異世界に行ったら案内人いなかったので、仕方がなくぼっち日記書き始めました。   作:玄武 水滉

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旗印を刻め

 

 

 

 

 さぁ、ゲームを始めよう。

 始めるのは俺じゃなくておばあちゃんでした。

 

 リュックのカバンをしっかりと締めて、右手にシャーペン。左手にノート。よし、完璧だ。

 おばあちゃんの家の近くに生えている豆の木(昨日は暗くて見えなかったけど)は、葉が階段状になっていて俺にも登りやすいようになっている。これでロッククライミングみたいな感じだったら色々と詰んでたな俺。

 おばあちゃんから危ないと思ったら直ぐに降りてくるように言われた。え、これって登るだけじゃないん?

 ってそうか。このゲームは『ジャックと豆の木』を模倣したゲームなんだっけか。

 だとしたら俺巨人と戦うってまじか。なんか急に逃げたくなってきたんだけど。

 でも巨人にもいいやつがいて、そいつが助けてくれるはず。ジャックはそうやって金の卵を盗み出した。その巨人さえ現れればなんか行けそう(小並感)

 

 お、葉っぱは割としっかりしてる。踏み込んだ時に少したゆんってなるけど、俺がジャンプしても折れない程度には硬い。流石異世界。

 突然だけど螺旋階段ってなんか変な気分になるよね。景色がぐるぐるしてるからね。別に怖くて景色見れないって訳じゃないぞ?高所恐怖症でもないんだからな!いやすいませんめちゃくちゃ怖いです。日記書いて誤魔化してます。

 上も見たくないしなぁ。『あとこれぐらい』と『これだけ登った!』の違いだよね。上見て絶望するぐらいなら足元見るっての。

 因みに時間制限はないらしいが、降りてくる時に暗いと足元が見えなくて詰む。というか日の出てる間に雲の上なんて行ったら凄く日焼けしそう。一瞬で松崎し◯るになりそう。決して歌いません、音痴なんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結構登ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだ着かんの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうやだ帰りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つ、着いたぁ……………………

 死にそう。冗談抜きでマジで。

 そもそも水分が無いってのが致命的。水筒は持ってるのに水は入ってない始末。オアシス見つけたけど干からびてた感が凄い。ちくしょう。

 雲の上に恐る恐る足を伸ばしたけど、体が突き抜ける事はなかった。というか突き抜けたら地上まで真っ逆さまなんだけど。速攻ゲームオーバーとか嫌なんだが。

 雲の上は何というか羽毛布団の上に乗ってるような感じ。フワッフワしてて、気持ちがいい。あ、綿あめみたいに甘くはなかったです。繊維って言った方が良いレベル。

 見晴らしはとても良かったんだけど、でっかい城の所為で台無し。巨人許すまじ。まぁいい景色だからって疲れが吹っ飛ぶとかないから良いんだけど。スマホで写真撮影しとこ。異世界から戻ったらインスタにあげないと。インスタやってないけど。

 

 巨大な門の前に立ったは良いんだけど、これどうやって入るの……?びくともしないし、穴がある訳でも無いし。

 とかなんか言ってたら門が開き始めた。爆音を鳴らしながら出てきたのは、一体の巨人だった。何というか西洋人っぽい。毛穴とかよく見えて気持ち悪い。さっさと帰ろ。

 

 何とかスライディングして突入した俺は、現在巨人のベッドの下で日記書いてる。とりあえずこれからどうするか纏める為に。

 物語に準じているのなら、手助けをしてくれる巨人がいる。そいつを見つけるのが良いのかな。

 でも仮にいなかったとして、巨人だらけの城を俺が走り回るのは避けたい。

 だとしたらやっぱり協力してくれそうな巨人を探すのが先決か。

 原作では巨人の妻だったけど、それっぽい人探せば良いのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 えーと、現在巨人の肩の上です。

 女っぽい巨人がいたから話しかけたは良いんだけど、全然何言ってるか分からん。言語が違うなんて思ってもなかった。

 でもまぁ俺の必死の卵アピールにより、巨人のツボを掴んだ俺は金の卵を一つ分けて貰える事になった。やったぜ。まさか人生で全身を使って卵を表す日が来るとは思わなかったけどな。

