パルキアに転生して、着いた世界はリリカルな世界 作:DFGNEXT
一日置いただけで、まるで意味が分からんぞ!!
とりあえず自分には理解できるように改良はしましたが・・・
もしかしたらわかり難いかもしれませんので、あとがきに要約を書いておきます。
それではどうぞ!!
「パルキアさん!! それにアミタさんにキリエさんも!」
ブリッジに入ってきた三人になのはが声を上げる。
ブリッジにはすでにマテリアルの三人や守護騎士たち、
そしてフェイトとアリシアも合流していた。
また技術担当でギアーズ二人の修復も担当した
マリエル・アテンザもこの場に集合していた
「あぁ、こちらの用事は済んだ。クロノ、どこまで説明した?」
「今から話し始めるところだ。マテリアルたちから聞いた情報も含めて、
砕け得ぬ闇――「システムU-D」の対策についてだ」
クロノの言葉にパルキアはわかったと返事を返す。
セレビィの仕業だとは思うが、予想外のタイムロスで
アミタたちやヴィヴィオたちが保護された経緯を知らない。
この四時間で何があったのか、それを理解するチャンスだった。
「それではこの映像を見てくれ」
クロノが画面を操作し、そこに白と深紅。
二つの色に染まったU-Dの姿が表示された。
「これは・・・」
「皆知っての通り、これが「砕け得ぬ闇」――識別名「U-D」
色彩が変化するらしく、白と赤・・・二つの状態が確認されている。
詳しいことはわからないが、いずれの観測状況でも凶悪なまでの
戦闘能力を誇っている。白の状態ではあのギラティナと互角に戦い。
赤の状態ではアミタのトリプルブレイカーに匹敵する殺傷攻撃・・・
それを受けたうえでも、少しひるむだけで無傷だった。
正直言って、ナハトヴァールや闇の書の防衛システムよりも上だ」
「確かにな、あのギラティナが苦戦した以上・・・我々だけでは勝てん。
シュテル・・・マテリアル側から何か策はないか?」
パルキアはそろそろ役に立たない前世知識に望みをかけ、
原作で策を見出したシュテルにそう問いかける。
それを聞いたシュテルははいと言って説明を始めた。
「あります。倒す、というよりも戦闘行動を停止させる、という程度ですが」
「ほんまか?」
目の前で戦闘を見て、U-Dの凄さを肌で実感しているはやてが喜びの声をあげる。
はやて個人としてはU-Dを倒すという選択肢には少し躊躇していたのだ。
「はい。システムU-Dは一種のプログラムです。
時の波紋の暴走が危惧されますが、今は問題ないでしょう。
まずは王・・・ディアーチェ以外のカートリッジデバイス保持者が
対システムU-Dプログラムの入ったカートリッジを使用し、
U-Dに魔力ダメージによる過負荷をかけます。
緩衝制御ワクチンは一時的にですが、エグザミアに干渉しその動きを止めます。
そこへディアーチェが紫天の書から正規の制御プログラムを打ち込み
U-Dの戦闘行動を停止させることができるはずです」
「なるほど・・・確かに悪くはない作戦だ・・・
というよりも現状それ以外の策が見いだせない以上、それで決まりだな」
シュテルが出した作戦にクロノは承認する。
それを見届けたシュテルは再び説明を続けていく。
「対システムU-Dプログラムは大別すると二種類。ミッド術式とベルカ術式があります。
いずれも、カートリッジユニットに装填して使用します」
シュテルは空間上に画面を展開し、使用方法の説明を始めた。
「ロードしたカートリッジが効いている間だけ、砕け得ぬ闇を砕くことができる。
そこで使用者を決めないといけないのですが・・・・・・」
「でも、カートリッジユニットつきのデバイスを持ってるのは、こっちでは・・・」
カートリッジ式のデバイスをアースラメンバーで持っているのは
ミッド式ではなのはとフェイト、ベルカ式ではシグナムとヴィータの2人だ。
「あ、それならわたしが」
「わたしも!」
「ピッカーッ!」
【私だって頑張るからね!】
その話を聞き、なのはとフェイトの2人が名乗りを上げる。
フェイトに続いてアリシアも同意の声を上げる。
「ベルカ勢だと、私とヴィータが」
シグナムの隣では、軽く腕組みをしたヴィータが頷いている。
口には出さないが、もちろん良承の意味を込めた頷きだった。
「充填時間と調整の関係上、
4人に完全な形でお渡しするのは少々困難です
一応4人全員にカートリッジはお渡しはしますが、
主戦力となる2人を選択していただければと」
「なるほどね・・・できれば接近型と中距離戦が可能な二人がいいかな。
同型タイプの場合だと、U-Dの予期せぬ行動に対抗できなくなっちゃうから」
ユーノのそのアドバイスの元、カートリッジ持ちの四人は話し合いを始めた。
「ならば、私が出るべきだろうな」
接近戦型で高火力、そして戦闘経験も豊富なシグナムがずずいと前に出る。
それを見たなのははシグナムがでることに異議を唱える。
「あ、シグナムさんはダメですよ。わたしの方が適任です。
シグナムさんの場合、とりあえず届く距離まで近づいて斬るしかない。
わたしなら、離れたところからの砲撃ができますから」
「元はうちの身内のことなんだから、すっこんでろよ」
「だからこそだよ。やっぱりユーノはああ言ってたけど。
遠近両方に対応できるオールラウンダーのほうがいいと思う」
「ピカピカッ!」
【そうそう、フェイトの言うとおりだよ!】
それからも議論は平行線をたどり、いつまでたっても決着がつきそうになかった。
「・・・・・・4人で話し合って決めていただいていいですか?
