パルキアに転生して、着いた世界はリリカルな世界   作:DFGNEXT

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Q.言い訳を聞こう
A.大学一人生活が忙しかったんですよ。うへへ(本当はこの話だけ筆が一切進まなかった)

Q.伏線張りまくったね。回収できるの?
A.作者の筆が止まらなければ。今回無理矢理臭がするのはキャラが多すぎたからです。
 自らの力量不足を感ぜざるを得ない・・・まぁ、話を溜められたというのはありますけど・・・


そんな話ですが、大分遅れましたが、パル転原作ストーリー最終回。
それではどうぞ!!



PS.後日談とオリジナル編はまだまだ続くよ。なのは高校生活編とStS編はこれとは別に投稿するよ




最終話「エピローグ-ここから始まる-」

 

 

 

 

ディアーチェがユーリを連れて戻るとそこにいたなのは達が声をかけてきた。

突然、ラティオに乗って光の中に入っていったディアーチェを少し心配していたのだ。

 

「王様、ラティオ、それにU-D!大丈夫?」

「U-D、気を失ってるの? すぐにシャマル先生を・・・・・・」

「うん!シャマル、大変や、王様は無事やけど、U-Dが・・・!」

 

「うぬら、やかましいわ――――!」

 

どうみても一人はふざけてやっている姿を見て、なのは達にディアーチェが怒鳴る。

 

「ユーリは今眠っておるだけよ。いちいち騒ぐな。

 我の為す事に、不備や不手際があろうはずがなかろうが」

(いや、けっこうあったやん・・・まあ、やめとこ。めんどくさいことになりそうや)

 

はやては突っ込みたい衝動を何とか抑え、静観することに徹する。

そんななかユーリという聞きなれない言葉になのはがディアーチェに問いかける。

 

「ユーリって?」

「こやつの名よ。そう呼べ」

「ユーリ――ディアーチェがつけてあげたの?」

「違うわ、ユーリはもともとこやつの名よ。我が名付けたのはラティオだけだ!」

「ギラ、ギラッ!」

 

そうだそうだとでも言いたげにラティオもディアーチェの言葉に首を振る。

 

「ユーリ――いい名前だね」

「ああ、それより我もこやつもだいぶ消耗した。どこか休める場所に案内せい」

「はいはい・・・パルキアさーん!ちょう手伝ってー」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

こうして、今回の事件――後に『砕けえぬ闇事件』と名付けられたこの出来事は、

静かな終わりを迎えました。飛びっぱなし、戦いっぱなしで過ぎた今回の事件。

アースラに戻った直後は、全員疲労困憊でしばらく動けなかったりしましたが――

 

 

 

 

アースラの一室にメンバーのほとんどが勢ぞろいしていた。

いないのはマテリアルたちとパルキア、ディアルガ、そしてラティオだ。

 

いないのは純粋にラティオが大きさを変える術を持っていないからであって、

現在はパルキアとディアルガがなんとかできないかを検討していたのだ。

マテリアルたちはその付き添いといった感じである。

 

そして――とあるテーブルにアインハルトとヴィヴィオ。

二人の未来組が戦いの疲れから、テーブルに伏していた。

 

「うう、がんばった分、後が辛い」

「死というものを体験できるとは思いませんでした。

 クリスさんとティオも、大丈夫ですか・・・・・・?」

 

アインハルトがそう聞くが、二人ともどうやら厳しいらしく。

必要最低限の反応だけ示し、再びテーブルに顔を付ける。

 

 

「未来組はわりと未熟者が多いな。いろいろと大変そうだ」

「というよりも一度死んだ身だものね。でもあの二人のおかげで

 助かった場面もあったし、すごい子たちだと思うよ」

 

未だに右腕にナハトヴァールを着けながら、なのははヴィータにそう言った。

 

「まさか、転送魔法が得意とはなぁ・・・」

「うん、クロノくんも気付かなかったほどだから、かなり高度だね」

「そういう意味では未来組の連中も上級者なわけだが・・・」

 

そう、あの時アースラに軟禁されていたはずのヴィヴィオたちが、

あの時現場にクロノたちに気付かれずにこれたのはヴィヴィオが

と、ある理由で転送魔法が大得意な魔法だったからだ。

 

「しかし一番小さいあの子は、未来ではお前の子供だという話だが」

「そうなんだってー・・・しかも『なのはさん』って言っていたけど。

 あれって未来のわたしが地球ではそういうように言ってたからなんだって」

「一体全体、どうしてそうなったんだか」

 

その理由は地球では当時未成年だったなのはが地球にヴィヴィオを連れてきた時に

法律上でも世間の目的な意味でも「ママ」と呼ばれることを回避したからだったのだが

それはまた別のお話。

 

そんななかでなのはの存在に気付いたヴィヴィオが声をかけてきた。

 

「あ!ちっちゃいママー♪」

「はーぁいー」

 

ヴィヴィオの声になのははいかにも母親ぁ~らしく返事を返す。

そのやり取りを見たヴィータは無性に苛立ちを感じ叫ぶ。

 

「仲いいな、おい!」

「まあ、未来では親子らしいしね。くくく」

「怖い笑い方すんな! 気色わりぃ!!」

 

そんなヴィータの突っ込みに対し、なのはは首元にナハトヴァールを

突き付けて「気色・・・悪い・・・?」と若干脅迫まがいなことを言う。

 

「あ、悪魔め・・・」

「この際、悪魔でもいいよ・・・悪魔らしいやり方させてもらうけどね」

 

凶器を突き付けられてさすがのヴィータも恐怖に戦く。

そんなやり取りを見て、苦笑いをしながらアミタとキリエが皆に話しかける。

 

「まぁ、未来のことなんて知らない方が良いのよ」

「それに――現地の人が未来の情報を知ってしまった場合は、

 未来に関する記憶はできる限り封鎖しておくようにと博士が言ってましたので」

 

アミタとキリエが言った言葉はある意味で当然のこと。

タイムパラドックスなどが未だに議論となっているのは

未来の情報が過去に与える影響が、どれほどなのか判断が難しいからだ。

 

「やっぱり、そうなりますよね・・・・・・」

「もっとも私たちに協力してくれるパルキアと封鎖ができそうにない

 ディアルガに関しては完全な封鎖はしないし、全部の記憶を消しちゃうと

 いろいろと問題が起きたり、思い出しやすくなっちゃうから。

 あくまでも『時間移動』に関しての事だけね」

「アミタ達の修復データも処分しなきゃいけないですよね」

 

