はこれ(バトルナイザー)を手に入れた。

 こいつは、何かを成し遂げるためのものなんだと思う。

 それが何なのか分からないけど、ジッとしていてもその答えは見つからないと思うんだ。

 だから……」

 

「今は仇を追う?」

 

「ああ……もっとも噂の『赤い怪獣』が本当にあいつなのか分からないし、あの『赤い怪獣』だってとっくの昔に他の怪獣に殺されてる可能性だってある。

 どうなるかは分からないけど……とりあえずは噂の真偽を確かめるまで旅を続けてみるつもりだ」

 

「……」

 

「……ここで別れてもいいんだぞ?」

 

 翔がそう促すと、絵美は大きなため息とともに肩を竦めた。

 

「ここまで来たら今さらよ。

 旅は道連れ、今さらおりる気はないわ。

 ただ……それが終わったら少しは考えなさいよ」

 

「ああ……」

 

 それっきり、絵美はその話題には触れてこない。その気遣いが翔には嬉しかった。

 その時……。

 

 

シュインシュインシュインシュイン!!

 

 

 奇妙な音に、翔はバッと顔を上げる。

 

「な、何だこの音は!?」

 

「翔、あれ!!」

 

 絵美の指さす方向には炎を上げながら回転する円盤のようなものが飛んでいた。それは地上まで降りてくると、炎を放っていた場所から手足と、そして頭が飛び出し、地上へと降り立つ。

 

 

 キュォォォォォォォン!!!

 

 

 それは直立したカメのような怪獣だった。

 それを見た途端、翔の背中を何とも言えない悪寒が駆け巡る。

 この怪獣は並大抵ではない……それを翔はビリビリと本能的に肌で感じる。いつの間にか、翔は汗で絞める手でバトルナイザーを強く握りしめていた。

 

 

『バトルナイザー、モンスロード』

 

 

「来い、ゴジラ!!」

 

 

 ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 あの敵を相手に、出し惜しみなどできない。半ば本能的にそう悟った翔は即座に切り札(エース)を切る。

 

 

 ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 キュォォォォォォォン!!!

 

 

 並び立った2体は、ともに雄たけびを上げる。

 そして、それが戦闘開始の合図となった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 キュォォォォォォォン!!!

 

 

 先に仕掛けたのはカメのような怪獣だった。強固な甲羅を背負ったその身体で、肩口からゴジラに対して体当たりを喰らわせる。

 

 

 ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 その衝撃にゴジラが2歩・3歩と後ずさるが、すぐに体勢を立て直す。

 

「ゴジラッ!!」

 

 

 ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 翔の言葉に応えるようにゴジラが大きく一つ雄たけびをあげると、その太い尾をしならせ、必殺のテールアタックを放つ。

 しかし、そのカメのような怪獣は素早くクルリと身をひるがえすと、その強固な背中の甲羅でゴジラの尾を受け止めた。

 

 

 キュォォォォォォォン!!!

 

 

 そしてゴジラが尾の一撃を外したことでできた隙をついてカメのような怪獣は急接近、ゴジラに左右の腕を連打で叩きつける。

 

 

 ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 その一撃が当たるたびに、ゴジラの強靭な皮膚に火花が散る。一撃一撃の威力はそれほどでもないが、激しい連続攻撃がゴジラを翻弄する。

 

「ゴジラ、体内放射だ!!」

 

 

 ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 翔の言葉に、ゴジラの背びれが激しく発光を始める。必殺の放射熱線を体内で開放することによって全身から放射熱線を拡散、周囲をくまなく攻撃するゴジラの接近戦での切り札だ。これが放たれれば、至近距離では防御のしようがない。それをカメのような怪獣に繰り出そうとするが……。

 

 

 キュォォォォォォォン!!!

 

 

「何っ!?」

 

 そのカメのような怪獣は突如、足を引っこめると登場した時と同じようにそこから炎を吐きだした。

 その圧倒的な炎を推進力にしてロケットのように加速、一瞬にしてゴジラから距離をとり、ゴジラの体内放射の範囲から逃れていたのである。

 

「こいつ……強いっ!?」

 

 今まで戦った怪獣とはまさしく別次元の強さを誇るその怪獣に、翔の背を冷たいものが伝った。

 

 

 キュォォォォォォォン!!!

