機動戦士ガンダムSEED Parasite Strike 作:見ルシア
地上戦艦「ヴェンデロート」はアイルランドのリマリック基地へと到着した。
リマリック基地はアイルランドの南側にあり、歴史上主要な城のあった場所でもある。
今回は歓迎もそこそこで、さっそく
「ユーラシア連邦の諸君、遠路からはるばるご苦労であった。ここから更に採掘基地に移動してもらうのだが、今しばらく辛抱願いたい」
ボードに映し出された映像を指し示しながら、リマリック基地の参謀であるドハティ大佐が説明していた。
ドハティは髪がダークヘアで鼻が高く、肉付きの良いリンゴ型の体型である。
また、回収作戦にあたってはこの基地の司令に変わり、全権を任されているという話であった。
「また、注意すべき事は地質と自然環境だけでは無い。最近、採掘基地周辺でのザフトの動きが慌ただしい。これも考慮に入れて貰いたい」
「我々に回収させた後、それを奪取する魂胆なのかも知れませんな」
副艦長が言う。
「まあ、我々としてはこちらも
ドハティは何やら自信有りと言った様子で言った。
「それはストライクダガーですか?」
副艦長は思わず質問する。
それに対してドハティはうすら笑いを浮かべながら答えた。
「いいや、もっと良い奴だよ。あれを回して貰うのは苦労したがね」
────
採掘基地への行程は思っていた以上に天候に恵まれていた。月日は3月の半ばと言った所。
引き続き海路での航海だったが、水中からグーンに狙われる事もなく順調に進んでいた。
しかし、風が強まり、天候が怪しくなって来た頃に変化が訪れる。
「レーダーに反応! これは……敵影!? ウェザークラッタではありません!」
天候が悪くなったのを見計らってか、ディンの小隊が接近して来ていた。
だが、これまでと違い決して艦の射程距離には近づいて来ない。
「偵察目的か」
「悠長な事を言ってないで早く艦載機を出して撃墜せんか!」
「しかし、こちらとしては向こうが手出しをしてこない限り何も出来ません」
艦に同乗していたドハティの叱責にホバートは仕方なしと言った様子で答える。
「別方向より新たな熱源接近! これは……友軍機? こちらへの通信を求めています!」
「ようやく来たか、君、通信機を貸してもらえるかな?」
オペレーターは困惑した表情を浮かべつつもドハティに通信機を渡した。
ドハティは通信機を受けとると新たに現れた友軍機に何やら指示を出し始めた。
「大佐はあの友軍機が何なのか知っていらっしゃるのですか?」
「知っているも何も、あれが我々の虎の子の
副艦長の質問にドハティは済ました顔で答える。
一同がパネルに映し出されている外の映像を見ると、そこには雨の中、緑色の
「もしもの時のための迎えにと呼んでいたのだよ」
ドハティがブリッジで解説しているのと同じ時、へリックスに乗って待機中のアレンは外の映像を見て目を疑った。
「まさか、あれは……ガンダムタイプが2機も?」
<緑の
2機の
カラミティが右手の大型バズーカを撃つが、弾頭は小隊を散会させただけで、難なく回避されてしまう。
しかし、ディン側は数が多いにも関わらず、戦う意思を見せずに撤退していった。
「こちらリマリック基地所属、ソラス少尉です。ここからは我々も護衛致します。貴艦への着艦許可願います」
戦闘を終えたカラミティの方のパイロットから通信が入る。
「どうしますか?」と尋ねるオペレーターに「もちろん着艦させるんだ」とホバートは指示を出す。
そしてドハティの方に向き直るとこう言った。
「素晴らしい機体とパイロット達ですな、感服致しました」
「実は後もう1機いるのですが、パイロットの調整……いえ、調子が悪いので出撃を控えさせているのですよ」
ドハティはうっかり口を滑らせてしまったとでも言うように言葉を濁した。
ホバートと副艦長は顔を見合わせるが、二人ともそれについて言及しようとはしなかった。
<ドハティ大佐、あの2機のパイロットとの面談を希望したいのですが、よろしいでしょうか?>
アタランテがドハティに尋ねる。
「それは……先に我々が会ってからと言うことで良いでしょうか」
<……分かりました。こちらも無理にとは言いません>
アタランテに任せられている権限は地球連合においてかなり上の方であるが、ここはドハティから出された条件を汲む事にした。
外では風が強く吹き、日が見えなくなっている。
────
2機の
カラミティとレイダーのパイロットがコックピットから降りると、そそくさとドハティの部下らしき人物達が群がり健康チェックを行っている。
「うわ、凄い待遇ですね。俺達もあんな風に気を使って欲しいや」
シャルルがその光景を見て羨ましそうに言う。
「メンタルチェックにしては少し過剰な気もするが……」
アレンはその様子を見て少し訝しげに思った。
メンタルチェックが終わった後で二人はアレン達に気づいたのか、こちらへと歩いてきた。
「シルバニア基地のクエイサー中尉ですね? 私は地球連合軍リマリック基地所属のソラス少尉です。カラミティガンダムのパイロットをしています。こちらはレイダーの」
「マーク・ヴァプラです。レイダーガンダムのパイロットとして配属されました。所属は同じで階級も同じく少尉になります」
ソラス少尉は髪が緑色の長髪の男性で、鼻筋の整った顔立ちをしていた。
ヴァプラ少尉も男性、髪は黒で、こちらは長身だがひょろ長いという感じである。
「初めましてソラス少尉、ヴァプラ少尉。アレン中尉です。こちらこそよろしくお願いします」
「自分はシャールヴィ少尉です 。バクゥのパイロットをしています。シャルルで呼んでください。こちらこそよろしくお願いします。必ず回収作戦を成功させましょうね」
対する二人も軽く自己紹介を行う。
アレンはまさかわざわざ自己紹介をしに来てくれるとは思ってもいなかったので、少し慌てた感じになってしまった。
「お互いに作戦成功のために全力を尽くしましょう」
「ええ、そう言えばアタランテもあなた方と話たがっていました」
アレンの何気ない一言にソラスとヴァスプの二人は少し困った顔を浮かべる。
「それが……面談はキャンセルさせて頂くという事で話が通ったみたいです。我々もAIと話した事は無いのでかえって良かったのかも知れませんが」
「え、それは本当ですか?」
ヴァスプの言葉にアレンもシャルルも驚きを隠せなかった。今までアタランテの要求が通らなかった事は無かったからである。
それも面談という装備の補給などよりも遥かに簡単な事が拒否されるというのは今までではありえなかった。
「ええ、それでは今日はこれで、失礼致します」
二人はアレンに敬礼をして帰って行った。