技術者として少し残念そうにマリエルがそういう。

そんなマリエルに対して、冷ややかな目をしながら

やれやれといった感じでクロノは話し出す。

 

「まあ、仕方ない。持っていてもどうせロストロギア扱いさ。

 書類仕事の手間が増えるだけだ。ただでさえナハトヴァールの件があるのに」

 

かつての闇の書の力の一端が、害がないとはいえ蘇ったなど

それだけでかなりの量の書類を提出しなければならない。

そんななかで下手に仕事を増やすような情報を保持しておく理由もない。

 

「ですよね・・・・・・大人しく破棄して、記憶封鎖を受けます」

 

渋々ながら、マリエルは納得する。

 

「そういえばヴィヴィオたちはちゃんと帰れるんですか?」

 

心配そうにフェイトが聞くとキリエが顔に笑みを作りながら答えた。

 

「セレビィが実際に現れたし、ユーリがエグザミアの力を貸してくれるからね。

 データが大分揃ったから、行きよりはだいぶ楽だから間違いなく」

「そうなんですか・・・あっ、そういえばユーリたちは今何をしてますか?」

 

フェイトがキリエたちにマテリアルたちが何をしているか聞こうとすると

部屋の扉が開き、そこから人型サイズのパルキアとディアルガ。

そしてマテリアル四人と頬を少し赤く染めたユーリが現れた。

 

「オリジナル、オイッスー! 戻ってきたよー」

「レヴィ! 良かった!」

 

無事戻ってきたレヴィとシュテルの二人にフェイトは喜びを隠せない。

安心しきった笑みを浮かべながら、アリシアとともにレヴィのもとに走っていく。

 

「ナノハ、みなさん。ご無沙汰です」

「シュテル! 戻ってきたんだ?」

「ユーリが力を貸してくれましたので、かなり早く。流石は紫天の盟主です」

 

シュテルにそう言われ、さらに赤面するユーリ。

そしてとなりにいたパルキアが改めて内容の結果を伝えた。

 

「あぁ、大丈夫だ。問題なくすべてが終わったよ」

「パルキアさん? 終わったってことは・・・」

「キュイー!!」

「えっ!? あっ、ちょ――ラティオま、待って」

 

突然現れた謎の影。

その影はなのはに突撃したかと思うとそのまま押し倒す。

 

 

――それはぬいぐるみサイズにまで小さくなったラティオだった。

 

ラティオはそのままなのはに突撃し、ぺろぺろと顔をなめる。

ナハトヴァールの重さもあって、なのはは甘んじてそれを受けるほかなかった。

 

「初心者の私でもできたとはいえ、言葉によるコミュニケーションが

 まったくできないなか、よく成功できましたね・・・」

「まぁ、我等と違って人間大にはなれんがな・・・それでも十分だろう」

「だ、だれか助けて―――!!」

 

なのはが必死で助けを求めるが、皆グルのように一切干渉しない。

パルキア達以外ではフェイトとアリシアはレヴィとの会話に勤しみ。

クロノやマリエルは何事もないように書類仕事を行い。

はやてとリインフォースは紫天の盟主であるユーリと雑談し。

守護騎士たちは守護騎士たちで各々話に夢中になり、未来組は論外。

 

唯一、ユーノだけがなのはを助けようと駆けつけたのだが

 

「なの・・・へぶっ!?」

「馬鹿者が、ラティオが楽しんでおるのに邪魔をする気か?」

「いやいや、そうは言わないけど・・・というよりなんでなのはに?」

 

ラティオは紫天の書の守護竜なのだから、ディアーチェ達に懐くのはわかるが、

関係のないなのはが懐かれる理由がユーノには理解できなかった。

 

「愚問を、ラティオを呪いから解放したのはなのはであろうに」

「あぁ、そういうことか・・・なるほどね」

 

だが、ディアーチェの説明を聞いて納得した様子でポンッと腕を叩く。

 

「ユーノくーん!!? そこ納得しないで何とかしてよぉ」

「うん、ごめんなのは。僕にはとてもじゃないけど

 ディアーチェ相手にケンカ売るなんてしてられないよ」

「薄情なああ・・・!?」

 

結局、最後の望みだったユーノにも見捨てられてしまい。

なのははそのままラティオに思う存分いじられたのであった。

 

「・・・それで、なぜ外さないんだ? ナハトヴァール」

 

そして雑談も終わりを告げた頃、

なのはに改めてパルキアが疑問を投げかける。

実は先ほど、彼女に皆してはぐらかされたのだが、

なのはもそろそろ言ってもいいかといいながら答えた。

 

「実は・・・ナハトヴァールはディアルガさんの能力で復活したわけでしょ?」

「そうなりますね。今はできませんけど。

 あれは時の波紋が充満していたからできたことですし」

 

ディアルガがあの時、時を押し戻せたのは「ときのほうこう」の効果もあるが、

なにより、暴走するエグザミアによって時の波紋が充満していたからだ。

 

ユーリが持つエグザミアが正常に稼働する今、

彼がその能力をつかえる機械はもう二度とないだろう。

 

「それがどうしたんだ?」

「うん、それであの力は皆を蘇らせるために使われたでしょ?」

「あぁ、そうだったな」

「だ、か、ら・・・・・・じゃ、じゃ、じゃーーーん!!!」

 

なのはがテンション高くそう言いながら

ナハトヴァールの付いた右腕を空高く掲げる。

 

するとナハトヴァールが突如と光だし、その光が部屋の中央に集まりだす。

 

「な、なんだ・・・?」

 

皆が皆、疑問に思う中でその光はやがて一つの形として現出する。

 

その姿は銀髪で赤い目の女性だった。

黒衣を纏い、背中には4枚の漆黒の翼。

顔と左腕には赤い紋様、右腕と両足には

まるで拘束するかのようなベルトが、巻き付いていた。

 

「リ、リインフォー・・・ス・・・・・・?」

「いえ、我が主。私はここにいますよ」

 

はやてが若干錯乱しながらそういうが、リインフォースは軽く受け流す。

確かによく似てはいるが、服の色が少しだけ緑がかっているなど

ほんの少しだけだが、きちんと差異がみられた。

 

その場にいるほとんどのメンバーがその正体に気付き、特にクロノは

また事件に関係のない余計な書類仕事が増えると分かり、頭を抑える。

 

「久しぶりだな。リインフォース、八神はやて。

 あえてうれしいぞ・・・なにせ3か月ぶりだからな」

「ああ、久しぶりだな――ナハトヴァール・・・」

 

リインフォースが言った通り、この女性の正体は

三か月前にその存在を消滅させたはずのナハトヴァールだった。

 

