機動戦士ガンダムSEED Parasite Strike 作:見ルシア
巨大な4本の大型クローアームを持つMA、パラサイトストライカー・シングル。
そのオペレーターであるアタランテは各腕の先にあるカメラで中の状況を確認すると言った。
<イージスダガーが破壊されましたか、ですが役割は果たしてくれたようですね>
これはアタランテにとってジェネシスの解析時間が遅れる位の意味でしか無い。
地球を撃たれるか、もしくはジェネシスを破壊されなければ目的は達成できるのである。
ジェネシスを掌握し、プラントを撃つ。
コーディネーターを抹殺するという最終目的に変更は無かった。
「ジャスティス、それにストライクまで? 機体色がオリジナルよりも紅いですが」
アレンは初めてストライクの実物を見て驚いた。
アタランテも2機の姿を認めると分析を始める。
核搭載機のジャスティス、そしてパイロットはアスラン・ザラ。
そしてストライクがアスランのイージスに自爆で撃墜されたとのデータを見つけ出した。
<なるほど、また自爆させて今度はジェネシスを止めようとしているのですね。アレンなんとしてでも阻止して下さい。ストライクの仇を討ちます>
「了解」
パラサイトストライカーの本体を2本のアームで固定すると、もう2本を伸ばしてジャスティスとストライクに掴みかかる。
対する2機はどちらも回避行動を取ると反撃を仕掛けてきた。
ジャスティスは両肩からビームブーメランを取り出すと、自身に迫りくる巨大腕に向かって投げつける。
PS装甲でもビーム刃は防ぐことが出来ない。
腕は十字に切り裂かれ爆発した。
ストライクの方はそうもいかなかった。
ビームライフルを撃つが、2,3発直撃したところで巨人の腕の勢いは止まらない。
そうこうしている内に、腕が機体の足を掴んだ。
「しまった!」
接触回線でパイロットが叫ぶ声が聞こえる。
ストライクは苦し紛れに頭部両側のバルカンで応戦するも、PS装甲には効果が無い。
「ストライクの方は捕まえました。ヘリックスで追撃します」
アレンはヘリックスの前面に展開されていた4枚装甲を外し、ビームライフルをヘリックスの手で構えようとする。
<その必要はありません。ようやく、ようやく手に入れました>
アタランテはそう言うと、ヘリックスとパラサイトストライカーの接続を解除した。
「そんな、アタランテ!?」
<アレン、貴方とヘリックスの役割も終わりました>
アレンは何とか再接続を試みるも、アタランテシステムがそれを拒絶する。
「どうして、何故です!?」
<『答』は出ました>
アタランテのその一言で、アレンは頭を何かに打ち付けられるような感じに襲われた。
「ぐ……」
もうアタランテはアレンのことは考えてはいない。
自身からヘリックスを取り外すと、代わりにストライクを引き寄せる。
<私以外の『ストライカーパック』は必要ありません、こんなものも>
固定していた1本の腕でエールストライカーを掴むと、2本の巨大腕で強引に機体とストライカーパックを引きちぎろうとする。
「カガリ!」
ジャスティスのパイロットが叫ぶ。
ドン!
その時、何かがパラサイトストライカーを背後から貫いた。
<バッテリーの供給装置に異常発生? これでは、PS装甲を維持できない>
パラサイトストライカーの装甲が銀色から灰色に変化していく、エネルギーを供給できなくなりフェイズシフトダウンを起こしたのである。
アタランテは外部カメラに意識を移すと、突然の強襲者の正体を探った。
<
正体はジャスティスの専用SFSファトゥムだった。
ジャスティスから分離していたが、ようやく戻ってきたのである。
ファトゥムが緑色のビームが発射し、パラサイトストライカーを襲う。
アタランテは対応しようとするが、更なる衝撃が本体に走った。
<何!?>
ジャスティスがストライクを掴んでいる腕を破壊したのである。
アタランテはファトウムに気を取られており、ジャスティスがストライクに接近していることに気が付かなかった。
そしてファトウムは再び本体と合体し、ジャスティスガンダムは本来の形を取り戻す。
<邪魔をしないでください>
アタランテは残っている2本の腕を使い通路から這い出ると、機体背面のミサイルポッドを展開した。
ミサイルが糸の様に発射されるが、どれも標的にはたどり付けずに爆発していく。
<早い>
ジャスティスはファトウムによってメインスラスターの出力は増加しているとは言え、その動きはアタランテの演算処理能力を超える程に素早かった。
<ありえない、ナゼ? あのパイロットはスーパーコーディネイターでもないのに!?!?>
ジャスティスはミサイルの雨を切り抜けると、敵の懐へと飛び込みハルバートを構える。
ヘリックスとパラサイトストライカーの接続部だった所にビームサーベルが突き刺された。
