FRAME ARMS DESTINY T&S   作:デボエンペラー

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生きてます!!

今回はルナマリアをFAに乗せたいのに乗せる状況が見つからず、難産に次ぐ難産だったため小数点話から行います。

ようやく乗せるタイミングが掴めたかもしれないため、久しぶりに投稿します。


PHASE-06.5 過去

 それはかつての記憶――

 

 『そらよっ!! そろそろトドメと行こうぜぇ!!』

 

 自身の傍にあった白き魔鳥が手にした斧槍から蒼き稲妻の奔流が朱と蒼のラピエールを捉えんとする。しかし双方ともに難なく避けるが魔鳥の動きを合図に、自身の機体だった紅きヴァイスハイトからの砲撃を放つ。

 

 『ちぃっ!! あの白いのを落とせば楽になれるってのに、紅い奴が邪魔ばかり!!』

 『なら私が先駆けとなってけん制する!! その障壁、攻撃と防御を同時に展開できまい!!』

 

 その直後に蒼のラピエールの背後から無数の刃が飛び交い“千ノ落涙”が如く降り注ぐ。まずは蒼い雷を纏う白き魔鳥――フレズヴェルク=アルトゥラがTCSを前面に展開して防ぐが、それでも攻撃を止めざるを得ない形になる。

 

 『うわっ!! まず、まずいって!!』

 「アーテル!! ならばこの砲撃で!!」

 そして自分は手にした切り札――ベリルショット・ライフルを翳して光弾を放たんとする。だが――

 

 『ビンゴォ!! 旦那の言う通り同時に使う事は出来ねえようだなぁ!!』

 

 放った光弾を防ぐかのように“輝ける星の様な無数の斬撃”が襲い掛かって相殺され、咄嗟に手にしたベリルショットライフルの刀身を前に翳してそれに光を纏わせることで即席の盾に仕立て上げる。

そしてその判断が正しかったかのように朱のラピエールが手にした槍で突き刺そうとして突撃、互いの刀身が干渉して自身も敵も大きく仰け反らざるを得なかった。

 

 『無事か!? 死んでたら返事しろ!!』

 「ふざけている場合か……なるほど、歌いながら戦っているように見えても実力は本物。クブルムやアエス、オリカルクムが敗れたというのも頷ける」

 『……だなぁ……でもあの歌声、何処かで……』

 「……む」

 

 そして通信を傍受、それを聞いた瞬間小さく舌打ちをしてアーテルに向かって声を挙げた。

 

 「アーテル。どうやらフラーウスとカエルレウスのUEリアクター攻略は失敗に終わった。弦十郎の策に乗せられて孤立、自衛隊の砲撃で二人以外はほぼ壊滅、退却を開始した」

 『あっちゃあ……でも日本の軍隊って弱いって話だろ?』

 「源内蒼慈率いる精鋭部隊に呑まれた。コボルトとシュトラウスでの戦闘が不可能と判断し、ヴァイスハイトにして逃亡開始。それに……これ以上の戦闘は二重の意味で無理になる」

 

 眉間に皺を寄せると同時に響き渡る警報音。この近辺は戦闘状態であるにも関わらず人の耳や機械の集音センサーにも聞かせるかのように甲高く鳴る。正に“ノイズ”が如くの警報音を意味するのは1つしかない。

 

 『ああ。なーる……っておい、ラピエールから飛び降りたぁっ!?』

 

 アーテルの叫び声に対してラピエールの方を向くと、開かれたコクピットハッチから操縦者が飛び降りて何らかの歌を紡ぐ。瞬く間にパイロットスーツから露出度の多い衣裳とヘッドギアを身に纏い、街中へと消えていった。

 

 「……ラピエールも自動操縦で帰還……態々ノイズと戦う理由もない。退くぞアーテル、こうなっては戦略の練り直しだ」

 

 アーテルも無言で頷き撤退を開始し途中で黄と青に染まったヴァイスハイトと合流、月面軍に協力する防衛機構の裏切者たちの空母へ降り立つと即座にコクピットハッチを開いて降りる。自分と仲間である大男と着物を着崩した男に遅れて金の長髪とそれを彩る青い目をした青年、それに抱えられるかのように眠る金髪の少女が降りる。

 

 「それにしても……あの戦い方は一体……まさかあれが日本で造られたと噂の対ノイズ兵器なのか?」

 

 地球最強の二振りであるヴィスクエアとヴィクトリオ不在の日本で敗れた同胞たち。最初こそ源内蒼慈や風鳴弦十郎の指示が原因かと考えていたが、こうなればあれこそが敗因ではないかと考える。あれをフレームアームズに転用すればTCSでさえ貫かれるのは先の戦いの通りだ。

 

 「つまりノイズと戦いながらあの二人とも戦う……ベリルショットならばノイズを倒せるが、それでも割に合わないどころではない」

 

 ノイズはあの二人に押し付けるしかない。アーテルの雷龍剣ならば兎も角、自分たちでは足手まといにすらなれない。アーテルでさえTクリスタノイドでなければノイズに触れた瞬間即炭化。あれがノイズに触れても大丈夫なら、もう笑うしかない。

 

 「アーテル。お前はどう思う……アーテル?」

 