「じゃーーーん!!ドッキリ大成功!!」

「なのは・・・いつからそんな行動するように・・・」

 

なのはがそんなことをするようになった大元が何か言っているが、

特に誰も何も気にせず。はやてが叫ぶように質問していた。

 

「なんで復活してるん!? いや、武装化に関してはまだ理解できたけど」

「ディアルガとやらが使った時の巻き戻しが、私の意思を復活させたのだ。

 もともとなのはが持つ青石は私の意思のバックアップが入ってるものだからな

 それが時の逆流に巻き込まれて、元の姿を取り戻したというわけだ」

 

はやての当然の疑問にナハトヴァールは軽く答えた。

彼女にとっては偶然起きたラッキーな出来事に過ぎないからだ。

 

だが、クロノとしては彼女の存在を放っては置けない。

ナハトヴァール自体が闇の書の防衛プログラムである以上。

また闇の書事件が発生しかねないからだ。

 

しかし、ナハトヴァールはその表情を見て

手元を顔に近づけて、クスリと笑いながら話し始めた。

 

「あぁ、そんな心配そうな顔をするな。

 確かに私は防衛プログラムだったが、今は形だけだ。

 もともとなのはに渡したのは表面上の再現データ。

 それにもともとの私の意思がディアルガによって宿ったに過ぎない」

「つまり・・・?」

「暴走する『闇の書の闇』はもうこの世には表れない。

 今の私はただの武器になれるできそこないのユニゾンデバイスだ。

 あなたの心配しているようなことは起こらないさ」

 

ナハトヴァールの説明を聞いて、とりあえず胸を撫で下ろすクロノ。

 

「そうか・・・なら・・・まぁ、いいのか・・・」

「その代わり書類仕事は増えるがな」

「その点は仕方ないさ・・・まぁ、任せておいてくれ。悪いようにはさせないさ」

「あぁ。感謝する」

 

ナハトヴァールとクロノの対談も終わり、すべてが落ち着いた。

そんなときにシュテルに背中を押されながらユーリが皆に話し出す。

 

「・・・改めて、ありがとうございます、皆さん・・・・・・私を止めていただいて」

「ううん、ぜんぜん」

「ユーリも怪我とかなくてよかったね」

「ほんまやー。いきなり目の前で人に死なれた時は驚いたけど・・・」

「それに関してはヴィヴィオさん、アインハルトさん、

 そしてパルキアさん・・・本当にすみませんでした・・・」

 

多少暴走や絶望により錯乱していたとはいえ、

自身の手により一度は殺めてしまった三人の方を向き、

ユーリは深々と頭を下げる。そんなユーリを見ながら

三人は笑顔でその謝罪に返答した。

 

「平気ですよ。ディアルガさんのおかげですが、結果的には生きてますし」

「それにその力が使えたのはユーリさんのおかげですから」

「我も今更気にしてはおらん・・・だから安心しろ。

 まぁ、かっこよく死ねたと思ったら復活していたことは複雑だが」

「すみません。そして・・・ありがとうございます・・・」

 

三人のかけた言葉にユーリは涙を流しながら、お礼の言葉を連ねた・・・。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

―そうして・・・・・・ひとときの休息のあと、

―お別れの準備は、滞りなく進んでいって。

―わたしたちは見晴らしの良い、広い丘に集まっていた。

 

 

そんな丘の上では、現在アミタとキリエが時を移動するための準備を

ユーリとともに微調整をしながら行っていた。

 

そんななか、とあることが気になったはやてがディアーチェに対して質問する。

 

「そういえば、王様。王様は・・・というかマテリアルたちはこの後どうするん?」

「そうさの・・・この世界を粉々に砕いても良いが・・・

 人間共の居らぬ地に赴いて、ゼロから我が王土を築いてやるのも良い。

 だが、今は・・・・・・」

 

ディアーチェはなのはやナハトと楽しげな会話をするシュテル。

そしてフェイトやアリシアと仲良く遊んでいるレヴィを見て続きを述べる。

 

「あやつらと・・・家族として一緒に過ごすのも悪くないと思う。

 桃色たちのクラス世界であるエルトリアとやらに進行しようかとも

 思っておったがな。ラティオがこちらの世界に残りたがっておるのだ・・・

 王たる者、臣下の願いはできうる限り、聞き入れなければならぬからな」

「王様・・・・・・!」

 

そう言われてラティオのほうをはやては見た。

人形サイズから、通常サイズの大きさとなり、伸縮自在な翼を操り

なのはやナハトヴァールの髪の毛をいじったりしているラティオは

確かにとても楽しそうで、うれしそうだった。ディアーチェとしては

あんな表情を出すラティオを彼女は見捨ててはおけなかったのだろう。

そしてラティオだけ置いていくというのは最初から眼中になかったのだ。

 

「ふん、いろいろとうぬらに感化されすぎた。

 シュテルもレヴィもラティオもユーリも・・・そして我もな」

「それは・・・・・・・・・きっとええことだと思うよ」

「・・・そうか・・・そうだな・・・・・・」

 

はやての言葉にどこな納得したような表情をディアーチェは見せた。

 

「よお、話に混ざってもいいか?」

 

そんななか、暇を持て余したパルキアがこちらに近づいてきた。

 

「うぬか、なんのようだ?」

「いや、さっきは聞き忘れていたのだが・・・

 お前たちはどこに暮らす予定なのかと思ってな」

「ふん、地球・・・とくに日本には住めんだろうが、捜せばいくらでもあろう」

 

彼女たちには現在、戸籍が存在しない。

そして世界的に見れば戸籍が必要のない国がほとんどだが、

どちらにせよ日本で暮らすならば必要なものだ。

 

国籍という面でも管理局の手を借りるつもりのない彼女たちでは

いろいろと面倒事のほうが多いのだ。

 

そして・・・そもそも、暮らす家を用意できないのだ。

土地を手に入れたり家を手に入れたりするのは彼女たちには難しい。

だからディアーチェは別の世界、ラティオがなのはたちに会える範囲で

暮らせる世界を捜そうとしていたのだった。

 

そんな事情を理解したパルキアはとある案を彼女の持ちかけた。

 

「さて、ここで我から提案がある。聞くか?」

「聞くだけ聞いてやろう」

「よし、では話そう。実は八神家の隣の家が空き家なんだが・・・」

「却下だ!!なぜ小鴉の家の隣で生活しなければならないのだ!!」

 

顔を真っ赤にしながら、ディアーチェが怒ってきた。

そんなディアーチェを宥めながら、パルキアは話を続ける。

 