 これで卵を手に入れれば、後は地上に戻るだけ。何だよ…………結構余裕じゃねぇか………………!(団長風

 相変わらず巨人が何を言ってるかは分からないが、どうやら金の卵がある部屋に着いたらしい。確かに目の前のベッドに巨人が寝てる。多分夫なんだろう。

 

 取りに行ってくるからちょっと待てと言われて、現在巨人の部屋の戸棚の上なう。それにしても本当に大きいな。逆ガリバー状態だ。

 お、巨人(妻)が金の卵らしきものを手にとって持ってきてくれた。有難い。それにしても卵は巨人サイズじゃないんだな。原作では鶏を持って帰ってるし、多分鶏は地上産だ。巨人サイズだったら持って帰るのとか不可能だったな。

 とか思ってる時が僕にもありました。何だよ巨人の指がでかいだけで、結構卵もサイズあるじゃねぇか。175cmの俺が両手で抱えるレベルだぞ。

 俺のリュックに卵を縛り付けて、いざ帰還!と思った矢先。

 

 まぁ事って簡単に進む訳ないよね。ハロー巨人。グッバイ巨人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぶね。

 

 

 というかこの状態でも書き続けてる俺流石。

 現状報告!戸棚の上にいたのがバレた俺は、踏みつけようとしてくる巨人から必死に逃げてるなう。あの手助けしてくれた巨人もなんか兵士的なポジションのやつに捕まえられたし、ひえぇ……妻じゃなかったのかな。

 巨人の踏みつけは最初マジで死ぬかと思った。だって急に空が暗くなるんだぜ?はじめての体験で流石に怖かった。

 でもまぁ慣れてくれば、踏みつけようとしてきた瞬間に全力で走れば、後は体力温存して……とか言うとでも思ったか。

 めちゃキツい。シャトルラン常に全力疾走してる感覚に近い。それでも日記さえ取っておけば万が一の時は無かったことに出来る。

 実質無敵だ。と思うじゃん?最近デメリットがある事に気がついた。

 まぁ簡単に言えば頭痛が痛い(語彙力

 ギフトを使った直後は頭がズキズキと痛む。それだけなら良いんだけど、痛過ぎて気を失ったりする時もある。眠気と一緒に痛む時もあるし、結構デメリットが酷い。

 だから巨人に踏みつけを能力でかわしたとして、次も全力疾走出来るかと言われたら答えはノーだ。多分何度も使ってるうちに気を失ってゲームオーバーだ。おばあちゃん結構鬼畜じゃね?

 

 誰だか知らないけど門を開けててくれて助かった……!

 外に出ると、城の兵士であろう巨人が何人もいた。まぁ捕まらないんだけどな。俺小さいし。

 そんでもってこのまま豆の木を降りていったら多分巨人に捕まる。日記から手を離した瞬間にさよならバイバイ。ギフトが発動出来なければ俺は一般人だからな。ちょっとオタク気質な。

 

 さてと、こっからどうやって地上に戻るか。ジャックは豆の木を懇切丁寧に降りたそうだが、この現代人の俺はそうはいかない。

 この方法は卵が無事かどうかは知らんけど、捕まるわけにはいかないしな。

 そういえば昨日ギフトの秘密について書いておこうと思ったんだけど、眠くて途中で寝たんだよな。書いとこ。

 

 ギフトの秘密

 

 ・自分が死に近づいている時に、自分の死を無かったことに出来る

 

 これだと思うんだよ。

 魚が見つからなければ餓死の危険性があった。

 熊は襲われてそのまま死んでた。

 家が見つからなければ、盗賊コミュニティに見つかって死んでたかもしれない。

 だから能力は発動した……んだと思うんだけど。なんか急に不安になってきた。間違ってたらどうしよう。

 でもまぁ信じるしかない。これ以外に手段がないんだったらこれをやるしかないんだから。

 

 それじゃあ地上に向かって飛び降りますか!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さぁ、ゲームを始めよう。

 始めるのは俺じゃなくておばあちゃんでした。

 

 リュックのカバンをしっかりと締めて、右手にシャーペン。左手にノート。よし、完璧だ。

 おばあちゃんの家の近くに生えている豆の木(昨日は暗くて見えなかったけど)は、葉が階段状になっていて俺にも登りやすいようになっている。これでロッククライミングみたいな感じだったら色々と詰んでたな俺。

 おばあちゃんから危ないと思ったら直ぐに降りてくるように言われた。え、これって登るだけじゃないん?

