結婚目指して第2の人生楽しみます。   作:リタルダンド

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三上歌歩①

どうも……。皆さんこんにちは。片岡 空でございます……。

 

あれから1週間ほど、色々考えたのですが……。

 

いい考えは全く浮かばず……。

 

「だからスマ〇ラはヨッシーが至高……って、空?」

 

夕ちゃんにお願いして、仲直りまでの期限は伸ばしてもらえましたが……。

 

「おーい、空?」

 

防衛任務でも、ある程度の動きはしてますが、東さんに心配される始末……。

 

「空さーん?」

 

困りました……。前世でこういう経験を積んでおけばよかったとつくづく思います……。

 

「そーら!!」

 

「オゥ?!」

 

急に出水に肩を揺さぶられました。

 

「大丈夫か?空、ずっと上の空だったぞ」

 

「……うまいこと言ったみたいな顔しないでください。大丈夫ですよ。ただぼーっとしてただけです」

 

「ならいいんだけどよ。東さんに聞いたぞ?最近空の様子がおかしいって」

 

東さんめ。余計なことを。

 

「ちょっと寝不足なだけですよ。ほら、それでなんでしたっけ?ス〇ブラはアイスクライマーこそが最強って話でしたっけ?」

 

「ちげーよ!ヨッシーが至高だって言ってんの」

 

「んなわけないでしょう。アイスクライマーですよ」

 

「そもそもアイスクライマー最新版いねーじゃん」

 

「なっ……。発表された今度発売のやつにはいますから。ヨッシーとかワンパンですよワンパン」

 

「ワンパンって……、お前な……。まあいいや、久々にランク戦しようぜ!あと東隊の人たちも紹介してくれよ。戦ってみたいしさ」

 

「はいはい。分かりましたよ」

 

うーん、なんとか誤魔化せたでしょうか。

 

 

 

 

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その日の夜のこと。

 

「はい、もしもし」

 

「お、夜遅くにすまんなー、空」

 

「……どうしました?出水」

 

「いやー、明日さ、暇?」

 

どうやら遊びのお誘いのようです。

 

「えーっと……。はい、日曜ですから日中は暇ですね」

 

「おっ、よかった。じゃあ、久々に映画でも観に行かね?」

 

「映画ですか……。あっ、そういえば前に夕ちゃんから映画のチケットを2枚もらったんですけど、それで観ませんか?」

 

「いいぜそうしよう。じゃあ明日午後1時現地集合な」

 

「え、ちょっと待っ……、切れちゃったか」

 

まあ別に、メールなどで確認すればいいだけのことです。

 

それよか……、本当にどうしましょう。

 

そもそもなんですけど、正直なところどうしてみかみかが怒ったのかがいまいちよくわかってないんですよね。

 

私は前世から知ってましたから、もしみかみかが無理をしていたら、面識がないとしても恩着せがましく心配はするでしょう。

でも、えーっと、つまり、三上さんからしたら、私なんて1ヶ月足らずの付き合いなわけで……。

 

なんか頭の中がごちゃごちゃして上手くまとまってませんが、要するに「なんで知り合って日の浅いみかみかがあそこまで私を心配して怒ってくれたかって?」そうなんです。端的に言ってしまえば……って、え?

 

「大方そんなところじゃないかな、お兄ちゃん。違った?」

 

「いや、そうだけど……。良く分かったね」

 

「分かるよ。何年一緒に過ごしてると思ってるの?普段ならお兄ちゃん隠してるんだろうけど、バレバレだよ」

 

うっ、その通りだと思います。

 

 

 

 

 

「……これは私の勝手な、勝手な予想なんだけど。歌歩さん、不安だったんじゃないかな」

 

「……不安?」

 

「そう。私が言うのもなんだけど、普通の中学生と比べてお兄ちゃんは大人びてるところがあると思うの。まあ変に子供っぽいところもあるけど。だからわからないかもしれないけれど、子供にとって新しい世界に行くって、相当大きな決断なんだよ。きっとボーダーに入りたてのころなんて、不安でいっぱいだったんじゃないかな、皆」

 

「歌歩さんは優秀でしっかりしてるお姉さんだけど、その分色々な重圧とかがあったんじゃないかな、って思うの。ボーダーに入っても、新人オペレーターさんたちのリーダー的存在だったみたいだし。ただでさえ不安なのに、周りの皆を先導しなきゃいけない。皆も不安だから、代わりになってあげようとは思わない」