決定したら連絡をお願いします。行きますよ、レヴィ。行きましょう王」
「うん・・・」
「あぁ、そうだな。ここにいても何も進みそうにないからな」
話し合いが長引きそうだと感じ、軽く息を吐いたシュテルは
レヴィとディアーチェを連れてアースラブリッジを後にした。
とそんなマテリアル三人を見たはやては同じくブリッジを出ようとする。
「あら、はやてちゃん、どこへ?」
「あ、ちょっとな・・・」
喧々諤々の話し合いから、何がどうずれたのか・・・
大じゃんけん大会に発展したブリッジからはやてはそっと抜け出した。
探している相手はマテリアルの三人。キョロキョロ歩き回って探していると
自販機のあるリラクゼーションルームにいるところを見つけた。
「あんなー、三人とも。ちょーっとええかな?」
「あ、王様のオリジナル」
「なんだ小鴉」
「夜天の主がなにか御用ですか?」
「用ってゆーか・・・。今回の件、やっぱり私がやらなあかん気がするんよ」
「奇遇だな。僕も自分が出るべきだと思っていた」
「クロノくん! ・・・いつのまに・・・」
ブリッジの空気に耐えきれなくなったのか、
はたまた別の目的か・・・その場にクロノが姿を現した。
「それで・・・何の御用ですか?」
「私もクロノくんもカートリッジデバイスはあらへんけど、なんとかなるような気がしてな・・・」
「僕たちも砕け得ぬ闇と、システムU-Dを止めるための力が欲しいんだ」
「2人ともシュテるんの話を聞いていなかったの?
カートリッジっ子じゃなきゃ、対U-D用システムは走らせられないんだってば」
二人の願いにレヴィはそう切り返す。
現状、カートリッジシステムを介さずに対U-D用システムを流すのは
かなりのリスキーだ。仮に使用できても安定性は保証できない。
「いや、そこをなんとか。私には夜天の書もあるし、
もういっこの切り札もある。私がやる方が、たぶんええ感じなんよ」
「僕もカートリッジシステムは使えないが、
デュランダルには一時魔力の蓄積システムもある。
なんとかならないこともないだろう」
はやての言うもういっこの切り札とはリインフォースのことだ。
彼女とユニゾンすることで、対U-D用システムの演算処理を彼女に任せるのだ。
またデュランダルに装備された魔力を蓄積するシステムは、
調整すれば簡易的にだがカートリッジシステムと同じ働きをするはずだ。
はやてもクロノも・・・二人ともこの状況で見ているだけというのは嫌だったのだ。
「三人とも、頼むっ!」
「お願いや、シュテルにレヴィ、王様!」
「シュテるん、どうする?」
レヴィは困ったような表情でシュテルを見つめる。
「どうするシュテル・・・こやつら引く気はさらさらないようだが」
ディアーチェにもそう言われ、シュテルはしばしの間沈思黙考する。
数分考えた後、彼女はとりあえず良承の意を示し答える。
「確実性を高めるためにも、戦力は多い方がいいですが・・・。
お二人については、安全性を保証できませんよ」
「まあ、なんとかするさ」
「上手くやるよ!」
するとなのはたちから誰が主戦力になるか決まったとの連絡が入り、
シュテルとクロノ、はやてはブリッジへと戻っていった。
レヴィとディアーチェも戻ろうとしていたのだが・・・
「二人とも、少し話を良いか?」
空間転移してきたパルキア・・・そしてディアルガがそこに立っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「それで、結局誰が担当することになったのですか?」
「はい、じゃんけんの結果だけど。私とシグナムさんが」
「まぁ、オールラウンダー組よりも特化型の我々がやることになったわけだ」
「それに私はブラスターも使える。レイジングハート・トラジェクトリーは
マリエルさんの改良でカートリッジシステムもかなりいい感じだしね」
レイジングハート・トラジェクトリーはカートリッジシステムの改良に加え、
ブラスターモードの連続使用時間を3分間から6分間へとアップ。
さらにフレーム強度を強化したことで、前回のように自壊することはまずない。
マリエルからクロノもそれに関しては話を聞いていたのでなのはたちの意見には賛成した。
「ああ、わかった」
「では、問題なく稼働するかどうかのテストを」
「丁度いい。なのはのテスト担当は僕がやろう。
