異世界に行ったら案内人いなかったので、仕方がなくぼっち日記書き始めました。 作:玄武 水滉
見出しに書いてある通り、現在俺は異世界とやらにいる。決して頭がおかしくなったとかじゃなくて、正真正銘本物の異世界だ。(断言)
辺り一面をぐるっと見渡すも、あの東京のシンボルとも言える摩天楼は見えない。一人で歩いていたアスファルトに舗装された道も気がついたら土製。ローファーの形が地面にくっきりと残った。
どうして俺がそんな所にいるかと言うと、それはとある手紙がきっかけだった。確かなんか『お前暇なら箱庭っつー世界に来いよ!!』って感じだったと思う。因みに脳内ナレーションは、隣の席の山本くんだ。服のセンスが壊滅的だったのが印象的だ。
今期のアニメまだ見てねぇと突っ込んだ俺がいたのは、通学路ではなく上空だった。それに気がついたのも、リュックに付けていた某アニメの限定ストラップが風に飛ばされて行くのを見た時からだ。いやー、なんか不思議と涙が出たよね。(震え)
とまぁそのまま地面にぶつかってさよならするかと思った俺だったが、何とか湖に落ちて無事に助かる。が、リュックの中の電子機器類は死亡。今書いている日記帳代わりのノートも水でぶよぶよスポンジ◯ブ状態だ。
……なんか煩い蛇みたいなのが話しかけてきたからとりあえず書き留めておこう。書いてないでこっちを向けとか言ってるけど、もしかしてお前もぼっちか?あー、話しかけてるのにこっち向いてくれないの辛いよな。背中とばっかり友達になっちゃってな。(涙)
RPGのボスキャラよろしくどでかい蛇の名前は……分からないから蛇でいいか。
なんか俺は湖に飛び込んだせいでその蛇を起こしてしまったらしく、現状食べられるんじゃないかという所まで来ている。まぁ、落ち着いてるのはそれ以上に俺の失ったものが多いからかな……やめよこの感じ。後で見返した時に死にたくなるやつだ。
「我の方を向け!人間!!!」
お、この書き方小説っぽい。うんうん、この調子で練習していけば異世界から帰る頃には高校生ラノベ作家だな!
俺の妄言は置いておいて、蛇は巨大な顎を開いて今にも俺を食べようとしている。俺の持っているシャーペンがカタカタと揺れてる け ど、揺らすな よ。さっきから穴空いてんじゃねぇか。
「ふん!やっと我の恐ろしさが分かったか!」
いや震えてんのは水かぶってクソ寒いんだよ。お前ら変温動物と一緒にすんな。こちとら恒温動物様だぞ。今すぐにでも服乾かしてストーブ浴びながらこたつ入ってねてぇ……。マジ異世界許さん。
……何これ?なんか羊皮紙みたいなの出てきたんだけど。羊皮紙ってようしひって書かない?書きませんねすいませんでした私が馬鹿でした。
なんか書いてあるけど、ぶっちゃけそのまんま書くのめんどいからノートに挟んでおくか。
要約するとどうやら俺はこの蛇と戦わないといけないらしい。ごめん無理。でか過ぎ。お前だけユニバーサ◯スタジオジャパンデザインなんだよ。俺は一般ピープルなの。おまけに高校生の三種の神器のスマホ、ウォークマン、パソコンが全滅のクソ雑魚なの。デコピンしただけで折れる最弱の指しかないの。勝てるわけないでしょ?
という事でサヨナラさせていただこう。因みに俺の唯一の特技、歩きながら書く事ができる地味な特技によって逃げながら日記書ける。うん、日記じゃないね。
なんかあの蛇は湖から出る事が出来ないらしく、後ろで水飛ばしてくる事ぐらいしかしてこない。とりあえず全力で煽っとこ。
さてさてこれからどうしようかな。手紙が来たって事は誰かが俺を呼んでいるッ!って事だろうし、その手紙の差出人を探すってのを目標にしようかな。
この箱庭って言う世界も気になるしな。
ってまてよ……異世界だから勉強に追われる日々とはおさらばって事か……?