「まあ、落ち着け。そこならいろいろと便利なのだ。

 あそこの土地所有権は実質的に我が握っているのだ」

 

急に飛び出た爆弾発言にはやては目をパチクリさせる。

 

「パルキアさんが・・・? なんで? というかどうやって?」

「まずどうやったかだが、グレアム提督に頼んで所有してもらったのだ。

 出世払いということでな。八神家の隣なのは偶然開いていたからだが、

 我が土地を所有しようとしていたのは単純に場所提供だ。

 クリスマスのときに痛感したのだ。八神家でも狭い・・・とな」

「・・・理由しょーもな!!」

 

はやてはあまりの小さな理由にあきれ返る。

本当はパルキアがマテリアルたちがこの世界で暮らすことを選ぶならと

念のために保有しておいたのだが、そんなことは説明しない。

 

そしてそんな事情を知らないディアーチェは顎に手を当てながら

「ふむ・・・」と少し考えるような動作をして言った。

 

「なるほどな・・・まぁ、考えておいてやる」

「良い返事を待っている・・・」

 

顔に少し笑みを浮かべながらにらみ合う二人。

そんな二人の姿を見ながら、はやては一言思ったことを吐き出した。

 

「二人ともやっぱりそっくりやなぁ」

「「どこがだ!!どこが!!!」」

「そういうところや♪」

 

あとは魔力光に話し方もなぁとはやてに言われ

ディアーチェとパルキアは何も言い返せなかった。

 

 

 

「それにしてもヴィヴィオの変身魔法すごいね。

 そのポニーテールも良く似合ってるよ」

「あ、ありがとう。なのはさん」

「・・・徹底してるね」

 

地球に来たとたん、呼び方をママからさん付けに変えたヴィヴィオを見て、

なのははあまりの切り替えの早さ、その徹底ぶりに少しだけ引いてしまう。

 

「・・・なのはさんの教育の賜物です」

「・・・・・・一体何やってるの・・・未来のわたし・・・」

 

喜怒哀楽。様々な表情を見せるなのはとヴィヴィオ。

そんな姿を遠くから、フェイトとアリシア。ナハトとアインハルトが見ていた。

フェイトは三か月前に思っていた疑念と今のなのはの姿を重ねながら言う。

 

「・・・なのは。だいぶ以前のなのはらしくなってるなぁ・・・

 三か月前はあーんな変なしゃべり方だったのに・・・

 シュテルと出会ってからかな、元に戻り始めたのは」

「あのころは大分自身の存在に悩んでいたようだ。

 正直、自分いらなくないか・・・と・・・吹っ切れた理由も知っているが」

 

事情を精神リンクで少しだけ知っているナハトがフェイトの言葉に補足する。

 

「はぁ・・・未来のなのはさんは特別何か悩んでいるようには見えませんでしたが」

「そうなの?じゃあ安心だね。良かったぁ」

【うんうん、ホントホント】

 

三か月前、パルキアと二人で話していたなのはの変わり様。

結局は結果的に自分たちの勘違いで終わりそうだった。

 

しかし・・・それが少し間違っているのに気付くのはもう少し経ってからだった。

 

 

 

 

 

そして・・・ようやく未来へ帰る準備も終わり、

未来へ向かうフローリアン姉妹と未来組。

そしてエルトリア修復の手伝いをするパルキアがタイムマシンの近くに集まる。

 

「さてと。それじゃあ、そろそろ戻るとしましょうか」

「ええ。時間移動で来られた方々はもと居た時間へお送りします」

「あとは記憶封鎖ね・・・・・・あぁ、未来組二人、ここに集まってー」

「あ、はい!」

 

ヴィヴィオは元気良く返事をすると、未来組用の記憶封鎖のサークルの中に入る。

 

「現在組の皆さんは、ディアルガさん以外はこちらへ――」

「はぁいっ」

 

現在組もまた、サークルの中へと入っていった。

 

そして記憶の一部封鎖と・・・・・・時間移動のセッティングを終えて

いざ、未来へ向かって飛び立とうとしていた時だった。

 

「ビィ~!!」

 

突然・・・皆の目の前にセレビィが現れたのだった・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

「セレビィ!?」

「ビィ~ビィ~!セレビィエ!」

 

どことなくかわいい声を上げながら、目の前に突如として現れたセレビィ。

皆が警戒する中、一人。純粋なポケモンであるアリシアが何を言っているかを理解した。

 

【フェイト! セレビィ、約束を果たしに来たって言ってるけど】

「約束を果たしに来た・・・?」

 

アリシアの言葉をつい復唱してしまうフェイト。

そんな異常な行動をとってしまったフェイトに皆の視線が一気に集中する。

 

「フェイトちゃん・・・セレビィの言ってることわかるの?」

「え、ええと・・・その・・・」

 

フェイトは後悔していた。アリシアの声は自分にしか届かないのに。

念話は送ることができるが一方通行だ。なぜ口に出してしまったのか・・・

 

【ね、姉さん・・・!! ど、どうしよう・・!!??】

【フェイト!この際誤魔化しちゃいなさい!】

【誤魔化すって言っても・・・どうやって・・・?】

【アリシアと一緒にいると何だかわかるっていえばいいじゃない】

【なるほど。さすが姉さん】

 

納得したフェイトはなのはにこう言い返した。

 

「アリシアと一緒にいると、なんだか声が聞こえてくるんだ」

「へぇ~。じゃあ、セレビィの通訳お願いしてええかぁ?」

「うん、わかった」

 

律儀にもその話を終えるまで待っていてくれたセレビィが再び話し出す。

 

「ビィ~ビィビィ?」

「ええと・・・まずはすみませんでした。貴方方を巻き込んでしまってだって」

「続けて訳して。訳した分だけでいいよ」

「わかった。・・・それにしてもアリサみたいな声だね。セレビィ」

(・・・そうか、やっぱりこいつゾロアークのセレビィと同じ声なのか)

 

アリサを知っている数名がセレビィの声がアリサに似ていると断定した。

フェイトはなのはに言われた通り、セレビィの言葉を通訳をしていく。

 

「ビィ、ビィビイ、セレビィ!」

「真実を語るには時間が足りません。だから今はこれを受け取ってください」

「真実・・・?」

 

パルキアがその単語に疑問に思う中、セレビィが取り出した存在に驚いてしまう。

 

「ジュ、ジュエルシード!!?」

 

そのひし形の宝玉はまず間違いなくユーノが発掘したジュエルシードだった。

キリエとアミタと八神家だけ事情を知らないのでアミタがクロノに詳細を聞いた。

 