シグナムのテストは・・・ヴィータ。君でいいか?」
「あぁ、じゃんけんには負けたが、模擬戦じゃ負けねぇぞ」
ヴィータは少し物騒なことを言いつつも、クロノの言葉に返事を返した。
四人はカートリッジをシュテルから受け取ると、アースラの訓練室へと向かっていった。
「さて、始めるか。なのは」
「うん」
アースラのシミュレーターを作動させ、なのはとクロノが空中で相対する。
「さあ、システムを走らせてくれ」
「うん!」
なのはの返事を聞きながら、クロノはなのはの才能を改めて再認識していた。
(エクセリオンモードといい、ブラスターモードといい・・・・・・
この子は自己強化系スキルの扱いが上手い・・・・・・
演算処理能力といい、強化システムを使用する戦いなら、
これ以上の適任はないかもしれないな)
パルキアからもともと教わっていた数学スキルだったが、
すでになのはは自分のものとし、元々持っていた空間認識能力も含めて
今や地球でも最高峰のパズル解読者となっていた。
そのスキルを軽く応用することで、
ブラスター3ですら難なく操ることができるのだ。
今なら、自分一人で「コズミック・スターライトブレイカー」を放てる自信があった。
「プログラムカートリッジ『ネーベルヴェルファー』ロード
ドライブ、イグニッションッ!!」
「良し・・・・・・来いッ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「話・・・とは・・・?」
「作戦に我が必要な理由はすでにシュテルから聞いた。
U-Dを発見した場合に逃げないようにガトリングドライバーで
その場に縫い留めてほしい・・・そういう話だった」
「それで?」
「もう一つ、君たちに聞きたいことがある。
ギラティナ・・・セレビィ・・・・・・そして・・・ジュエルシードだ」
「・・・・・・」
パルキアの出した三つの単語・・・それは思い出し始めていた二人には
砕け得ぬ闇とはまた違った方向で重要な言葉でもだった。
「図星か・・・おかしいとは思っていた」
「どういうことだ。パルキア?」
ついて来いと言われただけで、話についていけないディアルガがそう聞いてきた。
「ギラティナが誕生した理由・・・お前にとりついていた闇・・・
それがもとになったということはまず間違いないだろうが・・・
その場合、あの闇が一体何だったのか・・・それが謎だった。
だが、ギラティナのあの行動・・・そして砕け得ぬ闇の性質・・・
それらを総合した時に閃いた。それがジュエルシードだ」
「・・・・・・」
ディアーチェとレヴィはパルキアの話に言い返すこともせず、
ただただ、静かにその話を聞いていた。
「ジュエルシードはあの時突如として現れ、そしてお前を救った。
闇を払ったのはジュエルシードだった・・・
そしてその闇が新たにギラティナを作り上げた。
お前はそう考えていたようだが、少し違う。
ギラティナはジュエルシードが作り上げた存在だったんだ」
「どういうことだ? なぜ闇を打ち消したジュエルシードが・・・」
「打ち消したか・・・そう見えてもあの時の状況はおかしくなかった・・・
だが、セレビィの存在が我に答えを教えてくれた。
あの闇は・・・おそらく闇の書の闇の一部だな・・・」
「なにっ?」
闇の書の闇、そんな時期にすでに行動を起こしていたことに
話だけは聞いていたディアルガは驚いていた。
しかし、パルキアも素直にあの闇の書の闇が取りついていたとも思っていなかった。
だが、今は関係の薄い話なのでディアルガには念話で伝え、先に話を進めることにした。
「・・・なぜセレビィの存在から、それがわかった」
「簡単なことだ・・・と言いたいが、かなりのこじ付けだ。
時の波紋を量産する魔導書・・・そんなものの存在があって
ギラティナが本能的に守ろうとした・・・そう考えた結果だ。
遠い昔に聞いたことがある。セレビィは時を超えて卵を持ってくるとな。
セレビィは未来からか、過去からか・・・奴の卵を持ってきたんだ。
そしておそらくだが・・・その卵の中に宿った生命体は、
生まれながらに紫天の空の守護を任されていた存在だった。
紫天の書を闇の書・・・いや、夜天の魔導書に植え付けた存在によって。
そしてジュエルシードはその卵にディアルガに取り付いていた闇を植え付けた。
なぜならジュエルシードはすでに紫天の書の存在を知っていたから。