これは勝ち組じゃないか?彼女見つければ。
きっと異世界の事だ。ケモ耳娘とかエルフとかいるに違いない。いや、いる。(断言)
よぉぉぉぉおおおおおし!!!!!!俄然やる気が湧いて来た!
俺はこれからこの異世界で自由に暮らすぞ!スマホ?要らんわそんなもん!繋がんないし、そもそも電話帳誰もいないし!つら。
とりあえず今はお金の問題と衣食住の問題と後は地理も分からんし言語も分からんしやる事いっぱいだ!!!
八方塞がりじゃね?
夜
遂に誰とも会わずに夜が来てしまった。今は大きな葉っぱを拾って、それを掛け布団と敷布団代わりにした。寝ようかなーなんて思っていた時に、寝る前に日記でも書くかとシャーペンを握ったのがつい先ほどだ。
正直な話をしよう。俺死ぬかも知れん。
異世界はハッピーでラッキーでウキウキステップだとずっと思ってたわ。ごめん異世界。進研◯ミでやった所も出ないし。
まず衣類の問題。一日中パンイチで過ごせば乾きそうではあるが、乾くのが俺を見た目撃者の目ではない事を祈りたい。
次に食事の問題。これが問題だった。
飛んでる鳥を捕まえるとか、ぬるま湯にどっぷり浸かった高校生に出来るはずがない。罠はスマホで検索するか……とか思ってスマホ取り出して検索エンジン開いた俺が一番恥ずかしかったわ。繋がりませんなんて俺が一番良く知ってる。という事で現在、俺が異世界に来てから何も食べていない。つらい。
住処は……まぁ地べたでいいとして。問題はお金だ。
仮に俺が鳥を捕まえるプロでパリッパリの衣服を身につけていたとしよう。それで俺はどうやってお金を稼ぐ?あ、鳥捕まえればいいのか。(名案)
そうじゃなくて、俺は鳥を捕まえるプロではない。というかこの近くに働けそうな店のある村ないし街があるのかすら謎だ。地理も全くわからないのも響いている。街があると信じて向かった先が海でしたとか泣くぞ俺。海を気合いで割るまであるぞ。
問題は山積み。リュックの中身もゴミの山。体は貧弱で頭も大して良くない。結局現実世界が一番良い。お金も日本円使えるし、バイト先もあるし、家もある。何がケモ耳だ。何がエルフだ。
……いや、それでも俺は異世界に来たんだ。来てしまったんだ。なら、ケモ耳を見るまで死ねない。今のところ俺の思い出はあのどでかい蛇だけだ。体の一部分食わせて下さいとか言えば良かったな。蛇って美味いのかな。知らんけど。
とりあえずこんなネガティブなのは良くないとりあえず明日の事を考えよう。
明日は一日中、体力の続く限り歩いてみようと思う。街を見つけられればラッキー。それでもこの森の中で何とか食べれそうな物を探すしかない。じゃないと死ぬ。
飲み水は流れている川の水を飲むとして……日本では飲んじゃダメだぞ。色々と入ってたりするからな。これは異世界だから飲めるんだぞ!
……というか魚食べれば良いんじゃね?生で食えるし、川に一匹ぐらいいるだろ。
となれば明日は釣りだな。それかかいぼりでもするか。進む前に魚を一匹ぐらい捕まえておこう。それを食えば体力も回復するだろ。
とりあえず暗くなったら足元とか見えにくくなるし、今もスマホの明かりで書いてるしな。暗くなったら寝るを心掛けよう。
後は俺がこの異世界にいた証として、俺を呼んだやつが探してるかも知れないし、死んでしまった時の為にこの日記に名前を残しとこうと思う。
そしてこの日記を見つけたら大勢のケモ耳とエルフで葬式をあげて欲しいって願望も書いとくか。
俺を呼んどいて出てこなかった呼び出し人ないし、異世界の案内人。
マジ許さん。 河野芳樹