機動戦士ガンダムSEED Parasite Strike 作:見ルシア
外でガンダムチームとFAITHのジン部隊及びディン部隊が戦闘を行っている間に、その灰色の機体の侵入者は格納庫の中へと足を踏み入れた。
「随分と脆い船ですね、こちらは手間が省けて助かりましたが」
バルナバスは輸送機の外壁を自身の機体、ディンレイヴンの90mm対空散弾銃で撃ち抜き、内部への侵入を果たしたのである。
「ここではこの迷彩も必要ないでしょう」
そう言いつつミラージュコロイドによる光学迷彩を解いた。
この改良型ミラージュコロイドシステムにより、ここまで探知されずに侵入する事が出来たのである。
目標物である
「これを解析されナチュラルにも
ディンレイヴンのマニピュレーターで
その時、同じ格納庫に1機の
「初期の情報であったガンダムタイプの3機目ですか、こんな物も積み込んであったとは」
バルナバスは興味深げにその赤い
甲羅を思わせるようなバックパック、その左右に二枚のシールドが付属しており、右手には巨大な鎌を持っていた。
機体色は赤である。
その赤い
「既に誰か搭乗している!?」
バルナバスは咄嗟に距離を取る。
赤い
「格納庫内でビーム砲を撃つだと!?」
ディンレイヴンを横に剃らせてビームを回避する。背後の壁が爆発し大穴が空く。
バルナバスはその穴から脱出を図ると、輸送機の外に出た。
先程の爆発で周辺を黒煙が覆っており、機体の姿勢は輸送機の方に正面を向けたままである。
ここは反転して一刻も早く離脱するべきなのであるが、戦場でのカンがそれを許さない。
そして予想通り、赤い
その両手にはあの死神の様な巨大鎌を持っていた。
巨大鎌による一閃。
ディンレイヴンの右腕を落とされる。
「あなたの機体、七面鳥みたいで美味しそうね」
「この私が手傷を負うとは!」
腕を切り落とされる一瞬、赤い
バルナバスは額に冷や汗を浮かべる。
「外の状況は……連れてきたディン部隊はほとんど全滅ですか」
後退しつつ状況確認を行う。
外の状況はザフト側のジェグス装備のジンが残り2機、またディンも1機しか残っていない。
対する地球連合側は既にカラミティが武装をいくつか失っており、レイダーもミョルニルが無い。
「予想より味方機の被害が甚大ですね、原因はあれですか」
バルナバスは1機イレギュラーな
「例の『十字架』の
へリックスを見たバルナバスは一言呟くと、周辺の味方機に通信を入れる。
「こちらバルナバス、
「こちらジン一番機、了解」
「三番機も離脱を支援します」
その次はアガシー(ボズゴロフ級大型潜水母艦)のオペレーターを無線で呼び出した。
「こちらバルナバス、
「了解しました」
そう言うとディンレイヴンのミラージュコロイドを作動させ、機体色を風景に溶け込ませた。
────
アレン達も輸送機の異変に気づいた。
<輸送機の内部へ侵入されていたみたいですね>
輸送機の方をアレンが見ると機体の横腹に大きな穴が開いていた。
その付近を見たことのない赤い
「まさか、またあいつをフォビドゥンに乗せたのか!?」
その赤い
「どこに行ったの七面鳥さん? 隠れてないで、出てきなさいよ!」
フォビドゥンのパイロット、ホオズキ・オリアスク少尉はそう叫びながら頭を左右に降ると、
ヘルメットに入りきらない長い赤髪もそれに合わせて揺れる。
その自身の動きに呼応させるようにガンダムフェイスの頭部を左右に回旋させながら、所構わずビームと腕の機関砲を辺りに乱射した。
輸送機の右翼にビームが着弾し火の手が上がる。
「おい、やめろオリアスク! 輸送機まで落とすつもりか!」
輸送機の上に乗っていたソラスがフォビドゥンに通信を入れる。
が、オリアスクは意に介そうともしない。
「また、あんたは……私の邪魔をしてえええ!」
フォビドゥンが今度はソラスのカラミティを狙ってビームを放つ。
「ちぃ、敵味方の区別も付かないのかよ!」
ソラスはカラミティを輸送機から飛び降りさせると、スラスターを吹かせホバー走行に入る。
機体は水しぶきを上げながら海上に着水した。
────
大型輸送機のブリッジではフォビドゥンが侵入者を退けたものの、その後の行動が物議を醸し出していた。
「やはりあの生体CPUは危険です。今すぐフォビドゥンを撤退させた方が……」
「このままでは奴等に
今すぐフォビドゥンを退かせるべきという機長と、そのまま戦闘を続行させ逃げたザフト機を追撃させるべきというドハティの間で意見が紛糾していた。
そんな中、カラミティとレイダーの活動限界が近づいていたが、それを指摘する者は誰も残っていなかった。
────
フォビドゥンの奇行を見たアタランテがヴァスプに尋ねる。
<どうやらパイロットの制御に問題があるようですね。ヴァスプ少尉、あのフォビドゥンのパイロットの強化度合はもしやStage4ですか?>
ヴァスプはその質問に戸惑う様に答える。
「どこでその情報を……オリアスク少尉の強化度合は我々二人と同じStage2のはずです」
<それであの失態ですか、味方機に攻撃を仕掛けるなどと>
アタランテはこの状況にも関わらず、珍しく呆れたように言う。
「実は我々もあまり彼女の事は知……グッ!? ガハッ!」
「おい、どうかしたのか?」
突然ヴァスプが苦しみだす声が聞こえてきた。
レイダーの動きもぎこちなくなり、高度が下がっていく。
「おい、しっかりしろ!」
アレンは呼び掛けながら、レイダーに近づこうとするが、それをアタランテが止めた。
<アレン、レイダーから離れてください。ここは危険です>
「ハハ、アハハハハハァァァ!!!」
突然ヴァスプが叫び出す。
レイダーは
へリックスは背部のクローアームを前方に移動させてガードした。
アレンは突然のヴァスプの豹変に戸惑う。
「ヴァスプ少尉……!? 一体これは?」
<禁断症状ですね、やはり彼らは『ブーステッドマン』でしたか>