だからジュエルシードは闇を再び、もとの存在に渡そうとしたのだ。
何の目的かは知らないがな。もしくは闇の書の闇に同調できる存在が
ギラティナになる卵くらいしかなかったからだろう」
パルキアの言っていることははっきり言って支離滅裂していた。
本人もあくまでも原作知識と妄想をフル活用して、
はったりをかましているようなものなのだから無理もない。
大体答えになってもいなかった。
ギラティナが紫天の書の守護者であったからという理由と闇が取りつかされた理由。
それについては一応話しているが、セレビィについては何も語っていないのだ。
セレビィからわかったわけではなく、セレビィがいるならこうだろうというこじ付け。
無論、パルキアも自分の言っていることの意味不明さは理解していた。
だが、あくまでもはったりがきけばそれでいいと話は続ける。
「マテリアルたちがあの時、ギラティナの存在を知らなかったのは
起動したてだったから、お前たちも徐々に思い出していったのではないか、
だから我をシュテルは呼んだのだ。ギラティナを仲間にするため
エグザミアとそれを支える
紫天の盟主とその守護者が揃い、初めて紫天の書は完成する。
そして、その守護者・・・もう一つの存在が暗黒の蛇竜「ギラティナ」だったから・・・
・・・まぁ、全部我のこじ付け、想像や予想どころか
中二病も真っ青の妄想ストーリーだったが・・・当たっているか?」
「間違ってはいない。根本的に違うところもあるがな。
そして、そこまでわかっておるのなら、セレビィの目的も何かわかるであろう?」
「あぁ、自らが連れてきてしまった命の責任取りと・・・
自らの力を知り、運命を狂わせた二人のギアーズを救うため。
わざわざ関係のないヴィヴィオとアインハルトを巻き込んでまでな」
(お人好しってレベルじゃないな。だがまぁ、本家の設定的には
平和な世界にしか訪れないはずのセレビィがこの時代に現れた理由がわからん
無理矢理でもこじ付けでも理由がなければ行動できないからな)
つまりはセレビィは遥か太古から存在する・・・
いや、時渡りにより様々な時代の世界に現れて、何かを導いていたのだ。
己が望む・・・平和な世界を見るために・・・
「やれやれ、あれだけの情報から、そこまで予測できるとはな。
我らも記憶を取り戻すまで気付かなかったというのに・・・のう、レヴィ」
「うんうん、すごいね。パルキア!」
そんなこじ付けでも、一部は当たっていたらしく
ディアーチェとレヴィはパルキアを褒め称えた。珍しいことだが。
「さて、長々と独り言に付き合ってもらってすまなかったな」
「構わぬ。どちらにせよ今我らにできることは何もない。
シュテルが参謀として作戦を練っている今はな・・・」
そうだな・・・とパルキアは返事を返しながら、
ディアルガとともに再びブリッジへと戻っていった。
そして、少し時間をおいて、ディアーチェたちも戻ったのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「さて、これで決戦メンバーがそろったな」
そして・・・長い作戦会議は終わり、まだ夜も明けきらぬ早朝、
東の空が紫色に染まり始めるころ、砕け得ぬ闇戦のメンバーが空に集う。
これから行われるのは闇の欠片の殲滅と砕け得ぬ闇の捜索だ。
「メインアタッカーがなのはとシグナム。それから、僕とはやてだ」
「四人がかりやね」
「後方支援は任せて!」
「あぁ、思いっきりやってこい」
「私たちもサポートいたします」
はやての言葉にフェイトやパルキア、ディアルガが言葉を紡ぐ。
Aランクオーバーの魔導師だけでなく、時空の神々もそろった完璧な布陣だ。
「砕け得ぬ闇の捜索はマテリアルたちも協力してくれる。
発見次第確保に向かう。それまで皆、欠片の処理をよろしく頼む」
マテリアルたちはすでに別行動をとっていた。
この作戦の要、紫天の書と
一度再起動をかける必要があったので、先に外に戻っていたのだ。
「うん、わかったよ。いくよレイジングハート!」
《All right. My master.》
なのはのその言葉を皮切りに、各自闇の欠片の殲滅に向かっていったのだった。
◆◆◆◆
「・・・マテリアル-D、駆体復帰――出力限界95%
エルシニアクロイツ、完全稼働――――」
同じく夜が明ける空の中、煌々と輝く朱色と水色、そして紫の魔法陣。