 

「そんな中、お兄ちゃんは部隊オペレーターっていう道を、歌歩さんに作ってあげた。きっと今までのことを考えたら、とっても楽だったと思うな。先を示してもらえて。引っ張ってもらえて。今まで頑張ってきた分、本当に楽だったと思う」

 

「勿論歌歩さんは優しいから、こんなこと考えて言ってるわけじゃないと思うよ?けどね、どこか心の奥底ではそんな思いがあったんじゃないかなって」

 

「だから、先導してくれるお兄ちゃんは失いたくない。失いたくないからああいうことをされると心配になるの」

 

「お兄ちゃんがあそこで意地を張った理由はよくわからないけど、歌歩さんが珍しく強情だったのはこれが理由だと思うな、私は」

 

 

 

 

 

「……さて、これは私の勝手な、かーってな想像。私とお兄ちゃんだけの秘密、ね?」

 

「……そうだね」

 

「じゃあ私は勉強してくるね。そろそろ大詰めだし、頑張らないとなぁ」

 

「……夕ちゃん」

 

「なに?お兄ちゃん」

 

「……いつも、ありがとう」

 

「うん、こちらこそ。いつもありがとうね」

 

そう言って、夕ちゃんはパタパタと2階に上がって行きました。

 

 

 

あの子はボーダーに入ってから、強かになったというか、なんというか。

 

兄としては、成長を感じられてとっても嬉しいです。情けない姿を見せている私が言うのもあれですが。

 

こんなことを言ってくれるのは、私という人間を信頼してくれているからでしょう。

 

だから、私は信じません。信じてやるもんですか、そんな打算は。

 

最近やってるみたいに、夕ちゃんは私をからかって楽しんでればいいんです。本当はここまでやる必要、ないんです。

 

 

……妹にここまで言わせてしまったのです。明日の夜は確かみかみかもシフトが入っていたはず……。

 

やってみせましょう。なんとかしてみせましょう。

 

 

 

 

 

 

……あれ?でもみかみかを部隊オペレーターに誘ったのって、夕ちゃんでは?

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

「うーん、服はこれでいいかな」

 

一晩越して今日は日曜日。出水との映画の日です。

 

「よし、それじゃあ行きますか」

 

少し余裕を持って、15分前には着くように出発です。

夕ちゃんは勉強をしているでしょうし、静かに出発しましょう。

 

「おお、寒い。えーっと、映画は確か13時50分から……。何故13時集合にしたのか」

 

まあ喋っていればそのくらいすぐ過ぎますか。

 

「……夜、何を話そうかな。多分思ったことを率直に言えばいいとは思うんだけど」

 

しかし、どう自然に話し始めればいいのか。それが迷ってるポイントです。

 

「そもそも、シフト入れてるんだから、オペレーター室までの通路でギリギリまで待つこともできない……」

 

悩ましいです。任務終わりのほうがまだ現実的でしょうか。

 

あ、考えてたらいつの間にかついてました。時計を確認すると20分前です。考えながら歩いてると、なんか早歩きになったりしません?

 

とりあえず待ちましょうか。時間はあり余ってますし、今日の夜のことを考えてましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13時……。律儀なとこがある出水が遅れるとは考えにくいですし、少し心配ですね。メールしておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13時20分……。流石におかしいです。電話をしましょう。

 

「お掛けになった電話番号は、現在電波の届……」

 

ピッ。

 

え、これ本当に大丈夫なのでしょうか。出水の自宅に確認を取ったほうが「ピリリリリリリ」おおおおう。

 

「は、はい!もしもし」

 

「おう、すまん空。……寝坊した」

 

「……はぁ、なら良かったです。出水の変な時間設定のおかげで時間に余裕ありますから、急いで来て下さい」

 

「すまんすまん。暇だろうし、俺の分のパンフ買っといてくれよ」

 

「了解です。パンフ買えばいいんですね?」

 

「そうそう。よろしくな」

 

「分かりました」

 

いや、何事もなくて良かったです。トリガーを持ってるとはいえ、一般人には使えませんし。

 

えーっと、パンフレットでしたっけ。それならついでにグッズも見ておきましょうか。

 

うーん、やはり高い。特に作品のファンというわけでもありませんし、購入は見送りですかね。

よし、それじゃあパンフだけ買って……「キャッ!」

 

これはいけない。女性とぶつかってしまいました。

 

「すみません。お怪我はありませんか?」

 

「はい、こちらこそすみません……、って、片岡さん?」

 

「……三上さん?」

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

まずいです。1週間考えてたこと全部吹っ飛びました。

 

「き、奇遇ですね」

 

「え?……は、はい。そうですね」

 

な、何を話しましょう。考える時間が欲しいです。でも黙ってるのも嫌ですし……。

 

「えーっと、片岡さん。夕ちゃんはどこですか?」

 

ほえ?