 

 

 そのカメのような怪獣の雄たけび、その口の中にチロチロと赤い炎が浮かび上がる。そして、プラズマ化した超高温の火球がゴジラに向かって放たれた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 翔のゴジラが激しく戦う中、絵美の方も苦戦を強いられていた。

 

「なんなのよ、この蛾は!?」

 

 ゴジラを援護するためにメカゴジラを召喚した絵美だが、そのとき空から極彩色の蛾のような怪獣が現れ、メカゴジラに攻撃を仕掛けてきたのだ。

 蛾の怪獣の触角から、その羽根と同じような極彩色の光線が放たれ、メカゴジラに襲い掛かる。

 

「甘いわ! 全部プラズマグレネイドのエネルギーにしてやる!!」

 

 その極彩色の光線はメカゴジラに当たると、メカゴジラの全身のダイヤモンドコーティングの効果によってそのエネルギーをプラズマエネルギーに変換、メカゴジラのプラズマグレネイドの砲口に凶暴な光が灯っていく。

 メカゴジラはお返しとばかりに目のレーザーキャノンを空にいる蛾の怪獣へと放った。レーザーキャノンで牽制し、メガバスターやミサイルを当てて地面に叩き落とし、その後に必殺のプラズマグレネイドで仕留めるつもりだ。

 しかし、蛾の怪獣からキラキラと光る粉状の何かが降り注ぐ。その光る粉を当てられたメカゴジラが全身から煙を上げた。

 

「め、メカゴジラ!?」

 

 光る粉の正体、それは毒の燐粉である。その攻撃によってメカゴジラ自慢のダイヤモンドコーティングが溶けていたのだ。

 蛾の怪獣から再びの光線、ダイヤモンドコーティングを失ったメカゴジラは光線を吸収できず、その銀の装甲に爆発の火花が散る。

 

「不味い!! 早く倒さないと!!

 メカゴジラ、メガバスターよ!!」

 

 

 キシャァァァァン!

 

 

 メカゴジラは金切り声の咆哮を上げると、その口からメガバスターを発射する。

しかし……。

 

 

 ドゥン!!

 

 

「な、何で!?」

 

 目の前の光景に、絵美が驚きの声を上げた。メカゴジラのメガバスターが放たれ、そしてメガバスターによって爆発が起きたのはあろうことかメカゴジラ自身だった。

 先程の燐粉、これがメガバスターを乱反射させるように拡散させ捻じ曲げ、メカゴジラ自身のすぐ近くで炸裂したのである。

 爆風であおられ体勢を崩すメカゴジラ、そこに蛾の怪獣が低空を飛行しながら突進してくる。

 

「っっ!?」

 

 重量と加速の乗った体当たりに、メカゴジラの重装甲ボディが宙を舞った。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 カメのような怪獣から放たれたプラズマ火球、それが連続して2発・3発とゴジラに向かって飛んでくる。

 しかし、翔は今こそが勝機と読んだ。

 

「ゴジラァァァ!!」

 

 

 ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 翔の声に応えるようにゴジラは咆哮すると、ゴジラの背びれが輝きだす。それは荒々しい、赤い輝きだ。ゴジラの必殺の一撃『バーンスパイラル熱線』である。

 

「その体勢じゃ避けれないだろ!

 これで吹き飛べ!!」

 

 カメのような怪獣は火球を放った状態、それでは先程のような回避はできないはず。翔はスラターンをも一撃で貫いた『バーンスパイラル熱線』でプラズマ火球ごとカメのような怪獣を貫こうという魂胆だ。

 『バーンスパイラル熱線』が放たれる。その強大な破壊力の赤い光は、飛んできたプラズマ火球を消し飛ばすとそのままカメのような怪獣に襲い掛かった。

 

「やった!!」

 

 翔はその瞬間、勝利を確信していた。

『バーンスパイラル熱線』を受けて無事な怪獣などいはしない。目の前のカメのような怪獣はとて例外ではないはずだ。

 しかし……。

 

「ば、バカな!!?」

 

 放たれた『バーンスパイラル熱線』、しかしそれはカメのような怪獣の突き出した右腕に受け止められていた。

 いや、受け止められたのではない。本来なら対象を一瞬で焼き貫くはずの貫通力抜群の『バーンスパイラル熱線』が、その場で渦巻くように停滞している。

 そして……『バーンスパイラル熱線』の奔流が終わるとそこには『バーンスパイラル熱線』の赤を腕に纏わりつかせるようにしたカメのような怪獣が立っていた。

 そのカメのような怪獣が急接近、赤く輝く右腕をゴジラへと叩きつける。

 

 

 ドグォォォォォン!!!