そこから再起動したディアーチェが再び現世に顕現する。
「ふむ、やっと終わったか――」
「お疲れ様です。王。お加減はいかがです?」
シュテルがディアーチェを気遣うように言う。
仮に再起動に失敗していては元も子もないが、
なによりも敬愛する王の身に何か起こっていないかが心配だったのだ。
「ああ、悪くない・・・力溢れる――とまではいかんが、
これならば充分に戦うことができる。
シュテルの立てた作戦通り、U-Dを――砕け得ぬ闇を
我が手に収める! この紫天の書のうちにな!!」
「いぇーーーーーいッ!!!」
「素晴らしい」
レヴィはパチパチと手をたたき、シュテルは静かに称賛した。
すると、そんなときだった。
「・・・と、王・・・どうやら邪魔な塵芥が現れたようです」
「ホントだ! 断片データがそこらにうじゃっと!」
レヴィが見渡す先にはうじゃうじゃと断片・・・
闇の欠片が結界を生成し、その数を増やしていっていた。
「ふむ、復活後の肩慣らしと行こうかの」
「ええ――手早く素早く、焼滅しましょう」
「僕とバルニフィカスが、ブッた斬るッ!!」
それぞれ己のデバイスを構え、戦闘準備に入る。
「おう! さあ、ゆくぞシュテル、レヴィ!」
「そこのけそこのけ、僕らが通ーーーるッ!」
「王の覇道、我らの悲願――どこの誰にも、邪魔はさせません!」
そう――誰にも邪魔はさせません。
悲願への道で――たとえ、何かが起きたとしても・・・
◆◆◆◆
三手に別れ、うじゃうじゃと湧く闇の欠片の殲滅を繰り返すマテリアル達。
その一人シュテルは、今もまた一つの断片データの焼滅に成功していた。
「焼滅の炎は消えません――私の側に、王と
闇の断片などという塵芥な存在には絶対に負けないという決意のもと、
再び闇の欠片の殲滅に行こうとしていた矢先、シュテルを激しい振動が襲う。
「!? この震動は・・・・・・!」
嫌な予感が胸を通り過ぎる中、シュテルはその揺れの震源地へと向かう。
そこの近くにたどり着いたときには、すでにレヴィとディアーチェも到着していた。
「王様、シュテるん! 居たよ、U-Dだ!」
三人の目の前、先ほどの震動の震源地には
赤黒い球体が、すべての光を飲み込むように佇んでいた。
システムU-D・・・砕け得ぬ闇のいる結界だった。
「あの中で力を蓄えているのですね。
充填状況は・・・すでに8割強といったところでしょう。
――悪い予感が的中しました・・・・・・・・・・・・
現状では、私が用意した作戦が通用しません」
その圧倒的な力は、マテリアル三人が全員でかかっても
制御プログラムの打ち込みは不可能。通常戦闘なら近づくことすら困難だった。
「フン。下がっておれ、シュテル、レヴィ。
ならば我が極大魔法にて、このまま奴を停止させる!」
「王――――しばらく」
「シュテるん・・・・・・?」
自らの極大魔法を用いて、U-Dに攻撃を加えようとしていた
ディアーチェをシュテルが止める。
普段と違う様子にレヴィも違和感を持っていた。
「それは私の役目です――――
王には、来るべき戦いのため、力を温存しておいていただけねば」
その言葉とともにシュテルはレヴィ、ディアーチェに強固に作ったルべライトをつける。
「な、何をするシュテル!?」
「我等が束になっても、いくら策を遇してもあの子に敵わない事・・・・・・
予想はしてました。ですからナノハ逹にも協力を依頼したんです
今出来ることは後の勝利に繋がる次の布石を打つこと、つまりは、
これ以上の充填を阻止すること。そして、少しでもあの子の力を削る事です」
「ならばなぜ我らにルべライトをッ!!」
一緒に叩けばそれだけ勝率も上がる。
ディアーチェはなぜわざわざ自分たちにバインドをかけたのかを問うた。
シュテルは目を閉じ、少し微笑みながら答えた。
「私自身が布石だからです。まあこの身と引き替えに、
あの子の多層防壁の何層かくらいは破損させてみせますよ」
それは・・・つまりは・・・意味するのは・・・特攻・・・
「そんなの駄目だよ! シュテるん!」
「そうだ!勝手は許さんぞ!!自ら捨て石になろうなど、我が許すと思ってか!?」
「だからバインドで動けなくさせてもらいました。
なに、運が良ければ完全消滅には至りません。時が来れば復活も叶いましょう」
「それは本当に運が良ければの話であろう!!