「え、ええと。なんでしょう、それって」

「ロストロギアの一つだ。説明は省くぞ」

「しかも・・・ディアルガとの戦いでなくなっていたシリアル5じゃないか!?」

 

シリアル5・・・つまりパルキアがディアルガ戦で使用したジュエルシード。

スカリエッティに手渡したシリアル19を除けば管理局が確認できていない

最後のシリアルナンバーを示したジュエルシードでもあった。

 

「これがラティオを生み出した存在か・・・」

 

初めて見るロストロギア、そしてラティオをギラティナとして誕生させた

存在を見て、ディアーチェは純粋な興味を抱いていた。

 

「ですが、これを受け取ってどうしろというのでしょう?」

「とりあえずパルキア。受け取ってみたら?」

「あ、あぁ・・・・・・」

 

レヴィの後押しもあり、恐る恐るといった様子で手を伸ばす。

そしてジュエルシードを両手で受け取った時、パルキアの脳裏に言葉が伝わってきた。

そのすべてを原作知識も含めて理解したパルキアはポツリとつぶやいた。

 

「・・・なるほど・・・そういうことか・・・」

「どういうことだ?パルキア」

「このジュエルシードは今魔力が飽和状態だ。

 放っておけば直に暴走する。だが、それを回避する方法が一つだけあるのだ」

「それは・・・?」

 

ディアルガの問いにパルキアはジュエルシードから、

伝わってきた意思を一言一句全く意味を変えずに答えた。

 

「我が・・・いや、我等三人。我、ディアルガ、そしてラティオが

 このジュエルシードに願い事を願うことによってだ」

「な、なんだって」

 

ジュエルシードを発掘した張本人のユーノがそれには驚いた。

文献にはジュエルシードが意思を持つことなんて書かれていなかったうえ、

魔力の飽和状態を願いをかなえることで回避できるなんて想像できなかったからだ。

 

「大丈夫なんですか?それって!?」

「あぁ、心配するな。むしろ願わなければ問題がある。

 セレビィの真の目的はこれだったのだな・・・」

 

ジュエルシードは願いを叶えるロストロギアと言われる。

しかし、実態は次元干渉型エネルギー結晶体であり、願いを『正しく』叶えたことは

パルキアが知る限り、原作でも現実でも子猫の件しか知らない。

 

ディアルガにとりついていた闇を取り払った理由はよくわからなかった。

だが、情報が伝わってきた今、そのすべてが理解できる。

 

そしてあの後、あの場からジュエルシードが姿を消したのは

この時代にセレビィがジュエルシードを直接持ってきたからだったのだ。

 

「ええ、その通りです。未来から連れて来た御二方は・・・

 不謹慎で傲慢な言い方ですが、皆さんの盾として連れてきました・・・だって」

「・・・なーるほど。未来に起こる結果を知ってしまったセレビィが

 少しだけ過去に干渉することでそれを防いだのね」

 

フェイトが翻訳したセレビィの言葉にキリエが一人納得する。

 

「ええと、つまり・・・あの時のなのはさんの攻撃を私が防がなかったら・・・」

「その場でおそらく、なのはさんは亡くなっていたでしょう・・・私の手によって」

 

ヴィヴィオの言葉に沈み込みながら、ユーリがそう告げた。

 

「ラティオを誕生させて、

 エネルギーが飽和しかけたジュエルシードは助けを求めた。

 

 そこにセレビィがやってきた。そして助けた・・・

 願い事をかなえればジュエルシードはその真の役目を終え、

 永遠の眠りにつくことができる・・・というわけか・・・

 しかし、困ったな。願い事なんて我にはないぞ」

「私も・・・あるにはありますが、他者に叶えてもらうというのはどうにも・・・」

「ギラギラッ!!」

 

しかし、三人もいきなり言われてそうそう願い事があるはずがなかった。

ディアルガに関してはあるにはあるが、他人にかなえてもらっては意味のないことだ。

ラティオとパルキアに至っては何もない。いまさら人型になる気もないからだ。

 

「ビィビィ」

「えっと・・・ですが、叶えてもらわなければ困ります・・・だってさ」

「どうするか・・・・・・」

 

悩む三人、少し努力すればほとんどのものが手に入るため

いきなり言われても叶えたい願いなんてものはすぐには浮かばない。

 

そして・・・三人は数分―悩みに悩んでついに一つの逃げ道を見つけ出す。

 

「この中で何か叶えたい願い事を持っているものはいないか?」

「え?」

 

いきなりそんなことを言われてしまい、なのはたちは固まってしまう。

パルキアたちに振られた話題だったので、つい意識の外に置いていたのだ。

 

そして早急に復活したのはナハトヴァールとリインフォースだった。

 

「私にはないな。というよりも十分適ってしまったからな」

「私もナハトと同じだ。主はやての幸せを願うというのはあるがな・・・」

 

彼女たちはパルキアたちと同じく、すでに恵まれている。

望むものを考えてもまったく浮かばないのだ。

 

「うーーん、難関パズル・・・ってのはちょっと違うしなぁ・・・

 ・・・やっぱりわたしもないかな。フェイトちゃんは?」

「私も。今が一番幸せだからね」

【私も私も】

 

なのはとフェイト、ついでにアリシアにも願い事などない。

というよりもわざわざジュエルシードに頼って叶える理由がなかった。

 

「く・・・うう・・・私も何もない・・・ことを強いられてるんや!!

 ・・・・・・・・・ってあれ? なんか私。今変な電波受信したような・・・?」

(そういや、なんでこの世界AGEだけないんだろうなぁ・・・)

 

妙な電波を受信したはやてが集中線が出るような言葉で否定する。

彼女は一応生粋のガノタだが、元ネタがない以上。別世界のセリフは知らなかった。

 

結局、残りのメンバーも未来組も願い事がなかった。

 

だが、一人だけ・・・そんな状況下で手を上げた。

 

「あ、あの・・・私・・・一つだけですが、願い事があります」

「ん?ユーリお前がか?」

 

恥ずかしながらも、恐る恐るといった様子で手を上げたのはユーリだった。

 

「お前か、なんだ? 言ってみろ」

「いえ、あの・・・実は・・・・・・人間になってみたいなぁ・・・と」

「「はい?」」

 

ユーリの予想外、斜め上からの大打撃に

パルキアとディアーチェがどこか拍子抜けした声でそう言った。

 