 ってそうか。このゲームは『ジャックと豆の木』を模倣したゲームなんだっけか。

 だとしたら俺巨人と戦うってまじか。なんか急に逃げたくなってきたんだけど。

 でも巨人にもいいやつがいて、そいつが助けてくれるはず。ジャックはそうやって金の卵を盗み出した。その巨人さえ現れればなんか行けそう(小並感)

 

 お、葉っぱは割としっかりしてる。踏み込んだ時に少したゆんってなるけど、俺がジャンプしても折れない程度には硬い。流石異世界。

 突然だけど螺旋階段ってなんか変な気分になるよね。景色がぐるぐるしてるからね。別に怖くて景色見れないって訳じゃないぞ?高所恐怖症でもないんだからな!いやすいませんめちゃくちゃ怖いです。日記書いて誤魔化してます。

 上も見たくないしなぁ。『あとこれぐらい』と『これだけ登った!』の違いだよね。上見て絶望するぐらいなら足元見るっての。

 因みに時間制限はないらしいが、降りてくる時に暗いと足元が見えなくて詰む。というか日の出てる間に雲の上なんて行ったら凄く日焼けしそう。一瞬で松崎し◯るになりそう。決して歌いません、音痴なんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結構登ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだ着かんの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうやだ帰りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つ、着いたぁ……………………

 死にそう。冗談抜きでマジで。

 そもそも水分が無いってのが致命的。水筒は持ってるのに水は入ってない始末。オアシス見つけたけど干からびてた感が凄い。ちくしょう。

 雲の上に恐る恐る足を伸ばしたけど、体が突き抜ける事はなかった。というか突き抜けたら地上まで真っ逆さまなんだけど。速攻ゲームオーバーとか嫌なんだが。

 雲の上は何というか羽毛布団の上に乗ってるような感じ。フワッフワしてて、気持ちがいい。あ、綿あめみたいに甘くはなかったです。繊維って言った方が良いレベル。

 見晴らしはとても良かったんだけど、でっかい城の所為で台無し。巨人許すまじ。まぁいい景色だからって疲れが吹っ飛ぶとかないから良いんだけど。スマホで写真撮影しとこ。異世界から戻ったらインスタにあげないと。インスタやってないけど。

 

 巨大な門の前に立ったは良いんだけど、これどうやって入るの……?びくともしないし、穴がある訳でも無いし。

 とかなんか言ってたら門が開き始めた。爆音を鳴らしながら出てきたのは、一体の巨人だった。何というか西洋人っぽい。毛穴とかよく見えて気持ち悪い。さっさと帰ろ。

 

 何とかスライディングして突入した俺は、現在巨人のベッドの下で日記書いてる。とりあえずこれからどうするか纏める為に。

 物語に準じているのなら、手助けをしてくれる巨人がいる。そいつを見つけるのが良いのかな。

 でも仮にいなかったとして、巨人だらけの城を俺が走り回るのは避けたい。

 だとしたらやっぱり協力してくれそうな巨人を探すのが先決か。

 原作では巨人の妻だったけど、それっぽい人探せば良いのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 えーと、現在巨人の肩の上です。

 女っぽい巨人がいたから話しかけたは良いんだけど、全然何言ってるか分からん。言語が違うなんて思ってもなかった。

 でもまぁ俺の必死の卵アピールにより、巨人のツボを掴んだ俺は金の卵を一つ分けて貰える事になった。やったぜ。まさか人生で全身を使って卵を表す日が来るとは思わなかったけどな。

 これで卵を手に入れれば、後は地上に戻るだけ。何だよ…………結構余裕じゃねぇか………………!(団長風

 相変わらず巨人が何を言ってるかは分からないが、どうやら金の卵がある部屋に着いたらしい。確かに目の前のベッドに巨人が寝てる。多分夫なんだろう。

 

 取りに行ってくるからちょっと待てと言われて、現在巨人の部屋の戸棚の上なう。それにしても本当に大きいな。逆ガリバー状態だ。

 お、巨人(妻)が金の卵らしきものを手にとって持ってきてくれた。有難い。それにしても卵は巨人サイズじゃないんだな。原作では鶏を持って帰ってるし、多分鶏は地上産だ。巨人サイズだったら持って帰るのとか不可能だったな。