システム構造そのものを破損されればいくら貴様とて・・・・・・!!」
シュテルの今回の消滅ははやてたちにさせられたものとはわけが違う。
非殺傷などない、本物の凶器・・・それをまともに受けたら
いくらマテリアルといえども、もう再生はできない。
エグザミアがあったとしても、ゲームで言うセーブ自体がないのだから。
それでもシュテルはバインドを解かない。
「それは貴方にも言える事ですから。
あなたが居なくなっては、紫天の書を扱える者が居なくなってしまう・・・・・・
U-Dを手に入れる事も出来なくなります。なので少しだけそのままでそこにいらして下さい」
「シュテル・・・・・・!!」
「これが・・・もっとも理論的な・・・やり方です」
名残惜しいようで・・・しかし覚悟を決めた顔でシュテルはそう言い放つ。
後悔はない。王を守れることが、自分の幸せだから・・・
「シュテル! 待て!! 待たぬかッ!!!」
そんな言葉を無視して、シュテルはU-Dのもとへと行ってしまった。
取り残されたレヴィとディアーチェは悔しがりながらも・・・何もできないでいた。
◆◆◆◆
「U-D――――あの子の力は強大すぎる。
それ故に、あの子は自立制御の機能をほとんど持たない――」
U-Dのいる結界へ向けて、朱色のフライヤーフィンを足元に展開しながら、
空を飛ぶシュテルは一人、考えを自然と口に出していた。
砕け得ぬ闇・・・U-Dは今のままでは一人では生きることは許されない存在。
「誰かが守り、導いてあげなければ、単なる災厄の暗闇でしかない。
夜天の書の
そして、彼女を導いてあげられる・・・たった一人の存在が
私たちの王――――つまり『
私は王の道を拓く炎――ならば、ここが私の燃え所。
焼け尽き消えることとなっても後悔はありません・・・・・・」
少しだけ、悲しい表情をしながらシュテルがそう決意した瞬間だった。
「嘘だね・・・・・・そんなの嘘だッ!!
後悔あるに決まってる――ナノハとか言う子と、約束してるんでしょ?
もう一度戦うって」
となりにいつの間にかレヴィが平行に飛んでいたのだ。
シュテルはその現実に驚き、レヴィに向けて言い放つ。
「レヴィ!? 私のルべライトを破ったんですか?」
「僕は力のマテリアル。バインドなんか、パワーで破るッ!!」
「まさか、そこまでの馬鹿力とは・・・・・・」
「シュテルは珍しく馬鹿だよ!1人より、2人の方が、
まだ確率が高い。僕にだってそれくらい分かるよ」
「レヴィ・・・馬鹿は余計です」
レヴィの言葉に少しだけ言い返しながらも、その表情には再び笑みが浮かんでいた。
なるほど・・・仲間が隣にいるのが、これほど心強い存在だったとは・・・
シュテルは改めて、仲間の存在の大きさを肌で感じ取っていた。
「行こうシュテル――2人でU-Dを手に入れるんだ!!