「ユーリん、どうしてそんなこと考えたの?」

「はいレヴィ、あの・・・皆さんと戦っていて思ったんです。

 一つきりの命を無駄にしない、奇跡は何度も起きるものではない。

 自分の命を大切にしてこそ人の命もまた守れる・・・そんな存在。

 皆さんの戦いを見て、それを痛感したんです」

「だから、エグザミアによる不死身を捨てて人の体を持ちたいと?」

「はい! あっ、でもディアーチェ達まで強制する気はありませんよ」

 

ユーリがパルキアの言葉にそう言い返す。あくまでもこれは自分のわがまま。

ディアーチェたちがプログラムのままでいたのならば強制はしない気だった。

そんなことを考えていたユーリだったが、心配は無用だったようだ。

 

「じゃ、僕も僕も! 確かに死ぬのは怖いけど。今だって不死身ってわけじゃないしね。

 オリジナルと同じように一つの命を大事にしていくっていうのも面白そう!!」

「私もそうですね。なによりも人の体を持てばなのはと対等の条件で再び戦えます」

 

シュテルとレヴィはユーリの願いに付き添うことにした。

純粋な意味で不死身でいても仕様がないというのが理由の一つだった。

 

「ふむ・・・確かに不死身の肉体でなくなることは我にとってはデメリット。

 守護騎士どもと違って我等は肉体自体は成長するから暮す分には問題がない」

 

「えっ?マテリアルたちって成長するん?」

 

「そうだ小鴉。蒐集のため闇の書とその主を守るために生み出された守護騎士と

 夜天の書を乗っ取るための独立稼働プログラムである我等は別物だからな

 もっとも本来はエグザミアを扱う四基のプログラムな訳だが・・・」

「ふーん、そういうもんなんや」

 

ディアーチェの解りやすい説明を聞いてはやては納得する。

 

「それで王様はどっちにするの?」

「ふん、王たる者臣下には手本を示すもの。

 臣下二人がやりたいというのであれば我も参加しよう」

「といいつつ、本当はユーリと一緒になりた・・・」

「黙れ小鴉!!!」

「むぐ、むぐぐぐぐ・・・!!??」

 

はやての指摘が入る前にその口をふさぐディアーチェ。

彼女も結局のところ不死身の体自体はどうでもよいようだ。

 

むしろ八神家の守護騎士たちを見ていると、人間として寿命を持ち。

そして限られた時間の中を精一杯生きる方が充実した生活だと感じていた。

 

「ならばそれで構わないか?」

「う、うむ。それで構わぬ」

 

ディアーチェの許可ももらいパルキアはジュエルシードを持って指示する。

 

「ディアルガはここ、ラティオはここに立ってくれ。我はここに立つ」

「わかった」

「ギラギラッ!」

 

パルキアの指示を受けた二人は指示された場所に立つ。

ちなみに大きさは通常サイズ。ラティオはアナザーフォルムだ。

 

正三角形を描くように三点に並んだとき、パルキアはジュエルシードを掲げる。

それと同時に浮かび上がったジュエルシードは三人がいる丁度中心まで移動し、

その駆体を回転させながら、激しい光をあたりに散らばしていく。

 

「ジュエルシードよ。願いは決まった。

 マテリアル四人。シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ。

 この四人に人間としての肉体を与えてやってくれ」

「私も同じ願いだ」

「ギゴガゴーゴーッ!!」

 

そして、三人が同じ願いを同時に願ったとき、

その輝きは更なる加速を見せ、あたりの空間全体を光に染めていった。

 

 

 

 

バキ、バキンッ バリンッ!!

 

 

 

 

空間に響いたのは何かが砕ける甲高い音。

ジュエルシードが長い年月を経て、ようやく役目を終えて砕け散る音。

そんな音が空間を響き終ろうとしていた時だった。

 

突然、砕けたジュエルシードの破片が三つに分かれて集合。

そして強力な魔力エネルギーがその三つに集中する。

 

「な、なんだ・・・何が起こっているんだ!?」

 

ディアルガの叫びもエネルギーの奔流にかき消され、誰の耳にも届かない。

そしてその場にいる全員が、エネルギーの集まる三点に目を奪われていた。

 

集まっていくのは魔力だけではなかった。

 

 

それは光・・・

 

 

集まった光がそれぞれ、「赤」「青」「黄」

三色に染まっていき、一つの形を形成していく。

 

「きゃううん」

「きょううん」

「きゅううん」

 

そして三体の新たな生命体の鳴き声が空間に響き渡り、

光を纏ったままこの世界から立ち去って行った。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

「な、なんだったんだ・・・今のは・・・」

 

光が収まり、再び正常な視界が広がる中。

ディアルガが当然ともいうべき率直な思いを口にした。

ジュエルシードの光自体は曖昧ながらも記憶には残っているが、

あの時の濃い翠色が少し混ざった虹色の光とは違い。

今回は白い光の中で三色の光が輝いたように見えていた。

 

「ジュエルシードの真の力・・・か・・・」

 

パルキアも初めて感じるジュエルシードの力に体を震わせ、戦慄する。

敵に回らなくて本当によかったと心から痛感していた。

 

光が消え去り、何もなくなった空間。

そんななかユーリが自分の手元を見てあることに気付いた。

 

「あっ・・・」

「どうしたユーリ? ・・・おぉ!これは!?」

 

ディアーチェが見たのはユーリの手の中で宵闇に輝くブレスレット。

三つ又に別れ、三色に輝く宝玉がちりばめられたそれは

見るものを引き付ける。とても不思議な魅力があった。

 

ディアーチェはそれが何か、一目で理解した。

 

「これはエグザミア!?」

「おそらく、人間になるという願いをかなえた結果。

 ユーリのなかに存在する永遠結晶エグザミアが

 デバイスのようなものとして体外に出てきたのだろう」

「なるほど・・・そういうことか・・・・・・それにしても・・・

 まさか我らが本当に人間の肉体を持てるとは・・・」

「わかるのか?」

「はい、我々はプログラム体だったのでやろうと思えば

 一度駆体維持を放棄して再起動できますが、今はできませんから」

 

パルキアの疑問にシュテルが具体例を入れて肯定する。

以前まではできた肉体の操作が今はできない。

そしてなによりも以前とは違う、肉体を通う暖かな血液の流れが

自分たちが改めて人間の体を持てたことを感じさせていた。

 

「僕たちは守護騎士の皆と違って肉体まで人間みたいじゃないからねぇ」

「はい、私たちはあくまでも人の姿をとったマテリアルでしたし。

 今のこの状態は・・・・・・とても新鮮な気持ちです」

 

レヴィとユーリも人間になったという現実に概ね満足していた。

マテリアルたちが楽しそうに自らの体の感触を確かめていた。

 