 

「夕ちゃん?私は出水と、あいや、友人と一緒に映画を観るつもりで……」

 

「出水さん、ですか?それじゃあ、夕ちゃんと一緒に来たのでは……」

 

「ないです。夕ちゃんは今頃、家で勉強してると思うんですけど」

 

おかしいですね。どうやら会話が噛み合ってないようです。

 

「……私、夕ちゃんに映画に誘われて来たんです。本当は片岡さんと行くつもりだったけど、片岡さんに用事ができてチケットがもったいないからよかったら、って」

 

「私はその、出水という友人に誘われて……。丁度夕ちゃんにある映画のチケットをもらったので、それで観るつもりだったんですが……」

 

……ん?

あれ、もしかしなくてもこれ、また嵌められました?

 

「……三上さん。もしかして、このグッズ売り場に来るように夕ちゃんに指示されませんでしたか?」

 

「はい。遅れちゃいそうだからパンフレットを買っておいて……と」

 

あ、確定ですね。

 

「三上さん、落ち着いて聞いてください」

 

「は、はい。なんでしょう」

 

「……私達、夕ちゃんに嵌められました」

 

「……え?」

 

「夕ちゃんも私の友人も来ません。多分夕ちゃんの目的は、三上さんと私で一緒に映画を観させることです」

 

「……えええええええええええ?!」

 

「三上さん、しーっ、しーっ」

 

周りの目が一斉にこちらに向きました。私は別に構いませんが、注目されるというのは女性にとってあまり良いものではないでしょう。

 

「あ、すみません。でも、どういうことですか!夕ちゃんが来ないって」

 

「恐らく私の友人と組んで、ここで三上さんと私が出会うように仕向けられました。私も友人が遅れていて、さっきパンフレットを買うように言われたんですよ。……おかしいとは思ったんです。いつも映画を観た後に買うくせに」

 

「そ、それじゃあ私達は……」

 

「はい、完全に嵌められました」

 

「……夕ちゃんに電話してみます……。あれ、メール?」

 

「……あ、私の方にも」

 

 

 

 

 

From:夕ちゃん

 

そろそろ歌歩さんと運命の出会いをした頃かと思ってメールしてみたよ。

 

ちゃんと仲直りしてくるんだよ。

 

ps,そうそう、あの1万円はデートに使わせてもらってます♥️

 

 

 

 

 

「夕ちゃん……、ありがとう。……片岡さん?どうしました?」

 

「三上さん。夕ちゃんって、彼氏、いるんですか?」

 

「え、彼氏ですか?前はいないって言ってましたけど……」

 

なら心配ないですね!きっと木虎とかと遊んでるのをデートって書いてるんでしょう!夕ちゃんの策略通り、一瞬騙されちゃいましたよーははははは。

 

 

 

……後で追い詰めます。勿論相手の方を。

 

まあそれはそれとして。一応機会をくれたこと、感謝してますよ。夕ちゃん、出水。

 

「さて、三上さん」

 

「……はい」

 

「この前は、すみませんでした。心配してくださったのに、危ない行動を正当化するようなことを言ってしまって」

 

「……私こそ、片岡さんの意見をちゃんと聞かずに一方的でした。ごめんなさい」

 

これでは前と同じことの繰り返しです。だから、今回はちゃんと、私の『気持ち』を伝えたい。

 

「……それで「でも!」はい!」

 

おおう。出鼻を挫かれました。

 

「まだ納得はしてませんからね。だから、映画が終わったら、ちゃんと何があったか教えてくださいね」

 

「も、勿論です!……え?映画、私と観てくださるんですか?」

 

てっきりもう解散の流れかと思っていました。普通、ただの知り合いの男と2人隣の席で映画なんて、女性からしたら嫌なものなのではないかと思ったんですが。

 

「はい。片岡さんが嫌だったら、諦めますけど……」

 

「いえいえ!観ましょう!是非!」

 

……あ、ちょっと必死になりすぎたでしょうか。気持ち悪いって思われても文句言えないですよね、これ。

 

やってしまった!ほら、みかみか、顔を背けてるじゃないですか!