王様のために・・・・・・僕らのためにッ!!!」
「――はいッ!」
二人はその言葉を胸に刻みながら、砕け得ぬ闇のもとへと向かっていった。
そして、力を蓄えているU-Dの前にシュテルが立ちふさがる。
「マテリアル-S――あなたですか――」
「ええ。U-D・・・・・・あなたを救いに来ましたよ」
「救いなど、求めていませんよ――
私は私です――ずっと昔からこのままで・・・・・・
これからもずっとこのままです」
「いいえ、きっと変われます。
夜天の書の管制人格のように・・・私たちのように・・・ッ!!」
「そんなことは不可能です・・・
だから、私の前に立たないでください・・・
私はあなた達ですら破壊してしまう――」
「わかってくれるまで、何度でも言いましょう。
私は貴方を・・・救いに来たんです。
私達の王が、きっと貴方を救ってくれる――」
「戯言です――それは幻想です・・・
誰も私を救えたりしない――――」
「いいえ、きっとできます。私たちの王ならば!」
ディアーチェを信じる。シュテルが信じたいから信じる。
その決意の言葉を持って、彼女はルシフェリオンを構えるのだった。
◆◆◆◆
「くぅ・・・なぜだ・・・なぜこれしきの鎖が砕けんのだ・・・・・・」
そのころディアーチェは未だに砕けないルべライトに苦戦していた。
シュテルが最後の希望に残した思い・・・それはディアーチェにすら
砕くことを許さない、絶対的な強度を持つ鎖となっていたのだ。
「なぜだ・・・なぜなのだ・・・」
ディアーチェは己の無力感を嘆いていた。
マテリアルの王でありながら、臣下の二人すら救うことができない。
このまま戦いの結果だけを見ることしかできない・・・
そんな悔しい気持ちが、彼女の頬を濡らしていた。
顎まで一直線に涙の筋が流れ、顎まで伝ったその涙は、
一つにまとまり大きな粒になって、ディアーチェの太ももを濡らしていた。
悔しい・・・そんな気持ちと何もできない気持ちから、ディアーチェは望む。
「誰でもよい・・・これを解いてくれ・・・我は二人を・・・U-Dを助けたい・・・
だから頼む・・・お願いだ・・・誰かこれを解いてくれ・・・ッ!」
王としてのプライドすら捨て去って、彼女はそれを願った。
そして、彼女のその願いは・・・遠く離れた彼の耳に届いたのだ。
パキンッ、パキーンッ
「・・・?」
耳に響く甲高い音を聞き、ディアーチェはその音のした方向を見る。
突如として、目の前の空がガラスのように粉々に割れ、黒い空が現れたのだ。
そしてその中からニュっと体を出して「それ」は現れた。
それは長い胴体に黒と赤の横縞を持つ生命体・・・
最初は彼女も見た目を知らなかったためにわからなかった存在。
「キューイ・・・」
普段とは違う、優しい声を上げながらそれ・・・ギラティナはディアーチェに顔を近づける。
「・・・ッ!! ギラティナ! 頼む・・・この鎖を解いてくれ!
我はもう待っているだけなのは嫌なのだ。頼む!!」
ディアーチェはただそれだけを願う。
目の前のギラティナだけが最後の希望なのだ。
そして・・・すべてを悟ったギラティナはその翼を使い、ルべライトを粉々に砕いた。
「・・・うむ、ありがとう・・・礼を言うぞギラティナ・・・
・・・・・・貴様も来るか・・・? ともにU-Dを救おうではないか・・・」
「・・・・・・キューン・・・ッ!」
ディアーチェが差し伸べたその小さな掌にギラティナは
漆黒の翼をのせて、しっかりとその志とともに受け取った。
ギラティナのそれを強く握りしめたディアーチェは無言で合図を送ると
シュテルたちが向ったU-Dのいる結界へと向けて、飛び立っていった。
その後ろをギラティナもまたその大きな翼を広げ着いていくのだった。
そして、ディアーチェとギラティナは結界の中へとたどり着く。
同じ紫天の書の仲間を助けるため、自分に希望を託した仲間のもとへ。
しかし、ようやくたどり着いたディアーチェの目の前にあったのは
巨腕の爪に貫かれたシュテルとレヴィ、目を見開き頭を押さえるU-Dだった・・・
◆◆◆◆
「うう・・・・・・ぐ・・・・・・あああ・・・・・・!! ああ・・・・・・ああああーーー!!」
二人に干渉制御ワクチンを打ち込まれたのかU-Dは悲鳴を上げて、
その場から逃げ去り、ボロボロになった
「シュテル――――レヴィッ!!」
U-Dが消え、空中に取り残された二人が支えを失い落ちる。
ディアーチェは全速力で飛行し、二人の体を受け止めた。
「シュテル、レヴィ! しっかりせぬか・・・・・・!!」
致命打を受け、ボロボロになった二人を泣きそうな顔でディアーチェは支える。
意識が朦朧としながらも、ディアーチェとギラティナの存在に気付いたシュテルは
呂律がきちんと回らないなか、自分たちの作戦がうまく言ったかを聞いた。
「王・・・・・・U・・・D・・・は・・・・・・?」
「――貴様らの策が上手く決まった――致命打を受けて逃げ去ったわ!