悲しみの運命の連鎖から、今度こそ確実に解放された。

その嬉しさから、ユーリの顔には明確な笑みが浮かんでいる。

そんな様子を未来組も現在組も微笑ましい様子で見つめていた。

 

そんなときだった。

 

フェイト達の頭上に浮いていたセレビィの体が突然透け始めていたのだ。

 

「セレビィ!?」

【・・・ようやく私の使命が果たせました・・・これでやっと眠りにつける・・・】

「念話!? それに眠りにつけるって!!?」

 

足元から徐々にその姿を消していくセレビィ。

先ほどまでアリシアを通してでしか伝えられなかった意志を

思念通話を通して、今彼女はこの場にいる全員に伝えていた。

 

【・・・私が・・・解放される時が来たのです・・・だから・・・

 今この瞬間だけ・・・あなたたちと私の言葉で・・・お話ができる・・・】

「解放・・・されるとき・・・だと?」

【・・・我々・・・いいえ、私たちはこの世界では異物です・・・

 自らに課せられた使命を終えたとき・・・その身は朽ちて・・・この世界から消える】

「・・・ッ!!?? それって!!!」

 

セレビィの出した「我々」という単語になのはは不安を感じていた。

我々というからにはほかにも消える存在がいるということ。

そしてなのはの周りにはセレビィのような存在が存在していた。

 

恩人パルキアにディアルガ・・・彼らが消えるかもしれない。

そんな怖ろしい未来のビジョンが彼女の脳裏をよぎっていた。

 

「・・・お前の使命はこれを伝える事か?」

【少し違います・・・私があなたにそれを伝えたのは未来を変えたいからです】

「未来を変える・・・とは・・・?」

 

クロノが聞くとセレビィは言う。

 

【・・・・・・貴方方には・・・近い未来で試練が待っています・・・

 異世界からの使いの血が、あなた達に牙をむくのです】

「異世界からの使いの血・・・?」

 

クロノはその単語に反応する。

それがどういう意味なのか、結局わかるのはかなりたってからだったが。

 

【私はその未来で起こる悲惨な・・・現実を変えたかった・・・

 だから、これまでずっと調律を行っていました・・・が・・・

 それ・・・・・・も・・・ようやく・・・終わる・・・・・・】

 

最後の言葉を伝え終わり、満足したのか透けていく速度が上がっていくセレビィ

そんなときにキリエがセレビィに向かって言葉を送った。

 

「ありがとう・・・確かにあなたの存在が私たちをここに連れて来た・・・

 だけど・・・そのおかげで皆に出会えた。とても感謝してるわ」

 

彼女の嘘偽りのない言葉。それを受け取ったセレビィは満足げに笑みを浮かべながら言う。

 

【そ・・・う、言っても・・・らえれば・・・とても・・・うれしいです】

 

その言葉を最後に・・・セレビィの身体が、花びらのように散り始めた。

桜の花びらが散っていくように体が透けていくセレビィ・・・

 

(さようなら・・・またどこかで・・・出会えたら・・・)

 

最期の涙が瞼から零れたのと同時に、彼女の体は散っていった・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

「運命を変えるために・・・か・・・」

 

消えていったセレビィを見送ったパルキア。

表面上は平然を保っているが、受け取ったものが重すぎた。

内面ではとても深い悲しみと、大きな責任感が共存していた。

 

「パルキア・・・受け取った情報とは・・・?」

「・・・今はまだ話せない・・・」

 

ディアルガから先ほどのセレビィとのやり取りについて聞かれるが、

パルキアはただそれだけを返し、再び沈黙してしまう。

 

そんなパルキアになのはは目元に涙を浮かべながら腕をつかみ言った。

 

「パルキアさん・・・パルキアさんは消えないよね!?そうだよね!!?」

「・・・・・・・・・あぁ、大丈夫だ。我等は消えんよ」

 

少しだけ間を開けた後、パルキアは「消えない」・・・そう答えた。

となりにいるディアルガも何かを悟ったようになのはを見ながら頷いた。

それを見たなのはは若干の間は気になるもののとりあえずそれに納得する。

 

「絶対だからね。約束だからね!?」

「あぁ、心配するな。いくらそういう空気だからって、

 未来組が帰ろうって時にそんな暗い話をするな」

 

パルキアがそういうと「うんうん」と頷きながら

ヴィヴィオとアインハルトもなのはに言ってきた。

 

「大丈夫です。私たちの未来にもパルキアさんはいますから」

「安心してください。なのはさん」

「そう、だよね・・・ごめんね。こんな空気にしちゃって」

「大丈夫ですよ。それにセレビィがあんな消え方をすれば誰だってそう感じますよ」

「ありがとうございます・・・」

 

そんなこんなで陰気くさい話も終わりを告げて、改めて記憶封鎖の準備が完了した。

先ほどの騒動ですっかりバラバラになっていたが、再び未来組と現代組に分かれる。

 

静かなる時が流れる中、再びお別れの時間がやってきたのだ。

記憶の一部封鎖、そして時間移動のセッティングをもう一度終えて・・・

 

「それでは皆さん! 本当にありがとうございました」

「お邪魔しました~」

 

二人のその言葉とともに未来組とパルキアたちの周りが光り輝く。

 

「じゃあな。帰ってくるのがいつになるかは知らんがまたな」

「皆さん!未来でまた会いましょう!!」

「ありがとうございました!」

 

ヴィヴィオ、アインハルト、パルキアのその言葉を最後に

彼らの姿はこの時代から消滅した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

少し――拍子抜けするくらい簡単に――――

だけどむしろ、またいつでも会えるような雰囲気でお別れをして

 

そうして、私達の『砕け得ぬ闇事件』はこれで終了

 

あとに残るのは、元通りの時間――

少し思い出せないこともあるけど――忘れない出会った人たちの事

 

私達は再び、平穏な日常へと戻っていったのでした。

 

 

なのははナハトヴァールを連れて高町家に帰っていった。

連れて行った当初は少し騒ぎになったらしいけど。

結局はあの家族らしくナハトは高町家の家族になった。

 

リインフォースの年齢設定が19歳だったのと

美由希さんが姉がほしいと願ったので、今は高町家の長女らしい。

 

今では喫茶緑屋の新ウェイトレスとして働いているとか

 

 

はやてはあの後、グレアム提督のところに報告に言った。

パルキアさんの伝言を聞き入れて、保有している土地の権利を

マテリアルたちに渡したらしい。今ではお隣さんだそうだ。

 

最近では料理対決をするはやてとディアーチェ。

そして高町家・・・とくになのはと遊びに行くレヴィ。

近所の猫たちと遊ぶシュテル・・・とマテリアル達も日常生活に慣れてきているみたい。

 

守護騎士たちはシグナム以外はおおむね今までと変わってないみたい。

シグナムがシミュレーションゲーマーになっていたのは驚いた。

てっきりアクション系統だと思ってたけれど・・・まぁ、現実でやれるからいいのかな?