 とか思ってる時が僕にもありました。何だよ巨人の指がでかいだけで、結構卵もサイズあるじゃねぇか。175cmの俺が両手で抱えるレベルだぞ。

 俺のリュックに卵を縛り付けて、いざ帰還!と思った矢先。

 

 まぁ事って簡単に進む訳ないよね。ハロー巨人。グッバイ巨人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぶね。

 

 

 というかこの状態でも書き続けてる俺流石。

 現状報告!戸棚の上にいたのがバレた俺は、踏みつけようとしてくる巨人から必死に逃げてるなう。あの手助けしてくれた巨人もなんか兵士的なポジションのやつに捕まえられたし、ひえぇ……妻じゃなかったのかな。

 巨人の踏みつけは最初マジで死ぬかと思った。だって急に空が暗くなるんだぜ?はじめての体験で流石に怖かった。

 でもまぁ慣れてくれば、踏みつけようとしてきた瞬間に全力で走れば、後は体力温存して……とか言うとでも思ったか。

 めちゃキツい。シャトルラン常に全力疾走してる感覚に近い。それでも日記さえ取っておけば万が一の時は無かったことに出来る。

 実質無敵だ。と思うじゃん?最近デメリットがある事に気がついた。

 まぁ簡単に言えば頭痛が痛い(語彙力

 ギフトを使った直後は頭がズキズキと痛む。それだけなら良いんだけど、痛過ぎて気を失ったりする時もある。眠気と一緒に痛む時もあるし、結構デメリットが酷い。

 だから巨人に踏みつけを能力でかわしたとして、次も全力疾走出来るかと言われたら答えはノーだ。多分何度も使ってるうちに気を失ってゲームオーバーだ。おばあちゃん結構鬼畜じゃね?

 

 誰だか知らないけど門を開けててくれて助かった……!

 外に出ると、城の兵士であろう巨人が何人もいた。まぁ捕まらないんだけどな。俺小さいし。

 そんでもってこのまま豆の木を降りていったら多分巨人に捕まる。日記から手を離した瞬間にさよならバイバイ。ギフトが発動出来なければ俺は一般人だからな。ちょっとオタク気質な。

 

 さてと、こっからどうやって地上に戻るか。ジャックは豆の木を懇切丁寧に降りたそうだが、この現代人の俺はそうはいかない。

 この方法は卵が無事かどうかは知らんけど、捕まるわけにはいかないしな。

 そういえば昨日ギフトの秘密について書いておこうと思ったんだけど、眠くて途中で寝たんだよな。書いとこ。

 

 ギフトの秘密

 

 ・自分が死に近づいている時に、自分の死を無かったことに出来る

 

 これだと思うんだよ。これだけとかいうな。俺も箇条書きにした意味よく分かってないから。

 魚が見つからなければ餓死の危険性があった。

 熊は襲われてそのまま死んでた。

 家が見つからなければ、盗賊コミュニティに見つかって死んでたかもしれない。

 だから能力は発動した……んだと思うんだけど。なんか急に不安になってきた。間違ってたらどうしよう。

 でもまぁ信じるしかない。これ以外に手段がないんだったらこれをやるしかないんだから。

 

 それじゃあ地上に向かって飛び降りますか!!!

 

 

 

 

 

 

 

 死んでたまるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、こんなにもらって良いんですか!?」

 

「良いのよ。私みたいなばあさんが持っててもしょうがないもの」

 

 ギフトゲームをクリアした河野(かわの)芳樹(よしき)は、自分を家に止めてくれていた老婆の家の玄関先にいた。既に乾ききったカッターシャツと制服のズボンを履いて。

 無事にギフトゲームをクリアし、老婆から報酬を貰った河野は、祭りが開かれるという北側に向かおうとしていた。

 河野が戸惑っていた原因。それは老婆が持つ袋の中身が原因だった。

 溢れんばかりの金貨。これが箱庭でどの様な価値を持つのかは分からないが、少なくとも河野には非常に高価なものであると思われた。

 受け取るのを拒否しようとする河野だったが、老婆の押しに負けてポケットから一枚のカードを取り出した。

 ギフトカードだ。先程老婆から貰ったものだ。深緑色の綺麗なカードに金貨の入った袋が吸い込まれていく。

 無事に受け取ったのを確認した老婆は一瞬目を細めたが、にこやかな顔で河野を送り出した。

 河野は老婆に感謝しつつリュックを背負う。今はオンボロ機器が散乱するリュック内だが、異世界での冒険でいずれはこれをギフトでいっぱいにしてやろうと企む河野。

 そんな河野は、街へと降りていく中、ふと後ろが気になり振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 轟々と火柱が上がっている。あれは、あの場所は。