 

 

「ゴ、ゴジラぁぁぁぁぁ!??」

 

 今までに見たことも無いような大爆発。そして……あのゴジラが白眼をむいていた。

 意識を失ったゴジラが、ゆっくりと体勢を崩し倒れていく……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 蛾の怪獣の強烈な体当たりによって、メカゴジラが倒れ込む。しかし、メカゴジラはまだ動ける。そして絵美の闘志にも陰りは無かった。

 

「光学兵器が使えなくてもメカゴジラは戦えるわ!

 メカゴジラ!!」

 

 

 キシャァァァァン!

 

 

 絵美の声に応えるようにメカゴジラが一声上げると、倒れた状態でメカゴジラはブースターを点火、地面との間に火花を散らせながら離陸し、蛾の怪獣からの追撃の光線を避けた。

 その戦いの舞台を空へと移したメカゴジラと蛾の怪獣だが、空での戦いではメカゴジラは圧倒的に不利だ。空に飛び上がったメカゴジラが、再びの蛾の怪獣の体当たりによってバランスを崩す。

 だが、そのくらいのことは絵美も承知の上だ。

 

「メカゴジラ、パラライズミサイル・トランキライズミサイル連続発射!!」

 

 メカゴジラから何発ものミサイルが放たれ、それが蛾の怪獣を追尾し始めた。それを蛾の怪獣は加速して振り切ろうとするが……。

 

「レーザーキャノン、牽制射撃! 逃げ道を塞ぐのよ!!」

 

 メカゴジラのレーザーキャノンが蛾の怪獣の動きを制限し、ミサイルが炸裂する。対生物用の毒薬と麻痺薬の効果によって、蛾の怪獣の動きが鈍った。

 

「今よ! ショックアンカー発射!!」

 

 メカゴジラの腕からショックアンカーが発射され、それが蛾の怪獣の胴体に巻き付いた。即座に流される高圧電流、蛾の怪獣は逃れようと羽根をはばたかせて激しくもがいた。

 

「やれ! メカゴジラ!!」

 

 

 キシャァァァァン!

 

 

 絵美の声に応えメカゴジラは咆哮を上げると、メカゴジラは全身のブースターとスラスターを点火、その推力によってゆっくりと蛾の怪獣を引きずってコマのように回転を始めるメカゴジラ。

 やがてその回転が速くなっていく。

 

「今よメカゴジラ! ショックアンカー、パージ!!」

 

 

 キシャァァァァン!

 

 

 メカゴジラと蛾の怪獣を繋げていたショックアンカーが火薬の爆発によって切り離された。そして、蛾の怪獣はそのまま地面へと叩きつけられる。その巻きあがる土埃の中を、メカゴジラが地面に降り立った。

 怪獣式のジャイアントスイング……今のは効いたはずだ。だが、メカゴジラも無傷ではない。銀の装甲は燐粉に溶かされ光線に焼かれ、所々が爆ぜていた。そして、その右腕もだらりと力なく垂れている。先ほどのジャイアントスイングでその腕の関節に大きな負荷がかかって損傷してしまったのだ。

 それでも地上に引きずり下ろした今の状態なら、倒せてなくてもプラズマグレネイドの追撃でトドメが刺せる。絵美は蛾の怪獣の様子を注意深く見守る。

 しかし……。

 

「えっ!?」

 

 絵美は素っ頓狂な声を上げた。土埃の中、光の粒子のようなものが昇っていく。そして、絵美はそれに見覚えがあった。

 

「これ、バトルナイザーの……?」

 

 そう、それはメカゴジラたちをバトルナイザーに戻す時と同じなのだ。

その光の粒子の飛ぶ先を見るとそこには黒い髪の、絵美と同じくらいの歳の少女の姿がある。そして、その手には絵美と同じくバトルナイザーが握られていた。

 

「……」

 

 その少女は絵美を一瞥すると何も言わずに身を翻し、土埃の向こう側へと消えていく。

 呆気にとられた絵美は、その場に立ち尽くすしかなかった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 カメのような怪獣の強力な一撃によって、いままで無敵を誇り幾体もの怪獣を倒してきたゴジラが意識を失い、倒れていく。