 

「ふ、ふふっ、ありがとうございます」

 

「わ、笑わないでくださいよ。私、女性と映画なんて夕ちゃん以外で初めてなんですから。びっくりしちゃったんです」

 

「ふふっ、ごめんなさい。でも、それを言ったら私だって、家族以外の男の人と映画なんて、初めてで緊張してるんですよ」

 

「そ、そうなんですか?」

 

みかみかはモテるって葦原大先生も書いてましたし、少し意外です。

 

「ええ、そうなんです。だから、お互い緊張でどうにかなってしまう前に……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早く、行きましょう?片岡さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って私の手を引いた三上さんは、幼さが残りながらもとっても素敵で、魅力的な笑顔をしていました。

 

「あぁ、……ズルいな」

 

そうポツリと呟かざるを得ないくらいに。

 

 

そして私は思ったのです。

 

 

 

やはり私は、この女性と生涯を共にしたいのだと。

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

「なるほど、そんなことが……」

 

映画を観終わって、近くのカフェに来ました。勿論、私の『気持ち』を伝えるためです。

 

「それは確かに嬉しいことですね。片岡さんの気持ちはとても分かります」

 

「そうでしょう!あの時は本当に嬉しくて」

 

「でも、私にとって嬉しいのは、ちゃんと片岡さんも無事で帰ってくることです。当然一般の方々をお守りするのは大切なことですけど、緊急脱出もありますけど。夕ちゃんにも片岡さんにも、無理をしてほしくないんです」

 

「……はい」

 

「トリオン体だって、緊急脱出だって、絶対に安全って訳ではないと思うんです。今回は良かったですけど、もしもまたこういうことを繰り返されて、もしものことがあったらって思うんです。しかも、私はあの時、何もできませんでした。それで片岡さんにもしものことがあったら、私は悔しいし、悲しいです。私のわがままかもしれません。力不足かもしれません。でも、何かできることがあったんじゃないかって……。そう、考えると思うんです」

 

三上さんは、どこか陰りのある笑みを浮かべて、そう言いました。

私には原作知識がある上に、第一次侵攻のことも前世よりは知識がありますから、三上さんが言いたいこともよく分かります。

 

「……本当に、ごめんなさい。そして、ありがとうございます。そんなに私のことを考えてくださっているとは、あの時は思わなくて」

 

「いいんです。納得もしました。……ちゃんと話せて良かったです。やり方はアレですけど、夕ちゃんに感謝ですね。やり方はアレですけど」

 

「そうですね。その通りだと思います。やり方はアレですけど」

 

沈黙です。でも、前までみたいに気まずい感じではない。温かみのある、優しい沈黙です。

私自身も、前とは違って、優しい顔をしているのではないかと思います。残念ながら、イケメンではないですけどね……。

 

さあ。勇気を持って、1歩進みましょう。

ここまで沢山、色んな人に助けてもらいました。

でも、最後は私がやらなくては、何も意味がありません。

 

「……三上さん」

 

「……はい?」

 

「もし、三上さんが良かったらなんですけど……。友達に、なってくれませんか?」

 

「嫌です」

 

即答?!しかも満面の笑みで?!

結構頑張って言ったんですけど?!

 

「私、部隊のオペレーターだから片岡さんを大切に思ってるんじゃないですよ?すでに友達だと思ってたのは、私だけですか?」

 

「そ、そんなことないです!それこそてっきり三上さんは私のこと、同じチームの一員くらいにしか思ってないのかと……」

 

「私のせいにしないでくださいよ……。もう、やり直しです」

 

怒られちゃいました。でも、友達と思ってくれているのは嬉しいですね。

 

 

 

さあ、一度転んでしまいましたが、ちゃんと決めましょう。

 

 

私の未来の為ではなく。今、この瞬間の為に。

 

 

「……三上さん。私は貴女のことを知りたいと、前に言いました。けれど、それだけじゃダメだって、気づかされました。貴女に、私自身のことを知って欲しい。そして、もっと仲良くなりたいです。私のわがままですが、お願いできますか?」

 

「……わがままなんかじゃないですよ。……はい、私からも、お願いします」

 

 

 

きっと、いえ絶対。私は、色んな人に力を借りて。

 

 

今ようやく。大きな1歩を踏み出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




難しいですね……。
区切りです。夕ちゃん活躍の裏話が入ります。多分。
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