 先ほどからアーテルは終始無言。いや、手にした携帯機器から音声を流して何かを聞いている。そして画面を操作してパイロットスーツから姿を変えた赤い髪と青い髪をなびかせた少女たちの姿を映す。それを自分ものぞき込むが意味が分からない。

 

 「……やはり、そうなのか……? いや、これは間違いない……」

 「アーテル。どうした? さっきから何を聞いている? それにその二人が何か……」

 

 そしてその問いに答えるかのように機器を操作してトップ画面に戻る。その壁紙にしていたのは日本で有名なツインボーカルユニット『ツヴァイウィング』が今まさに謳わんとする姿だった。いや、その顔は先ほど飛び降りていた画像の少女とうり二つ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………ツヴァイウィングだぁ~~~~~ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手を握り合わせ、恋焦がれた少年の表情でアーテルは叫んだ。

 

 「な、何を言っているアーテル!? お前の言い方では先ほど戦った二人がツヴァイウィングだとしか聞こえんぞ!!」

 「そうだ、ツヴァイウィング!! 風鳴翼と天羽奏の二人で結成され日本で有名になりつつあるツインボーカルユニット!! 当初こそ様々なカバー曲を謳っていたが繊細かつ力強い歌は人々を魅了!! 二人のオリジナルデビューシングル『逆光のフリューゲル』は発売後ミリオンセラーを記録セカンドシングルの『ORBITAL BIT』もそれに続くかのように売れ行き好調!! 更に三か月後に控えたファーストライブのチケットは俺たちの分は買えたが即完売限定CDは転売対策のナンバリングがされているにも関わらず高額で取引――」

 

 自身の問いかけを無視して声を張り上げるアーテルになだめる声は届かず、延々と彼女らの話をするばかり。そしてついには推しはどちらだという話になって、あしらう為に適当に自分に襲い掛かってきた方だと言ってしまったのが運の尽きで執拗に絡まれることになった。

 

 「……わかったわかった。そのライブ会場にもUEリアクターはある。俺が破壊を担当するからお前は避難誘導を手伝ってくれ。流石にそのどさくさで二人を死なせたら、それこそお尋ね者になってしまう!!」

 「は? 何言ってんのお前。UEリアクターなんぞよりライブの方が重要だってぇの!! 敵を知り己を知ればって奴だから、寧ろ偵察兼任!! 理に適ってるぅ!!」

 「……勘弁してくれ」

 

 その声に対してもアーテルは聞く耳持たず。その声はカエルレウスとフラーウスが来るまで延々と続いていた。

 

 そして今に思う。

 あの時が自分にとって最も楽しかった時期だったのだという事を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……」

 

 Tクリスタノイド特有の記憶容量の多さが皮肉に思えてくる様にその時の事は今でも覚えている。今にして思えばあれこそがあの二人との出会いであり因縁の始まりだと思えるようになる。

 

 「……そしてあのライブでカルマノイズと遭遇、そこで俺は取り返しのつかない過ちを幾つも犯してしまった……」

 

 鏡を見てバイスタランチュラが如く複数の眼を宿した顔の左半分を隠すように仮面をつけたのと同じタイミングで扉が開き、一人の軽薄そうな青年が入ってくる。彼は自分が仮面をつけているのを見ると即座に申し訳なさそうな表情を浮かべて謝罪した。

 

 「……カエルラか」

 「アルゲントゥムさん。インディクムから北海道攻略完了の報告が挙がりました。現在ナンソウへ向かっており、明日にでも合流出来そうです」

 

 あの日に全てを失ったわけではなく、騒音人災を機にカエルラやルーファらと出会い部下に据えた。かつての仲間たちと合流し『アルゲントゥムナンバーズ』として再編、今や月面軍極東攻略部隊の中枢を担うほどになった。

 

 「インディクムがこちら側に来れる以上、用意が整い次第侵攻を行う。お前も先陣を切ってもらう……いいな?」

 「了解です。では部隊は二手に……」

 「……いや、この際だ。インディクムの部隊を主軸に、お前たちが先陣を切る形になる。ガングニールに関しては奴が追いつき次第俺が足止めを選任する」

 

 相手はブラス・ネオスライドと風鳴弦十郎。インディクムが合流し、自分たちが囮として行動しても先読みの出来る二人が相手では物足りない。ならばいっそのこと、全てを出し切って攻撃に出るし、北海道攻略の報告も明日になれば防衛機構にも挙がることだろう。

 

 「インディクムの急襲を主軸に、お前たちで前線を切って大橋に眼を集中させる。最悪囮と本命をこれなら入れ替えられる……フラヴァやルーファの報告だとあの性根の腐った連中もあそこでMSGロボを展開する予定だそうだ」

 

 自分の考えにカエルラは頷きそしてその場を後にする。それまでに問題が起きなければいいのだが……

 

 「……緋色の雷に片翼のラピエール。無窮の青空に中東を渡り歩いた傭兵……そしてナンソウを守り続けてきた者たち……」

 

 何事も無ければいいのだが。いくら自分より強大で偉大な、されど明らかに俗物その者な相棒を失ったとしても、いつまでも燻っているわけにいかないのだから。




今回はアルゲントゥムの過去話が主軸でした。また、この世界のアーテルは男性で、よく知られている方のFA:Gのフレズヴェルク=アーテルはアルトゥラことアルテちゃんです。少し話の種も用意しました。カエルレウスとフラーウスに関しては誤字じゃないですので。
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