 その信じられない光景に、翔の意識が真っ白になった。

 

「ゴ、ゴジラァァァァァ!!?」

 

 翔のその声は、絶叫に近かった。

 だが、ここに来てまだ翔はゴジラという怪獣を理解しかねていたとしか言えない。ゴジラは……そう簡単に敗北するような怪獣ではないのだ。

 

 

ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 白目をむいていたゴジラの目に光が戻り、大地を震わせる雄たけびを上げる。そして、その太い尾を地面に思い切り叩き付けた。その反動を利用し、倒れかかっていた身体を持ち直すゴジラ。その姿に翔は叫ぶ。

 

「今だ、ゴジラ!!」

 

 

ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 翔の声に応え、ゴジラが一歩踏み出すとカメのような怪獣の腕をがっちりとつかむ。

 

「これなら、さっきみたいに逃げられないだろ!

 ゴジラ、今度こそぶちこめぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

ガァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 雄たけびとともにゴジラの背びれが発光し、光と衝撃が周囲に拡散する。ゴジラの体内放射だ。先程はロケット噴射の急機動で避けられてしまったが、腕をゴジラに掴まれてはそれもできない。

 

 

 キュォォォォォォォン!!!

 

 

 その直撃にそのカメのような怪獣は大きく吹き飛ばされると、大地へと叩きつけられる。

 

「どうだ……?」

 

 翔はその土埃の中に目を凝らす。すると、そこから光の粒子が立ち昇っていく。それは翔の良く知る光景……バトルナイザーの光と同じだ。

 その光の粒子の先……その小高い丘には1人の青年が立っていた。

 

「……」

 

 鋭い視線で翔を見るその男は、そのまま身を翻すとどこかへと消えていく。

 

「あいつは一体……?」

 

 思わず翔は呟く。しかし、翔には物想いにふけるような時間は無かった。

 

 

 グォォォォォォ……

 

 

「!? ゴジラ!!?」

 

 今までの激闘のダメージに、ゆっくりとゴジラが倒れていく。

 

「戻れ、ゴジラ!!」

 

 慌ててゴジラをバトルナイザーに戻す翔。そしてゴジラの受けたダメージの大きさに、改めて翔は先程の怪獣の恐ろしさを知る。

 

「翔!!」

 

 そんな翔の元に絵美がやってきた。

 

「翔、無事!?」

 

「ああ、なんとかな。

 でも……ゴジラがこんなにダメージを受けた」

 

 翔のバトルナイザーを覗き込んだ絵美が、そのダメージに驚きに目を見開く。

 

「あのゴジラがこんなに……。

 私のメカゴジラも相当やられたわ……」

 

 絵美のバトルナイザーの中に戻ったメカゴジラも大きな傷を受けている。そして、絵美はさきほど自分の見た光景を伝えた。

 

「ねぇ、翔。

 私の戦った怪獣……バトルナイザーを持った女が操ってたわ」

 

「……奇遇だな。

 俺も今、あのカメ野郎を操ってる男を見たぞ」

 

「そっちもなの!?」

 

 翔の言葉に、絵美は驚きの声を上げた。

 確かに翔も絵美も、怪獣使いは自分たちだけではないだろうとは思っていた。だが唐突な出会いの上、いきなりの攻撃である。

 

「翔……」

 

「気を付けた方がいいな。

 それにしても……一体何が目的なんだ……?」

 

 翔はそれだけポツリと呟いた……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 海を前にした崖に、2人の男女が揃って海を眺めていた。その2人とは先程の、翔と絵美と戦った2人である。

 

「……どうでしたか栄一さん、先ほどの2人は?」

 

「あの怪獣……強いな。

 俺の『ガメラ』がここまでやられるとは……」

 

 そう問われ青年……草薙栄一は自身のバトルナイザーを見せる。そのウィンドウには、あのカメのような怪獣……『ガメラ』の姿が映し出されていた。

 

「そっちこそどうなんだ、雅?