 

 

 河野は駆けた。巨人から逃げるよりも早く。まるで風の如く。

 

「あぁ…………あああああ!!」

 

 先程までいた家が燃えている。脳裏に老婆の笑顔が浮かぶ。

 まだ生きているかも知れない。そう判断した河野は家へと向かうも、近くにいた大人に腕を掴まれた。

 

「離せよ!!!まだ生きてるかも知れないだろ!!!?」

 

 必死に叫ぶも、大人は離してくれない。その間にも炎はどんどんと家を燃料として燃えていく。

 柱が落ちた。玄関が崩れ去った。屋根がボロボロと剥がれ崩れ落ちていく。

 そんな光景を見ながら、河野は一筋の希望を見出した。

 

 そうだ、日記があるじゃないか。全てを無かった事に出来るギフトが。

 

 そして河野は()()()()()()()()()()()()()、事実を否定するように書き殴っていく。

 が、発動しない。フリーハンドで線を引いても。定規でぴっちりと線を引いても。

 知っていた。知っていたはずなのに。

 

「なんで俺しか助けらんねぇんだよ…………このギフトは!!!!」

 

 このギフトは河野芳樹のものだけであり、同時に彼しか助ける事が出来ない。

 そんなのは薄々感づいていた筈だ。だったら豆の木から落ちてきた巨人を見殺しにする事なんて決してしなかった。

 それでも河野はその事実を否定したかった。もっと老婆と話したかったし、箱庭についても、老婆についても聞きたかった。

 それももう叶わぬ願いだ。涙でぐしゃぐしゃになった日記を見て、河野は力なく笑った。

 

 その時、目の端にあるものが映った。

 老婆が自慢げに話していた息子とのコミュニティの旗。丘の上に立つ家の側から豆の木が生えている旗だ。その家の側では老婆と息子をモチーフにしたであろう人間が手を取って笑っている。平和を模したのだろうと河野は最初思っていた。

 だが老婆の話を聞いてその印象がガラリと変わった。

 老婆の息子、ジャックは帰ってきていない。いつ帰ってくるか分からない息子、そんな彼ともう一度話せる機会があるのならば、という願いを込めてコミュニティと旗を作り、この名を広めるために努力したらしい。

 ジャックは死んでいるかも知れない。それでも母親として最後まで息子を見守る。そう老婆が言っていたのを思い出し、河野は大粒の涙を流した。

 

 そして河野は涙を拭い、ノートの新しいページを開いた。

 カチカチっとシャーペンの芯を出し、今も燃えている旗へと目を向ける。

 

 

 

 

 その旗を、刻む為に。河野はシャーペンを走らせる。

 

 

 














これからの予定について話します。はじめまして。作者の玄武水滉です。この度は今作を手に取っていただいて誠にありがとうございます。そして更新が遅れてしまって申し訳ございません。

簡潔に述べていきます。

北の祭→アンダーウッド→えくすとらげーむ→あとがき

以上です。えくすとらげーむに関しては、既に内容も決まっており。あとは書くだけです。ご期待下さい。大きなギフトゲームをやろうかと思ってますので。
そしてえくすとらげーむで原作を一旦終わらせて、ラストエンブリオ編に入るかは未確定です。
というのも、私自身受験生の身で時間があまり取れないというのが大きな要因です。ですからそもそも原作を受験前で終わらせられるかが分からない状態です。
仮に原作が受験前で終わった場合。ラストエンブリオ編は受かるまでは保留です。受かったらやると思います。
原作が終わらなかった場合。受験が終わり次第書いていきます。その場合もラストエンブリオ編はやります。
こんな所です。長々とお付き合いいただきありがとうございました。

最後に誤字報告の所を見ていただくと、面白いものが見られると思います。正確には作者が特殊タグをコピペなしで延々と打ってる作業が観れると思います。あの線引くの結構地獄なんですよ(涙

以上、玄武水滉でした。今後とも拙作を宜しくお願いします。
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