我がすぐに見つけ出して、支配下に置いてくれようぞ!」
すでに目頭に涙がたまりながらも、ディアーチェはそう言った。
それを聞いたシュテルとレヴィは安心した表情で言い返した。
「ならば、急いで行ってください――」
「僕達のことは・・・・・・いいから・・・・・・」
「良くはなかろう! 貴様らも今なら助かる――
待っていろ、すぐに我が魔力を分けてやる!」
そう言いながら、ディアーチェは己の魔力を二人に渡そうとしたのだが・・・
「それは・・・だめ・・・・・・」
「はい・・・・・・むしろ、逆です・・・・・・」
その言葉とともに二人は目を閉じ、逆に魔力をディアーチェに渡そうとする。
「貴様ら――! 何をしている・・・・・・何をしている!!」
「私とレヴィの魔力を、あなたに――」
「僕ら二人分の残り魔力を・・・・・・全部、王様にあげる――」
二人はディアーチェの言葉を聞きながらも、魔力を受け渡していく。
「やめぬか・・・やめぬか! 貴様らの魔力などいらぬ――!」
ディアーチェが止めるように言うが、二人はその行為をやめない。
「我々はもう戦えません――ですから――貴方に・・・託します」
「王様の夢だったんだ・・・砕け得ぬ闇を手に入れて・・・本当の王様になること・・・」
「貴様らが――臣下がおらずして、なんの王か!!
こんな場所で消えることは許さぬ!
命令ぞ! 今すぐ魔力供給をやめよっ!!!」
「やめません――あなたが王でなければ、我等も臣下たりえません――」
「僕らの力と僕らの夢・・・・・・ぜんぶ、王様に・・・預けるから・・・・・・」
「どうか、ご武運を――――――」
「負けないでね・・・王様・・・・・・そして頼んだよ・・・ギラティナ・・・」
その言葉を最後に、二人は最大出力を持ってディアーチェにすべての魔力を供給する。
「シュテル! レヴィ!! やめよ――やめぬかぁっ!!」
ディアーチェの叫びの言葉も、虚しく何もない空を響き、
自身の残り魔力を全てディアーチェに託した二人の
蒼と紅色の光の粒子となって・・・風に乗って消えていった。
「ああ・・・あああ・・・・・・うあああぁああーーーーーーーー!!」
目の前の現実に・・・ただただディアーチェは泣き叫ぶ。
再び感じた己の無力感とともに・・・その涙は大地を濡らす・・・
ディアーチェのそんな姿を・・・ギラティナはただ見守る。
今の彼には・・・そんなことしかできなかったのだ。
そんななかで・・・受け取った二人の魔力のせいなのか、
ディアーチェの背中の翼は普段の紫に、眩く彼女を照らす色・・・
それは朱色と水色――――――
紫色、朱色、そして水色の三色に輝いていたのだった・・・
パルキアの言っていることの要約。
ギラティナはセレビィが過去から持ってきた卵にジュエルシードがディアルガに
"なぜか"取り付いていた闇の書の闇の残滓を植え付けて、誕生した存在である。
セレビィが持ってきた卵はもともと紫天の書を夜天の魔導書に最初に取り付けた存在が、
紫天の書の守護者として作り上げた人造生命体・・・もしくは改造生命体である。
平和な世界を望むセレビィは悪意ある目的のためにその卵を使用するモノの存在を認めず、
その卵が孵らないように現在のプレシアが発生させた虚数空間に持ってきていた。
しかし、その卵が予想外の事態により孵ってしまい。その存在が苦しんでいたため、
また自身の伝承から運命を狂わせた二人がこの時代に来てしまったため、
このまま起こりうる未来を認めなかったセレビィはとある事情から
ヴィヴィオとアインハルトを未来から連れてきた。
マテリアル達三人とユーリが当初ギラティナの正体に気が付かなかったのは、
記憶が目覚めたばかりであいまいだったからと、その見た目がジュエルシードによって変わっていたから。
ジュエルシードが闇の書の闇の残滓をディアルガからギラティナの卵に植え付けたのは
過去に紫天の書に出会っていてその存在を知っていたからなのと、
闇の書の闇と同調できる存在が、その場にギラティナの卵くらいしかなかったから。
うーん、オリジナル設定全開だな。 まぁ、ギラティナ出すと決めていた時から決まってたことなんだけど・・・
闇の暴走の設定が微妙に変更になったくらいかな?
当初はStS編で明かす予定でしたが、ここで言っとかないと訳が分からなくなっちゃうと思ったので