 お前の『モスラ』も随分やられてたみたいだが……」

 

「ええ、こちらもそれなりにやられました。

 あれはその辺りの怪獣とは格が違いますわね」

 

 そう言って少女……手塚雅は答えて、その髪を払う。

 そして、続けた。

 

「ただ……『モスラ』は反応しませんでしたわ。

 『奴ら』の息のかかった者たちなら、モスラが反応しないわけはないんですが……」

 

「こっちも同じだ。

 『ガメラ』も邪悪には敏感、『奴ら』の息のかかった怪獣使いなら反応しないはずがないんだが……」

 

「それなら……あの2人は『こちら側』の?」

 

「……ああ。

 俺たちと同じ、『巨人たちから光を託された怪獣使い』なのかもしれない」

 

「まぁ!」

 

 栄一のその言葉に、雅は嬉しそうに手を叩いた。

 

「それならすぐに戻って事情を話してみましょう。

 あれだけの怪獣使いが仲間になってくれるなら心強いですわ」

 

「……そうもいかないだろう。

 本当に『こちら側』なのか、まだ判断できない。

 これからも監視の必要はあるだろうな。

 それに……まずは補給に戻らないと」

 

 その瞬間、沖合に何かが浮かび上がった。

 それは明らかな人工物……戦艦だ。その艦首には巨大なドリルがつけられている。そして、そのドリル戦艦から小型のヘリコプターが2人の元へと飛んできた。

 

「一端戻って情報の見直しだ。 行くぞ」

 

「はい」

 

 2人は連れだって小型ヘリ『ZATドラゴン』に乗りこむと、巨大な戦艦の方へと去っていった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

次回の大怪獣バトルレジェンドは

 

「ねぇ、翔……この村、歓迎してくれてる感じだけど……何かおかしくない?」

 

「……ああ、おかしいな。

 絵美、気を付けろ」

 

「お兄ちゃんたち、早くこの村から逃げて!」

 

「ふふふっ……まさか僕と同じだったなんてね」

 

「まさか!? お前も怪獣使いか!!?」

 

「さぁ、レイオニクスバトルを始めよう!

 僕は勝って宇宙を統べる王になるんだ!!」

 

 

次回、大怪獣バトルレジェンド第7話『湖に潜む』

 

 

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第6話怪獣紹介

 

 

守護神『ガメラ』

出典:ガメラシリーズ

 

解説:甲羅を背負った、巨大なカメのような怪獣。

   カメと同じように手足や尻尾を甲羅に収納することが可能で、そこからロケット噴射によって空中を飛行することができる。

   口からのプラズマ火球が主な武器。また、他にも多彩な技を持つ。

 

   ゴジラと並ぶ、日本最大の怪獣の1体にして怪獣使い『草薙栄一』のエース怪獣。

   熱をエネルギーに変え、絶え間なく成長・進化を繰り返す生命の極致の一つ。

地球の守護神とも言われ、その環境を害する者に対して攻撃し、地球を守っているのだとか。

   とくに子供を守ることにかけては心を砕いているようで、『ガメラは子供の味方』というイメージは強い。

   

   またガメラはゴジラのように相手怪獣を圧倒することは少なく、戦いの中で多く傷ついた。その後に勝利を掴むところから、ガメラの戦いにはテクニカルな部分も多い。

   本話においてもゴジラのバーンスパイラル熱線を腕で受け、バニシングフィストとして叩き返すという荒業をやってみせた。

   

   ゴジラが圧倒的なパワーファイターなら、ガメラはテクニックで相手を翻弄するという怪獣である。

 

 

 

守護聖獣『モスラ』

出典:モスラ他

 

解説:巨大な蛾のような怪獣。

   極彩色の羽を使った突風、様々な効果を持つ燐粉攻撃、そして頭の触角からのプリズム光線を武器にする。

   軽快に空を舞い相手怪獣を圧倒する、まさしく『蝶のように舞い蜂のように刺す』という戦い方を得意とする。

   この姿は成体のもので、幼体の姿もあるらしい……。

 

   東宝三大怪獣に数えられる怪獣の1体にして、怪獣使い『手塚雅』の使役する怪獣の1体。エース怪獣ではない。

   ガメラと同じように地球の守護神とも言われ、地球を守っている。そのため人類に対しては非常に友好的。

   その人気から単体映画も何本も作られ、強化形態が多いのも特徴。

 

   『ゴジラキラー』の異名を持つほどにゴジラとの対戦成績が凄い。

   ゴジラにまともに勝った怪獣はモスラ程度しか思いつかないほどである。

 

 

 




そんなわけでカメと蛾を使うライバルサイドの登場。
そしてこの世界の根幹に関わりそうな話題が出てきました。

次回は再び怪獣使い戦の予定。
次回もよろしくお願いします。
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