今度ぜひとも私のゴッドガンダムと戦ってほしい。

 

そして、リインフォースは八神家を飛び出しどこかの世界に行ったらしい。

本人曰く「私も体を動かしたくなった」とのことだけどよくわからない。

気が向いたら帰ってくるとのことで、結構楽しんでいるっぽい。

 

 

ちなみにディアルガさんは再び虚数空間で暮らしているらしい。

よっぽど太陽が嫌いなのかな? ときどきぬいぐるみとして、

なのはたちに水族館に連れて行ってもらっているらしい。

ペンギンがよほど好きなんだね。

 

 

ギラティナ・・・改めラティオはマテリアルの皆と仲良く暮らしている。

サイズは基本的にぬいぐるみサイズで、レヴィと一緒に

高町家に行くのが日課になっているとか。

 

・・・あのころは怖かった存在だったけど、今は見ててとてもかわいいかな♪

 

 

 

 

そして・・・私フェイト・テスタロッサは今、ヴァイゼンの小さな喫茶店に来ています。

アルフとディアルガさんに言われて、今回の事件をディスティンに報告するためです。

 

待ち合わせ場所である喫茶店で待っているとディスティンが来ました。

 

「ごめん、遅れて」

「大丈夫だよ。一分だけだから」

「そう、ありがとう。それで、話って?」

「うん・・・それはね・・・」

 

 

――オギャア~オギャーーオギャア~

 

 

ディスティンにいざ、話をしようとしたときに、

私の耳に大きな赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。

 

振り向くと、若い母親らしき女の人とその腕に抱きかかえられた赤ちゃんがいた。

 

「あらあら、どうしたの急に。お~~、よしよし」

 

その女の人は赤ちゃんをあやしていたけれど、

それに気づいたディスティンがその人に向けて――

 

「あれ?アヴェニールさん?」

「えっ? あぁ、ディスティンくん。久しぶりね」

「知り合い?」

 

親しげに話すディスティンに私はそう聞いた。

 

「あぁ、うん。僕がよく行くヴァイゼン遺跡鉱山の近くに住んでいる人だよ」

「そうなんだ。あっ、初めましてフェイト・テスタロッサです」

 

私があいさつすると、その女の人は赤ちゃんをあやしながら、私に挨拶を返してくれた。

 

「初めましてフェイトさん。私はリネス・アヴェニール

 ディスティンくんとはご両親が恩師って関係よ」

「そうなんですか」

「そうよ。・・・あらあら、いつの間にか寝ちゃってるわね。この子」

 

その言葉を聞いてその赤ちゃんを見ると、

疲れたのかぐっすりと寝息を立てて眠っていた。

 

「かわいい赤ちゃんですね。息子さんですか?」

「そうよ、ディスティンくん。

 可愛いでしょう。先々月生まれたばかりの子よ」

 

そう言いながら、リネスさんは私たちにその赤ちゃんを見せてくれた。

まだ生えたばかりだけれど茶色の髪の毛が頭にちょこんとのっかていた。

 

「うわぁ、間近で見てみるともっとかわいいですね。

 そういえば、この子の名前なんて言うんですか?」

 

ディスティンがそう聞くとリネスさんはその男の子の名前を答えてくれた。

 

 

「この子の名前はね。トーマ・・・トーマ・アヴェニールよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠い未来のエルトリアの大地。

そこは今、死触に覆われて死の大地だった面影はもうなかった。

緑にあふれ、空にはきれいな青空が広がり、心地よい風が

そこに住んでいる住民の頬を撫でていった。

 

「ふぅ、あの日から三日経ちましたが・・・どうですか。Dr.グランツ」

「あぁ、まさか・・・生きている間にエルトリアが蘇るとは夢にも思わなかったよ」

 

小高い丘の上で二人の人間・・・いや、一人は少なくとも人の形をとっていなかったが、

フローリアン博士とパルキアは嬉しそうで、満足げな表情をしながら話をしていた。

 

二人の視線は目の前の緑豊かな大地に注がれていた。

 

「最初に聞いたときは自分の無力感を感じたがね・・・

 今となっては自己満足で終わらなかったから、かえって良かったんだろうね」

「そうだな。それに我がここに来れたのはあなたが作り上げた機械のおかげだ。

 自嘲しているようだが、もっと自分に自信を持っても良いと思うぞ」

「そうかね・・・ありがとう」

 

フローリアン博士がパルキアの言葉に少しだけ笑みを浮かべながら、礼を述べた。

娘たちが過去の存在を連れて来た時には驚いたが、まさかエルトリアの大地まで

元通りに戻してもらえるとは思わなかった。

 

「しかし、三日もかかるとは予想外だった。

 やはり一定の広さがあると能力に限界があるか・・・」

 

パルキアの空間修復能力を使用したのはこれまでに何度かあるが、

惑星サイズで行ったのは初めての経験だった。

そのおかげで自身の能力の限界を知れたのはよかったと彼は思っていた。

 

「時の波紋の充填が完了するまで、あと五日・・・

 君といられるのがそれだけだとわかると、少し寂しい気持ちになるね」

「あぁ、我もこの時代に来れてよかった」

 

タイムマシンは三日前ヴィヴィオたちを送り届けた後、

この時代に来た瞬間にエネルギーが切れてしまっていた。

充填には時間がかかり、ざっと五日ほどはかかるらしかった。

 

パルキアはその五日間の間はこの世界でいろいろと雑業をすることにしていたのだった。

 

心地よい風を肌に感じながら、パルキアはあることを考えていた。

 

(・・・ジュエルシードを通してセレビィから伝えられた情報・・・

 来るべき戦い・・・異世界からの使いの血・・・原作StS以降の話じゃない

 一体この世界に何が待ってるっていうんだよ・・・)

 

パルキアは自分の考えを必死で纏めようとするが、情報が少なく纏まらなかった。

後に来る戦いの時まで、原作概念に無意識に囚われていたパルキアが気付くことは

 

最終的に・・・一度もなかった――

 

 

 

 

 

――来るべき戦いまで・・・あと約320000000秒――

 

 

 

 




INNOCENTを見てないのでグランツ博士の口調は完全に想像です。
本当はこんな話し方だよ!って思った人は感想欄でぜひ御教示を・・・
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