そしてアスランはジャスティスの自爆装置を再び作動させると、機体から離れストライクの方へと向かっていく。
「ジャスティスが自爆する。行こう」
ストライクに乗り込んだアスランがカガリに言うと、二人は中枢部から離れていった。
その様子をアタランテは機能停止していく中で見送る。
<ストライ……ク……ワタシハ……オヤクニタチタカッタ……>
大型クローアームの1本が去り行くストライクルージュへと、まるで手を伸ばす様な素振りをする。
その瞬間、ヤキンが自爆しジェネシスが発射された。
だがジャスティスの核融合炉が誘爆した事で、ジェネシス自身も自らの破壊の衝撃に巻き込まれるのだった。
────
目の前が明るい。
アレンは気がつくと、まだヘリックスのコクピットの中にいた。
「気がついたようだな」
誰かが接触回線で呼びかけてきた。
ヘリックスのメインカメラに黒紫色のMSが映る。
見るからに地球連合軍の機体ではない。
「何で、俺を撃たない……?」
「それは戦争がさっき終わったからさ」
アレンの問いに、そのMS アラウクネのパイロットであるキャミッサーは答える。
ジャスティスを追ってヤキン・ドゥーエの中枢へと入ったキャミッサーだったが、全ては終わった後であった。
その中でヘリックスを見つけたのでアラウクネの4本腕でそれを掴み、ジェネシスが自爆する前になんとか脱出を果たしていたのである。
そのことをアレンは知る由もない。
「戦争が終わった?」
「ああ、オープンチャンネルで繰り返し放送しているだろう」
アレンは回線をオープンチャンネルに合わせる。
「宙域のザフト全軍、並びに地球軍に告げます」
その放送によるとプラントでは臨時評議会が成立し、現在地球連合軍との停戦協議に向け準備を進めているとの事であった。
それに伴い、全ての戦闘行為の停止がプラントから申し出られている。
「本当に終わったのか」
シルバニア基地から始まり、オルレアン、アイルランド、ボアズ、そしてヤキン・ドゥーエと転戦してきた戦いがようやく終わりを告げたのであった。
「そう言えばまだ名前を言ってなかったな。私はルッツ・キャミッサー、そちらの名前は?」
キャミッサーが名前を尋ねる。
「アレン・クエイサーだ。いや、本当の名前は違うのかも知れない」
「ほう、それは興味深いな」
キャミッサーが少し面白がるように言う。
アレンは何か憑き物が取れたような気がしていた。
「何か……肩の荷が下りたみたいな感じだな、背中の『十字架』が取れたからか?」
「『十字架』?」
「ああ、その機体のストライカーパックの事をこっちではそう呼んでいた。地球で付けていた大きな十字の方を」
「地球で俺と戦った事があるのか?」
「その話をすると長くなるな……」
二人の話の種は尽きない。
遠くでは地球がその青い姿を映し出していた。
~♪
コンコン 優しくノックして
乗り込め ココロの奪還戦
妄想ばかりが フラッシュして
加速するパルス 答えはどこだろう
~♪
これにより後に第1次連合・プラント大戦と呼ばれる大戦は一応の終結をみたのであった。
~♪
嗚呼、厭 どっちも選んで
嗚呼、厭 どっちも壊して
心の根を引き抜いて
~♪
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
歌詞はDECO*27 さんのヒバナから取っております。
EDのイメージソングです。自分はnightcore版が好きなのでそちらのURLも載せておきます。
あとがきから読む人にも聞いてほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=sD_r5oJFeic
本作はガンダムサイドストーリーズとかスターゲイザーみたいに本編にはあまり介入せずに話が進む形式を取ってましたが、ハーメルンでは本編にがっつり入る作品の方が主流なのだと言うことを去年位に知りました……
一応それは最後まで徹底出来たはず
アスランは一番出したいキャラでした。
16話でアネットと会話するシーンがあるのはそのためです。
ターミネーターみたいな展開を期待した人にはすいませんでした。新しい奴も現在公開されてるみたいですね。
アタランテはスカイネットじゃなくてサイコパスのシビュラシステムに近いんじゃないかなと思ってます。
アレンが主人公でキャミッサーがシャア的なポジションのつもりで書いてたんですけど、お互いの確執みたいな物がもっと必要だったかなと実感しております。あとヒロインの存在かな
ヘリックスの基本データは活動報告の方に載せる予定です。
Destiny編はありません。ここで物語は終わりです。カラサワはユニウスセブン落下に残党側で参加しただろうなと言う位です。
最後に、あとがきまで読んで頂きありがとうございました。